ChatGPTに数学問題を解かせてみた!LaTeX表現と図形問題も徹底解説

ChatGPT

「ChatGPTって、数学は解けないんでしょ?」

そんな印象をお持ちの方も多いかもしれません。

しかしAIの進歩は目覚ましく、実際に使ってみると、簡単な計算から高校・大学レベルの数学、図形問題まで、対応できる幅が以前に比べて大きく広がっています

本記事では、ChatGPTにさまざまな数学問題を解かせてみた結果を、具体例付きで徹底解説します。

数学問題を解かせるためにおすすめのモデルなども紹介していますので、学習や教材作成にChatGPTを活用したい方は必見です。

監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

生成AIの進化は速く、日々新しいAIツールが登場しています。「ツールが多すぎて、どれを使えばいいか、わからない」といった悩みもあるでしょう。

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ChatGPTは本当に計算(数学)に弱いのか?

ChatGPTを使ったことがある方の中には、「簡単な計算ミスが多い」「数学は苦手そう」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、四則演算や桁の多い計算では誤答を出すケースもあります。

しかし、近年では機能の向上により、無料版のChatGPTでも正確な回答が出力されるようになってきています。

ChatGPTは本来計算ができなかった

以前のChatGPTは電卓のように計算しているわけではなく、学習済みの数百万件のデータや問題から、「それっぽい解答」を文章として出力していました。

そのため、過去に頻出した問題には強くても、見たことのない問題や複雑な計算は苦手な傾向にあります。

しかし、現在ではChatGPTが「python」のプログラミングを内部で実行して、実際に算出します。

つまり、答えを拾ってくるのではなくきちんと考えるので、回答の精度が高くなっているのです。

熟考(推論)モードは一部東大レベルの数学も解ける

ChatGPTの無料プランには「推論(熟考)」モードが存在します。

これは、より時間をかけて慎重に回答を考える機能であり、高難度の数学問題や証明問題を解かせるためには必須です。

たとえば、東大の入試問題といった難易度の高い問題を解かせるとき、通常モードでは誤回答を頻発します。

しかし、「推論(熟考)」モードでは実際に解法を思考するので、回答の精度が大きく上がります

特に、条件設定や問題文の読み取りが重要な問題では、かなり精度の高い回答が得られるようになってきました。

有料プランなら「o3」または「o3-pro」が最適

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推論能力がさらに強化されたモデルで、複雑な文章問題や証明問題に対応可能です。

無料版でもある程度の問題には答えられますが、高精度を求めるなら有料版に軍配が上がります。

ChatGPTに数学問題を解かせてみた

まずは熟考(推論)モードに切り替える(無料版の場合)

まず、無料版で計算問題を解かせる場合は、熟考(推論)モードに切り替えます。

通常モードで問題を解かせると誤回答を頻発するので必ず切り替えます。


小学校算数レベルの計算問題

まず、小学校算数レベルの問題を解いてみます。

例題

問題:りんごが8個、みかんが5個あります。合わせて何個ありますか?

解答

  1. りんご8個+みかん5個=合計
  2. 8 + 5 = 13

答え:13個

これは簡単に解けました。

中学数学レベル

続いて、中学数学レベルの問題です。連立方程式を例題にしました。

例題

問題:次の連立方程式を解いてください。
2x + 3y = 12
x – y = 1

解答

  1. 2行目から x = y + 1
  2. 1行目に代入すると、2·(y + 1) + 3y = 12 → 2y + 2 + 3y = 12 → 5y = 10 → y = 2
  3. x = y + 1 = 3

答え:(x, y) = (3, 2)

ここまでも危なげなく解けました。ちなみに、この問題は熟考モードなしでも解くことができました。


高校数学レベル

次に、高校レベルの数学です。かなり難易度が上がっています。

例題

問題:関数 f(x) = x^2 – 4x + 5 の最小値を求めよ。

解答

  1. 平方を完成させるために、x^2 – 4x + 4 にしてから 1 を足す。
    f(x) = (x – 2)^2 + 1
  2. (x – 2)^2 は常に 0 以上なので、最小値は 1

答え:最小値は 1(x = 2 のとき)

これも正解です。

大学数学は解ける?

続いて、大学入試レベルの数学です。

例題

問題:複素積分 ∮ (1 / (z^2 + 1)) dz を、中心を 0、半径 2 の円周上で計算せよ。

解答

  1. 積分路は |z| = 2 の円周。
    被積分関数 1/(z^2 + 1) の分母が 0 になるのは z = i および z = –i。
  2. どちらの点も円の内部(|i| = 1、|–i| = 1)にある。
  3. 留数定理を使うと、積分は 2πi ×(i の極の留数 + –i の極の留数)。
  4. i の極での留数は 1/(2i)、–i の極での留数は –1/(2i)。合計すると 0 になる。

答え:0

こちらも問題なく解くことができました。

東大入試の数学も正当可能!

最後に、2012年東大入試問題も解かせてみました。通常モードでは誤っていましたが、熟考モードでは正解でした

1 次の連立不等式で定まる座標平面上の領域Dを考える。

x2+(y-1)2≦1, x≧√2/3

直線ⅼは原点を通り,Dとの共通部分が線分となるものとする。その線分の長さLの最大値を求めよ。

また,Lが最大値をとるとき,x軸と1のなす角Θ(0<Θ<π/2)の余弦cosΘ を求めよ。

■ 問題設定
・領域 D:中心(0,1)・半径1の円 x²+(y−1)²≤1 のうち、x≥√2/3 の右側部分。

・原点を通る直線 y=kx(k>0)が D と交わる線分の長さを L(k) とし、その最大値 Lₘₐₓ と、そのときの角度 θ(tan θ=k)の cos θ を求める。


1.直線 y=kx と円の交点 Q を求める

 円の式に y=kx を代入すると、
 (1+k²)x² − 2k·x = 0
 → x=0(原点)または x=2k/(1+k²)

 よって Q の座標は
  x_Q = 2k/(1+k²), y_Q = k·(2k/(1+k²)) = 2k²/(1+k²)


2.垂直境界 x=√2/3 との交点 P

 P の座標は
  x_P = √2/3, y_P = k·(√2/3)


3.線分長 L(k) の式

 P→Q の差分 Δx, Δy を取ると
  Δx = x_Q − x_P = 2k/(1+k²) − √2/3
  Δy = y_Q − y_P = k·Δx

 よって長さ L(k) は
  L(k) = √[(Δx)² + (Δy)²] = |Δx|·√(1+k²)
  = (2k/(1+k²) − √2/3)·√(1+k²)
 ※有効に交わるには 2k/(1+k²) ≥ √2/3 の条件を要する。


4.L(k) を簡単化して微分

 まず式を次の形に直す:
  L(k) = 2k/√(1+k²) − (√2/3)·√(1+k²)

 これを k で微分して 0 とおくと、
  d/dk[2k/√(1+k²)] = 2/(1+k²)^(3/2)
  d/dk[(√2/3)·√(1+k²)] = (√2/3)·k/√(1+k²)

 よって L′(k)=0 は
  2/(1+k²)^(3/2) − (√2/3)·k/√(1+k²) = 0

 両辺に (1+k²)^(3/2) を掛け,整理すると
  2 − (√2/3)·k·(1+k²) = 0
  ⇔ k·(1+k²) = 2·3/√2 = 3√2
  ⇔ k³ + k − 3√2 = 0

 この方程式の正の解は
  k = √2
 (√2³ + √2 = 2√2 + √2 = 3√2)

 また、2k/(1+k²) = 2√2/(1+2) = 2√2/3 ≥ √2/3 を満たすので有効解。


5.最終結果の計算
① Δx = 2√2/3 − √2/3 = √2/3
② √(1+k²) = √3

 → Lₘₐₓ = (√2/3)·√3 = √6/3

角度 θ は tan θ = k = √2 なので、
 cos θ = 1/√(1+tan²θ) = 1/√3


【答え】
・L の最大値 Lₘₐₓ = √6/3
・そのとき cos θ = 1/√3

正答です

しかし、通常モードの解は

・L の最大値 = 2 sinΘ
・そのとき cos θ = 3/√11

と誤っていました。

ChatGPTで図形問題も解ける

では、図形問題はどうでしょうか?

ずばり、問題なく解くことができました

図形問題①

例題

問題:半径5の円の中心Oから、円周上の点A、Bまでの角∠AOBが90°のとき、弧ABの長さを求めよ。

解説と解答

  1. 円周全体の長さは 2×π×5 = 10π
  2. ∠AOB=90°は円周360°の1/4にあたる
  3. よって弧の長さは 10π × 1/4 = 2.5π

答え:2/5π(約7.85)

図形問題②

例題

問題:辺AB=6、BC=8、CA=10 の三角形ABCがあります。内接円の半径を求めよ。

解説と解答

  1. 周の長さ(周囲長)は 6+8+10=24
  2. 面積はヘロンの公式より、
    s=24/2=12
    面積=√[12(12−6)(12−8)(12−10)]=√[12×6×4×2]=√576=24
  3. 内接円の半径 r は「面積=r×(周の長さ/2)」の関係から、
    24=r×12 → r=2

答え:2

ChatGPTでLaTeXを使った表現

ChatGPTでLaTeX形式で出力することも可能です。

LaTeX形式での出力例①

「関数 f(x)=x²−4x+5 の最小値を LaTeX 形式で教えてください。」

LaTeX出力なし

f(x) = x^2 – 4x + 5
= (x – 2)^2 + 1
よって、最小値は 1(x = 2 のとき)

LaTeX出力あり

\[
f(x)=x^2-4x+5=(x-2)^2+1,\quad \min f(x)=1\ (x=2)
\]

LaTeX形式での出力例②


「三角形の面積公式を LaTeX で示してください。」

LaTeX出力なし

三角形の面積 S = 1/2 × a × b × sin(C)
(a、bは辺の長さ、Cはその間の角)

LaTeX出力あり

[
S=\frac{1}{2}ab\sin C
]

LaTeX表記をさせないためには

LaTeXで出力されると、数式が複雑になるので不便!

という場合は、ChatGPTに指示することで通常のテキスト形式で出力することが可能です。

2度手間になることを避けるために、問題を入力する前に指示しましょう。

「LaTeX形式ではなく、普通のテキストでお願いします。」

「数式はすべて通常の文字と記号で出力してください。LaTeXは使わないでください。」

計算が得意なAIモデル

無料版の「熟考」モード

無料版を使う場合は、「熟考」モードに切り替えることで高精度な回答が取得できます。

  • 操作手順
    1. メッセージ入力欄下部の「ツール」⇒「熟考」を選ぶ。
  • 効果:標準より数秒時間が掛かるが、推論が行われることで計算ミスが減る。

有料プランの場合は、「OpenAI o3」もしくは「OpenAI o3-pro」を選択

有料プランの場合、現行最新モデルの「OpenAI o3」もしくは「OpenAI o3-pro」を選択可能です。

  • 特徴:一般的な数学問題や証明問題に特化している。現行(2025年6月時点)のAIでトップレベルの計算能力を持つ
  • 使い方:モデル切り替えメニューで「o3」を選択するだけで利用可能。

まとめ:ChatGPTで解ける数学レベルは今後ますます上がる

ChatGPTで数学を解いてもまだまだ間違うことは多いです。

しかし、AIの進化と共に解ける問題が飛躍的に増えてきており、今後もレベルは上がっていきます。

  • 図形問題から複素積分まで、段階に応じて解答可能
  • LaTeX 表現も簡単に出力でき、視覚的な説明がしやすい
  • 無料版でも「熟考モード」を使えば高精度に
  • 有料プランの「o3/o3-Pro」でさらに高度な問題にも対応

現行モデルでも高校レベルの数学までであれば、高精度な回答が期待できます。今後のアップデートにより、より難易度の高い問題が解けるようになるはずです!

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