「ChatGPTが自分の求めている回答を生成してくれない…」
そんなことを思ったことがある方に実践してほしい、AIの回答精度や使い勝手を格段に向上させるための具体的な工夫をこの記事では紹介します。
ChatGPTを使いこなすための15のコツ
今まで、普通のチャット感覚でChatGPTに質問を投げかけていた方は、ここで紹介する少しの工夫を加えることで、回答の質を大きく向上させることができるはずです。
日常利用からビジネス利用まで役立つ使いこなしのコツを15個まとめて紹介します。
01. カスタム指示で基本設定を決める
ChatGPTには「カスタム指示(Custom Instructions)」という機能があります。
ここで自分の情報や、どのような回答を期待するかをあらかじめ設定しておくと、毎回同じ説明をする手間が省けます。
たとえば、以下のような情報を事前に与えておくが可能です。
- あなたがどんな人か(例:フリーランスのWebデザイナー、大学受験生など)
- どのような回答をしてほしいか(例:専門用語を使わずに説明してほしい、箇条書きで要点だけ教えてほしい)
あらかじめ会話の基本スタイルを共有しておくことで、やり取りがスムーズになり、回答の質も安定します。
02. 質問・指示は具体的に簡潔に構造的に
ChatGPTはあいまいな質問にも答えようとしますが、あいまいな質問にはあいまいな答えが返ってきやすいです。
精度の高い回答を得るには、質問の内容をできるだけ具体的かつ構造的に伝えることが重要です。
例として、以下のように比較できます。
⚫︎悪い例
ダイエットについて教えて
⚫︎良い例
運動が苦手な30代女性向けに、自宅でできる1週間のダイエットメニューを提案してください。目的は体脂肪率の減少です。
このように、対象、目的、制約などを明確にするだけで、ChatGPTの回答はぐっと実用的になります。
03. 1メッセージ1質問
ChatGPTは一度に複数の質問にも対応できますが、回答があいまいになったり、優先順位の判断がずれてしまうことがあります。
特に複雑な内容や思考を必要とする問いでは、1メッセージにつき1つの質問に絞る方が、正確で丁寧な回答を得やすくなります。
例として、次のように整理すると効果的です。
⚫︎悪い例
Webライターのポートフォリオの作り方と、営業メールのテンプレートを教えて
⚫︎良い例
Webライターとしてポートフォリオを作る際の基本構成とおすすめの見せ方を教えてください。 (回答後) 次に、クライアント向けの営業メールのテンプレートを教えてください。
1メッセージ1質問を意識することで、会話の流れも整理され、やり取りの効率と精度の両方がアップします。
04. 前提条件を与える(役割、背景、条件など)
精度を高めるには、事前に「どういう立場で答えてほしいか」「何を前提としたいか」をはっきり伝えるのがポイントです。
たとえば、以下のような前提を添えるだけで、回答の質が大きく変わります。
例1:役割を指定する
あなたは中小企業向けのSEOコンサルタントです。
例2:背景を伝える
初心者の社員向けにChatGPTの使い方を教えたい。
→ 回答のトーンや用語のレベルが変わる。
例3:条件を与える
予算は月3万円以内、納期は2週間で提案してください。
→ 現実的な条件に即した回答が得られる。
このように、役割・対象・目的・制約条件などを最初に明確にすることで、ChatGPTはより「使える回答」を出してくれるようになります。
05. 出力形式の指定
ChatGPTは質問に対して柔軟に回答してくれますが、出力形式を指定しないと、求めていた形と違う答えが返ってくることもあります。
特に文章量や構成、表の有無などが重要な場面では、あらかじめ「どういう形で答えてほしいか」を伝えることが効果的です。
たとえば、以下のような出力形式の指定が有効です。
例1:箇条書きにしてほしい
3つのポイントを箇条書きで教えてください
例2:表形式でまとめてほしい
比較表にして提示してください。列は特徴・メリット・デメリットにしてください
例3:ステップごとに解説してほしい
初心者向けにステップバイステップで説明してください
また、信頼性や精度を上げるために、以下のような条件を加えるのも有効です。
- 「可能であれば情報ソースも添えてください」
- 「曖昧な場合は自信度や根拠も教えてください」
出力形式を明確にするだけで、ChatGPTの回答はより実用的かつ整理されたものになります。
06. チェイン・オブ・ソートで思考を誘導
ChatGPTは、与えられた問いに対して最適な答えを出そうとしますが、複雑な課題や判断を伴う問いに対しては、先に「考え方の流れ」を示すことで、より納得感のある回答が得られます。
このテクニックを「チェイン・オブ・ソート(Chain of Thought)」と呼びます。
これは、ChatGPTに対して「結論だけでなく、その理由や思考の過程も説明して」と促す方法です。
例:
この問いについて、まず前提を整理し、選択肢を比較し、最後に最も適切な結論を出してください。
このように指示することで、ChatGPTは
- 何を基準に考えるべきか
- それぞれの可能性をどう評価するか
- なぜその結論に至ったか
を順序立てて説明してくれるようになります。
特に、戦略的な判断やアイデア出し、企画構成などに使うと、思考の質が格段に上がるのでおすすめです。
07. 反復質問
ChatGPTの回答は1回で完璧になるとは限りません。
最初の回答が物足りなかったり、論点がずれていたりすることもあります。そんなときは「反復質問」をすることが効果的です。
たとえば、以下のようにやり取りを続けることで、回答の精度や具体性がどんどん高まっていきます。
⚫︎例1
初回質問:
マーケティング戦略の立て方を教えて
反復:
この中で中小企業向けに効果的な施策だけに絞って詳しく説明して
⚫︎例2
初回質問:
予算〇〇円で可能なアイデアを5つ提案して
反復:
それぞれについて本当にコスト感を実現できるか再度検討して
ChatGPTは、前の会話の文脈を保持しているため、やり取りを重ねることで内容がどんどん深く・的確になっていきます。
「うーん、ちょっと違うな」と感じたら、一度で諦めずに、追加の指示や反復質問で調整することが、使いこなしのコツです。
08. 参考情報を添付
ChatGPTは、一般的な知識やパターンをもとに回答しますが、特定の文脈や情報を踏まえた回答が欲しい場合は、自分から参考情報を添えることが効果的です。
たとえば、自分の書いた文章や業務マニュアル、などのPDFデータなどを添付したり、参照してほしいURLを含めたりすると、ChatGPTはそれをもとに文脈を理解し、より適切な回答を出すことができます。
09. 逆質問をさせる
ChatGPTは、指示や質問に対してただ答えるだけでなく、こちらの意図を確認するような「逆質問」もさせることができます。
これにより、ChatGPTがより深く理解しようとし、より的確な提案やアウトプットが期待できます。
たとえば、次のように指示します。
例1:
このテーマについてアイデアを出す前に、不明点や前提を確認する質問があれば聞いてください
例2:
あなたから私にいくつか質問して、要望やゴールを整理したうえで提案してください
こうした逆質問を促すことで、ChatGPTはその場の情報だけでなく、「足りない情報を補うための問いかけ」をしてくれるようになります。
特に、アイデアのすり合わせや企画立案、方針決定などにおいて、より実践的で精度の高いやり取りが実現できます。
10. 「ひらいて・とじる」を意識
ChatGPTに質問するときは、「ひらいた質問」と「とじた質問」を使い分ける意識を持つと、会話がスムーズになります。
- ひらいた質問(オープンクエスチョン):自由に答えられる質問 例:「この企画の改善点はありますか?」
- とじた質問(クローズドクエスチョン):Yes/Noや選択肢で答えられる質問 例:「この案は効果的だと思いますか?」
ひらいた質問は、アイデア出しや広い視点での提案を得たいときに有効です。
一方で、とじた質問は意思確認や判断を求めたいときに向いています。
ChatGPTは、質問の仕方によって返す情報の方向性が大きく変わるため、目的に応じてこの2つをうまく切り替えることが、やり取りの質を高めるポイントになります。
11. 話題ごとにチャットを変える
ChatGPTは、1つのチャット内で以前の会話を文脈として参照しながら回答します。
そのため、異なる話題をひとつのスレッドで続けていくと、過去の内容が混ざったり余計な文脈を引き継いで、回答の精度が下がることがあります。
たとえば、最初に「SEOについて」の相談をしていたチャットで、途中から「採用面接の質問例」を聞くと、ChatGPTが前の話題を引きずってしまう可能性があります。
このような混乱を避けるために、話題が切り替わるときは新しいチャットに切り替えるのがベストです。
- SEO相談はSEO専用チャットに
- 面接対策は面接専用チャットに
- ブログ構成はブログ用チャットに
こうすることで、ChatGPTはそれぞれのやり取りを独立して処理でき、ある程度クリアな状態で高精度の回答をしてくれます。ただし、現在はチャットを横断して全ての文脈を理解しているようになってるので、そのような余計な文脈を除外するようにプロンプトを含めることも重要です。
12. プラグインを活用
ChatGPTには、一部の有料プラン(ChatGPT Plus)で使えるプラグイン機能があります。
これは、ChatGPTの標準機能だけではできない処理を補うための拡張機能で、外部の情報やサービスと連携できるのが特徴です。
たとえば、以下のような使い方が可能です。
- Webブラウジング:最新情報を取得したいとき(例:ある製品の価格やニュース)
- データ分析・表計算:コードインタープリター(Advanced Data Analysis)でCSVを読み込んで分析
- 旅行や飲食情報:ExpediaやOpenTableなどと連携し、予約や提案を自動化
- SEO・執筆支援:キーワード調査や記事構成案を効率よく出す系のプラグインも登場
プラグインを活用することで、ChatGPTはただの会話ツールを超えて、業務支援やリサーチ、分析ツールとしての機能を持つようになります。
使い方は、ChatGPTの設定画面で「プラグインを有効化」し、使いたいプラグインをインストールするだけです。
用途に応じて追加することで、より実践的な使いこなしが可能になります。
13. 回答に対する反対意見を求める
あえて「反対意見」や「別視点」も求めることで、より深い洞察やバランスの取れた判断材料を得ることができます。
たとえば次のように指示を追加します。
例:
この提案に対する反対意見やリスクも挙げてください
別の立場から見ると、どんな懸念点がありますか?
その案を採用しない理由をあえて考えてみてください
このようにすることで、ChatGPTは単なる賛同ではなく、批判的視点・対立意見・代替案なども含めて提示してくれるようになります。
特に企画の検証や意思決定、チーム内での議論材料を得たいときに有効です。
反対意見を取り入れることで、より論理的で説得力のある判断が可能になります。
14. ChatGPTに質問を生成させる
ChatGPTは、答えるだけでなく「質問を考える」ことも得意です。
何を聞けばいいのか迷ったときや、視点を広げたいときには、逆にChatGPTに質問を作ってもらうのが効果的です。
たとえば次のように指示できます。
例:
このテーマに関して、私が検討すべき質問を5つ作ってください
商品開発を進めるうえで、生成AIに質問するときのプロンプトを作成してください
私の思考を整理するために、段階的な質問を考えてください
この方法を使えば、自分では気づけなかった論点や、思考の抜け漏れにも気づけます。
ChatGPTが問いを生成し、その問いに自分で答えることで、思考の質が自然と深まる効果も期待できます。
アイデア出し、ブレスト、ヒアリング設計などにとても便利な使い方です。
15.追加質問を要求する
ChatGPTとの会話では、一つの答えをもらって終わるのではなく、「さらに何を聞くべきか?」をChatGPT自身に提案させることで、対話の幅を自然に広げることができます。
たとえば次のような使い方です。
例:
この回答に関連して、私が次に聞くべきことを教えてください
このテーマについて、さらに深掘りしたいので、追加の質問を提案してください
ほかに検討すべき観点があれば教えてください
ChatGPTは、文脈に応じて関連性の高い質問や見落としやすい視点を提示してくれます。
これを繰り返すことで、会話が受け身にならず、自発的で連続的なやり取りが可能になります。
企画・設計・戦略立案など、構造的に思考を進めたいときにも有効なアプローチです。
ChatGPTの使い方として良い質問の例
ここまで紹介してきた「使いこなすための15のコツ」を踏まえれば、ChatGPTへの質問の質が大きく変わります。
この章では、それらのコツを応用した“良い質問例”を2つ紹介します。
質問例①:SEO初心者向けの情報整理を依頼するケース
あなたはSEO初心者向けの講師です。 以下の条件で、SEOの基礎についてステップバイステップで説明してください。 •対象:Web制作を始めたばかりの人 •出力形式:箇条書き •構成:前提知識 → 重要な用語 → 実践ステップの順に •不明点があれば逆質問してください
この質問で活用しているコツ:前提条件(役割・背景)/出力形式の指定/チェイン・オブ・ソート/逆質問を促す/具体的で構造的な伝え方
質問例②:商品企画のアイデア出し+深掘りを依頼するケース
20代女性向けの雑貨ブランドを立ち上げると仮定し、SNSでバズる企画アイデアを3つ提案してください。 そのうえで、それぞれのアイデアについて「実現方法」「コスト感」「考えられるリスク」も含めて解説してください。 必要に応じて私に質問してから提案しても構いません。
この質問で活用しているコツ:具体性/1メッセージ1質問/出力形式の指定/反対意見(リスク)の提示/ChatGPTに質問を生成させる
ChatGPTに前提条件を与えるべき理由【豆知識】
ChatGPTは汎用モデルであり、質問の文脈や意図を明示しなければ、最適な出力を判断できません。
「前提条件」とは、モデルに対して役割・対象・制約・背景などを明示し、出力のスタイルや内容を意図通りにコントロールするための設定情報です。
自然言語処理においては、プロンプト設計の精度が応答品質を大きく左右します。
たとえば「あなたは採用担当です」と指定するだけで、モデルは専門的かつ相応しいトーンで出力しようとします。
特に複雑な依頼や長文出力を求める場面では、前提条件の明示が非常に効果的です。プロンプトを考えるときは、ChatGPTが考える領域を狭めていってあげるような意識が重要です。
「正しい回答」を求めるのはNG
ChatGPTは、確かな事実を保証するツールではありません。
あくまで、大量のデータをもとに「もっともらしい文章を生成する」ことが目的のAIです。
そのため、内容に自信ありげでも、誤った情報を含むことは珍しくありません。
「正しい答えを出す存在」として使うのではなく、発想支援・情報整理・たたき台作成など“人の判断を補う存在”として使うことが重要です。
使い手側に確認力や目的意識がなければ、AIの出力に簡単に振り回されてしまいます。
まとめ
ChatGPTは、使い方次第で「ただの質問ツール」から「思考を深める強力な相棒」へと変化します。
本記事で紹介した15のコツを意識すれば、質問の精度・回答の質・やり取りの効率すべてが大きく向上します。
特に重要なのは、
- 前提条件や出力形式を丁寧に伝えること
- 反復や逆質問で対話を深めること
- そして、AIを“答えそのもの”とせず、“考える補助ツール”として使う意識を持つことです。
使いこなしのポイントを押さえれば、ChatGPTは調べ物から企画立案、文章作成、学習支援まで幅広く活躍してくれます。
今日からぜひ、あなたの目的に合わせた問いの工夫を試してみてください。
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