AIが発達してもなくならない7つの仕事とは?理由や特徴を解説

AI副業

AIの進化は目覚ましく、私たちの生活や仕事に大きな変化をもたらしています。AIの便利さをありがたく思う一方、「AIに仕事を奪われてしまうのでは?」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、AIが発達してもなくならないと考えられる7つの仕事について、その理由や特徴をご紹介。さらに、AI時代に活躍するために必要なスキルについても深掘りしていきます。

監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

AIが発達してもなくならない仕事ランキング7選

AIはデータに基づいた推論やパターン分析、高速な計算などを得意としています。一方で創造性を発揮したり、複雑な判断をしたり、共感に基づいたコミュニケーションをとるなどの作業はまだ苦手です。ここで挙げる7つの仕事はそういった人間らしい要素が特に重要であり、AIに代替されにくい仕事です。

1. 医療・介護従事者(医師、看護師、介護士など)

医療や介護の現場では、AIによる診断支援や情報管理といった技術の導入が進んでいます。しかし、患者一人ひとりの状況に合わせた正確かつ臨機応援な判断は、まだAIには難しいです。何より医療の仕事では「医療倫理」と呼ばれる高度な職業倫理に基づく意思決定が求められます。その点においてAIはまだ人間には及びません。

また、医師や看護師、介護士といった職業では、患者やその家族の心情に寄り添い、心理的なケアをすることも重要な役割です。そのためには患者や家族とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが必要不可欠になります。

医療・介護従事者の仕事は、医学の知識や技術だけでなく人間性も必須要素であり、AIに取って代わられることは考えにくいでしょう。

2. クリエイティブ職(芸術家、デザイナー、作家、漫画家など)

AIは既存のデータを学習し、それらを基に「生成」する能力を持っています。文章を生成する機能はすでに身近なものとなっており、最近は有名なアニメや漫画、絵画のスタイルをそっくりに模倣して画像を生成できるようにもなっています。しかし「創造性」、すなわち「ゼロからイチを生み出す」力は、依然として人間固有のものだと言えます。

芸術家は、自身の内面や社会の状況を独自の視点から観察・表現し、新たな価値を創造します。デザイナーは、単に美しいものを作るだけでなく、人間の感情や行動を深く理解した上で、使いやすさや体験価値を生み出します。作家や漫画家は、独自の表現を通じて読者の想像力を刺激し、共感を呼び起こす物語を紡ぎます。

これらの職業のような人間の強い「創造性」を必要とする仕事は、AIが完全に代替することは困難です。

3. カウンセラー・セラピスト・相談員

カウンセラー、セラピスト、相談員といった人々の「心」に関わる職業も、AIには代替が難しい仕事です。人間の複雑な感情や心の動きを深く理解し、共感しながら適切なサポートを提供するには、高度な対人スキルと共感力が必要だからです。

クライアントの言葉の裏にある真意を読み解き、非言語的なサインも捉えながら、信頼関係を構築していく。その上でクライアントが自ら問題を解決できるよう、寄り添いながら導いていく。

このようなカウンセラーやセラピスト、相談員が行っている深い対人コミュニケーションは、AIが真似をするのは難しいでしょう。

4. 教育者

日本では教職員への負担が社会問題として捉えられており、学習指導の最適化のみならず教職員の負荷軽減も目的としてAIの技術導入が進められています。

しかし、知識を伝えることだけが教育者の役割ではありません。社会性や倫理観を教え育てたり、時には人間関係などの悩みに寄り添ったりするなど、人間的な成長をサポートするという重要な役割も担っています。

何より、成長期の子どもたちは多感であり「心」の動きや変化が大きいです。カウンセラーなどの仕事をAIが代替するのが難しいのと同様、子どもたちの「心」に常に寄り添い、時には支える教育者の仕事は、やはりAIには代替困難だと言えます。

5. 研究者

AIはビッグデータの解析やシミュレーションなど、研究活動においては強力なツールとして活用されています。これまでは高度な専門知識が必要だったり、長い時間をかけなければいけなかったような作業の多くを、AIに任せられるようになってきました。

しかし、ニュートンが木から落ちるリンゴを見て引力の存在に気付いたように、画期的な発見や理論の構築には、既成概念にとらわれない発想力や、現象の本質を追究する洞察力が必要です。クリエイティブ職の「ゼロからイチを生み出す」創造性と同様、こういった洞察力も人間ならではの能力だと言えます。

また、倫理的な問題や社会への影響に対する配慮や考察も、研究活動では重要であり、AIには代替困難な要素です。

6. エンジニア・データサイエンティスト

AIに代替されやすいと思われがちですが、エンジニアやデータサイエンティストといった職業も、AIに取って代わられることが無い仕事だと言えます。AIモデルの設計・開発、運用・保守、そしてAIが学習するためのデータの収集・前処理・分析などといった、AIの進化に必要な作業を担っているものこそが、エンジニアやデータサイエンティストといった人間の仕事だからです。

特に、未解決の問題に対する新たなアルゴリズムの開発や、既存のAIの限界を突破するための研究開発は、高い創造性と問題解決能力を必要とします。AIが高度化すればするほど、それを管理し進化させる人間の存在はより重要なものになっていくでしょう。

7. 経営者・会社役員

経営者や会社役員の仕事は、企業の業績や将来までをも左右する重要な意思決定を行うことです。市場の変化、競合の動向、技術革新、社会情勢など、不確実性の大きい要素を多角的に分析し、リスクを評価しながら最適な戦略を策定するという複雑かつ責任の大きい仕事は、まだAには荷が重すぎると言えます。

また、多様なステークホルダーとの間とのやりとりや企業文化の醸成など、経営者や会社役員には高いコミュニケーション能力も求められます。何より、社員のモチベーションを高め、ひとつのチームとしてまとめ上げ、集団として果たすべき目標を達成していくためには、人間的な魅力とリーダーシップが必要不可欠です。そういった対人的な側面からも、AIにはおよそ代替が難しい仕事でしょう。

AIに取られない仕事の特徴とは

ここまでご紹介してきた仕事をもとに、AIに取られない仕事の特徴をまとめていきます。

1. 複雑な状況下での判断が求められる仕事

AIはルールに基づいた作業や、大量のデータからパターンを見つけ出すことは得意ですが、さまざまな要素が絡み合う問題の解決は苦手です。過去のデータだけでは確固たる正解が導き出せない、複雑な状況に直面する機会が多い仕事では、経験則や洞察力に基づき判断できる人間の力が必要です。

2. 創造性・芸術性が必要な仕事

AIは既存のデータを学習し、それらをベースとした「何か」を生成することはできますが、真に「ゼロからイチを生み出す」創造性はなく、人々の感情に訴えかけるような芸術性を持つことも難しいです。文化や芸術、エンターテイメントなど、創造性や芸術性をもって人間の感情や感性に深く訴えかける仕事は、今後も人間の専売特許であり続けるでしょう。

3. 高度な対人スキルや共感力が不可欠な仕事

AIは論理的な情報処理は得意ですが、人間の繊細な感情の機微を理解したり、共感したりすることはできません。人間関係の構築、信頼関係の醸成、相手の気持ちに寄り添ったコミュニケーションは、AIには代替できない人間だけの強みです。カウンセリングや教育、医療・介護の分野など、人間同士だからこそできる深い関わり合いが必要な仕事は、これから先も必要とされ続けます。

AIに奪われるかもしれない仕事の特徴

一方で、AIの得意分野と重なる仕事は、将来的にAIに代替されてしまう可能性が高いと言われています。AIに奪われるかもしれない仕事の特徴にも迫ってみましょう。

1. ルーティン性・反復性の高い仕事

AIは、定型的な作業や反復性の高いタスクを、人間よりもはるかに高速かつ正確に処理することができます。データ入力、書類整理、顧客対応の一部(FAQへの自動応答など)、あるいは工場での組み立て作業など、あらかじめ設定されたルールや規則に基づいて行われる仕事は、AIやロボットによる自動化が進んでいくでしょう。

2. 情報処理や分析の仕事

AIは、大量のデータを瞬時に分析し、パターンを特定したり、予測モデルを構築したりする能力に優れており、その点で人間はまったく敵いません。たとえば金融データの分析や市場予測、医療画像の診断支援など、大量の情報から特定の情報を見つけ出したり、統計的な処理を行ったりする仕事は、今後AIに取って代わられる可能性があります。

3. 身体的な仕事

AIの進化にロボット技術の進化も組み合わさることで、人間が身体を使って行っている仕事のAIへの代替が進んでいくことが予測されます。たとえば従来は人の目と手によって行われていた線路の設備点検は、AIの技術が導入されたことで労力と時間の大幅なコストカットに成功しています。

ほかにも建設現場での作業、物流倉庫でのピッキング、農業での収穫作業などといった肉体的な負担が大きい仕事は、AI+ロボットによる自動化がどんどん進んでいくと想像できます。

AIができない仕事で活躍するために必要なスキルの磨き方

発達したAIが人間に取って代わるこれからの時代。活躍し続けるためには、AIにはできない人間ならではのスキルを磨くことが重要です。

1. 問題解決能力の磨き方

問題を解決するためには、問題を明確化することが重要です。問題解決能力とはつまり、漠然とした課題を具体的に定義し、その根本原因を深く掘り下げて解決する力のことを言います。

問題解決能力を高めるには、問題の根本原因を特定する分析力と、多様な視点から問題にアプローチする解決力を鍛えることが重要です。具体的には、日頃から様々な事象に対して「なぜ?」「どうすれば?」と問い、論理的に考える習慣をつけることで、問題解決能力は伸びていきます。

2. 創造性・発想力の磨き方

創造性や発想力といった人間固有のスキルを磨くには、日頃から多様な情報に触れることで、既存の枠にとらわれない柔軟な思考を養うことが重要です。自分の仕事や趣味とは異なる分野の書籍を読んでみたり、自分とは異なる立場や視点を持つ人々と議論したりして、多角的な視点を意識的に取り入れてみましょう。

また、インプットだけではなく積極的にアウトプットする習慣を持つことも大切です。ブレインストーミングやマインドマップといったテクニックはもちろん、メモ帳への落書きでもチラシの裏でも構いません。アウトプットを具体的な形にする作業を繰り返すことで、創造性や発想力は大きく広がります。

3. 共感力・コミュニケーション力の磨き方

共感力やコミュニケーション力は、AI時代に人間が最も強みを発揮できるスキルです。これらを磨くには、言葉の裏にある感情や意図を読み取る練習として、相手の非言語サイン(表情・声のトーン・しぐさ)に意識を向けるようにしてみましょう。

また、相手の話を途中で遮らず、最後まで耳を傾ける「傾聴」の姿勢を徹底することも重要です。そうすることで相手は「理解されている」と感じ、信頼関係が深まります。その上で、自分の意見を簡潔かつ分かりやすく伝えることが重要です。

まとめ

AIの進化は、私たちの生活や働き方を大きく変える一方で、人間だからこそ持つ強みの重要性を再認識・再評価する社会的な動きにもつながっています。

今回「AIが発達してもなくならない」としてご紹介した7つの仕事は、人間固有の強みをとりわけ必要とする仕事ではあります。しかし、どのような仕事であっても「問題解決能力」「創造性・発想力」「共感力・コミュニケーション力」といった人間的なスキルの重要性は不変です。

AIの強みを「脅威」ではなく「道具」として有効的に活用しつつ、人間ならではの強みを大事に伸ばし活かしていくことで、AI時代にも必要とされ続ける、豊かで充実したキャリア構築を図っていきましょう。