「なんとなく自分の会話情報をChatGPTに学習させたくない」「今からする質問だけは学習しないでほしい」という場面はビジネスや個人利用の中でも、多々あると思います。
この記事では、ChatGPTにデータを学習させないための具体的な設定方法(オプトアウト)を3STEPでわかりやすく解説します。また、設定に関する注意点や、オプトアウトを行うべき具体的なケース、OpenAIがどのように具体的にデータを利用するのかについて解説していきます。
ChatGPTに学習させないための設定方法【簡単3STEP】
「オプトアウト」とは、あらかじめ許可されている設定を自分の意思で拒否することを意味する言葉です。
ChatGPTの場合、ユーザーの会話内容は初期設定のままだとAIの学習に使われます。
openAIはプライバシー情報を保護した上で学習に利用すると明示していますが、「万が一自分の情報が漏洩するのが怖い」、「自分のデータは使わないでほしい」と思った場合に、手動で学習対象から除外する設定をすることができます。
つまり、オプトアウト=ChatGPTに自分の発言やデータを学習させない設定と覚えておけばOKです。
ここでは早速、chatGPTにデータを学習させないための設定方法を解説していきます。
- STEP①「設定」を開く
- STEP②「データコントロール」を選択
- STEP③「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」をオフにする
手順①画面右下にあるアイコンから「設定」を開く

まずはChatGPTの画面右下または左下にあるアカウント名(またはプロフィールアイコン)をクリックします。
するとメニューが表示されるので、「Settings(設定)」を選択してください。
この設定画面では、表示のテーマや言語、通知のオンオフなど、ChatGPTのさまざまな機能をカスタマイズできます。
手順②「データコントロール」を選ぶ

設定メニューが開いたら、項目から「Data Controls(データコントロール)」を選びます。
ここでは、ChatGPTがどのようにユーザーデータを扱うかを細かく設定できます。
履歴の保存可否や、モデルの学習に使うかどうかといった重要な設定もこの画面に含まれているため、プライバシーを重視したい方は他の項目もチェックしてみてください。
手順③「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」をオフにする

次に、「データコントロール」内にある項目の中から、「すべてのユーザー向けにモデルを改善する(Improve the model for everyone)」という設定を探します。
そして、この項目をオフにするだけで、会話内容がOpenAIのAIトレーニング(学習)に使用されることを防ぐことができます。
「公式申請フォーム」からオプトアウトの設定をする方法
ChatGPTの「設定」画面から学習をオフにする方法は一般的ですが、実はもう一つのオプトアウト手段が存在します。
それが、OpenAIの公式が提供している「オプトアウト申請フォーム」を使った方法です。
このフォーム申請を使うことで、設定変更だけでは除外されない可能性がある“過去のチャット履歴”まで、AI学習から除外する申請が可能になります。
つまり、より確実に情報を守りたい人(ChatGPTを業務で活用するような場合など)にとっては、この申請フォームの存在も知っておくべきです。
設定変更との違い|フォームからの申請でできること
方法 | 除外対象 | 反映範囲 | 特徴 |
---|---|---|---|
設定画面の「データコントロール」 | 今後のチャット | 即時反映 | 誰でも簡単に設定できる |
OpenAI公式フォーム | 過去+今後のチャット | 数日以内に反映 | より包括的な除外が可能 |
公式ヘルプによると、申請フォームを使えば過去のデータも含めて学習から除外できるとされています。(ただし厳密な保証は明言されていません)。
OpenAI公式のオプトアウトフォーム申請手順8STEP
申請の主な流れは下記です。公式サイトから申請になるので、英語フォームにはなりますが、下記の手順通りにやれば、申請自体は難しくありません。
○OpenAI公式のオプトアウト申請フォームの申請手順
- OpenAI公式のOpenAI Privacy Request Portal(英語)にアクセス
- 画面右上の「Make a Privacy Request」ボタンを押す
- chatGPTアカウントへのログイン方法を選択
- 「Do not train on my content」を押す
- 申請フォームを送信するメールアドレスを入力
- OpenAIからのメールを開いて「Log In」ボタンを押す
- チェックをつけて居住国「JAPAN」を選択、「Submit Request」を押す
- 申請完了 (完了メールを確認する)
実際に試してみたので、画像付きで解説していきます!
①OpenAI公式の申請フォームにアクセス
まずは、OpenAI公式のOpenAI Privacy Request Portal(英語)にアクセスします。
②画面右上の「Make a Privacy Request」ボタンを押す
①のサイトを開くと画面右上に「Make a Privacy Request」というボタンがあるのでクリックします。

③chatGPTアカウントへのログイン方法を選択
ChatGPTへのログイン方法を聞かれるので「Email Address」(メールアドレス)を選択します。

④「Do not train on my content」を押す
次に、4つの選択肢が表示されるので、右上にある「Do not train on my content」を選択します。

⑤申請フォームを送信するメールアドレスを入力
そして、メールアドレスの入力を求められるので、ChatGPTで登録しているメールアドレスを入力すると、申請フォームのリンクがメールに送られます。

⑥OpenAIからのメールを開いて「Log In」ボタンを押す
下記のような内容のメールが届くので、「Log In」を押すと、自動的に先ほどまでと同じようなサイトが開きます。

⑦チェックをつけて居住国「JAPAN」を選択、「Submit Request」を押す
チェックマークを押して、「Japan」を選択して、最後に「Submit Request」を押せば申請が完了します。

⑧申請完了 (完了メールを確認する)
申請が完了すると、メールが届くので、念の為ちゃんとメールが届いているか確認しましょう。

申請時の注意点と反映されるタイミング
オプトアウトの設定が反映されるまで数日かかることがあるため、早めに申請をしましょう。また、この申請をしても絶対に過去データも含めて、全てのデータが学習に使われないという保証はありません。
オプトアウトに関する4つの注意点
ここまでの設定や申請方法でも注意点を述べましたが、知っておくべき4つの注意点を下記にまとめて解説していきます。
- 過去データは学習対象から除外されない
- 会話履歴が30日間で削除される
- 会話履歴がアカウントに紐づかなくなる
- 「完全非学習」は現時点では難しい
①過去データは学習対象から除外されない
「設定」からオプトアウトを行った場合、その時点以降の会話には効果がありますが、設定以前のデータは対象外です。
つまり、すでにOpenAIのモデル学習に使用された可能性がある過去の発言は、巻き戻して学習不可にすることはできません。
②会話履歴が30日間で削除される
アプリ内の設定からオプトアウトをすると、会話履歴がアカウントに保存されなくなります。
OpenAIの仕様では、入力内容はセキュリティ・不正利用の監視目的で最大30日間保持され、その後自動削除されます。
③履歴はアカウントに紐付かない
履歴非保存状態では、過去にどんな質問をしたかをChatGPT上で振り返ることができなくなります。
プロンプトの再利用やログ確認ができなかったり、過去の質問の文脈を理解した上で回答が生成されなかったりするので、業務やリサーチで使っている人は注意が必要です。
④「完全非学習」は現時点では難しい
オプトアウト設定や申請をしても、ログデータ(使用状況やシステムパフォーマンスに関する情報)は一部収集される可能性があります。
また、意図しない入力や誤送信で、個人情報が含まれるリスクもゼロにはなりません。入力する内容には常に自己責任である認識が重要です。
オプトアウト設定の必要性!どんなときにするべき?
ChatGPTを安全に活用するうえで、ChatPGTにデータを学習されることについて嫌悪感はないけど、重大な情報はなんとなく学習させないほうがいいのかな、と感じている方もいると思います。
ここでは具体的なケースを例に、データを学習させないための設定をするべき判断ポイントを紹介します。
業務上のやり取りや顧客情報など機密情報を入力する場合
企業利用やビジネスシーンでは、顧客名・住所・契約内容・パスワード・非公開のやり取りなど、センシティブな情報を含むケースが多くあります。
こうした情報がOpenAIのサーバーに保存・学習されてしまうと、将来的に他のユーザーの回答に間接的に現れる可能性もゼロとは言い切れません。
オプトアウトは、機密情報の不正活用を防ぐ最低限のセキュリティ対策といえるため、上記のような情報を含めて質問する可能性がある場合は設定をしておきましょう。
自社の社内データや技術情報を不特定に学習されるのを防ぎたい場合
たとえば、独自アルゴリズム・マーケティング戦略・ソースコード・新規事業の企画書など、まだ社外秘の段階である内容をChatGPTに入力するケースもあります。
このときオプトアウトしていないと、OpenAIのAIモデルがその情報を学習し、他者に再利用される可能性が完全には排除できません。
企業で正式にChatGPTを導入する際は、社内ガイドラインを整備してオプトアウト設定をルールに含めるのが好ましいです。
粗悪なデータ学習による回答精度の低下を防ぎたい場合
ChatGPTの学習精度は、ユーザーから収集したデータにも依存しています。また、今後はより長期記憶のようなものが発達し、過去の会話ログを文脈として活用とした回答の生成が行われると予測できます。
そのため、誤った情報や誤解を招く質問内容が学習に混入すると、回答精度の劣化に繋がる恐れもあります。
「この会話内容はAIに学習させるべきじゃない」、「今後の会話で今の内容を考慮して欲しくない」と感じる場合には、オプトアウトによってその影響を最小限に抑えることができます。
【参考①】OpenAIのデータ利用ポリシーから考える「学習される範囲」
ChatGPTに入力した内容は、どこまでが学習対象になるのかについて、OpenAIが公開しているデータ利用ポリシーをもとに正しく理解しておくことも重要です。
学習データとログデータの違い
まず押さえておくべきなのが、OpenAIが取り扱うユーザーデータには2種類あるということです。
種類 | 内容 | 学習対象? |
---|---|---|
学習データ(Training data) | AIの性能向上のために利用される会話内容 | オプトアウトしないと対象 |
ログデータ(Usage data) | システム改善や不正利用の検出など、運用目的で記録される情報(IP、タイムスタンプ、操作履歴など) | 原則学習には使われない |
つまり、「学習させない=すべての記録が消える」わけではなく、セキュリティやトラブル対策のために一定のログは保持される点に注意が必要です。
チャット内容は具体的にどうゆう風に使われる?
ChatGPTで入力した会話内容は、AIの精度を高めるための学習データとして使われます。
また、一部の内容は人間のレビュアーが確認し、改善や安全対策のために活用されることもあります。
さらに、不正利用の監視など、セキュリティ目的でも記録・分析されるケースがあります。
つまり、入力内容は「学習される」「人に見られる」「記録される」前提で扱うことが重要です。
オプトアウトしても残るデータはある?
たとえオプトアウト設定をしても、一部のログデータは30日間ほど保持される仕組みになっています。
これは、OpenAIが悪用の検出・サービス運用の安定性維持を目的として定めているものであり、学習には使わないと明言されています。
しかし、100%の削除や匿名化が保証されるわけではないため、重要な情報の入力は極力避けることが原則です。
【参考②】そのほかのデータ漏洩対策
ChatGPTのオプトアウト設定に加えて、以下の対策を実施することで、より高い情報セキュリティとプライバシー保護が可能になります。
①不正学習防止設定をしてAPI版を利用する
OpenAIのAPI(例:GPT-4 API)では、デフォルトで入力されたデータがトレーニングに使われない仕様になっています。この設定には、APIリクエストに —no_train 相当のパラメータが含まれていれば、より明確に学習対象から除外可能です。
さらに、特定の“ゼロ・データ保持(ZDR)”オプションを企業向けに申請すれば、モニタリング用ログすら削除される設定も可能です。
②法人向けプラン(ChatGPT Team/Enterprise)を利用する
- ChatGPT Team:会社向けプランで、データはデフォルトでモデル学習に使われません。会話は組織内での共有や管理に利用されます。
- ChatGPT Enterprise:さらに高いレベルで、管理者による保持期間設定が可能で、完全に学習除外された環境を整備できます。
これらのビジネスプランは、プライバシーとコンプライアンスに配慮する組織に最適です。
③ChatGPTの利用に関する規定を策定する
技術的対策だけでは不十分な場合もあります。
特に企業で活用する場合は、組織としての運用ルールを整備し、従業員が誤って機密情報を入力しないよう教育することが重要です。具体策としては下記の3つが挙げられます。
- 「ChatGPTに機密情報を入力しない」ポリシーの明文化
- 特定用途に応じたテンプレートプロンプトの用意
- 利用履歴監査とログ取得のルール化
まとめ:入力内容は「学習される」「人に見られる」「記録される」前提で扱う!
ChatGPTは非常に便利なAIツールですが、初期設定のまま使っていると、自分の入力内容がAIの学習に使われる可能性があります。
特に業務利用や個人情報を扱うケースでは、オプトアウト設定や申請を行い、意図しないデータの学習・流出を未然に防ぐことが大切です。
また、特にビジネスなど重要なシーンで使う場合は、設定だけで安心せずに、
- 過去データの除外申請(公式フォーム)
- APIや法人向けプランの活用
- 社内ルールの整備
といった多層的な対策を講じることで、より安全にChatGPTを活用できます。
便利さとリスクは表裏一体。「入力内容は常に見られる前提」で使う意識を持ち、リテラシーを身につけながら、AIとの付き合い方を見直してみましょう。
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