2025年4月に登場した「FramePack」をご存知ですか?このAI動画生成ツールは、わずか6GBのVRAMでも高品質な長尺動画を生成できる画期的な動画生成AIとして、AI界隈で大きな話題となっているんです!
この記事では、FramePackの基本概念から実際の使い方、インストール方法、そして高速化の手順まで、徹底的に解説していきます!
- FramePackとは?
- FramePackを利用する際に必要なスペック
- FramePackのインストール方法(Windows版)
- FramePackの基本的な使い方
- FramePackでできること・活用例など
FramePackとは?

FramePackは、スタンフォード大学のLvmin Zhang氏とManeesh Agrawala教授によって開発された新しい動画生成技術です。今までの動画生成AIと比較して、以下のような特徴があります。
- 低スペックでも動作可能: わずか6GBのVRAMしかないノートPC用GPUでも動作ができる
- 長尺動画の生成: 最大120秒(2分間)という長時間の動画生成に対応している
- 安定したクオリティー: 時間経過による画質劣化(ドリフト)を防ぐ独自技術を持つ
- リアルタイム進捗確認: 生成中のフレームをリアルタイムで確認できる
なぜこれほど少ないリソースで動作するのでしょうか?
その秘密は「フレーム圧縮メカニズム」と「アンチドリフトサンプリング」という2つの技術にあるんです!
特徴①:次のフレームを効率よく予測する「フレーム圧縮メカニズム」
FramePackは、予測対象のフレームに近いフレームほど重要と捉え、重要度の低い(時間的に遠い)フレームほど圧縮率を高める「プログレッシブ圧縮」を使用しています。これによって、入力するフレーム数がどれだけ増えても、モデルが処理する総データ量は一定値に収束します。
簡単に言うと、最新のフレームは詳しめに記憶し、過去のフレームは要点だけを残して圧縮することで、メモリ消費量を抑えているのです。
特徴②:画質劣化を防ぐ「アンチドリフトサンプリング」
今までの動画生成AIでは、フレームを順番に生成していくと、少しずつエラーが蓄積され、時間経過とともに画質が劣化する「ドリフト」という問題がありました。
FramePackでは、未来のフレーム情報も考慮する「双方向コンテキスト」を利用することで、この問題を解決しています。特に画像から動画を生成する場合は、「反転アンチドリフトサンプリング」という手法で、高品質な最初のフレームを基準に逆順に生成することで、品質低下を防いでいます。
FramePackを利用する際に必要なスペック
FramePackを動かすためには、以下のようなスペックが必要です。
項目 | 最低必要スペック | 推奨スペック |
---|---|---|
GPU | NVIDIA製、VRAM 6GB以上 | RTX 30/40/50シリーズ |
メインメモリ | 16GB | 64GB以上 |
ストレージ | 40GB程度の空き容量 | 60GB以上 |
OS | Windows/Linux | Windows 11/Ubuntu |
特に注目なのは、今までの動画生成AIと比較してVRAMよりもメインメモリの要求が高いという点です。
動作中は約50GB程度のメインメモリを使用するため、メモリを増やすことを検討することも手です。メモリは2025年4月現在、DDR4タイプなら17,000円程度、DDR5なら22,000円程度から購入可能で、グラボの購入に比べればはるかにコストパフォーマンスが良いですよ!
動作確認済みGPUには、RTX 3060/4060Ti/4090などがあり、AMDやIntelのGPUへの対応は現時点では不明です。
FramePackのインストール方法(Windows版)
FramePackは、GitHubでWindows用のワンクリックパッケージが公開されていますので、インストール手順は驚くほど簡単です!
- 公式GitHubにアクセス
- 「Click Here to Download One-Click Package (CUDA 12.6 + Pytorch 2.6)」をクリック
- ダウンロードした圧縮ファイル(約1.7GB)を解凍
update.bat
を実行(GitHubからの更新を適用)run.bat
を実行(初回はモデルのダウンロードが始まり、30分~45分ほど時間がかかります)
起動すると、自動的にブラウザが開き、FramePackのWeb UIが表示されます。ブラウザが開かない場合は、http://127.0.0.1:7860
にアクセスしてください。
FramePackをGoogle Colabで使う方法
高性能GPUを持っていなくても、Google Colabを使ってFramePackを利用することもできます!
- Google Colabを開く
- メニューバーの「ランタイム」から「ランタイムのタイプを変更」を選択
- 「ハードウェアアクセラレータ」を「GPU」に設定
- 以下のコードを実行して環境を準備
!git clone https://github.com/lllyasviel/FramePack
%cd FramePack
!pip install -r requirements.txt
- Gradioアプリを起動するために以下を実行
!python demo_gradio.py --share
- 表示されるURLをクリックしてアクセス

Colabの無料版でも動作しますが、生成時間が長くなる場合はColab Proへのアップグレードを検討しましょう!
FramePackの基本的な使い方
FramePackの基本的な使い方は非常にシンプルです!
- 画像のアップロード: 「Image」欄に動画の元となる画像をアップロード
- プロンプト入力: 「Prompt」欄に生成したい動画の内容を英語で入力(例:「A bear jumping into a box in anime style」)
- 動画の長さ設定: 「Total Video Length (Seconds)」で生成する動画の秒数を設定
- 生成開始: 「Start Generation」ボタンをクリック
その他の細かい設定項目もありますので、気になる方は以下を参考にしてみてください。
設定項目 | 説明 | 推奨値 |
---|---|---|
TeaCacheを使用する | 推論の高速化オプション | ONが推奨(高速化優先) |
シード(Seed) | 生成のランダム性を制御 | 任意(固定すれば再現可能) |
手順(Steps) | AIが生成を繰り返す回数 | 20〜30(変更非推奨) |
CFGスケール | プロンプトの影響度 | デフォルト10(変更非推奨) |
GPU推論保存メモリ | 使用するGPUメモリ量 | 無料Colabなら6〜8GB |
FramePackの高速化方法(Windows環境)
FramePackをさらに高速化するには、以下のような拡張機能の導入が効果的です。これによって、生成時間を最大で半分程度まで短縮できるんです!
①環境設定
まずコマンドプロンプトを開き、FramePackをインストールしたフォルダに移動して環境変数を設定します。
cd framepack_cu126_torch26
environment.bat
②pipのアップグレード
python -m pip install --upgrade pip
③各種高速化ライブラリのインストール
xformersのインストール↓
pip install xformers
flash-attnのインストール(ビルド済みバイナリを使用)↓
pip install https://huggingface.co/lldacing/flash-attention-windows-wheel/resolve/main/flash_attn-2.7.4%2Bcu126torch2.6.0cxx11abiFALSE-cp310-cp310-win_amd64.whl?download=true
sage-attentionのインストール: まずtritonをインストール↓
pip install https://huggingface.co/madbuda/triton-windows-builds/resolve/main/triton-3.0.0-cp310-cp310-win_amd64.whl
次にsage-attentionをインストール↓
pip install sageattention
これらの高速化ライブラリを導入することで、生成時間の短縮が期待できます。環境によって効果は異なりますが、30%程度の高速化は見込めるでしょう!
FramePackでできること・活用例
FramePackは様々な用途に活用できます。

①イラストや写真にアニメーション効果を付ける:Stable Diffusionで生成した静止画像に動きを加えたり、写真を動画化したりすることができます。
②SNSやYouTubeショート用の短尺動画制作:TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsなど、ショート動画プラットフォーム向けのコンテンツ制作に最適です。
③広告やプロモーション動画のプロトタイプ作成:企業や個人クリエイターが、本格的な動画制作の前にアイデアを視覚化するために活用できます。
④アニメーションの草案・ストーリーボード制作:アニメーターや映像制作者が、初期段階での方向性を掴むために利用できます。
⑤研究・教育用の視覚化資料作成:複雑な概念や物理現象を視覚的に説明するための動画を簡単に作成できます。
FramePackの使用上の注意点
FramePackを使用する際の主な注意点は以下の通りです!

- メモリ使用量:動画生成中は最大50GB程度のメインメモリを使用するため、十分なメモリを確保しておく必要があります。
- 生成時間:長尺の動画を生成する場合、相応の時間がかかることを理解しておきましょう。
- コンテンツフィルター:デフォルトではコンテンツフィルターが無効化されているため、生成内容については自己責任で管理する必要があります。
- 著作権:生成したコンテンツの著作権や利用範囲については、法律や倫理に従って適切に扱いましょう。
- エラー対応:CUDAのOut of Memoryエラーが発生した場合は、解像度を下げるか、GPUメモリの設定を調整することで対処できます。
FramePackでよくあるエラーと解決法
FramePackの使用中に発生しがちなエラーとその対処法をFAQ形式で紹介します!
インストール・起動時のエラー
- QCUDA関連のエラーが表示される
- A
NVIDIA製GPUが正しく認識されているか確認してください。ドライバーの更新や、CUDA 12.6のインストールが必要な場合があります。ワンクリックパッケージを使用すると、これらの問題を回避できます。
- Qモデルが読み込めないというエラーが出る
- A
ファイルパスが正しいか確認してください。「update.bat」を再実行することで解決する場合もあります。初回起動時は必ずモデルのダウンロードが完了するまで待ちましょう。
- QPythonのバージョンエラーが発生する
- A
FramePackはPython 3.10での動作が推奨されています。バージョンが異なる場合は、Python 3.10をインストールし、「Add Python 3.10 to PATH」にチェックを入れることが重要です。
動画生成時のエラー
- QCUDA Out of Memory (OOM) エラーが発生する
- A
解像度を下げる、動画の長さを短くする、または「GPU推論保存メモリ」の設定を調整してみてください。RTX 3060なら8GB、RTX 4090なら16GB程度が適切です。
- Q生成途中で処理が止まってしまう
- A
Google Colabを使用している場合、セッションが切れた可能性があります。ローカル環境でも、メインメモリが不足している場合に発生することがあります。メモリ使用量をモニタリングし、必要に応じて増設を検討してください。
- Q生成に時間がかかりすぎる
- A
高速化オプション(xformers、flash-attn、sage-attention)を導入することで、生成時間を短縮できます。また、「TeaCache」機能をONにすることも効果的です。Google Colabの無料版では処理能力に限界があるため、長時間かかる場合はColab Proへのアップグレードも検討してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
スタンフォード大学の研究者によって開発された「FramePack」は、わずか6GBのVRAMでも高品質な長尺動画を生成できる新しい技術として、AI界隈に大きな衝撃を与えています!
この記事で紹介した内容をまとめると次のようになります。
- FramePackは「フレーム圧縮メカニズム」と「アンチドリフトサンプリング」で低スペックでも高品質な長尺動画生成を実現
- Windows用のワンクリックパッケージが公開され、インストールが非常に簡単
- Google Colabでも利用可能で、高性能GPUがなくても気軽に試せる
- xformers、flash-attn、sage-attentionなどの高速化ツールで生成時間を短縮可能
- メインメモリの要求が高いため、可能であれば64GB程度への増設を検討すべき
- 最大120秒という長時間の動画生成に対応し、生成中のフレームをリアルタイムで確認可能
初心者から上級者まで、誰でも手軽に高品質な動画生成を楽しめるFramePackは、今後のAI動画生成の主流となる可能性を秘めています。ぜひこの記事を参考に、FramePackを導入して、あなただけの創造的な動画制作に挑戦してみてください!