AIイラスト生成をもっと便利に楽しむために、自分だけのLoRAを作ってみたいですよね?
LoRAを使えば、特定のキャラクターや画風、服装などを思い通りに生成できるようになります。この記事では、初心者でも簡単に作れるLoRAの作り方を、複数の方法から解説します。
PCスペックに不安があっても大丈夫です!クラウドサービスを使った方法も紹介するので、あなたにぴったりの方法を見つけてください。
- LoRAとは?基本を理解しよう
- Web上でLoRAを作る方法
- ローカルでLoRAを作る簡単な方法
- 効果的な学習データの作り方
※Stable Diffusionの使い方については、下記記事で詳しく解説しています。
LoRAとは?基本を理解しよう

LoRAは「Low-Rank Adaptation(低ランク適応)」の略で、Stable Diffusionなどの画像生成AIモデルに追加学習させる技術です。
簡単に言うと、「このキャラクター」「この服装」「この画風」といった特定の要素をAIに教えるための小さなファイルです。基本モデル(Checkpoint)を変えることなく、トッピングのように追加できるのが特徴です。
- 少ないデータで学習可能: 10〜20枚程度の画像から作成できる
- ファイルサイズが小さい: 数MB〜100MB程度と軽量
- 組み合わせ自由: 複数のLoRAを同時に使用可能
- 様々な要素を学習: キャラクター、服装、背景、画風など
- キャラクターLoRA: 特定の人物やキャラクターの特徴を学習
- 画風LoRA: 特定の絵のスタイルを学習
- 服装LoRA: 特定の服装や衣装を学習
- 背景LoRA: 特定の場所や背景を学習
- ポーズLoRA: 特定のポーズや構図を学習
LoRA作成の全体の流れ
LoRA作成の基本的な流れは、どの方法でも同じです。
- 学習用画像の準備: 10〜100枚程度の画像を用意
- キャプション(タグ)付け: 画像の特徴を示すタグを付ける
- 学習の実行: 適切なパラメータで学習を実行
- LoRAファイルの保存: 出来上がったLoRAを保存して使用
では早速、簡単な方法から順に見ていきましょう!
- Stable Diffusionのプロンプトの見本が知りたい
- 画像生成が思ったようにできない
- 色々なプロンプトを探したい

【簡単】Web上でLoRAを作る方法
PCのスペックに不安がある方や、環境構築が面倒な方は、Web上のサービスを使うのがおすすめです。
PixAI.artでLoRAを作る方法
PixAI.artは無料で使えるAI画像生成サービスで、LoRA学習機能も備えています。

メリット | ・環境構築不要で簡単 ・無料で使える(クレジット制) ・学習が終わるとすぐに使用可能 |
デメリット | ・クオリティは他の方法より若干劣る場合がある ・クレジットを消費する(25,000クレジット/回) ・画像の解像度など細かい設定ができない |
①PixAI.artにアカウント登録・ログイン

②画面中央の「LoRA学習する」を選択

③基本設定を行う
- LoRA名: 任意の名前をつける
- LoRAタイプ: アニメキャラ/リアルキャラ/アートスタイル/風景から選択
- トリガーワード: キャラの特徴を入力(例: blue hair, green eyes)

④学習用画像をアップロード(10〜100枚)

⑤「学習開始」をクリック
1〜2時間程度で学習完了です!
※PixAI.artの使い方については、下記記事で詳しく解説しています。
Tensor.artでLoRAを作る方法
Tensor.artも人気のAI画像生成サービスで、LoRA作成機能があります。

メリット | ・PixAIよりも細かい設定が可能 ・生成されるLoRAの品質が高い ・毎日無料ポイントがもらえる |
デメリット | ・設定項目が多く初心者には少し複雑 ・1日の無料ポイントだけでは大きなモデルは作れない |
①Tensor.artにアカウント登録・ログイン

②モデル学習ページ(オンライントレーニング)へ移動

③学習画像をアップロード

④自動ラベル機能でタグ付け
- 画像に合わないタグを削除
- キャラの特徴として付けたいタグを追加
⑤プロフェッショナルモードで詳細設定
- モデル: XLを選択
- 繰り返し: 15程度
- エポック: 24程度
- ネットワーク次元: 128程度

⑥トレーニング開始をクリック
1〜3時間後に完成です!
CivitaiでLoRAを作る方法
Civitai.comはAIモデルの配布サイトとして有名ですが、LoRA作成機能も提供しています。

メリット | ・高品質なLoRAが作成可能 ・細かいパラメータ調整が可能 ・完成したLoRAをそのままサイトで公開可能 |
デメリット | ・有料のポイントが必要 ・設定項目が多くて初心者には難しい ・システム負荷によっては失敗することも |
①Civitaiにアカウント登録・ログイン
②「Train a LoRA」ボタンをクリック

③LoRAタイプを選択(Character/Style/Concept)

④学習画像をアップロード

⑤Auto Tagでタグ付けし、モデル選択とパラメータ設定
- タグを確認して修正
- トリガーワードを頭に追加
- モデル: Animagine 3.1などから選択
- ネットワーク次元: 32〜128
- 学習率: 0.0001程度
- バッチサイズ: 4〜6程度

⑥Submitで学習開始
1〜2時間後に完成です!(クレジット消費は、500です。)
※Civitaiの使い方については、下記記事で詳しく解説しています。
SeaArt.AIでLoRAを作る方法
SeaArt.AIは2024年に人気が高まったAI画像生成サービスで、簡単なLoRA作成機能があります。

メリット | ・日本語対応で使いやすい ・シンプルな設定で初心者でも簡単 ・2024年1月以降はVIP制限が解除され誰でも使える |
デメリット | ・スタミナかコインが必要(タスクで稼ぐか課金) ・細かい設定はできない |
①SeaArt.AIにアカウント登録・ログイン

②「トレーニング」メニューを選択

③「データセット作成」をクリック
④プリセットから選択(人物像/アニメ/スタイル/SDXL)

⑤画像をアップロード(最大100枚)
⑥切り抜き方式は「センター切り抜き」を選択
⑦タグ付けアルゴリズムを選択(Deepbooru/BLIP)

⑧トリガーワードを入力
⑨「切り抜き/タグ付け」をクリック
⑩「今すぐトレーニング」をクリック
1〜2時間後に完成です!
※詳しい使い方については、下記記事を参考にしてください!
ローカルでLoRAを作る簡単な方法
自分のPCでLoRAを作る方法も紹介します。VRAM 8GB以上のNVIDIA GPUがあると快適です。
Stable Diffusion WebUIの拡張機能を使う方法
2024年に登場した「sd-webui-traintrain」や「sd-webui-train-tools」を使えば、WebUI上で簡単にLoRAが作れます。
メリット | ・WebUI内で完結するので追加インストール少なめ ・設定項目が最小限で初心者でも扱いやすい ・ほぼデフォルト設定でも良いLoRAができる |
デメリット | ・細かいパラメータ調整はできない ・新しい拡張機能なのでバグがある可能性も |
詳しいLoRAの作成方法については、下記記事を参考にしてください!
kohya_ssで作る方法
kohya_ssは最も一般的なLoRA作成ツールで、GUIで操作できるのが特徴です。

メリット | ・細かいパラメータ調整が可能 ・最も一般的な方法で情報が多い ・品質なLoRAが作成可能 |
デメリット | ・環境構築が少し複雑 ・設定項目が多く初心者には難しい |
詳しいLoRAの作成方法については、下記記事を参考にしてください!
【LoRA】効果的な学習データの作り方
どの方法を選んでも、良い学習データを用意することが最も重要です。
まずは、学習画像選びのポイントを押さえていきましょう!
- 枚数: 10〜100枚程度(20枚程度でも十分な場合が多い)
- 解像度: 512×512ピクセル以上推奨(1024×1024が理想)
- バリエーション: 多様な角度、表情、ポーズを含めると良い
- 被写体: 主題となる対象物が明確に写っているもの
- 背景: シンプルな背景か透過背景だと学習しやすい
そして、キャプション(タグ)付けのコツとしては、「トリガーワードは一般的でない単語を選ぶ」「画像に写っていない要素はタグに入れない」ことを意識しましょう。
また、初心者の方は、以下のパラメータを参考にしてみてください。
- ネットワーク次元(Network Rank/dim): 32〜64
- ネットワークAlpha: 次元の半分の値
- 学習率: 0.0001(1e-4)
- バッチサイズ: 1〜2
- エポック数: 5〜10
【FAQ】LoRAの作成についてよくある質問と回答
- QLoRA作成に必要なPCのスペックは?
- A
NVIDIA製グラフィックボードでVRAM 8GB以上が望ましいです。VRAM 6GBでも可能ですが時間がかかります。スペックが足りない場合はWeb上のサービスを利用しましょう。
- QLoRA作成にかかる時間はどれくらい?
- A
環境やパラメータによって異なりますが、30分〜3時間程度です。画像枚数やGPUの性能に大きく左右されます。
- Q著作権がある画像でLoRAを作っても良い?
- A
他人の著作物を無断で学習に使用することは法的リスクがあります。自分で描いた絵やフリー素材、自分で撮影した写真などを使うことをおすすめします。
- Q作成したLoRAはどうやって使う?
- A
作成したLoRAファイル(.safetensors)をStable Diffusion WebUIの「models/Lora」フォルダに配置し、WebUIのLoRAタブから選択して使用します。
- Q「学習させるタグを消す」とはどういう意味?
- A
これはLoRA学習の特性です。LoRAは「このタグを見たときはこの画像の特徴を出力せよ」と学習します。そのため、学習させたい特徴(キャラクターなど)のタグは削除して、それ以外のタグ(髪型、服装など)を残すことで、トリガーワードを入力したときにキャラクターの特徴が出るようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
LoRAの作成方法はいくつかありますが、自分の環境や目的に合った方法を選ぶことが大切です。
- PCスペックに不安がある方:PixAI.artやTensor.art、SeaArt.AIなどのWebサービスがおすすめ
- 手軽に試してみたい方:WebUIの拡張機能「TrainTrain」がおすすめ
- 本格的に作りたい方:kohya_ssがおすすめ
どの方法を選んでも、良い学習データを用意することが最も重要です。まずは20枚程度の画像で試してみて、徐々に調整していくと良いでしょう。
自分だけのLoRAを作って、Stable Diffusionでの画像生成をもっと楽しんでください!