AI活用でデザイナーの仕事なくなる?求められるスキルやアクションを紹介

AI副業

AIが質の高いロゴやアイコン、バナーなどを生成できるようになったことで、デザイナーの仕事がなくなるのでは?と将来性に不安を感じている人もいると思われます。

しかし、AIがいくら質の高いデザインをできるようになったとしても、デザイナーやクリエイターの仕事は無くなったり置き換えられたりすることはないと考えられます。この記事では、AIによってデザイナーの仕事がどう変わるのか解説します。

また、AI時代においてデザイナーに求められるスキルや目指すべき方向などについても取り上げているため、生き残る方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

監修者プロフィール
森下浩志
日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

AIでデザイナーの仕事はなくなる?現実と今後の展望

AIが登場してからA Iに仕事を奪われると言われるようになりましたが、実際に仕事奪われたかといえば必ずしもそうではありません

例えば、デザイナーの仕事は、AIの登場によって従来の仕事のやり方から変化しつつありますが、その職種自体が終わりなわけではありません。また、今後もすぐになくなるということはないと予想できます。

ここで注意しなければならないのは、デザイン業界における仕事のやり方がAIによって変わるということです。AIは、一定のルールに基づいた反復的なデザインや提携的なデザインをスピーディかつ大量に行うことができます。

そのため、例えばバナー作成や簡単なロゴ作成、アイコン作成といった簡単なデザインの仕事はAIに取って代わられる可能性があり、実際にAIでこういったデザインを作成している人は少なくないと思われます。

一方で、デザインの仕事の中でも、思考や対話などAIにはまだできないことを伴うものに関しては、AIはあくまでも補助的な役割にとどまっており、人がメインで仕事を進めることとなります。

具体的には、クライアントとのやりとりを通して文脈や意図を汲み取りブランドのビジュアルを提案するといった作業です。また、UIやUXの設計、アートディレクションなどにおいてもAIは補助的な役割となっています。

このように、AIの登場によってデザイナーの仕事がなくなるとは断言できません。ただし、従来型の働き方に固執していると仕事が徐々に減っていってしまうでしょう。

デザイナーの仕事で進むAIの活用の現状

AIによってデザイナーの仕事がなくなるわけではありませんが、デザインの分野にもさまざまなAIが活用されるようになっています。

Midjourney、DALL·E、Adobe Fireflyといった画像生成AIやCanva、LookaKhromaなどの自動デザインツールなどは代表的な例の1つです。

詳しくは後述しますが、デザイナーとして仕事を失わないためには、自身のデザイナーとしてのスキルを磨くのはもちろん、こういったAIツールをいかにして使いこなすかが鍵となります。

AIが得意な仕事・苦手な仕事とは?

ここで改めて、AIはどういった仕事が得意で、何が苦手なのかを整理しておきましょう。デザインに関連するもので得意な仕事は以下の通りです。

  • テンプレ的なバナー制作
  • 単純なロゴ・アイコンの作成
  • 写真加工や背景除去などの単純操作

「テンプレ」「単純」といった言葉が並ぶことからもわかるように、AIはデザインに関連する作業の中でも、複雑さのないシンプルな作業を得意としています。

そのため、パターン化されたバナー制作やサムネイル作成、ロゴやアイコンのバリエーション展開といった作業はデザイナーからAIに変わる可能性が考えられます。

一方で、ブランドコンセプトの設計やUX設計、クライアントとの対話を通した提案、文脈や感情を加味したデザインなどは、AIは得意ではありません

AIはインプットされた情報をベースに処理を行いデザインするため、相手のニーズをデザインという形に起こすといった作業は人の方が上手だといえます。

例えば、クリエイティブディレクターやアートディレクターなどの仕事は簡単にAIに奪われることはないと考えられます。

AI時代に求められるデザイナーのスキル3選

AIの登場によって仕事を取り巻く環境が変わりつつあるデザイナーですが、AI時代を生き残るためにも、スキルアップに努める必要があります。

ここでは、デザイナーに具体的にどういったスキルが求められるのか解説します。

1.ディレクションスキル

デザインの仕事にもAIが進出していることもあり、デザイナーもAIを使ってディレクションできるようになる必要があります。

例えば、AIに対して出す指示、つまりプロンプトを考える力はその1つです。AIを通してデザインを作成するにしても、明確で具体的なプロンプトがなければ適切なデザインは生成されません。

例えば、「カッコイイロゴを作って」や「おしゃれなアイコンを作って」といっても、情報が曖昧であるため、デザイナーが求めるデザインが生成されない可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、「20代向けにスポーティでシンプル、文字なしのアイコンを作って。背景は青系の配色で」など、具体的なターゲットや制約条件をプロンプトで示す必要があります。

このように、デザインの仕事でデザイナーがAIと共存するためには、何をどう出力させるかを言語化して伝えられるようになければなりません。

2.自動生成されたものを再構成・修正・提案に活かす力

デザイナーには、AIが生成したものを必要に応じて再構成したり修正したりする力も求められます。

AIはスピーディかつ大量にさまざまなデザインを生成しますが、作られたものが必ずしも質が高いとは限りません。もしかしたら「ここはいいけどここはイメージと違う」となることもあるかもしれません。

例えば、見た目は美しいもののUXを意識したデザインにはなっていないといったケースです。

このような場合、AIが生成したものをベースにデザイナーが修正・再構成を行い作品として仕上げる必要があります。デザイナーとしての感性やセンスが問われる部分であり、AIには対応が難しい部分です。

3.他職種との協働スキル

AIの活用に伴い他の職種と協力して仕事をする機会も増えると考えられ、デザイナー単独で完結する仕事は少なくなるため、協働スキルは必要不可欠です。

例えば、エンジニアと協働するケースが挙げられます。

UI設計をコード実装をする前提で共有する場合、AIが生成したプロトタイプをベースに話を進める場面が想定されるため、デザイナーは、AIが出力した案を理解し、実装しやすい形に落とし込む役割が求められます。

また、マーケターと協働するケースもあるでしょう。

具体的には、キャンペーンの狙いやユーザー属性を踏まえてAIにビジュアルを生成させるときにどのようなプロンプトを使うか、どのアウトプットが適しているかを一緒に判断するといった形です。デザイナーがマーケターとAIの橋渡しの役割を担います。

仕事がなくなる前に!デザイナーがするべき3つのこと

ここではAIがデザインを生成する現代において、仕事がなくなるといった事態に陥らないために、デザイナーがするべきことを紹介します。

AIによって仕事がなくなると怯える人もいるかもしれませんが、取り組み次第では自身の仕事の幅を広げることも可能です。

1.AIを活用できるようになる

デザイナーはAIに仕事を奪われるという認識を持つのではなく、AIを活用して仕事をするという認識を持つことが大切です。

そのため、AIを自ら使いこなせるようになりましょう。使いこなすためには実際に触っていろいろ試してみることが重要です。

例えば、ツールによってデザインのタイプに違いはあるのか、どういったプロンプトでどのようなデザインが生成されるのか、など自分で試すことで何ができるのか、どういった活用方法ができそうかといった点が見えてくるはずです。

また、AIの使い方を理解できれば、最初のラフなアイデアをAIに出してもらいブラッシュアップを自分で行うといった作業の進め方もできるため、作業効率も高まるでしょう。

2.プロンプトを学ぶ

AIを活用する上でポイントとなるのがプロンプトの使い方です。AIに対して出す指示によってデザインの内容も質問全く別のものになります。

そのため、効果的なプロンプトの作り方をデザイナー自身が学ぶことが重要です。プロンプトと聞くとわかりにくいかもしれませんが、要はデザインのメー時や意図を言葉で伝える力だと理解してください。

そのためには、自分のデザインを論理的に言語化できる力を養うことが求められます。

3.上流工程に関われるようにする

デザインの上流工程、つまりプロジェクトにおける初期段階で意思決定に関われるようにすることは、AI時代のデザイナーにとって重要な目標の1つです。

上流工程ではクライアントとのコミュニケーションを通して問いを立てる・要件を整理するといった思考プロセスが求められ、AIよりも人間の方が適しているといえます。

「誰に」「何を」「どう伝えるか」といったコンセプト設計を行う、ユーザー体験を前提としたUX・UIの構造設計をこなうなど、高度な思考力が求められます。

このような工程に携わるのは、以下のような職種が考えられるでしょう。

  • ビジュアル面からプロジェクト全体を統括するアートディレクター
  • ユーザー視点からサービス全体の体験を設計するUXデザイナー
  • ビジネス視点も含めた上位概念のデザインを行うサービスデザイナー

など

これらの点から、ただデザインをするのではなく、上流工程まで対応できる上記のような職種を目指すのもAI時代におけるデザイナーが目指す方向性の1つだといえます。

まとめ

今回は、AIによってデザイナーの仕事がなくなるのかという点について解説しました。この記事のポイントは以下のとおりです。

  • AIによってデザイナーの仕事がなくなるわけではないが、仕事のやり方に変化が生まれる
  • デザイナーはAIを使いこなすようになることを目指すべき
  • デザインだけでなく上流工程に携われる職種を目指すのも方向性の1つ

デザイナーとしてAIとどう向き合うか、ぜひ今回の内容を参考にしてください。