2025年4月、Googleが音楽生成AI「リリア(Lyria)」をGoogle Cloud上で提供開始しました!
文章だけで、最大30秒の楽器音やボーカルを含む音楽が生成できる新しいAIツールです。しかも、動画・画像・音声と連携させれば、一括でのメディア制作が、テキスト入力だけで実現可能になるんです。
本記事では、Lyriaの基本情報から使い方、、商用利用などを徹底解説します!ぜひ最後までお読みください。
- Google DeepMindの音楽生成AI「Lyria(リリア)」とは?
- Lyriaの使い方
- Lyriaの活用事例と導入メリット
- Lyriaの安全性と著作権について
Google DeepMindの音楽生成AI「Lyria(リリア)」とは?
Lyria(リリア)は、Googleの最先端のAI研究部門であるGoogle DeepMindが開発した音楽生成AIモデルです。テキストから高品質な音楽トラックを生成できるのが最大の特徴で、2025年4月9日に開催された「Google Cloud Next ’25」で発表されました。
今までの音楽制作では、楽器演奏や作曲のスキル、専門的な知識が必要でしたが、Lyriaはそうした専門知識がなくても、文章による指示だけで音楽を生み出せるんです!
GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイ氏は発表イベントで「人々の生活を向上させるため、Googleは何年もかけてAIに投資してきた」と胸を張っているほどのツールです。
Lyriaの主な特徴と機能
Lyriaには以下のような特徴と機能があります。
- 高精度な音の再現力:ジャズ、クラシック、ポップス、エレクトロニックなど様々な音楽ジャンルの繊細なニュアンスを捉え、豊かな作曲を提供
- 自然なボーカル合成:人間の歌声に近い自然なボーカルを生成可能
- テキストによる簡単な操作: 簡単な指示だけで、そのイメージに合った音楽を生成
- 細部まで調整可能:楽器構成、テンポ、メロディライン、コード進行などを詳細に指定できる柔軟性
- 最大30秒の音楽クリップ:YouTubeショートなどのソーシャルメディア向けコンテンツに最適な長さの音楽を生成
このような特徴があるので、高い機材や専門的な知識がなくても、誰もが自分のイメージに合った音楽を簡単に生み出せます!
Lyriaの使い方
2024年4月12日現在、LyriaはVertex AI上でプレビュー版(アローリスト付き)として公開されています。一般向けに広く公開されているわけではないため、利用するにはGoogle Cloudアカウントを作成し、Vertex AI上からGoogle Cloud担当者へ連絡する必要があります。
まずは、Google Cloudでアカウントを作成しておきましょう。(ログインする)


アカウントに関して同意して、支払い情報を入力する


それから、こちらのページ経由で「Lyriaを利用したい」という旨を担当者に送信しましょう。
LyriaはGoogleの他ツールとの連携も可能!
Lyriaは、Googleが提供する他の生成AIと組み合わせることでもできます。さまざまなAIツールを組み合わせることで、テキストから、画像、音楽、音声までを一貫して制作できるようになります!
①Veo 2(動画生成AI): 動画生成モデルに新しい編集機能とカメラコントロール機能が追加され、インペインティング(不要なオブジェクトの除去)、アウトペインティング(フレームの拡張)、洗練された技術の実装、既存アセットの接続などが可能になりました。
※Veoの使い方については、下記記事で詳しく解説しています。
②Imagen 3(画像生成AI):テキストから画像生成モデルの品質と編集機能が向上し、特に画像の上手く生成できていない部分の修正能力が大幅に改善されました。
③Chirp 3(音声生成AI):音声生成・理解モデルに「インスタントカスタムボイス」機能が追加され、たった10秒の音声入力からカスタムボイスを生成できるようになりました。また、「話者分離機能付き文字起こし」も追加され、複数の話者の録音から個々の話者を正確に識別できるようになりました。
これらを組み合わせることで、テキストから始めて、それぞれの理想・ブランドに合った画像を生成し、それを動画に、さらには音楽とナレーションを追加するという一連の制作を、1つのツール上で完結させることが可能になりました!これはかなり便利ですね…!
Lyriaの活用事例と導入メリット
すでに多くの海外企業がLyriaを活用して、大きな成果を上げているんです!
企業での活用事例
①L’Oreal Groupe:20カ国・言語にわたるビデオと画像制作を拡大しています。Lyriaを導入することで、国や言語ごとの作業を効率化し、一貫性のあるブランドイメージを維持しながらさまざまなマーケットに向けたコンテンツを短時間で作成できるようになりました。
②Kraft Heinz: 従来8週間かかっていた制作を8時間に短縮できました。食品パッケージのデザインから広告用の音楽まで、一貫した創作を行っています。
③Goodby Silverstein & Partners:The Dalí Museumと協力して、Veo 2とImagen 3を使ってサルバドール・ダリの未完の映画「馬に乗ったキリン(Giraffes on Horseback Salad)」を再現しました。その際、Lyriaを使って当時の雰囲気を再現した音楽も制作されています。
Lyriaを導入するメリット

- 制作時間の大幅な短縮:音楽制作にかかる時間を最大90%削減できる可能性があります。今までなら作曲、編曲、録音、ミキシングなど多くの工程を手作業で行う必要がありましたが、Lyriaではテキスト入力だけでこの過程が自動化されます。
- コスト削減:専門の作曲家や演奏者への依頼、スタジオレンタル料、音楽ライセンス料などのコストを大幅に削減できます。
- クリエイティブの拡張:音楽の専門知識がなくても、マーケティング担当者やコンテンツクリエイターが自分のビジョンに合った音楽を作成できるようになります。
- 多言語対応:Chirp 3との連携により、35以上の言語でのナレーション付き音楽コンテンツを作成できるため、グローバル展開が簡単になります。
- すばやい反復とテスト:違うバージョンの音楽を短時間で生成し、A/Bテストやターゲット層に合わせた調整を素早く行えます。
このようにLyriaの活用は効率化だけでなく、ビジネスにおけるクリエイティブな作業全体を楽に・もっと高品質に行うことが出来るということなんです!
Lyriaの安全性と著作権について

Lyriaを含めた生成AIの普及に伴い、著作権侵害や偽情報の拡散などの懸念も高まっています。
特に音楽業界では、既存作品の模倣や無断使用に関する問題が指摘されています。Googleはこれらの課題に対して以下のような対策を実施しています。
- SynthIDによる電子透かし:Googleは生成されたコンテンツにAI生成であることを示す目に見えない電子透かしを埋め込む技術「SynthID」を導入しています。Imagen、Veo、Lyriaが生成するすべての画像、ビデオ、オーディオフレームにウォーターマークが埋め込まれ、生成AIコンテンツの透明性を確保し、誤情報の拡散防止につなげています。
- 安全性フィルター:著作権侵害につながる音楽や音声を生成することがないよう防止機能を導入しています。
- データガバナンス:適切なデータ管理体制を徹底し、トレーニングデータの透明性を確保しています。
- 知的財産権の補償:業界初のアプローチとして、Googleは生成コンテンツに関する第三者の知的財産権(著作権を含む)に関する請求に対する補償を行っています。
- アローリスティングプロセス:「Chirp 3」の「インスタントカスタムボイス」機能などに対しては、適切な音声使用許可を確認するための厳格な調査を含むアローリスティングという過程を導入し、悪用を防止しています。
この取り組みにより、Googleは生成AIの責任あるツールの利用と創造性を高める両立を目指しています。特に、第三者の知的財産権に関する補償を提供する姿勢は、企業が生成AIを安心して採用するための重要な後押しとなるでしょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Googleの音楽生成AI「Lyria(リリア)」について、その特徴から活用法、他のAIツールとの連携、安全性への取り組みまで幅広く解説してきました!
この記事で紹介したことをまとめると次のようになります。
- Lyria(リリア)は、テキスト入力だけで最大30秒の高品質な音楽を生成できるGoogleの最新AI技術
- Google CloudのVertex AI上に実装され、動画・画像・音声・音楽の4種類の生成AIを業界で初めて一括提供できるようになった
- L’Oreal GroupeやKraft Heinzなど大手企業ですでに実用化され、制作時間を従来の8週間から8時間に短縮するなど大きな成果
- SynthIDによる電子透かしなど、安全性と著作権保護の取り組みを積極的に実施
Lyriaが本格的に一般公開されれば、音楽の専門知識がない人でも自分のイメージに合った楽曲を簡単に作れるようになるので、表現の幅が大きく広がること間違いなしですね!