Stable Diffusionは、簡単にクオリティの高い画像を生成できるだけでなく、商用利用も可能な非常に便利なAI画像生成ツールです。
しかし、Stable Diffusionを利用する際には、モデルの商用利用可否や著作権問題に注意する必要があります。
今回は、Stable Diffusionで商用利用可能なモデルやそのライセンスの確認方法、著作権フリーのモデル、商用利用不可のケース、著作権問題などについて詳しく解説していきます!
Stable Diffusionとは
Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)は2022年8月にパブリックリリースでソースやモデルなどが無償公開されたことで話題になったAI画像を生成できるサービスです。つまり、「誰でも使っていいよ」という状態ですので、無料で利用することができます。
上手に使いこなすことができれば、思い通りのAI画像を生成することができる非常に便利なツールです。
Stable Diffusionは基本的に商用利用可能!
Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)は、生成した画像についての権利を主張しないとしています。ただし、個人情報や間違った情報などの他の人に危害を与えてしまうような場合は除きます。
以下はStable Diffusionを開発しているStability AI社のライセンス規約です。
The model is licensed with a CreativeML OpenRAIL++ license. The authors claim no rights on the outputs you generate, you are free to use them and are accountable for their use which must not go against the provisions set in this license. The license forbids you from sharing any content that violates any laws, produce any harm to a person, disseminate any personal information that would be meant for harm, spread misinformation and target vulnerable groups. For the full list of restrictions please read the license
このモデルには、CreativeML OpenRAIL++ ライセンスが付与されています。著者は、あなたが生成した出力に対する権利を主張しません。あなたはそれらを自由に使用することができ、このライセンスに定められた規定に反してはいけないその使用に対して責任を負います。このライセンスでは、法律に違反するコンテンツの共有、人に危害を与えること、危害を及ぼす個人情報の流布、誤った情報の拡散、弱い立場のグループを標的にすることを禁じています。制限の完全なリストについては、ライセンスをお読みください。
引用:Hugging Face stable-diffusion License
法律に違反することやほかの人の迷惑にならない程度であれば、Stable Diffusionで生成した画像は自由に利用することができるということですね。
- Stable Diffusionのプロンプトの見本が知りたい
- 画像生成が思ったようにできない
- 色々なプロンプトを探したい
Stable Diffusionの生成画像が商用利用できない場合
Stable Diffusionは、基本的に商用利用が認められていますが、商用利用ができないケースもいくつかあります。
①商用利用不可のモデルを使用した場合
②商用利用不可のモデルをLoraで学習させた場合
③商用利用不可の画像を読み込んだ場合(img2img)
これらのケースについて詳しく解説していきます。
商用利用不可のモデルを使用した場合
Stable Diffusionでは、モデルを学習させることによって、さらにクオリティの高い画像を生成することができますよね。
しか、モデルを学習させる場合には、商用利用不可のモデルがあるため、上記で解説した方法を用いてライセンスを確認する必要があります。商用利用不可のモデルを使用して、収入を得てしまうとモデルの著作権所有者などから訴えられてしまう可能性があります。
※『モデル』の導入方法や注意点についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
商用利用不可のモデルをLoraで学習させた場合
『Lora』は、モデルや画像を追加で学習させることで、特定の人物やキャラクターなどを生成できるようにする拡張機能ツールのことです。
アニメやゲームのキャラクターを出力することができて非常に便利なツールですが、学習元はそれぞれの制作会社にありますので、もちろん著作権が存在していますので、商用利用することはできません。
※『Lora』についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
商用利用不可の画像を読み込んだ場合(img2img)
Stable Diffusionの『img2img』を使用した場合に、著作権侵害に当たるとして商用利用が認められないことがあります。
『img2img』は上記画像の赤枠の部分のことで、画像を読み込ませ、その画像の1部を変更したり似たような画像を生成できたりする機能になります。
例えば、読み込ませる画像がほかの会社が著作権を持っているマークだとして、それをベースに『img2img』で新しいマークを生成したとすると、その会社から訴えられる場合もあります。
そのため、『img2img』で商用利用可能な画像を生成したいときは、ベースの画像の著作権を確認してから使うようにしましょう。
※『img2img』の詳しい使い方については、以下の記事を参考にしてください。
Stable Diffusionで商用利用できるモデルのライセンス確認方法
続いては『Hugging Face』と『Civitai』の2つのサイトで、Stable Diffusionで商用利用できるモデルのライセンス確認方法をご紹介していきます!
『Hugging Face』でのライセンス確認方法
『Hugging Face』でモデルのライセンスを確認する方法は、以下の画像のようにmodel cardページの上部「License」から確認することができます。
「License」に“creativeml-openrail-m”と書かれている場合は、商用利用が可能です。書かれていない場合は、商用利用できないモデルになりますのでご注意ください!
『Civitai』でのライセンス確認方法
『Civitai』でモデルのライセンスを確認する方法は、以下の画像のように右下にライセンスと“This model permits users to(訳:このモデルで出来ること)”が書かれています。
『Hugging Face』に比べて、モデルを使って出来ること(どの分野で商用利用できるのかなど)が分かりやすく書かれています。
モデルで出来ることは、以下の6つになります。
- Use the model without crediting the creator(訳:クリエイターのクレジットを入れないでモデルを使用する)
- Sell images they generate(訳:生成した画像を商用利用する)
- Run on services that generate images for money(訳:お金を払って画像生成するサービスに実装する)
- Share merges using this model(訳:このモデルを使用したマージをシェアする)
- Sell this model or merges using this model(訳:このモデルまたはこのモデルを使用したマージを販売する)
- Have different permissions when sharing merges(マージを共有する時に違った権限を持つ)
生成した画像を商用利用する際は、“Sell images they generate”と“Run on services that generate images for money”にチェックが入っているか確認してください。
※『Civitai』の詳しい使い方については、以下の記事を参考にしてください。
よく利用されるモデルの商用利用の可否
Stable Diffusionでよく利用されているモデルについて、商用利用できるかどうか表にまとめたので参考にしてください。
商用利用可能な人気モデル20選!
◎リアル・実写系モデル10選
BRA(Beautiful Realisitic Asians) |
CyberRealistic |
majicMIX realistic |
BlazingRealDrive |
Realism Engine |
WeddingImperial |
chilled_remix |
ICBINP |
epiCRealism |
CherryPicker XL |
◎アニメ系モデル10選
Stable Diffusionの公式配布モデル |
AnyLoRA |
DreamShaper |
YesMix |
EnvyMix |
Kohaku-XL alpha |
Pastel-Mix |
LittleStepMix |
Dark Sushi Mix |
BreakDomainXL |
商用利用不可の人気モデル10選
ChilloutMix |
XXMix_9realistic |
Deliberate |
BeautyProMix |
Ageless V2 |
CityEdgeMix |
DDosMix |
RealDosMix |
Counterfeit-V3.0 |
Anime Changeful XL |
※『Counterfeit』というモデルについては、以下の記事を参考にしてください。
Stable Diffusionで心配される著作権問題
Stable Diffusionを提供している企業は、生成した画像はユーザーが自由に使用して良いとしています。
だからといって何の問題もなく使用できるわけではなく、あることに留意しなければトラブルが起きてしまう可能性があります。
それは、画像生成の“元となるデータ”です。
画像生成AIは、莫大な量のデータを学習することでAIを生成するためのモデルとして使えるようになります。この膨大なデータを巡ってトラブルが起きることが多いようです。
現在の日本の著作権法では、「著作権の所有者の利益を不当に害さなければ、Stable Diffusionなどの画像生成AIの情報収集や解析に著作物を利用しても良い」と定められています。
とはいえトラブルに成りかねないこともありますので、Stable Diffusionで画像生成する際には著作物の取り扱いには注意しましょう。
その他AI画像生成サービスの商用利用について
最後に、Stable Diffusion以外のAI画像生成サービスの商用利用について簡単にご紹介します!
DALL・E3
『DALL・E3』は、ChatGPTで有名なOpen AI社が提供しているAI画像生成サービスです。
『DALL・E3』は、有料プラン・無料プランで生成した画像でどちらでも商用利用が可能です。ただし、他の人に迷惑をかける可能性のある画像のアップロードは禁止されています。また、自分で撮影したり生成したりといった嘘をつく行為も禁止されています。
公式ページには以下のように記載されています。
Q.DALL・Eで作成した画像を販売することはできますか?
A.コンテンツ ポリシーと利用規約に従い、画像が無料クレジットで生成されたか有料クレジットで生成されたかに関係なく、DALL·E で作成した作成した画像は転載、販売、商品化する権利を含め、お客様の所有となります。
引用元: https://help.openai.com/en/articles/6425277-can-i-sell-images-i-create-with-dall-e
OpenAIは著作権の「譲渡」はしていますが、不明瞭な部分もあるので、AIが生成した画像についての今後の法整備に注目しながら使用しましょう。
※詳しくは、以下を参考にしてください。
Midjourney
『Midjourney』は有料プランのみ商用利用が可能となっており、適切に利用していれば著作権侵害に当たることはないでしょう。
Midjourneyの利用規約では、以下のように記されています。
If You are not a Paid Member, You don’t own the Assets You create. Instead, Midjourney grants You a license to the Assets under the Creative Commons Noncommercial 4.0 Attribution International License (the “Asset License”). The full text is accessible as of the Effective Date here: https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode.
有料メンバーではない場合、作成したアセットを所有することはできません。代わりに、Midjourney は、クリエイティブ・コモンズ非営利 4.0 表示国際ライセンス (「アセット・ライセンス」) に基づいてアセットに対するライセンスをお客様に付与します。発効日以降、全文は https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode からアクセスできます。
引用:Terms of Service|Midjourney
※詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
Dream Studio
『Dream Studio』は、ユーザーが追加学習を行うことは禁止されていますが、利用規約を守っていれば商用利用が可能になります。
OpenRAIL-Mライセンスには、他人に不利益を被るような内容を除き商用利用が許可されています。
Stable Diffusionを商用利用したいときは、追加学習をしないツール「Stable Diffusion Online」と「Diffusion Art」2つのツールを使うことができます。
※詳しくは、以下を参考にしてください。
Adobe Firefly
『Adobe Firefly』は、商用利用に特化したサイトで、追加学習など学習で使われる画像が全て著作権フリーとなっています。
生成した画像の著作権や商用利用だけでなく、追加学習のデータの著作権や商用利用が気になる方におすすめのサイトです!
Canva
『Canva』は、画像生成を行うこともできますが、一部商用利用が可能となっているようです。ただし、許可されていない場合もありますので、十分注意して利用する必要があります。
公式コラムによりますと、以下のように記載されています。
Canvaは「商用利用可能」です。プランに関係なく、Canvaで作成したデザインは商用利用が可能で、クレジット表記も必要ありません。
以下は、Canvaで許可されている商用利用の一例です。
引用:https://www.canva.com/ja_jp/learn/commercial-use/#whats-allowed
- 自社のホームページに掲載する
- SNS投稿に使用する
- マーケティング素材(広告、営業資料など)として使用する
- 名刺を配布する
- 取引先に年賀状を送る
- Tシャツを作成して販売する など
また、許可されていないものは以下のように明記されています。
商用利用が可能なため、ビジネスシーンでも安心して使えるCanvaですが、使い方によっては一部制限があります。
ここでは、Canvaで許可されていない使い方について紹介します。
- Canvaの素材(写真・音楽・動画など)を無加工の状態で、販売、再配布、クレジットの取得を行う
- Canvaで作成したデザインをつかって商標登録をする
- Canvaの素材をストックフォトサービスなどのサイトで販売する
上記の通り、Canvaのテンプレートや素材は無加工の状態で第三者に販売または配布することは禁じられています。これは、Canvaのテンプレートや素材の作成者が著作権を所有しているため、著作権侵害に相当するからです。
引用:https://www.canva.com/ja_jp/learn/commercial-use/#whats-allowed
※AI画像生成サイトをたくさん紹介している以下の記事も、ぜひ参考にしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Stable Diffusionで商用利用可能なモデルやそのライセンスの確認方法、商用利用不可のケース、著作権問題などについて詳しく解説してきました。
今回のポイントをまとめると、以下のようになります。
- Stable Diffusionは基本的に商用利用可能
- モデルによって商用利用ができるかどうか変わる
- Stable Diffusionの生成画像が商用利用できない場合
- 商用利用不可のモデルを使用した場合
- 商用利用不可のモデルをLoraで学習させた場合
- 商用利用不可の画像を読み込んだ場合
- Stable Diffusionで画像生成する際には著作物の取り扱いには注意が必要
Stable Diffusionで画像生成をする際に、今回ご紹介したポイントを意識し、商用利用や著作権の知識を身に付けておけば、上手くビジネスに活用することもできます。
しっかりモデルのライセンスや著作権を確認し、トラブルを起こさないように気を付けましょう!
- Stable Diffusionのプロンプトの見本が知りたい
- 画像生成が思ったようにできない
- 色々なプロンプトを探したい