チャットGPT・ChatGPT(以下、ChatGPT)をネットなどで目にする機会は多いと思いますが、ChatGPTの「GPT」の意味はご存じですか?実はGPTは3つの単語の略語なんです。
この記事ではそんなChatGPTの「GPT」がなんの略なのか、2つの意味を解説していますので是非ご覧ください。
※2024年5月13日に、ChatGPTの新しいLLM「GPT-4o(オムニ)」が登場しました!以下の記事で詳しい概要や使い方について解説していますので、合わせてチェックしてみてください。
ChatGPTとは
ChatGPTとは、OpenAIが2022年に公開した大規模言語モデルのことです。
大量の学習データから質問に合う自然な回答を生成し、公開されてからわずか2か月で1億ユーザー数に達したほど人気で、現在も注目を集めています。
ChatGPTの「GPT」は何の略語?
そんな認知度の高いChatGPTですが、Chat(会話)の後のGPTがなんの略語なのか知る人はあまり多くないのではないでしょうか?
実はGPTの略語の意味は以下の2つあります。
- Generative Pre-trained Transformer
- General-purpose technologies
かなり意味の違う2つ意味ですが、以下でそれぞれがどんな意味の略語なのかを説明します。
①Generative Pre-trained Transformerの略
ひとつ目の略語はGenerative Pre-trained Transformer(文章生成ができる事前学習済みの自然言語処理モデル)
- Generative:ChatGPTが新しいテキストを生成する能力を持っていることを示しています。
- Pre-trained:ChatGPTが大量のテキストデータで事前に訓練されていることを示しています。
- Transformer:ChatGPTのアーキテクチャのタイプを示しており、自然言語処理タスクにおいて高い性能のアーキテクチャを持っていることを示しています。
②General-purpose technologiesの略
2つ目のGeneral-purpose technologiesの略し方は、「汎用技術」という意味です。
歴史的には、蒸気機関、電気、コンピュータなどがGeneral-purpose technologies(汎用技術)の例として挙げられます。これらの技術は、それぞれの時代において、多くの産業や市場に革命をもたらし、経済全体の成長や構造の変化を促進しました。
General-purpose technologies(汎用技術)はその名の通り「一般的な目的」に使用できる技術であり、多岐にわたる応用が可能で、広範な影響を持つ技術のことなのです。
JDLAの生成AIガイドラインの見解
2023年5月1日に行われた、JDLA(日本ディープラーニング協会)の「生成AIの利用ガイドライン」の公開・記者発表会では、以下のように述べられています。
「GPT」という用語を「General Purpose Technologies」、すなわち「汎用目的技術」と解釈することには、特定の意図があるようです。「ChatGPT」のような特定の製品名だけでなく、より広い範囲の技術に対する言及として使用されているということになります。
実際、この表現は、生成型AI技術がOpenAIによる「ChatGPT」の枠を超え、GoogleのBardやその他のIT大手によって発表される予定のAIシステムを含むようになることを示唆しています。これらの進化するAIシステムは、特定の企業や製品に限定されず、汎用的な技術の範疇に入るようになるでしょう。
サールの論文「中国語の部屋」の見解
では続いて、哲学者ジョン・サールが1980年に発表した思考実験とChatGPTの関係についてみてみましょう。
「中国語の部屋」とは?
哲学者ジョン・サールが1980年に提案した「中国語の部屋」は、AIが実際に言語を「理解」できるかについて問う思考実験です。この実験では、英語話者がルールブックを使って中国語の質問に答える状況を想定し、外見上は中国語を理解しているように見えますが、実際には言語の意味を理解していないことを指摘します。サールは、シンボルの操作だけでは真の理解や意識は得られないとし、これをAIが人間のような思考や理解を有することに対する批判につなげています。
「中国語の部屋」とChatGPTとの関係
サールの「中国語の部屋」の思考実験は、ChatGPTのようなAIが本当に言語を「理解」しているかに疑問を投げかけています。ChatGPTは大量のデータを元に人間の会話を模倣しますが、サールの実験によれば、これは言語の表面的なシンボル操作に過ぎず、真の意味の理解や意識は伴わないことを示唆します。つまり、ChatGPTは外から見れば言語を理解しているように見えるかもしれませんが、内部的な「理解」はないというわけです。
このことから、ChatGPTは「Generative Pre-trained Transformer(文章生成ができる事前学習済みの自然言語処理モデル)」という略語通りの働きをしていない、というのがサールの論文の見解と言えそうです。
【番外編】ChatGPT本体に何の略語か聞いてみた
ChatGPT自身に「ChatGPTとは何の略語ですか?」と聞いてみました。
ChatGPT自身は「Generative Pre-training Transformer」の略語という風に学習しているようです。
GPTというネーミングの意図は?
OpenAIによるChatGPTの命名における「GPT」は、「Generative Pre-trained Transformer」という用語を採用していますが、もしかすると「General Purpose Technologies」という、より広範な用途に適用可能な技術を意味する意図を含んでいた可能性も考えられます。
まとめ
いかがでしたか?
この記事をまとめると、
- ChatGPTの2つの略語
- Generative Pre-trained Transformerの略
- General-purpose technologiesの略
- JDLAの生成AIガイドラインの見解
- 「General Purpose Technologies」、すなわち「汎用目的技術」と解釈する
- サールの論文「中国語の部屋」の見解
- ChatGPTは「Generative Pre-trained Transformer(文章生成ができる事前学習済みの自然言語処理モデル)」という略語通りの働きをしていない、というのがサールの論文の見解
- ChatGPT自身は「Generative Pre-training Transformer」の略語という風に学習している
でした!
2つの意味、どちらもChatGPTの能力をよく表した略語だったのではないでしょうか?
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