Affinityノンデストラクティブ(非破壊的)編集の基本を解説

AIツール

Affinityで編集作業をしていて、「やっぱり元に戻したい」と思ったのに上書き保存してしまい、後悔した経験はありませんか?

Affinityのノンデストラクティブ(非破壊的)編集を使えば、元データを保持したまま自由に編集でき、いつでも修正や調整が可能になります。 クライアントからの修正依頼にも柔軟に対応でき、作業時間を大幅に短縮できるのが最大のメリットです。

この記事では、Affinityのノンデストラクティブ編集の基本から、主要な4つの機能と具体的な操作方法まで詳しく解説します。記事を読み終える頃には、修正に対応しやすく、安心して編集作業を進められるでしょう。

📖この記事のポイント

  • Affinityは調整レイヤーやライブフィルター、マスクがデフォルトで非破壊的に動作するから、元データを失わず安心して編集できる
  • 調整レイヤーなら後から何度でも明るさや色を変更できて、クライアントの修正依頼にも数秒で対応可能
  • ファイルが重くなったら不要な調整レイヤーを削除したり、履歴保存をオフにすることでサイズを削減できる
  • ノンデストラクティブ編集のような便利機能はもちろん、これからはAIツールと組み合わせて作業を自動化・効率化する時代!
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監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

Affinityのノンデストラクティブ(非破壊的)編集とは?

Affinityのノンデストラクティブ(非破壊的)編集とは、元の画像データを変更せずに編集を行う手法のことです。調整レイヤーやライブフィルター、マスクなどの機能を使うことで、いつでも編集内容を修正・削除できる状態を保ちます。

Affinityでは、主要機能がデフォルトで非破壊的に動作するよう設計されているのも特徴です。この点がPhotoshopと比較して優れているといった声もあります。

破壊的編集と非破壊的編集の違い

破壊的編集と非破壊的編集の最大の違いは、元データが残るかどうかです。

破壊的編集では、明るさ調整やフィルター適用を直接画像ピクセルに適用するため、一度保存すると元の状態には戻せません。一方、非破壊的編集では、調整レイヤーやマスクを使うことで元画像は一切変更されません。

後から「やっぱり明るすぎた」と思えば、調整レイヤーの設定を変えるだけで修正できます。

非破壊的編集のメリット

非破壊的編集の最大のメリットは、修正依頼に即座に対応できることです。

クライアントから「もう少し明るくしてほしい」「この部分だけ色を変えたい」といった要求があっても、調整レイヤーの数値を変えるだけで対応できます。破壊的編集では、元画像から作り直す必要があり、時間と労力が無駄になってしまいます。

また、試行錯誤がしやすい点も見逃せません。複数の調整レイヤーを重ねて効果を比較したり、ライブフィルターのオン・オフを切り替えたりしながら、最適な仕上がりを探れます。

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Affinityで使える主要なノンデストラクティブ編集機能3選

Affinityで非破壊的編集を実現する主要な機能をご紹介します。それぞれの特徴と使いどころを詳しく見ていきましょう。

調整レイヤー|色調補正を後から何度でも変更可能

調整レイヤーは、明るさ・コントラスト・色相などの色調補正を元画像に影響を与えずに適用できる機能です。

Affinityでは、「レベル」「カーブ」「HSL」「ホワイトバランス」など、Photoshopとほぼ同等の調整レイヤーが用意されています。調整レイヤーを追加すると、レイヤーパネルに独立したレイヤーとして表示され、いつでも設定を変更できます。

ライブフィルター|エフェクトをいつでもオンオフ・調整

ライブフィルターは、ぼかしやシャープ、エフェクトなどを非破壊的に適用できる機能です。されます。通常のフィルター適用と異なり、元画像は変更されず、フィルターの設定値をいつでも調整できるのが特徴です。

例えば、背景をぼかしたい場合、「フィルター」メニューから「ガウスぼかし」を選びます。ぼかしの半径はレイヤーパネルのライブフィルター項目をダブルクリックすれば、後からいくらでも変更可能です。

マスク|元画像を残したまま表示範囲をコントロール

マスクは、画像の一部を非表示にする機能です。Affinityでは、レイヤーを選択して「マスクレイヤー」アイコンをクリックするだけで、白いマスクが追加されます。

人物の背景を消したい場合、マスクを追加して背景部分を黒く塗りつぶします。後から「やっぱりこの部分も残したい」と思えば、白いブラシで塗り直すだけと簡単です。

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【実践編】Affinityでのノンデストラクティブ編集の操作方法

ここからは、Affinityでの具体的な操作手順を解説します。

調整レイヤー、ライブフィルター、マスクの3つの機能について、手順を説明するのでぜひ一緒に試してみてくださいね。

調整レイヤーの追加と設定手順

調整レイヤーは、「レイヤー」メニューまたはレイヤーパネル下部のアイコンから追加できます。手順は以下の通りです。

  1. 画像を開き、レイヤーパネルを表示
  2. レイヤーパネル下部の「調整」アイコン(半円と三角のマーク)をクリック
  3. 「レベル」「カーブ」「HSL」など、適用したい調整を選択
  4. 表示されたスライダーやカーブを調整して、効果を確認
  5. 調整レイヤーの不透明度やブレンドモードも必要に応じて変更

調整レイヤーを非表示にすれば、元画像の状態も瞬時に確認可能です。複数の調整レイヤーを重ねることで、複雑な色調補正も実現できます。

ライブフィルターの適用方法

ライブフィルターは、調整レイヤーと同じく、レイヤーパネル下部のアイコンから追加します。手順は以下の通りです。

  1. 画像を開き、レイヤーパネルを表示
  2. レイヤーパネル下部の「フィルター」アイコン(砂時計のマーク)をクリック
  3. 「ガウスぼかし」など、適用したい調整を選択
  4. 表示されたスライダーを調整して、効果を確認

後から設定を変更したい場合は、レイヤーのライブフィルター名をダブルクリックすれば、再びダイアログが開きます。不要になれば、ライブフィルター項目を削除するだけで元に戻せます。

マスクの作成とブラシでの調整

マスクは、選択ブラシツールで対象物を選択した後、レイヤーパネル下部の「マスクレイヤー」アイコンをクリックするだけで追加できます。手順は以下の通りです。

  1. 選択ブラシツールなどで残したい対象物を選択
  2. レイヤーパネル下部の「マスクレイヤー」アイコン(四角に丸のマーク)をクリック
  3. 白いマスクサムネイルが追加される
  4. ペイントブラシツールを選択し、描画色を黒に設定
  5. 非表示にしたい部分を黒いブラシで塗って調整する

マスクのエッジをぼかしたい場合は、ブラシの硬さを下げるか、マスクに対してガウスぼかしを適用します。マスクの濃度を調整すれば、半透明の表示も可能です。マスクは何度でも塗り直せるため、試行錯誤しながら最適な範囲を探せます。

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Affinityのデストラクティブ編集との使い分け基準と注意点

非破壊的編集と破壊的編集は、状況に応じて使い分けることが重要です。

すべての編集を非破壊的にする必要はなく、作業の性質やファイルサイズとのバランスを考えて判断します。 ここでは、どんな場面で非破壊的編集を使うべきか、逆にどんな場面では破壊的編集でも問題ないかを解説します。

ノンデストラクティブ編集を使うべき場面

クライアント案件や修正が予想される作業では、非破壊的編集を使うべきです。具体的には以下のような場面が該当します。

  • クライアント向けのデザイン・写真編集(修正依頼が来る可能性が高い)
  • 複数のバリエーションを作成する必要がある作業
  • 後から微調整したくなる可能性がある作品制作
  • チームで共有するファイル(他の人が編集する可能性がある)

企業ロゴのデザイン案を3パターン作る場合、調整レイヤーやライブフィルターを使えば、基本形を保ったまま色やエフェクトだけを変更できます。後から「やっぱり1案目の色を変えてほしい」と言われても、調整レイヤーの設定を変えるだけで即座に対応できます。

また、ポートフォリオ作品など、後から見直して改善したくなる可能性がある制作物も、非破壊的編集で残しておくと便利です。

破壊的編集でも問題ない場面

一度きりの作業や、確実に修正しない前提の編集では、破壊的編集でも問題ありません具体的には以下のような場面です。

  • SNS投稿用の画像など、使い捨ての簡易編集
  • 最終出力前の統合やラスタライズ(書き出し直前の処理)
  • ファイルサイズを抑える必要がある場合
  • 作業速度を優先したい簡単な修正

例えば、InstagramやTwitterに投稿する画像を簡単に明るくするだけなら、直接ピクセルに調整を適用しても問題ありません。後から修正する可能性がほぼないからです。

また、最終的にJPEGやPNGで書き出す前に、レイヤーを統合してファイルサイズを減らす処理は、破壊的ですが必要な作業です。ただし、統合前にプロジェクトファイルを別名保存しておけば、後から編集が必要になった際にも対応できます。

Affinityのノンデストラクティブにおける失敗例と対処法

非破壊的編集を使っていても、思わぬトラブルが起きることがあります。

ここでは、よくある失敗例と、それぞれの対処法を紹介します。上書き保存してしまった場合や、ファイルが重くなりすぎた場合、調整レイヤーが効かない場合の具体的な解決策を見ていきましょう。

上書き保存してしまったときのリカバリー方法

破壊的編集をしてしまい、上書き保存した場合、基本的には元に戻せません。ただし、いくつかの対処法があります。

1つ目は、「ドキュメントに関する履歴を保存」機能を有効にしていた場合です。「ファイル」→「ドキュメントに関する履歴を保存」をオンにしておけば、ファイルに編集履歴が埋め込まれます。ただし、ファイルサイズが大幅に増えるデメリットがあります。

2つ目は、バックアップファイルの活用です。Affinityは自動保存機能があり、一定時間ごとにバックアップを作成します。万が一の場合は、バックアップフォルダから以前のバージョンを探してみましょう。

ファイルが重くなりすぎたときの対処法

非破壊的編集を多用すると、ファイルサイズが肥大化し、動作が重くなることがあります。対処法としては、不要な調整レイヤーやライブフィルターを削除することが基本です。

試行錯誤の過程で作った調整レイヤーが残っていないか、レイヤーパネルを確認しましょう。また、「ドキュメントに関する履歴を保存」をオフにするなどの方法もあります。

調整レイヤーが効かないときのチェックポイント

調整レイヤーを追加したのに効果が見えない場合、いくつかの原因が考えられます。

まず、調整レイヤーの位置を確認しましょう。調整レイヤーは、その下にあるレイヤーにのみ効果が適用されます。効果を適用したいレイヤーの上に調整レイヤーがあるか確認してください。

また、ブレンドモードが「通常」以外になっていると、予期しない結果になることがあります。ブレンドモードを「通常」に戻して、効果が正しく表示されるか試してみましょう。

まとめ

本記事では、Affinityのノンデストラクティブ(非破壊的)編集について解説しました。ポイントは以下の通りです。

  • Affinityのノンデストラクティブ編集は、元データを保持したまま自由に編集できる強力な機能
  • 調整レイヤー、ライブフィルター、マスクの3つを使いこなせば、修正に強いワークフローを構築できる
  • クライアント案件や修正が予想される作業では非破壊的編集を使い、一度きりの作業や、確実に修正しない前提の編集では破壊的編集でも問題ない
  • 万が一破壊的編集をしても元に戻せるよう、作業時は「ドキュメントに関する履歴を保存」をオンにしておくと安心

ファイルサイズとのバランスを取りながら、非破壊的編集と破壊的編集を適切に使い分け、効率的な制作環境を整えましょう!

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