AIの発達によって今後なくなる仕事とは?

AI副業

AIの発達が目覚ましい昨今。「このままAIが発達していったら、私の仕事はなくなってしまうのでは?」と不安を感じる方も少なくないでしょう。

本記事では、AIが発達することで今後なくなるかもしれない仕事の特徴を解説し、具体的な仕事の例をランキング形式でご紹介します。さらに、AI時代に適応するために私たちが身につけるべきスキルや、研究機関によるAIに関する予測についても触れていきます。

監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

AIの発達によってなくなるかもしれない仕事の特徴

AIの発達によって人間の仕事が全て取って代わられてしまうわけではありません。しかし、AIが得意とする作業に限っては、スピードや質の面で人間の仕事を凌駕してしまうため、今後AIに奪われてしまうかもしれません。

具体的には、以下のような特徴を持つ仕事は、今後AIの発達によってなくなる可能性が高いと考えられます。

  • ルーティン性・反復性の高い仕事
    あらかじめ決められた手順があったり、パターンが繰り返されるような作業は、AIやロボットによる自動化が容易です。しかも人間が行うとヒューマンエラーが発生する可能性がある一方で、AIは高い精度で作業できる強みもあるため、AIへの置き換えが進みやすいと言えます。
  • データに基づいた予測や分析をする仕事
    膨大なデータから法則性を見つけ出し、統計的に予測や分析を行う作業は、AIの得意分野です。扱えるデータの量や作業の速度は日進月歩で向上しており、ますますAIが幅を利かせる領域になっていくでしょう。
  • 比較的単純な身体的動作による仕事
    物の運搬や組み立てなど、比較的単純な身体的動作による作業は、ロボットによる自動化が進んでいます。危険な環境や精密な作業が求められる場面など、人間よりもロボットの方が適している場面も多く、AIの普及が受け入れられやすい分野です。
  • 定型的なコミュニケーションの仕事
    FAQ応答や予約受付など、あらかじめ想定される質問に対して定型的な情報を提供するようなコミュニケーションはAIによって容易に代替可能であり、すでにチャットボットや自動音声などの形で導入が進んでいます。

AIの発達で今後なくなるかもしれない仕事ランキング10選

それでは、具体的にどのような仕事がAIによって今後代替が進む可能性が高いのでしょうか。上記で挙げた特徴に基づき、動向を注目すべき仕事を見ていきましょう。

1位:一般事務・データ入力

パソコンを使って作業を行う一般事務やデータ入力は、デジタル技術の発達による影響を受けやすい仕事です。書類の作成や整理、データ入力、あるいは会議室の予約といった事務作業は技術発達によって効率化が進んできました。近年はAI-OCR技術の発達により、手書き文字の認識や音声入力のテキスト化、さらにはファイルの内容を理解してフォルダに分類するといった高度な作業まで自動化できるようになってきています。

一般事務やデータ入力は今後、AIによる自動化がどんどん進み、人の手は不要となっていくでしょう。

2位:銀行窓口・金融事務

銀行の窓口業務や金融事務も、AIに代替されていく仕事だと言えます。すでに預金の入出金、振込手続き、口座開設といった定型的な手続きは、ATMやオンラインバンキング、モバイルアプリなどで人を介さずにできます。またAIチャットボットによる顧客対応も一般化しており、簡単な質問への回答や手続きの案内はAIが担当できるようになっています。

将来的には、より複雑な作業もAIが行えるようになっていき、銀行などの金融機関で窓口業務や事務の仕事をする人は減少していくと考えられます。

3位:店舗販売員(レジ係など)

スーパーやコンビニなどではすでにセルフレジが一般化されており、レジ係などの店舗販売員が少なくなっています。それでもまだ有人のレジが残っている店も多いですが、今後はAI技術の普及により、レジそのものを必要としない「無人店舗」が広まっていくでしょう。

無人店舗とは、AIを搭載したカメラやセンサーにより、客が商品棚から手に取ったものを認識し、自動で会計まで完了させることが可能になった店舗のことです。さらに商品の陳列や在庫管理、簡単な顧客対応といった作業もロボットIが担うようになっていけば、店舗で働く人がいなくなる未来が来ます。

4位:工場作業員

これまでも製造業の現場では、ロボットによる自動化が進んできました。組み立て・溶接・塗装といった反復性の高い作業は、人間が行うよりもロボットの方が高速かつ正確に行えるようになっています。特に、危険な状況下での作業は、ロボットに置き換えることで作業員の安全性を確保できるメリットも大きいです。

今後はAIの進化により、複雑な判断を伴う作業や、複数のロボット間の連携などもできるようになり、人間の手を必要とする場面は限定的になっていくでしょう。

5位:コールセンターオペレーター

コールセンター業務は、利用者等からの問い合わせ回答・予約の受付・製品やサービス情報の提供などが中心です。これらはAIと相性が良く、すでにAIを活用した自動応答システムの導入が進んでいます。今はまだAIには難しい複雑な質疑応答も、技術発達により将来的にはAIでも対応可能となるでしょう。

しかし、いわゆるクレーム対応の場面では、先方の怒りや不満といった感情を汲み取り、共感しながら解決策を導き出すような高度な対人スキルが求められます。このようなケースでは引き続き、人間のオペレーターが必要とされます。

6位:翻訳者・通訳者

AI翻訳や通訳の精度は飛躍的に向上しており、日常的なシーンでの使用であれば、個人でも使えるAI翻訳・通訳のアプリで十分通用するようになっています。さらに最近は、正確で高品質な翻訳・通訳を必要とするビジネスの現場でも、AI翻訳・通訳が活用され始めています。AI翻訳・通訳はスピードとコスト(料金や時間)の面で人手の翻訳・通訳より圧倒的に優れているため、今後どんどん普及していくでしょう。

しかし、人手の翻訳・通訳には、文化的背景や言語的ニュアンス、感情表現などといったコンテクストの違いに配慮できるという強みがあります。そのような配慮が必要となる高度なコミュニケーションの場では、人手の翻訳や通訳の需要は残り続けると考えられます。

7位:タクシー・バス運転手

自動運転技術の進歩は目覚ましく、すでに自動運転機能が搭載された車が市販されて公道を走っています。それでも乗客の安全確保が重要なタクシーやバスでは、人の手による運転が当たり前という社会的風潮がまだあると言えますが、最近は自動運転バスの実証運行が始まっており、将来的には運転手を必要としない自動運転のタクシーやバスが一般化していくと考えられます。

かつての自動運転には「事故が起きるのでは?」という不安がつきものでしたが、AIによる自動運転の強みはむしろ、交通状況や地図情報、車両の状態などをリアルタイムで分析し、最適なルートを選択して安全運行できることです。タクシーやバスは人手不足が深刻化しており、社会の交通インフラの維持という観点からも、自動運転の導入と普及は加速度的に進んでいくでしょう。

8位:会計士・税理士

会計士や税理士の仕事は、記帳・仕分・税額計算などの定型的なルールに基づくデータ入力や数字の処理が中心です。このような作業はAIによる自動化と相性が良く、すでに多くの会計ソフトや税務ソフトでAIが活用されています。

今はまだ「ソフトでAIが活用されている」程度に留まっているものの、例えばAIによる画像認証の精度がより高まれば「レシートや領収書を映すだけで証憑書類が自動で作られる」といったことも実現されるはずです。このようにAIが発達すればするほど、人間の手が必要な作業は減っていくことになるでしょう。

9位:警備員

警備員の仕事も、AIの発達により今後大きく変化する可能性があります。監視カメラのセンサー技術や画像認識技術がAIにより向上することで、不審人物や不審物の発見などは監視システムに任せられるようになるでしょう。ロボット警備員やドローンの活用といった技術開発も進んでおり、警備員の「エリア内を歩き回る」という役割は不要になると考えられます。

ただし、利用客への対応や緊急時の対応、犯罪抑止力としての役割も警備員の重要な仕事です。こういった部分ではAIによる代替は難しく、人間の警備員が必要とされ続けることになるでしょう。

10位:新聞配達員・郵便配達員

新聞配達や郵便配達は、毎日のように決まったルートを巡回して物を届けるという、ルーティン性と規則性が高い仕事です。AIの発達にドローンや自動運転車による配達技術が掛け合わされれば、配達の仕事はロボットによる自動化が進んでいくでしょう。

特に過疎地域などの交通量の少ないエリアでは、AI搭載の配送ロボットによる配達が導入されることで、効率的かつ低コストな物流環境が構築できるメリットがあります。ただし、悪天候時の対応や悪路への対応、事故発生時の対処、あるいは荷物の大きさやサイズの制限など、解決が難しい課題も多くあります。そういった点では人間の手による配達が求められ続けると考えられます。

AIの普及に適応するためのスキル開発のヒント

AIが発達し普及していくこれからの時代、私たちに求められるのは、AIに適応しつつも「人間ならではの強み」を発揮することです。ここでは、AIにマネされることがない、人間ならではのスキル開発のヒントを4つご紹介します。

ヒント① 創造性・発想力を磨こう

AIは既存のデータを学習し、それらを組み合わせることで「新しいもの」を生成することはできますが、真に「ゼロからイチを生み出す」創造性や、人々の感情に訴えかけるような芸術性はありません。固定観念にとらわれず異なる分野の知識を組み合わせるなど、常に新しいアイデアを追求する創造性や発想力は、まさしく人間ならではのスキルであり、今後も重要であり続けます。

ヒント② 共感力・コミュニケーション力を養おう

AIがどれだけ発達しても、人間の感情を理解し、共感する能力は持ちえません。相手の気持ちに寄り添い、信頼関係を築く共感力、そして多様な背景を持つ人々と円滑な意思疎通を図るコミュニケーション力は、あらゆる仕事において不可欠なスキルです。

ヒント③ 問題解決能力を伸ばそう

AIは与えられたデータに基づいて問題を解決できますが、定義されていない問題を新たに見つけ出したり、予測不能な状況下で迅速かつ倫理的な判断を下したりすることはできません。複雑な状況を多角的に分析し、不確実性を受け入れながら最適な解決策を導き出す問題解決能力は、AI時代に求められる重要なスキルです。

ヒント④ 学習し続ける意欲を持とう

今後はAIに限らずテクノロジーが加速度的に進化していくと考えられます。一度学んだら終わりではなく、生涯にわたって学び続ける意欲が、これまで以上に重要になってくるでしょう。セミナー受講や通信学習、専門書を読むなど、インプットを積極的に行ってスキルをアップデートしていきましょう。

【参考】「AIの発達によって仕事がなくなる」という予測

最後に、研究機関等がこれまでに発表してきた「AIの発達によって仕事がなくなる」という研究調査をいくつかご紹介します。

2013年 オックスフォード大学の准教授らによる論文

2013年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士が発表した論文「The Future of Employment: How Susceptible Are Jobs to Computerisation?(雇用の未来:コンピューター化によって仕事はどれだけ影響を受けるか?)」は、世界中で大きな注目を集めました。

この論文では、米国における702種類の職業について、AIとロボット技術の進歩によって約47%の仕事が20年以内に自動化される可能性が高いと予測しています。この研究は、多くの国で同様の調査が行われるきっかけとなりました。

2015年 オックスフォード大学と野村総研による研究

前述のオックスフォード大学の研究に基づき、2015年には野村総合研究所が日本国内の労働人口に対するAIの影響を分析した結果を発表しました。この研究では、10~20年後には日本の労働人口のうち約49%にあたる仕事がAIやロボットで代替可能になる、という推計結果が明示されています。

研究では「参考」として、AIやロボット等による代替可能性が高い仕事が100種挙げられています。たとえば「一般事務員」や「受付係」「銀行窓口係」「警備員」「スーパー店員」などといった本記事でも挙げた仕事のほか、「建設作業員」や「ビル清掃員」、「ホテル客室係」といった仕事もこの100種に含まれています。

2020年 マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査

世界的なコンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが2020年に発表した調査レポート「The future of work in Japan(未来の日本の働き方)」では、技術の進化に伴い「2030年までに既存業務のうち27%が自動化される見込みであり、結果1,660万人分の雇用が代替される可能性がある」とされています。

一方、当該レポートでは、労働人口の減少により、AIによる代替可能性を踏まえても労働力不足が解消されず、2030年時点で150万人分の労働力が不足するという推計も示しています。

まとめ

今回はAIの発達により今後なくなるかもしれない仕事について解説しました。わずか数年前に登場したばかりのAIは、目を見張る速度で進化していき、私たちの生活や働き方にも大きな変化をもたらしています。今後もAI技術の進化は加速度的に進んでいき、人間が行っていた仕事をAIが代替して行なうケースがどんどん増えていくでしょう。

大事なことは、AIを脅威として捉えるのではなく、自分自身がより効率的・創造的に仕事に取り組めるようにするための「ツール」として活用すること。人間がやる仕事ならではの付加価値を高めていくことが、AI時代を生き抜く鍵となります。

そのためには、常に学び続けてスキルを獲得、伸ばしていこうとする意欲が非常に重要です。今から自分のスキルセットを見直し、新たな自己成長への投資を始めてみてはいかがでしょうか。