Veoで実写級の動画を作る!レンズ・光・質感の3レイヤー・プロンプト設計

Veoで実写級の動画を作る!レンズ・光・質感の3レイヤー・プロンプト設計のアイキャッチ画像 動画生成AI

「リアルにして」と書いても、どこかAIっぽさが抜けない——Veoでそんな壁にぶつかっていませんか。実は、実写級に近づける鍵は魔法の呪文ではなく、レンズ・光・質感という“撮影の言葉”をプロンプトに足すことです。この記事では、その具体語を3つのレイヤーに整理し、コピーしてすぐ使えるプロンプト例とともに紹介します。読み終えるころには、AI感の正体を見抜き、原因ごとに効く語を選んで“撮った映像”の手触りへ近づけられるようになります。

内容をまとめると…

  • AIっぽさの正体は質感・光・動きの3つで、抽象的な形容詞では消えない

  • 実写級はレンズ・光・質感の3レイヤーを1語ずつ積み上げると安定して近づく

  • 光の向きと被写界深度の指定が、立体感とリアルさに最も効く

  • 原因から逆引きして語を足せば、自分用の“効く語リスト”が育つ

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監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

「リアルに」と書いても実写にならない理由

「リアルに」「高画質で」と書いても、どこかのっぺりした“AIっぽさ”が残る——これは多くの人がぶつかる壁です。原因は大きく3つあります。

1つ目は質感です。肌や布、髪の細部がつるりと均一になり、現実の不規則さが消えてしまいます。2つ目は光です。陰影が浅く平板で、光源の向きが曖昧だと「作り物」に見えます。3つ目は動きです。カメラや被写体の動きが機械的だと、現実のわずかな揺らぎが失われます。

ここで効くのは「もっとリアルに」という抽象的なお願いではありません。実写の映像が積み上げている要素——どんなレンズで、どんな光で、どんな質感で撮るか——を、プロンプトに言葉として与えることです。本記事では、その具体語を「レンズ」「光」「質感」の3レイヤーに整理し、コピーして使える形でまとめます。まずは全体像をつかみ、気になるレイヤーから1語ずつ足して試してみてください。

前提:現行Veoでできること

技法に入る前に、土台となる現行のVeoを押さえておきましょう。Veoは2026年1月に公開されたVeo 3.1系が最新世代で、実写表現の観点では次の3つが効いてきます。

ひとつ目は質感の再現です。布・肌・植物などの素材を、単なる引き伸ばしではなく細部のばらつきまで作り込めるようになりました。ふたつ目は高解像度化で、生成後に4K相当へアップスケールでき、近くで見ても粗が出にくくなっています。みっつ目は長さと音で、数十秒を超える連続したシーンや、映像に同期した音声まで一括で扱えます。

重要なのは、これらはあくまで「土台」であって、実写級になるかどうかはプロンプトの書き方で決まるという点です。版や機能は今後も更新されますが、本記事の中心であるレンズ・光・質感の言葉は、世代が変わっても使い回せます。最新の対応状況やプランごとの違いはバージョンによって変わるため、細かな数値は公式情報や比較表で確認してください。

実写級プロンプトを組む3レイヤー設計

実写級の映像は、思いつきの単語を並べて作るものではなく、撮影現場の判断を順番に言葉にして積み上げると安定します。本記事では次の3レイヤーに整理します。

  • レイヤー1「レンズと被写界深度」:どの焦点距離で、どこにピントを置くか。視点と奥行きを決めます。
  • レイヤー2「光」:時間帯・光源の向き・硬さ。立体感と空気感を決めます。
  • レイヤー3「質感とカラーグレード」:フィルムの粒子や色の方向性。素材感と世界観を決めます。

書く順番は、まず一文で「何を・どんな気分で」を述べ(概念)、次にレンズと絞り(撮影スペック)、最後に光・フィルム・色(ビジュアルスタイル)を足していきます。次のように、各レイヤーの語を1つのプロンプトに連ねていくイメージです。最初から全部を盛り込む必要はありません。気になるレイヤーから1語ずつ加えて、変化を見ながら調整するのがコツです。

レイヤー1:レンズと被写界深度

レイヤー1:レンズと被写界深度の要点をまとめた図解
レイヤー1:レンズと被写界深度の要点

実写らしさは、まず「どんなカメラの目で見ているか」で決まります。スマホで撮った写真と映画のワンシーンが別物に見える大きな理由が、レンズと被写界深度です。

レンズの焦点距離は、被写体との距離感やパースの付き方を変えます。被写界深度は、どこまでピントが合っているか——背景がとろけるのか、隅々までくっきりなのか——を左右します。人間の目や現実のカメラには、必ずこうした「クセ」があります。

逆に言えば、焦点距離と絞りを指定しないと、Veoは平均的で無個性な画になりがちで、それが“AIっぽさ”の一因になります。このレイヤーでは、焦点距離で印象を決める方法と、絞りで奥行きを作る方法を順に見ていきます。どちらも短い英語の語をプロンプトに足すだけで効くので、まずは1つ試してみてください。

① 焦点距離で印象を決める

焦点距離は「見え方の個性」を決めます。代表的な3つを押さえましょう。50mm前後は人の目に近い自然な遠近感で、日常的でリアルな画になります。85mm前後は背景が大きくボケて被写体が浮き上がり、ポートレートのような立体感が出ます。14〜24mmの広角は手前が誇張され、空間の広がりやダイナミックさを演出します。

プロンプトには、英語の語をそのまま添えると効きやすいです。例えば次のように指定します。

shot on 50mm lens, natural perspective, eye-level
85mm telephoto, shallow depth of field, creamy bokeh, subject isolation
ultra-wide 18mm lens, slight barrel distortion, dramatic perspective

迷ったら、人物やインタビュー風なら85mm、室内や風景の広がりを見せたいなら広角、自然な日常感なら50mm、と覚えておくと選びやすくなります。

② 絞りで奥行きを作る

奥行きの表現は「絞り(f値)」で決まります。f値が小さいほどピントの合う範囲が狭くなり、背景が大きくボケます。f値が大きいほど手前から奥までくっきりします。実写では、被写体を際立たせたい場面ほど浅いピントが使われ、この“ボケの自然さ”がリアルさに直結します。

浅い被写界深度を狙うなら、次のように書きます。

f/1.4 depth of field, sharp eyes, soft falloff to background

反対に、風景や建築で全体をシャープに見せたいときは、深い被写界深度を指定します。

deep focus, f/16 look, everything in sharp detail

ポイントは、レイヤー1の焦点距離とセットで考えることです。「85mm+f/1.4」で被写体を強く浮かせる、「広角+f/16」で空間全体を見せる、といった組み合わせで、狙った奥行きを安定して作れます。

レイヤー2:光で立体感を出す

レイヤー2:光で立体感を出すの要点をまとめた図解
レイヤー2:光で立体感を出すの要点

同じ被写体でも、光が変われば印象はまるで別物になります。実写の説得力の多くは、この光が生み出す立体感と空気感から来ています。AIっぽさが抜けない映像は、たいてい光が平板で、どこから光が来ているのか分からない状態です。逆に、光の向き・硬さ・色温度を指定すると、一気に“その場にいる感じ”が出ます。

このレイヤーでは3つの方向性を扱います。ひとつ目は太陽光をいかすゴールデンアワー、ふたつ目は陰影を強く出すドラマチックな斜光、みっつ目は人物を柔らかく見せるソフトな光です。

どれも「光源の種類・向き・硬さ」を言葉にするのが基本で、短い英語の語を足すだけで効果が出ます。シーンの気分に合わせて選んでみてください。

① 自然光とゴールデンアワー

最も扱いやすく、失敗が少ないのが自然光です。中でも日の出後・日没前の「ゴールデンアワー」は、暖かい色味と長い影、柔らかく回り込む光で、被写体を自然に美しく見せます。

プロンプトでは、時間帯と光の質をセットで指定します。

golden hour, warm 2700K color temperature, long soft shadows, diffused light

曇りの日のような均一でやわらかい光がほしいときは、次のように書きます。

overcast soft light, even illumination, gentle shadows

色温度(ケルビン)を添えると、暖かさ・冷たさをコントロールしやすくなります。暖かい雰囲気なら2700〜3200K、中立なら5000K前後、青く冷たい朝の空気なら6500K以上、と覚えておくと便利です。光の「向き」も一言加えると、立体感がさらに増します。

② 陰影をつくる斜め45度の光

ドラマや映画らしい重厚感がほしいときは、影を積極的に作ります。片側から強い光を当て、反対側を暗く落とす「キアロスクーロ」は、立体感と緊張感を一気に高めます。

基本は、光源の位置と影の深さを指定することです。

dramatic chiaroscuro lighting, single key light at 45 degrees, deep shadows

顔の半分を陰にする、いわゆる「レンブラント風」を狙うなら、次のように書きます。

side light, Rembrandt lighting, strong shadow on one side, low-key

ポイントは「low-key(暗部を多く残す)」という語です。明るく均一な光は安心感がある一方、平板でAIっぽく見えがちです。あえて影を残すことで、現実の光が持つコントラストに近づき、被写体が画面から立ち上がってきます。

③ 人物を美しく見せる柔らかい光

人物を主役にするなら、肌をきれいに見せる柔らかい光が向いています。大きな光源を被写体の近くに置いたような、影のほとんど出ないライティングを指定します。

extremely soft beauty lighting, large diffused source, almost shadowless, even skin tones

広告やインタビューのような清潔感のある雰囲気なら、これにレフ板で起こしたような補助光を足します。

soft key light with fill, gentle catchlight in eyes, smooth skin texture

ここでも大切なのは、肌の質感を「つるつる」にしすぎないことです。実写の肌にはわずかな毛穴や陰影があり、それが自然さを生みます。「smooth」と同時に「natural skin texture」を添えると、のっぺり感を避けつつ美しく仕上げられます。

レイヤー3:質感とカラーグレード

最後のレイヤーは、映像全体の「素材感」と「色の世界観」です。ここまでで画作りと光が決まっても、デジタル特有のクリーンすぎる質感が残ると、どうしてもCG的に見えてしまいます。そこで効くのが、フィルムの粒子感とカラーグレード(色設計)です。

フィルムには微細な粒(グレイン)があり、これがわずかなノイズとなって「写真・映像らしさ」を生みます。またカラーグレードは、暖色寄りか寒色寄りか、色を鮮やかにするか落ち着かせるかといった方向性を決め、作品の温度感を統一します。

実写の映像は、ほぼ必ずこの2つで仕上げられています。このレイヤーでは、フィルムストックとグレインの指定、そしてカラーグレードの方向づけを順に見ていきます。短い語を足すだけで、画の説得力が大きく変わります。

① フィルムストックとグレイン

デジタル特有のつるりとした質感を消す近道が、フィルムの粒子感です。実在するフィルムの名前を借りると、色味と粒の質感をまとめて言葉にできます。暖かく肌がきれいに出るフィルムや、鮮やかに発色するフィルムなど、銘柄ごとに個性があります。

Kodak Portra 400 film grain, warm skin tones, subtle grain, muted shadows
shot on 35mm film, fine grain, slight halation around highlights

「halation(ハレーション)」は、明るい部分のまわりににじむ淡い光のことで、フィルムらしい柔らかさを足してくれます。粒子は強すぎると古ぼけた映像のようになるので、「subtle grain(控えめな粒)」から始めるのがおすすめです。デジタルのクリーンさに、ほんの少しのノイズと滲みを足す——これだけで一気に“撮った映像”の手触りに近づきます。

② カラーグレードで世界観を決める

カラーグレードは、映像全体の色の方向性をそろえる仕上げです。色がばらついたままだと素人っぽく見えますが、一定の色設計を与えると、ぐっと作品らしくまとまります。代表的な方向性をいくつか覚えておきましょう。

teal and orange color grade, cinematic contrast
desaturated noir look, cool tones, crushed blacks
natural film color, true-to-life tones, no artificial CGI look

「teal and orange(ティール&オレンジ)」は映画でよく使われる定番で、肌をオレンジ寄り、背景を青緑寄りにして被写体を引き立てます。重厚で渋い雰囲気にしたいなら「desaturated(彩度を抑えた)」系、リアルさを最優先するなら「natural film color」と「no artificial CGI look」を添えるのが効果的です。色の方向が決まると、3レイヤーの仕上がりが一段引き締まります。

3レイヤーを1つのプロンプトに合成

ここまでの3レイヤーを、1つのプロンプトに積み上げてみましょう。順番は「概念(何を・どんな気分で)→レンズと絞り→光→フィルムと色」です。夕方の窓辺でコーヒーを飲む女性を実写風に撮るなら、次のようになります。

A woman drinking coffee by a window at dusk, calm and intimate mood,
85mm telephoto, f/1.4 shallow depth of field, creamy bokeh,
golden hour, warm 2700K light from the side, soft long shadows,
Kodak Portra 400 film grain, teal and orange grade,
natural skin texture, no artificial CGI look
3レイヤーを1つのプロンプトに合成のプロンプトで生成した画像サンプル
3レイヤーを1つのプロンプトに合成の生成サンプル

最初の一行で被写体と気分を決め、その後にレンズ→光→質感の語を重ねているのが分かります。いきなり完成形を目指さず、まずは概念とレンズだけで生成し、そこに光、最後に質感を足していくと、どの語が効いたかを確かめながら調整できます。狙いに合わせて語を入れ替えれば、同じ型のまま無数のシーンに応用できます。

仕上げ:AI感を消す最終チェック

最後に、出来上がった映像が“AIっぽい”ときの見直しポイントをまとめます。原因から逆引きして、足りない語を補ってください。

  • のっぺりして見える → 質感の語が不足。「film grain」「natural skin texture」「subtle grain」を足す。
  • 光が平板で立体感がない → 光の向きと硬さを指定。「side light」「low-key」「45 degrees」を加える。
  • 色が作り物っぽい → カラーグレードを指定。「teal and orange」や「natural film color」「no artificial CGI look」を添える。
  • 全体が均一でメリハリがない → レンズと絞りで主役を作る。「85mm」「f/1.4 shallow depth of field」で被写体を浮かせる。
  • 動きが機械的 → カメラワークを一言。「slow handheld」「subtle camera shake」で現実の揺らぎを足す。

コツは、一度に全部直そうとしないことです。気になる原因を1つ選び、対応する語を1〜2語だけ足して生成し直す。これを繰り返すと、どの語が効いたのかが分かり、自分用の“効く語リスト”が育っていきます。

よくある質問

Q
プロンプトに語を盛り込みすぎると逆に破綻しませんか?
A

はい、詰め込みすぎは逆効果になりやすいです。Veoは指示が多すぎると優先順位を見失い、かえって平均的な画になることがあります。目安は、概念・レンズ・光・質感から各1〜2語ずつ。まず核となる語で生成し、物足りない部分にだけ足すと、破綻を避けつつ狙いに近づけます。

Q
実写級にするのに一番効く指定はどれですか?
A

ひとつだけ選ぶなら「光」です。光の向き・硬さ・色温度を指定するだけで、立体感と空気感が大きく変わります。次点は被写界深度で、浅いピントは“カメラで撮った感”を強く出します。迷ったら、まず「side light」と「f/1.4 shallow depth of field」から試してください。

Q
人物の顔や手が不自然になるのを減らすコツはありますか?
A

顔や手は不自然さが出やすい部分です。アップにしすぎない画作りにし、動きをゆっくりにすると破綻が目立ちにくくなります。「natural skin texture」で質感を、ソフトな光で陰影をなじませるのも有効です。生成は一発で決めず、複数回試して安定したものを選ぶのが現実的です。

Q
Veoの版が上がったらこの技法は使えなくなりますか?
A

基本的には使い回せます。本記事の中心であるレンズ・光・質感の語は、特定の版に依存しない“撮影の言葉”だからです。版が新しくなるほど、これらの指定はむしろ忠実に反映されやすくなります。新機能の有無や細かな仕様だけ、公式情報で確認すれば十分です。

まとめ

実写級のVeo動画は、「もっとリアルに」という願いではなく、撮影の具体語を積み上げることで近づきます。鍵は3レイヤーでした。

  • レンズと被写界深度で“カメラの目”を作る(焦点距離と絞り)。
  • 光で立体感と空気感を与える(向き・硬さ・色温度)。
  • フィルムの粒子とカラーグレードで素材感と世界観を仕上げる。

この順番で1語ずつ足していくのが、再現性の高いやり方です。完璧な一発を狙う必要はありません。まず概念とレンズだけで生成し、光、質感の順に語を加えながら、どの指定が効いたかを確かめてください。うまくいった語をメモしておけば、それがあなただけの“効く語リスト”になり、次の制作がどんどん速く・確実になっていきます。今日はまず、お気に入りのシーンに「光の向き」を一言足すところから始めてみましょう。

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沖
講師 沖@画像生成
画像生成クリエイター Xフォロワー 5.5万人 romptn ai 監修者
  • 大手企業6社と契約実績(TOYOTA, mercari, 伊藤園 等)
  • AI映画制作3本、WORLD AI FILM FESTIVAL 2026 in KYOTO にて2冠達成
  • Best AI Anime 受賞
  • Japan Best AI Film(グランプリ)受賞(応募431作品中)
  • 経歴:元WEBデザイナー・マーケター → 2023年に生成AIと出会い転身 → プロのAIクリエイターへ
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