AIは、人間の知能や行動をコンピュータで再現した技術です。AIによる学習・推論・判断の自動化は、ビジネス・学業・ライフスタイルの幅広い領域で導入されています。
今回は、AIにできることや、AIが雇用に影響を与える仕事についてご紹介します。私たちの生活とAIとの関連性を考えながら、共生のかたちについて考えていきましょう。
AIにできることは8つ | 今の人工知能にできること
ここでは、AIにできることを8つご紹介します。
AIの性能は、技術の発展や人間の発想力次第で無限大です。今はまだできないことでも、今後はどんどん可能になっていくはず!まずは、現状のAIができること・得意としていることを学んでいきましょう。
膨大なデータの処理・分析
AIにできることとして、膨大なデータの処理や分析が挙げられます。人間よりも遙かに早いスピードで大量のデータを処理し、複雑なパターンを分析できるのが特徴です。一般企業だけではなく、医療やインフラなどの領域でも積極的なAI導入が進んでいます。
通常パターンの把握からの異常検知
AIは通常パターンを正確に把握することで、微細な変化を検出して異常を検知することもできます。異常検知の技術は、地震予測や温度上昇などの領域で導入済み。ほかにも機械の故障や心拍数の変化など、さまざまな分野で活用されています。
機械やシステムの制御・実行
機械やシステムの制御や実行も、AIができることの一つです。作業のAI化とはつまり「自動化」であり、AIが独自の判断で機械やシステムを操作する技術が拡大しています。たとえば車の自動運転や道路状況の分析なども、システム制御や実行機能といえます。
自然言語処理
自然言語処理とは、AIが人間の言葉を理解し、生成する技術です。機能としては、テキスト解析やテキスト生成、翻訳、感情分析などが代表的です。実用例としては、チャットボットAIの導入により、企業からユーザーへの回答が24時間可能になったことが挙げられます。
音声の認識
AIができることには、音声認識も含まれます。AIが音声データを認識・解析することで、ユーザーの音声指示に応じた動作が実現可能です。またプレゼンやインタビューのテキスト化や自動通訳なども、AIの音声認識による成果です。
画像の認識
画像の認識もAIにできることとして挙げられます。AIは画像データを認識・解析したうえで、情報を理解しタスクを実行できます。たとえば防犯カメラやスマホの顔認証や、自動フォーカスなどの機能が代表的。工場業務では欠落品の検出なども可能です。
コンテンツやツールの作成
生成AIの利用が拡大する昨今では、コンテンツやツールの作成などの機能も欠かせません。たとえばプログラミングコードや文章・楽曲・画像の生成など、AIが作成できる対象は日々増加中です。広告デザインやニュースの要約記事など、AIの生成物はビジネスとしても多様な展開を遂げています。
レコメンデーション
AIにできることとして、レコメンデーションも挙げられます。レコメンデーションとは、ユーザーの趣味嗜好や行動履歴に応じて、好まれそうな商品やサービスを推奨する機能です。ECサイトにおける「あなたへおすすめの商品」の表示も、レコメンデーションの一種です。
ビジネス以外にも!社会におけるAIの導入事例

AI技術はビジネスシーン以外にも幅広く展開されています以下に、生活やライフスタイルにも関連するAI導入事例を記載します。
- 自動車の自動運転
- 家電の自動化・音声認識
- 翻訳アプリ
- レントゲンやMRIの画像診断
- スマート農業
- 工場のロボット化
- スマホの写真整理
- チャットボット
- 防犯カメラの顔認識
- コールセンターの自動対応
- ショッピング・娯楽などのおすすめ提案 など
AI技術は非デジタル領域においても、データ処理や業務効率化などで活躍中です。AIを導入することで生産性も上がり、人間の負担が減り、ヒューマンエラーも減少します。
家事・娯楽・インフラ・買い物など、私たちにとってごく身近なシーンにおいても、すでにAI技術は欠かせないものになっているのです。
AIができないこと・苦手なこと | 今人間にしかできないこと
AI技術が躍進する昨今ですが、いまだに「人間にしかできないこと」は多く存在しています。ここでは、AIができないこと・苦手なことをご紹介します。AIの特徴・特性を学んだうえで、人間との共存について考えていきましょう。
経験に基づいた論理的な判断
AIは、経験に基づいた論理的な判断が苦手です。そもそもAIは人間のように一次体験ができないため、ビッグデータ内の情報を組み合わせることでしか出力・判断ができません。
データに含まれていない情報については思考できないため、分野横断的な判断は苦手といえるでしょう。また「結論」と「根拠」に分けながら、筋道を立てて体系的に物事を考える思考も、AIの苦手とする分野です。
独創性に優れた創造
AIはすでにある情報を組み立てて出力するため、独創性に優れた創造力は持ちません。創造力とは、何もない場所から新しい価値やサービスを生み出す能力であるため、そもそもAIの仕組みでは限界があるのです。
一見すると「独創性にあふれたアイデア」をAIが出力したように見えても、実際には過去の事例や類似する事例などが存在しています。誰もが驚くような革新的なアイデアの創造は、人間にしかできません。
人間ならではの洞察力や空気を読む力
AIは人間の感情を予測することはできますが、実際の理解はできません。そのため人間ならではの洞察力や想像力、空気を読む力などは、AIでの再現は難しいでしょう。
たとえばAIは、言葉の裏に隠された真意を探る力を持ちません。しかし人間であれば、声色や顔色の微妙な変化や、目線の動き方などによって、本音や建前を見抜いたり疑ったりできます。
感情的な対応や矛盾の理解
人間にしかできないこととして、感情的な対応や矛盾への理解なども挙げられます。AIの思考はパターン化されているため、パターンから外れたものはイレギュラーやエラーとして扱われる傾向に。しかし人間の心は、白と黒だけでは分けられない場合も多いですよね。
たとえば「愛憎」のように矛盾した感覚を、AIは理解できません。愛憎という言葉の意味は理解できても、実際に愛憎を抱いたときの心理を想像できないのです。人間ならではの微細な心の動きや矛盾との共存は、人間だからこそ理解し共感し合える感覚です。
AIが発達してなくなる仕事の具体例

ここでは、AIの発達によって雇用が減少傾向にある仕事をご紹介します。
「今すぐにすべての仕事がなくなる」というわけではありませんが、実際にすでに一部の業界の雇用は、AIに取って代わられつつあります。AIの得意分野を学びつつ、将来の仕事のかたちについて考えていきましょう。
問い合わせ対応の仕事|受付嬢・カスタマーサポートなど
AIの拡大により、受付嬢やカスタマーサポートなどの問い合わせ業務の雇用は減少傾向にあります。たとえば百貨店や商業施設のフロントで、デジタルパネルを操作したことがある人も多いのではないでしょうか。
クレーム対応やコールセンターなどでも、チャットボットや自動音声が導入されつつあります。問い合わせをAI化することで蓄積されたデータは、将来的なマーケティングにも役立ちます。
数字を処理する仕事|一般事務職・在庫管理など
大量の数字の処理や計算は、AIの得意分野の一つです。一般事務職や在庫管理などの数字を扱う仕事は、AIに代わられつつあります。
数字関連の仕事におけるAI導入のメリットは、ヒューマンエラーがおこらないこと。見逃しやケアレスミスのリスクをほぼゼロにできるため、正確なデータ管理や安定した供給につながります。
単純作業の仕事|ライン作業・レジ業務など
ライン作業やレジ業務など、単純作業の仕事もAIが担いやすい領域です。たとえば工場でのライン生産は、人間よりもAI搭載のロボットが担当したほうが正確です。画像認識機能も導入すれば、破損品や不良品も適切に仕分けられます。
コンビニやスーパーで見かけるセルフレジも、AI導入事例の一つ。いわゆる「特別な資格や能力がなくても働きやすい仕事」から順に、AIに代わられていく傾向にあります。
運転に関連する仕事|タクシー運転手・配達員など
昨今、AIによる自動運転機能が備えられた車が話題を集めています。今後、自動運転機能の性能はさらに向上すると考えられ、運転に関連する仕事の雇用は減少していくでしょう。
たとえばタクシー運転手・電車の運転士・宅配物の配達員・物流関連のトラック運転手などは、仕事を失う可能性があります。すでにアメリカでは無人タクシーが普及しつつあり、まさに発展真っただ中の領域です。
AIが発達してもなくならない仕事の具体例

ここでは、AIが発達しても雇用が安定しやすい仕事の例をご紹介します。
AIに奪われにくい仕事の特徴は、人間ならではの能力が求められることです。人間の力が必要な仕事の特徴を学び、技術と人の共生についてイメージを膨らませてみましょう。
医療に関連する仕事|医師・看護師・介護士など
医師・看護師・介護士など、医療に関連する仕事はAIに奪われにくいと考えられます。なぜなら医療職や介護職は、感情的な共感や寄り添いが重視されるからです。
病気や疾患に悩む患者や高齢者は、表面的なケア以上に「心のつながり」や「安心感」を求めている傾向にあります。孤独に苛まれると精神的に不安定になり、症状が悪化してしまうケースもあるでしょう。医療AIがどれほど発達しても、リアルなコミュニケーションの重要性は失われません。
対人サービスに関連する仕事|営業職・カウンセラーなど
営業職やカウンセラーなどの対人サービス関連も、人間ならではの仕事といえます。AIには企業が求めるニーズを分析する力はありますが、言葉の力によって担当者の潜在ニーズや購買意欲を引き出すことは難しいでしょう。
営業職もカウンセラーも、相手の様子から「今相手がどんな言葉を求めているのか」を察する能力が必要です。データだけでは測りきれない心情や欲求を理解するためには、人間の洞察力や想像力、発想力などが求められます。
創造性が求められる仕事|ITエンジニア・アーティストなど
AIが決してまねできない非認知能力の一つが、創造力です。ITエンジニアやアーティストなど、創造性が求められる仕事も、AIに奪われにくいといえるでしょう。
昨今の生成AIでは、オシャレな音楽やイラストなど簡単に出力できるようになりました。だからといって、人間がセンスや手先を駆使して生み出す成果物に、価値がなくなったわけではありません。
AIが出力する作品は、あくまで「過去のアーティストたちの作品を切り貼りしただけ」のものです。生成AIの能力が向上するほど、人間による作品にも付加価値が生まれます。
AIの開発・運用・メンテナンスに関連する仕事
社会におけるAIのニーズが高まるほど、AI関連の仕事の雇用も増えていきます。AI技術が拡大傾向にある今、AIの開発・運用・メンテナンスに関する仕事はさらに広まっていくでしょう。
たとえばAIアルゴリズムを研究開発するAIリサーチャーや、AIモデルの設計をおこなうMLエンジニア、AI活用の指針を提供するデータアナリストなどが代表的です。
未来はAIと共にある!興味を持つことが最初の一歩
今回は、AIにできることや苦手なこと、AIの発達による仕事への影響などをご紹介しました。世界規模でIT化・AI化が進む現代において、AIとの共生は免れません。今後の社会では今以上にAIは身近になり、生活や仕事において欠かせない存在となっていくでしょう。
AIの進化によって減少する仕事もあれば、新しく生まれる仕事もあるものです。とくにAI関連のスキルを持つ人材は、現在もすでにニーズが高い傾向に。AIについて学ぶことは、自身の可能性の拡大にもつながります。
今はまだAIの恩恵を実感しにくい人でも、「難しそう」と忌避する必要はありません。まずは身近なAI技術に触れ、少しずつ学んでいくことで、キャリアだけではなく娯楽やコミュニケーションの幅も広がっていくでしょう。