現代における生成AIは、私たちの生活において非常に身近な存在になっています。
しかしGeminiやChatGPTなどの生成AIを使う人のなかには、AIによる入力内容の学習に不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。
その懸念はおおむね正しいものです。実際に生成AIでは、個人情報や機密情報の漏洩がリスクとして挙げられます。「自分が入力した内容が世界中にバラ撒かれていたら……」と考えると恐ろしいですよね。
今回は、Geminiに入力内容を「学習させない方法」や、反対に「学習させるメリット」などをご紹介します。学習によるリスクとメリットをそれぞれ把握したうえで、Geminiを安心して使える方法を学んでいきましょう。
Geminiに学習させることにより生じるリスク

まずは、Geminiに学習させることにより生じるリスクについてご紹介します。
とくにお子様がいるご家庭や、社内でGeminiを利用しているチームでは要注意。実例を踏まえて学習リスクを解説していきますので、Geminiの不安点を学んだうえで安全な利用につなげていきましょう。
個人情報が漏洩する可能性がある
Geminiに入力内容を学習させるリスクとして、個人情報が漏洩する可能性が挙げられます。
生成AIに入力した内容は、AIの品質向上のために、サーバー上に一時保存される場合があります。悪意あるユーザーによってアカウントが盗まれた際や、AIが何らかのバグを起こした際などには、入力内容が流出してしまうリスクがあるでしょう。
実際に2023年には、10万件以上ものChatGPTのアカウントがダークウェブで取引されていた事件がありました。そのなかには日本人のアカウントも600件以上含まれており、Geminiでも同様の事件が起こる可能性は十分に考えられます。
企業・会社の機密情報が漏洩する可能性がある
個人だけではなく、企業・会社の機密情報の漏洩も、Geminiの学習が抱えるリスクです。企業の情報が外部に漏洩した場合、重大な損害や信頼の失墜などを引き起こす可能性があります。
過去の事例では、韓国のサムスン電子による漏洩インシデントが発生しました。従業員がChatGPTを業務利用するなかで、社内会議の内容や業務上のソースコードなどを入力してしまったのです。
幸い大きなトラブルには発展しなかったものの、ChatGPTの運営会社であるOpenAIに社内情報が漏れたことは事実。当然、Geminiでも同様のトラブルが発生するリスクは存在しています。
Geminiに入力内容を学習させない方法
ここでは、Geminiに入力内容を学習させない方法をご紹介します。
Geminiに学習させない方法は、おもに「オプトアウトの設定」と「Google Workspaceの導入」の2つ。それぞれのやり方も具体的に解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
オプトアウトの設定をする
Geminiに入力内容を学習させないための代表的な方法が、「オプトアウトの設定」です。
生成AIにおけるオプトアウトとは「ユーザーが入力した情報やデータを、AIに学習させないための機能」です。一度オプトアウトを設定すれば、再び学習オンの設定をしない限り、同アカウント内でつねに学習を拒否できる状態になります。
以下に、Geminiのオプトアウト設定方法を「PCブラウザ版」「スマホ版」でそれぞれ解説します。
【PCブラウザ版】オプトアウト設定のやり方
1.Geminiのページ上でGoogleアカウントにログインする
2.左上のメニューボタン(3本縁のマーク)から「設定とヘルプ」を選択する
3.「アクティビティ」を選択する
4.「Geminiアプリ アクティビティ」の画面になっていることを確認する
5.トグルボタンをオフにする
6.メッセージを確認し、「OK」を選択する
【スマホ版】オプトアウト設定のやり方
1.Geminiのページ上でGoogleアカウントにログインする
2.左上のメニューボタン(3本縁のマーク)から「設定とヘルプ」を選択する
3.「アクティビティ」を選択する
4.「Geminiアプリ アクティビティ」の画面になっていることを確認する
5.トグルボタンをオフにする
6.メッセージを確認し、「OK]を選択する
PCブラウザ版もスマホ版も、オプトアウト設定のやり方は同じです。同アカウントの場合、一つのデバイス上でオプトアウト設定をすれば、別のデバイスでも学習拒否の設定が共有されますのでご安心ください。
Google Workspaceを導入する
Geminiに学習させないためには、Google Workspaceを導入するのも一つの手段です。
2025年現在、Google WorkspaceにはGeminiが標準搭載されています。しかしGoogle Workspace内では、入力情報はAIのトレーニングに使用されません。
Google Workspaceを導入することで、自社の入力情報が社外に漏洩するリスクを大きく減らせることが期待できます。ビジネス上でGeminiを安全に活用したい企業には、とくにおすすめの方法です。
漏洩されて困る情報を入力しない
オプトアウトの設定やGoogle Workspaceを導入すれば、基本的にGeminiに入力内容を学習させないことは可能です。しかし本質的な解決方法としては「漏洩されて困る情報を入力しない」に尽きます。
例として、以下の方法が挙げられます。
- お子様がいるご家庭の場合、情報リテラシーについて教育する機会をつくる
- とくに「住所」「電話番号」「暗証番号」など、プライバシーや個人特定に関する情報は絶対に入力しないように伝える
- 企業の場合は、AI利用に関するガイドラインを策定する
- AI利用に関する社内セミナーや講習会を開催する など
上記のような対策を通じて、情報漏洩のリスクをできる限り抑えた活用をしていきましょう。
Geminiが学習している5つの要素
Geminiが学習する内容は、入力したテキストの内容だけではありません。
Geminiは、おもに以下の5つの要素を学習することがGoogle公式により明言されています。
- テキストや質問の内容……チャットや画像、Gemini Liveでのやり取りの記録など
- 使用状況のデータ……利用時間や利用頻度など
- 使用しているデバイスの情報……IPアドレスやOS、ブラウザなど
- Googleアカウントに関する情報……年齢や国籍など
- 位置情報(許可した場合のみ)……おおよその現在地や、Googleアカウントに登録されている住所など
Geminiが入力内容を学習するおもな理由は、生成AI機能の向上です。収集された学習データは、機械学習技術やGoogleが提供するサービスの改良や開発などに使用されます。
Geminiを含む生成AIは、まだ発展途上。収集されたデータはサービスの品質向上や新機能の開発に活用されることにより、より機能性の高い生成AIに進化していくのです。
デメリットだけじゃない!Geminiに学習させるメリット

何かとリスクが多い印象を受けるGeminiの学習機能。しかし、学習機能自体には多くのメリットも存在しています。
ここでは、Geminiに学習させるメリットをご紹介します。Geminiによる学習は、ユーザーにとっての体験をより良いものに、そして利便性が高いものにする可能性を秘めているのです。
ユーザーの好みに応じた反応が増える
Geminiの学習機能をオンにすると、ユーザーの好みに応じた反応が増えます。過去にチャットで質問した内容や、ユーザーの使用環境などに応じて、最適な回答や提案をしてもらえるのがメリットです。
具体的な前提情報や条件などを毎回記載しなくても、より満足感が高い回答を効率的に得られるため、Gemini自体の利便性が増していきます。
プライバシーに関わらない気軽な質問や会話をするのであれば、あえてGeminiの学習機能を使い続けるのも良いでしょう。
Gemini全体のサービスの改善につながる
Geminiの学習機能をオンにすれば、ユーザーとのやり取りを通じてどんどん情報を収集していきます。その結果、Gemini全体のサービスの改善につながっていくでしょう。
Geminiにとって、ユーザーとのやり取りは「訓練」そのもの。やり取りが増えるほど、より自然な文章、より的確な回答、より深い推論などを提供できる性能が育まれていくのです。
AIの性能が向上する
Geminiの学習機能をオンにすることで、AI自体の性能も向上していきます。AIにおける性能の向上とは、「未知を既知に変える進化」です。
たとえば従来のGeminiでは理解できなかった「曖昧な文章」「文脈が間違っている文章」であっても、Gemini自体の性能が向上していけば本質的な意味を汲み取りやすくなり、ユーザーの真意や比喩を察知できるようになります。
さらに語彙が増え表現の幅も広がり、場面に応じたトーンの切り替えや文体の適応も可能に。すべてのユーザーのニーズに応えられるような、質の高いやり取りを実現するためにも、学習は欠かせない要素なのです。
Geminiの学習を止める前に!チェックしておきたい注意点
ここでは、Geminiの学習機能を止める前に、チェックしておきたい注意点をご紹介します。
学習させない状態でGeminiを利用すると、思わぬ不便が発生することも。学習オン・オフそれぞれの影響を理解したうえで、環境に合った使い方を選びましょう。
過去の履歴を参照してくれなくなる
Geminiの学習を止めると、過去の履歴を保存しなくなります。その結果、履歴を参照しなくなり、以前の会話内容の確認や再利用ができなくなってしまいます。
とくに日を跨いで取り組んでいる業務や計画などは、必要なデータを再度入力し直さなくてはいけないことも。またユーザーごとのパーソナライズ機能も制限されてしまうため、回答の精度が向上しないリスクも考えられます。
情報漏洩のリスクはゼロにはならない
オプトアウト設定をおこなっても、Geminiとのやり取りは最大72時間まで保存されます。この仕様はユーザー画面には表示されず、Geminiのサーバー内部で実行されているものです。
保存される理由は、「サービス提供におけるフィードバックの処理をするため」とGoogle公式から明言されています。ユーザーは保存中のデータに関与できず、保存期間内に不正アクセスを受ける可能性もゼロではありません。
情報漏洩のリスクをより下げるためには、過去の履歴データを削除する必要がある
Geminiで情報漏洩のリスクをより下げるためには、過去の履歴データを削除すると安心です。以下に具体的な方法を記載しますので参考にしてください。
1.Geminiのページ上でGoogleアカウントにログインする
2.左上のメニューボタン(3本縁のマーク)から「設定とヘルプ」を選択する
3.「アクティビティ」を選択する
4.「Geminiアプリ アクティビティ」内の「削除」を選択する
5.削除を希望する範囲を選択する
6.内容を確認し、「削除」を選択する
7.削除が完了した画面を確認し、「OK]を選択する
オプトアウト設定は即時反映されるとは限らない
Geminiの学習をオフにするためのオプトアウト設定は、即時反映されるとは限りません。
とはいえGoogleから公式に「〇分間かかる」と明言されているわけではありません。一般的に「Googleのサービスにおける設定変更は、即時の反映が確約されていない」という点に注意しましょう。
Geminiのオプトアウト設定でも、システム全体に設定変更が伝わるためには、数分程度の時間がかかる可能性があります。具体的な遅延時間や詳細については、Googleのサポートに直接問い合わせることをおすすめします。
Geminiに学習させない方法を知って、個人情報やセキュリティを守ろう
今回は、Geminiに入力内容を学習させない方法や、Geminiに学習させるメリットなどをご紹介しました。
Geminiの学習機能は一長一短です。止めることで情報漏洩リスクを大幅に下げられますが、日をまたいだ利用では不便さや面倒さが増してしまうこともあります。
とはいえ情報漏洩を危惧するのであれば、学習させない設定を知ることが大切。Geminiの仕様やデータの取り扱いを学んだうえで、安心安全な利用につなげていきましょう。
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