意外と知らないClaude商用利用を利用規約に基づいて解説

仕事でAIを活用したいと思ってClaudeの商用利用を検討したことはありませんか？

でも、いざ調べてみると「商用利用って本当にできるの？」「どのプランを選べばいいの？」「法的なリスクはないの？」と悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。

もし、Claudeを安全にビジネス活用できる正しい方法があれば知りたいですよね。

この記事では、Claudeの商用利用の可否からプラン選択のポイント、注意すべきリスクまで、以下の内容をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

監修者プロフィール

森下浩志

日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

Claudeとは？

ここでは、そもそもClaudeとは何か？ということに加え、料金プランについて解説します。

Claudeの概要

Claudeは、Anthropic社が開発した大規模言語モデル（LLM）です。2021年に設立された同社は、OpenAIの元メンバーが中心となって創業し、「安全で信頼できるAI」の実現を最大の目標に掲げています。

2025年5月にリリースされた最新世代「Claude 4ファミリー」は、最も強力な「Claude Opus 4」と効率的な「Claude Sonnet 4」の2つのモデルで構成されています。特にClaude Sonnet 4は無料プランでも利用可能で、高度なコーディング能力や推論性能を誰でも体験できる点が特徴です。

Claudeの最大の強みは、最大200,000トークンという大容量のコンテキストウィンドウです。これにより、数百ページ分の長文を一度に処理でき、複雑な文書の要約や分析において他のAIツールを凌駕する性能を発揮します。また、日本語での自然な文章生成にも定評があり、ビジネス文書からクリエイティブなコンテンツまで幅広い用途で活用されています。

Claudeのプラン体系

WebブラウザからアクセスできるClaude.aiに加え、iOS・Androidアプリ、さらにはAPI経由での利用も可能です。無料プランから個人向けのPro・Maxプラン、企業向けのTeam・Enterpriseプランまで、用途に応じた柔軟な料金体系が用意されています。

Claudeの商用利用とは？

Claudeの商用利用とは、Claudeで生成したコンテンツをビジネス目的で活用することを指します。具体的には、以下のような収益につながる活動での利用が該当します。

Claudeのプランごとに適用される利用規約の違い

Claudeの利用規約は、選択したプランによって適用される内容が異なります。この違いを理解せずに利用すると、思わぬトラブルや制限に直面する可能性があります。ここでは、各プランに適用される利用規約の違いを明確に解説します。

Anthropic公式の発表によれば、Claude Free・Pro・Maxの個人向けプランには「消費者利用規約（Consumer Terms of Service）」が適用されます。一方、Team・EnterpriseプランおよびAPI利用には「商用利用規約（Commercial Terms of Service）」が適用されるという明確な区分が存在します。

プラン選択時には、単に料金や機能だけでなく、適用される利用規約の内容も必ず確認しましょう。特にビジネス利用を検討している場合、どの規約が適用されるかによって、著作権保護や補償内容が大きく変わります。

 個人向けプラン（Free／Pro／Max）で適用される消費者利用規約

Free・Pro・Maxプランには「消費者利用規約（Consumer Terms of Service）」が適用され、個人利用を想定した内容となっています。

この規約における最大の特徴は、2025年9月28日から導入された「データ学習への利用選択制」であり、消費者利用規約では、生成されたコンテンツの権利がユーザーに譲渡されることが明記されています。

利用規約の更新についての詳細は、こちらのClaude公式からのアナウンスを参照してください。

また、規約には「お客様が本規約を遵守することを条件として、当社は出力に対する当社の権利、権原、および利益のすべてをお客様に譲渡します」と記載されており、商用利用も可能です。

 ビジネス活用必須！Team／Enterprise／APIに適用される商用利用規約

Team・EnterpriseプランおよびAPI利用には「商用利用規約（Commercial Terms of Service）」が適用され、ビジネス利用に特化した手厚い保護が提供されます。この規約の最大の特徴は、企業データの完全な所有権保証と著作権侵害補償です。

商用利用規約では、「顧客がその入力に対するすべての権利を保持し、その出力を所有する」と明記されています。さらに重要なのは、Anthropicが「顧客の許可された利用から生じる著作権侵害請求に対して防御し、和解金や判決を支払う」という補償条項です。この保護により、安心してビジネスコンテンツを生成できます。

もう一つの決定的な違いは、データの取り扱いです。商用利用規約では「Anthropicは有料サービスの顧客コンテンツでモデルをトレーニングしない」と保証されています。つまり、企業の機密情報や独自データが学習に使用される心配が一切ありません。データ保存期間も明確に管理され、削除要求に確実に対応します。

API利用の場合、個人利用であっても商用利用規約が適用される点に注意してください。これは技術的な統合を前提とするためで、より厳格な契約内容となります。ただし、その分だけ権利保護も強化されており、開発プロジェクトに組み込む際の法的リスクが軽減されます。

【プラン別】Claudeの商用利用は可能？規約で見る正しい使い方

「Claudeで作成したコンテンツをビジネスに使いたい」と考えている方にとって、最も気になるのが商用利用の可否です。

結論から言えば、Claudeはすべてのプランで商用利用が可能です。ただし、プランによって適用される規約内容や保護範囲が異なるため、正しい理解が必要です。

Free／Pro／Maxプラン【商用利用可能】

Free・Pro・Maxの個人向けプランでは、商用利用は認められています。ただし、その際には守らねればならない条件も定められています。

消費者利用規約の「商用利用可能」の記載

消費者利用規約では以下のように定められており、商用利用は可能であるとされます。

“Subject to your compliance with our Terms, we assign to you all of our right, title, and interest—if any—in Outputs.”

（日本語訳：お客様が本規約を遵守することを条件として、当社は出力に対する当社の権利、権原、および利益（もしあれば）のすべてをお客様に譲渡します。）

消費者利用規約

遵守すべき条件：

Free／Pro／Maxプランにおいて商用利用をする条件として、以下のことが述べられています。

Team／Enterprise／API利用【商用利用可能】

Team／Enterprise／API利用においても、商用利用は認められています。ただし、その際には守らなければならない条件も定められています。また、商用利用の範囲についても商用利用規約で触れられています。

商用利用規約の「商用利用可能」の記載

商用利用規約（Commercial Terms of Service）においても商用利用の権利が保証されています。

“Anthropic agrees that Customer (a) retains all rights to its Inputs, and (b) owns its Outputs.”

“Subject to Customer’s compliance with these Terms, Anthropic hereby assigns to Customer its right, title and interest (if any) in and to Outputs.”

（日本語訳：Anthropicは、顧客が（a）その入力に対するすべての権利を保持し、（b）その出力を所有することに同意します。顧客が本規約を遵守することを条件として、Anthropicはここに、出力に対するAnthropicの権利、権原、および利益（もしあれば）を顧客に譲渡します。）

商用利用規約

遵守すべき条件：

ただし商用利用をする条件として、以下のことが述べられています。

商用利用の範囲：

商用利用規約においては、商用利用の範囲についても以下のように定められています。

商用利用前に必読！Claudeを安全に活用するための注意点

Claudeを商用利用する際は、知識不足による著作権侵害、機密情報の漏洩、規約違反によるアカウント停止など、予期せぬトラブルがビジネスに深刻な影響を与える可能性があります。

商用利用を行う際に以下の5つの注意点を必ず押さえておく必要があります。適切な対策を講じることで、Claudeの強力な機能を安全にビジネス活用できます。継続的で安定したAI活用を実現するために、これらのポイントを実践的なガイドラインとして活用してください。

著作権リスクを避ける｜類似コンテンツの確認と人間による編集が必須

商用利用において最も注意すべきリスクが著作権侵害です。Claudeが学習データに含まれる既存コンテンツに類似した文章を生成する可能性があり、そのまま使用すると知的財産権の侵害で訴訟リスクが発生します。

著作権リスクを軽減するための具体的な対策は以下の通りです。

機密情報の取り扱い｜データ学習とプライバシー保護のポイント

機密情報の取り扱いは、プランによって大きく異なるため注意が必要です。個人向けプラン（Free・Pro・Max）では2025年9月28日から「データ学習への利用選択制」が導入され、デフォルトで学習に利用される設定になっています。ビジネス機密や顧客情報を入力する場合は、必ず設定を確認してください。

一方、商用プラン（Team・Enterprise・API）では「Anthropicは有料サービスの顧客コンテンツでモデルをトレーニングしない」と保証されています。機密性の高い情報を継続的に扱う場合は、商用プランの利用を強く推奨します。

免責事項を理解する｜生成コンテンツの正確性確認は利用者の責任

Claudeの利用規約には重要な免責事項が明記されており、商用利用時には必ず理解しておく必要があります。公式規約では「出力は常に正確であるとは限らず、詳細さや具体性のレベルから正確であるように見えても、重大な不正確さを含む場合があります」と警告されています。つまり、生成されたコンテンツの正確性確認は完全に利用者の責任です。

Claudeが生成した情報をそのまま顧客に提供し、それが原因で損害が発生した場合、Anthropicは一切の責任を負いません。責任は全て利用者側に発生します。特に、医療・法律・金融などの専門分野では、誤った情報が重大な結果を招く可能性があるため、必ず専門家による確認が必要です。

禁止事項の遵守｜誤情報・暴力・詐欺的行為は絶対NG

Claudeの使用ポリシーには12のカテゴリーにわたる詳細な禁止事項が定められており、違反するとアカウント停止や法的措置のリスクがあります。商用利用においても、これらの禁止事項は厳格に適用され、「ビジネス目的だから」という理由で免除されることは一切ありません。

主な禁止事項のカテゴリー：

利用規約変更への対策｜定期的な確認を行う

AI業界は急速に発展しており、利用規約も頻繁に更新されます。Claudeでも2025年9月28日に大きな規約変更があったように、今後も重要な変更が予想されます。ビジネスでClaudeを活用する場合、規約変更がサービス継続に影響を与える可能性があるため、継続的な監視と対策が不可欠です。

Claudeを商用利用する際にはどのプランがおすすめ？

現在、Claudeには個人向けのFree・Pro・Maxプランと、ビジネス向けのTeam・Enterprise・API利用が用意されていますが、それぞれ適用される利用規約や保護範囲が大きく異なります。

ここでは、Claudeを商用利用する際にはどのプランがおすすめかについて解説します。

結論：本格的な商用利用は【Team・Enterprise(・API利用)】が最適解

結論から言えば、継続的で本格的な商用利用を検討している企業には、Team・Enterpriseのいずれかを強く推奨します。これらのビジネス向けプランでは、商用利用規約（Commercial Terms）が適用され、個人向けプランでは得られない包括的な法的保護とビジネス支援機能が提供されます。

一方、個人事業主や小規模な商用利用であれば、Pro・Maxプランでも一定の商用活用は可能です。ただし、その場合でも利用規約の制約や責任範囲を十分に理解した上で、リスクを管理しながら運用する必要があります。

商用利用で【Team・Enterprise】がおすすめの理由

ここでは、Claudeを商用利用する際Team・Enterprise・API利用をおすすめする2つの理由について解説します。

著作権侵害に対する補償制度の存在

商用プランを選択する最大の理由は、著作権侵害に対する補償制度です。商用利用規約では「Anthropicは顧客の許可された利用から生じる著作権侵害請求に対して防御し、承認された和解金や判決を支払う」と明記されています。これは個人向けプランでは提供されない、ビジネス利用における最重要の保護です。

“Anthropic will defend Customer and its personnel, successors, and assigns from and against any Customer Claim (as defined below) and indemnify them for any judgment that a court of competent jurisdiction grants a third party on such Customer Claim or that an arbitrator awards a third party under any Anthropic-approved settlement of such Customer Claim. “

（日本語訳：Anthropicは、顧客およびその職員、後継者、譲受人を、以下に定義される顧客クレームから防御し、管轄権を有する裁判所が当該顧客クレームについて第三者に与える判決、またはAnthropic承認の和解の下で仲裁人が第三者に裁定する補償について、補償します。）

商用利用規約

データセキュリティの保証

商用プランでは「顧客コンテンツでモデルをトレーニングしない」と保証されており、企業の機密情報や顧客データが学習に使用される心配がありません。これは個人向けプランとの決定的な違いです。

個人向けプランでは2025年9月28日からデータ学習が選択制となりましたが、設定ミスや規約変更により、意図せず機密情報が学習データとして使用されるリスクが残ります。商用プランなら、このような懸念を排除できます。

” Anthropic may not train models on Customer Content from Services.”

（日本語訳：Anthropicはサービスからの顧客コンテンツでモデルをトレーニングすることはできません。）

商用利用規約

まとめ

この記事では、Claudeの商用利用について、基本的な可否から具体的なプラン選択、注意点まで詳しく解説しました。

この記事のポイント

Claudeは、適切なプラン選択と注意点の理解により、強力なビジネスパートナーとなります。まずは自社の利用目的とリスク許容度を明確にし、最適なプランを選択することから始めてみることをおすすめします。

この記事が、あなたのAI活用による事業成長の一助となれば幸いです。