Z-ImageとQwen-Imageの違いは?用途別の選び方

Z-ImageとQwen-Imageの違いは?用途別の選び方のアイキャッチ画像 画像生成AI

同じAlibaba(Tongyi)系から出ていて名前まで似ているのに、Z-ImageとQwen-Imageは「どちらが上位版なのか」「自分はどちらを選べばいいのか」が驚くほど分かりにくい2つです。じつはこれは片方の軽量版という関係ではなく、6Bで軽く速いZ-Imageと、20Bで作り込みに強いQwen-Imageという、設計思想からして役割の違う独立モデルです。

やっかいなのは、速度・必要VRAM・パラメータ規模・順位といった数字が断片的に流れてきて、しかも「大きいQwenがすべてにおいてZ-Imageより高品質」とは言い切れないこと。実際、画像内の文字を描く正確さでは小型のZ-Imageが大型のQwen-Imageを上回るという、通説をくつがえす公式ベンチの結果まであります。

この記事では、両者の正体と関係を最初に整理したうえで、得意・不得意を軸ごとに分け、最後は手元のGPUメモリ(VRAM)とやりたいこと(高速な試作・文字入れか、編集・複雑な作り込みか)の2点だけで、あなたがどちらを選べばいいのかを迷わず決められるところまで一気に持っていきます。

内容をまとめると…

  • Z-ImageとQwen-Imageは同じAlibaba系でも別系統の独立モデルで、片方の軽量版という関係ではない

  • 規模は6B対20B。軽く速いZ-Imageと、作り込みに強いQwen-Imageで役割が違う

  • 画像内の文字を描く正確さと生成の速さは、小型のZ-Imageが大型のQwen-Imageを公式ベンチで上回る

  • 編集の幅広さと複雑なシーンの作り込みはQwen-Imageに分があり、優劣は軸ごとに入れ替わる

  • 選び分けは手元GPUのVRAMと用途で決まる。文字入れ・高速試作ならZ-Image、編集・作り込みならQwen-Image

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監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

2つのモデルの正体と関係

2つのモデルの正体と関係の手順をまとめた図解
2つのモデルの正体と関係の手順

Z-ImageとQwen-Imageは、どちらも中国Alibaba(アリババ)のTongyi(通義)系から生まれた画像生成モデルです。名前も出どころも似ているので「片方がもう片方の軽量版なのでは」と思われがちですが、そうではありません。両者は同じ会社の中の別チームが、別の設計思想で作った独立したモデルです。Z-ImageはQwen-Imageを小さくしたものではない、とまず押さえておくと、この先の話が一気に整理できます。

2つの一番わかりやすい違いは「規模」です。Z-Imageはパラメータ数(モデルの中身の規模を表す数)が6B(60億)クラスの、軽量で動かしやすいオープンソースモデルです。手元の環境でも回しやすく、生成が速いことを売りにしています。誰でも改変・再利用しやすいライセンス(Apache 2.0)で公開されているのも特徴です。

一方のQwen-Imageは20B(200億)クラスの大型モデルで、規模の大きさを活かして複雑な場面や込み入った指示への対応、画像編集の幅広さを得意としています。ざっくり言えば、Z-Imageは「軽く速く回せる身軽なモデル」、Qwen-Imageは「重量級でじっくり作り込むモデル」という立ち位置の違いになります。

なお、Qwen-Imageには後継にあたるQwen-Image-2.0も登場していますが、公開情報がまだ限られているため、この記事では実績と情報が揃っているQwen-Image(20B)を比較の相手として扱います。つまりここからは、「6Bで軽量・高速なZ-Image」と「20Bで大型のQwen-Image」という2つを軸に、どちらが自分の用途に合うかを見ていきます。

スペック早見の比較表

同じAlibaba系のZ-ImageとQwen-Image、まずはスペックを1枚で見比べてしまうのが早道です。下の表で、規模・速さ・必要なGPU・得意分野の違いをまとめて確認できます。

なお、ここで挙げる数値は2026年初頭時点の公式情報や公式ベンチに基づくものです。AI画像モデルは更新が速いので、導入前には各公式の最新情報もあわせて確認してください。

項目Z-Image(Turbo)Qwen-Image
開発元Alibaba / Tongyi-MAIAlibaba / Qwenチーム
パラメータ規模約6B(6.15B)約20B
アーキテクチャS3-DiT(単一ストリーム拡散)MMDiT(画像とテキストをまとめて扱うマルチモーダル拡散)
生成ステップ8ステップ前後(NFE=モデルを通す回数)数十ステップ級
速度感サブ秒級(高性能GPUのH800で計測)・少ステップで高速相対的に低速で、概ね数倍重い
必要VRAMの目安16GB級のコンシューマGPUに収まる重め。量子化やCPUオフロードを併用すれば高VRAMのGPUでも動かせる
画像内の文字公式の同一条件ベンチでQwen-Imageを上回る(CVTG-2K単語精度 0.8671 > 0.8288 など)高品質で、段落単位のまとまった文字の配置に強い
編集適性編集向けのEdit版あり(比較的新しい)Qwen-Image-Editが成熟し、編集の幅が広い
ライセンスApache 2.0(商用利用可)オープンソースで公開
リーダーボードArtificial Analysisでオープンソース#1・全体8位(Elo約1161)

表の読み方はシンプルです。規模が小さいZ-Imageは、手元のGPUに収まりやすく、少ないステップでサッと生成できるのが持ち味です。

一方のQwen-Imageは、規模の大きさを活かして、複雑なシーンの作り込みや編集の幅広さで強みを発揮します。

NFEは画像を仕上げるまでにモデルへ通す回数の目安で、少ないほど速く仕上がります。Z-Imageが8回前後で済むのに対し、Qwen-Imageは数十回級で、その差が速度感の違いに直結します。

軸ごとに見る得意・不得意

軸ごとに見る得意・不得意の要点をまとめた図解
軸ごとに見る得意・不得意の要点

比較表を見ると、つい「結局どっちが上なのか」を一言で決めたくなります。ですが、この2つはどちらが優れているかが軸によって入れ替わる関係です。「サイズが大きいQwenの方が高品質」と一括りにすると、判断を誤ります。

うれしいことに、ここは感覚で語る必要がありません。Z-Imageの公式論文が、両モデルを同じ条件でそろえて比較した結果を公開しているからです。同じ土俵で測ったデータがあるので、「どの軸でどちらが上か」を事実ベースで切り分けられます。

そこでこの先は、優劣がはっきり分かれる2つの軸に分けて見ていきます。ざっくり言うと、文字の描き込みと生成の速さではZ-Imageが、編集のしやすさや複雑なシーンの作り込みではQwen-Imageが強い、という住み分けです。

次の章から、それぞれの軸で何がどう違うのかを具体的な数字とあわせて確認していきましょう。

①テキスト描画と効率はZ-Image

画像の中に文字を正しく描く「テキスト描画」では、6Bと小型のZ-Imageが、20B級のQwen-Imageを上回ります。公式論文の同じ条件でそろえて比べたベンチマーク(CVTG-2K)では、単語をどれだけ正しく描けたかがZ-Imageの0.8671に対し、Qwen-Imageは0.8288という結果でした。

「小さいモデルは描き込みも見劣りする」と思われがちですが、少なくとも画像に文字を描く場面では、その通説が逆転しています。

効率の差はさらに分かりやすく出ます。高速版のZ-Image Turboは、画像をわずか8ステップ前後で生成でき、高性能GPU(H800)ならサブ秒(1秒未満)で1枚を仕上げます。少ない計算量で素早く形にできる点が、効率面での最大の強みです。

英語・中国語の文字については、公式にトップ級と示されています。ただし日本語の描き込みは公式に数値が示されていないため、過度な期待はせず、英語・中国語での強さとして捉えておくのが安全です。

②編集の幅と複雑シーンはQwen

作った画像をあとから直したい、込み入った場面を一発で指示したい。こういう作り込み寄りの使い方では、20B規模のQwen-Imageに分があります。

公式が挙げる編集機能の幅が広いのが理由です。スタイルの変換、オブジェクトの追加や削除、ディテールの強調、画像内の文字の差し替え、人物のポーズ調整までを、文章での指示でこなせます。

なかでも、画像の一部だけを選んで描き直す部分修正(inpaintingと呼ばれます)や、「この看板の文字をこう変えて」といった指示ベースの編集を、意味と見た目の一貫性を保ったまま行える点が公式に挙げられています。編集専用に磨かれたQwen-Image-Editも用意されています。

複雑な場面や、込み入った長めの指示への追従も得意とされ、絵の中にまとまった文章を入れるような作り込みにも向きます。

ただし、編集を同じ条件で正面から比べたデータはまだ少なく、「編集はQwenが圧勝」とまでは言い切れません。Z-Image側にも編集対応版があり編集自体はできますが、対応できる操作の幅と成熟度では、今のところQwen-Imageが一歩先にいる、という見方が妥当です。

なぜ速い・なぜ強いのか

どちらが何に向くかを見たので、その差がどこから来るのかを設計の面から短く押さえます。要点はシンプルで、2つは規模も中身の作りも違う、というだけです。

まず前提として、パラメータとはモデルが持つ「引き出しの数」のようなもので、多いほど表現の幅が広がる代わりに動かすのが重くなります。Z-Imageは6B、Qwen-Imageは20B級で、規模そのものが3倍以上違います。

Z-Imageが軽くて速いのは、S3-DiT(単一ストリーム)という作りのおかげです。文章の意味と画像の情報を1本の流れにまとめ、各段階で密に混ぜ合わせるので、少ない規模でも効率よく品質を出せます。Turboはこれを蒸留、つまり少ない手数で仕上がるよう圧縮した版で、8ステップ前後で1枚を描き切ります。

一方Qwen-ImageのMMDiT(マルチモーダル拡散トランスフォーマー)は、複数の種類の情報をまとめて扱う大型の作りです。規模に余裕があるぶん、込み入った指示や作り込みに応える幅が広く、その代わり動かすと重くなります。

つまり「小さく賢く速いZ-Image」と「大きく表現力のあるQwen-Image」は、得意分野が違うというより、設計思想からして役割が分かれているのです。

用途とGPUで選ぶフロー

ここまでで速さと強さの理由が見えたので、あとは「あなたの環境と目的ならどちらか」を決めるだけです。手元のGPUに積まれているメモリ(VRAM)の量と、画像で何をしたいかの2点で、ほぼ答えが出ます。

まずは下の2つのリストで、自分がどちらに近いかを見てください。当てはまる項目が多い方が、あなたに合うモデルです。

こんな人はZ-Image

  • 手元のGPUのメモリが控えめ(おおむね16GB級まで)で、軽く動くモデルを探している
  • 生成スピードを重視し、待ち時間を短くしたい
  • アイデア出しのために、大量に試作(プロトタイピング)を回したい
  • 画像の中に英語や中国語の文字をきれいに入れたい
  • オープンソースとして公開されており、商用でも使いやすいモデルがよい

こんな人はQwen-Image

  • すでにある画像を細かく編集したい(部分的な修正、文章での指示による編集、スタイル変換など、編集の幅を重視する)
  • 複雑な場面や込み入った指示を、一発で通したい
  • 規模の大きさを活かした作り込みを優先したい
  • 編集機能の成熟度を重視する
  • 高いメモリを積んだGPUがある、もしくは量子化(モデルを軽くする処理)とメモリの分割読み込みでやりくりできる

どちらとも言い切れず迷うなら、現実的な順序はシンプルです。まず軽くて速く、始めるハードルの低いZ-Imageで試してみてください。

そのうえで、編集や作り込みで物足りなさを感じたらQwen-Imageへ進む、という流れが無理がありません。片方に絞らず、用途で両方を使い分けても構いません。

ひと言でまとめると、文字を入れる用途が中心ならZ-Image、編集が中心ならQwen-Imageです。この基準を自分の使い方に当てはめれば、迷わず一歩を踏み出せます。

選ぶときのよくある疑問

Q
後継のQwen-Image-2.0が出ているのに、今この2モデルを比べる意味はありますか?
A

あります。後継とされるQwen-Image-2.0は登場したものの、公開されている情報がまだ限られていて、実際の使われ方や評価が固まりきっていません。

一方で、Z-Imageと20B規模のQwen-Imageは情報も実績もそろっていて、いま現場で実際に動かされているモデルです。だからこそ、今この2つを比べることが現実の選択にそのまま役立ちます。2.0の情報が本格的にそろえば、改めて選択肢に加えて考えれば十分です。

Q
手元のGPUのVRAMが少なくても、どちらかは動かせますか?
A

Z-Imageなら現実的です。6B規模と小型で、16GB級のコンシューマ向けGPUにも収まりやすく、軽い環境でも動かしやすいのが強みです。

Qwen-Imageは20B規模で重く、そのままだと多くのVRAMを要求します。データを圧縮する量子化や、処理の一部をCPUに肩代わりさせるオフロードを併用すれば動かせますが、ある程度ゆとりのあるGPUが前提になります。VRAMが限られているなら、まずはZ-Imageから試すのが安全です。

Q
結局どちらが高品質なのですか?
A

「どちらが上」と一括では決められません。同じ条件で測った公式の比較では、画像に文字を描く正確さと生成の速さはZ-Imageが上回っています。

一方で、画像の編集の幅広さや、要素の多い複雑な場面の作り込みはQwen-Imageが得意です。総合点を競わせるより、自分がやりたいことに合うかどうかで選ぶのが正解です。

Q
日本語や中国語の文字を画像に入れたいなら、どちらが向いていますか?
A

公式に「トップ級」と示されているのは英語と中国語です。中国語の文字入れが目的なら、文字描画に強いZ-Imageの良さが活きます。

日本語についてはどちらのモデルも公式の数値で品質を保証しているわけではありません。日本語の文字入れが目的の場合は、思い込みで決めず、実際に何枚か試して仕上がりを確かめてから選ぶのが安全です。

Q
両方を使い分ける必要はありますか、片方だけで足りますか?
A

多くの人は片方だけで足ります。素早く何枚も生成したい、または文字入れが中心ならZ-Image。編集や複雑な作り込みが中心ならQwen-Imageを選べば、それで困る場面はほとんどありません。

どちらも無料で試せるので、用途が両方にまたがる場合だけ、目的に応じて使い分けるのも手です。まずは自分の主な用途に合う片方から始めてみてください。

まとめ

ここまで見てきたとおり、Z-ImageとQwen-Imageはどちらも同じAlibaba(Tongyi)系から生まれたモデルですが、得意な役割が違います。優劣を一括で決めず、軸ごとに住み分けて捉えるのが選び方の近道です。

  • テキスト描画・生成効率・軽さで選ぶなら、小型で速く動くZ-Image
  • 編集の幅広さ・複雑なシーンの作り込みで選ぶなら、大型のQwen-Image

選び分けは一言でまとめられます。手元のGPUが控えめで、速さや文字入れを中心に使いたいならZ-Image。編集や細かな作り込みが中心で、環境にも余裕があるならQwen-Imageが向いています。

どちらもモデルがオープンに公開されており、無料で試せます。迷ったら、まずは動かしやすい軽量なZ-Imageから触ってみて、物足りなさを感じたらQwen-Imageへ進む――この順番が現実的です。自分の環境と用途に当てはめて、合うほうから一歩を踏み出してみてください。

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沖
講師 沖@画像生成
画像生成クリエイター Xフォロワー 5.5万人 romptn ai 監修者
  • 大手企業6社と契約実績(TOYOTA, mercari, 伊藤園 等)
  • AI映画制作3本、WORLD AI FILM FESTIVAL 2026 in KYOTO にて2冠達成
  • Best AI Anime 受賞
  • Japan Best AI Film(グランプリ)受賞(応募431作品中)
  • 経歴:元WEBデザイナー・マーケター → 2023年に生成AIと出会い転身 → プロのAIクリエイターへ
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