【検証】Manus AIの動画生成はまだおすすめしない？３つの生成例を用いて徹底比較

動画生成AIは、ここ数年で急速に進化しており、プレゼン資料やSNS動画、教育コンテンツまでAIだけで作れる時代になってきました。なかでも、Manus AIは「AIエージェントとして自立的にタスクを実行できる」という点で注目されています。

しかし、実際にManus AIで動画を生成してみると、そのクオリティーはまだ期待に応えるレベルとは言えません。

この記事では、実際にManus AIを使って動画を生成した経験をもとに、以下の点について詳しく解説します。

• Manus AIの動画生成機能の課題
• 実際の生成手順とクレジット消費量
• 具体的な生成事例とクオリティーの検証
• まだおすすめできない理由と注意点

Manus AIで動画生成をしようか考えている方はぜひ参考にしてみてください！

監修者プロフィール

森下浩志

日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

Manus AIの動画生成機能の課題とは？

動画生成AIはいくつかありますが、Manus AIは「構成された実用的な動画を自動生成できる」という点で注目を集めています。しかし、実際に使ってみると、以下の点でクオリティーの課題が明らかになりました。

テキストから自動生成できる機能はまだ発展途上

Manus AIは、入力したテキストをもとに自動で動画を生成する機能を持っています。たとえば、「商品の紹介動画を作りたい」といった指示を入力すると、シーン分割、テキスト配置、映像イメージをAIが自動で組み立てます。

しかし、生成される映像は、テキストの内容を正確に反映していないケースが多々あります。また、シーンの切り替わりが不自然だったり、文字化け、映像そのもののクオリティーが低かったりすることも少なくありません。従来の動画編集ソフトのように素材を集める手間はないものの、「数分で動画のたたき台が作れる」というメリットを享受できるレベルには、まだ至っていません。

他の動画生成AIと比べた際のクオリティーの低さ

Geminiなどの動画生成可能なAIは「短い映像クリップの生成」に強い一方、Manus AIは「構成された動画の生成」に強みがあると言われていました。しかし、実際に生成してみると、AIが自律的に動画の構成を考え、生成するという点においてはまだ発展途上といった印象です。

Manus AIは「導入 → 課題 → 解決策 → まとめ」といったストーリー仕立ての動画を生成できますが、人が指示を出さずにManus AIに構成を任せた場合はシーンの繋がりが少し不自然な仕上がりになってしまうことが多いです。

Manus AI で動画を生成する手順・使用クレジットの目安

Manus AIを使って動画を作るのは他のAIと同じく非常に簡単です。テキストを入力するだけで、AIが自動でシーンを構成し、数分で動画のたたき台を用意してくれます。
ここでは、基本的な生成手順や編集方法、そして気になるクレジット消費量について解説していきます。

 動画生成の手順・編集・保存方法

動画生成はとてもシンプルです。

1. プロンプト（作りたい動画の内容）を入力
2. AIが自動でシーン構成・映像・字幕を作成
3. プレビューを確認し、修正があれば再プロンプトで調整
4. 完成した動画をダウンロード（MP4形式など）

生成された動画は、そのまま使うこともできますが、必要に応じてテキスト修正やBGM変更などの編集もプロンプトを入力するだけで可能です！

動画生成に必要なクレジットの目安

Manus AIはクレジット制になっており、動画の長さによって消費量が変わります。
（目安）

• デフォルトモード5秒：約60クレジット～
• 高品質モード8秒：約600クレジット～

短尺SNS動画なら上記のような消費で済みますが、研修や教材用の長尺動画を作る場合はそれなりのクレジットを見積もっておくと安心です！

Manus AIとGemini ｜3つの動画生成例を用いてクォリティを比較

「実際にどんな動画が作れるのか？」というのは多くの人が気になるポイントだと思います。ここでは、同じプロンプトをManus AIとGemini に入力した際に生成された3つの例を用いて、Manus AIは動画生成においてどれ程のレベルなのかを確認してみましょう！

ビジネスプレゼン・商品紹介動画

プロンプト・添付画像

この画像の車の紹介動画を生成してください。この車の特徴は以下の通りです。
・スムーズな加速
・燃費がいい
・荷物がたくさん入る

Geminiの生成結果

Manus AIの生成結果

この比較においては両者とも大きな差はなかったように感じます。元画像から細かいボディデザインが多少変わってはいますが、Manus AIのほうが実際の走行動画を生成している点で優秀だといえるでしょう。ただ、今の状態ではプロンプトに記載した特徴の説明が一切入っていないので後々修正を加える必要があります。

教育・研修用の教材動画

プロンプト

中学生向けに水は水素と酸素からできていることを説明する動画を生成してください。

Geminiの生成結果

Manus AIの生成結果

この比較においてはGeminiが優秀だといえるでしょう。Geminiの生成結果では英語でのナレーションと実写と変わらないリアルな映像が生成されています。Manus AIの生成結果ではナレーションはなく、動画自体もAIとすぐに分かってしまうような少し不自然な動画となっていて、説明性にも欠けるように思えます。

イベント・セミナー告知動画

プロンプト

有名な起業家が来る起業セミナーの告知動画を生成してください。内容は以下の通りです。
・日時：10月10日13時から開催
・場所：東京大学
・スペシャルゲスト：山田太郎氏
・内容：スペシャルゲストによるスピーチと質疑応答

Geminiの生成結果

Manus AIの生成結果

この比較でもGeminiの生成結果が優秀だといえるでしょう。Geminiの生成結果ではしっかりと日時や説明のナレーションが入っていますが、Manus AIの生成結果では日時などの情報も文字化けしてしまっていてナレーションも入っていません。

Manus AI で動画生成する際の注意点

Manus AIで動画生成をする際に気を付ける点を以下でまとめました。個人で利用する分には特別気にする必要はないですが、技術が発展し業務などで使用することになった際には特に著作権などには十分な注意が必要です。

生成動画は必ず人が確認する

Manus AIで作成された動画は、まだ完全に人間の作成した動画を置き換えられる段階ではありません。文字化けや誤情報、文脈に合わない表現が字幕やナレーションに混ざることがあります。また、日本語の場合は特に文字化けが目立つケースが多い印象でした。そのため、完成した動画は必ず人が最終チェックを行いましょう。

著作権や商用利用ルールを守る

Manus AIで生成した動画や素材は、基本的に商用利用が可能とされています。しかし、AIが生成の過程で外部データや参照要素を利用するケースもあり、意図せず著作権に関わる素材が混ざるリスクもゼロではありません！

特に注意すべきは以下のようなケースです：

• 外部の音楽や画像を組み合わせた場合 → 使用許諾やライセンスを確認する必要あり
• 既存キャラクターや有名ブランドを題材にした場合 → 肖像権・商標権の問題が発生する可能性あり
• 商用での利用 → プラットフォームの利用規約や法律に沿っているか確認必須

生成した動画は「完全にオリジナル」と思い込まず、利用規約や著作権ルールを理解したうえで安全に活用することが重要です！

まとめ｜動画生成にManus AIを使う価値はある？

Manus AIの動画生成機能は、テキストから構成された動画を生成できる点で期待されていましたが、現時点ではそのクオリティーはまだ低く、おすすめできる段階ではありません。

現状では、以下の点が課題として挙げられます。

• プロンプトの意図を正確に反映できていない
• 映像のクオリティーが低く、不自然な描写が多い
• ナレーションや字幕の日本語が不完全
• 高いクレジットを消費するが、それに見合う成果が得られない

「ゼロから動画編集は大変だけど、とりあえず形を作りたい」というニーズにも、現状のクオリティーでは応えきれていない印象でした。。

Manus AIは動画生成に使うのではなくAIエージェントとしての強みである調査や分析などのタスクに使用することがおすすめといえるでしょう。Manus AIの動画生成については今後の技術進化に期待し、現時点では様子を見るのが賢明です。