【DeepSeekショック】NVIDIAの株価の大暴落はなぜ起きたのか

AI市場に突如、財界を揺るがす大事件が発生しました。中国発のAIアシスタント「DeepSeek」が、App Store無料アプリランキングで首位に急浮上。

この動きが原因となり、NVIDIAの株価は、142ドル付近から117ドル付近へと最大17%も大暴落しました。この出来事の背景には何があったのでしょうか？

DeepSeekの流行の背景

DeepSeekは、驚異的な速度や高い推論力が評価され、短期間で人気を集めたAIアシスタントです。OpenAIのChatGPTやMetaのLlamaを凌ぐ性能が話題となり、特にローコストなハードウェアでも効率的に動作する点が注目されています。

これにより、NVIDIAの高機能チップに依存せずにAIを動作させられることが実証され、従来のAI開発の前提を覆す結果となりました。この事実が、NVIDIAに対する市場の評価を揺るがせたのです。

NVIDIAの株価は、DeepSeekが示した「少ない資源でも高性能なAIを構築できる」という事実によって、投資家の信頼を失いました。高コストなチップが必要不可欠だとされてきた常識が大きく見直されるきっかけとなりました。

DeepSeekによると、1モデルの開発にかかった費用を約560万ドル（約8億6000万円）と説明しています。

その真偽は不明ですが、今までの大規模言語モデルと比べると圧倒的に安いコストで開発ができたことは間違いないとの見方が多数です。

NVIDIAはAI市場におけるリーダー的存在でしたが、DeepSeekのような低コスト解決策が登場したことで、投資家の期待が大きく揺らぎました。

DeepSeekの登場は、米紙に「AI界のスプートニクモーメント」と評されるほどのインパクトを与えました。

オバマ大統領が2010年末に使った表現で、アメリカが軍事力や技術力で他国に出し抜かれる瞬間を指す。

しかし一方で、精密な処理を求める大手企業の利用には引き続き高性能なチップが必要とされるため、完全に市場を支配するには至っていません。

それでも、この動きが示すのは「誰もが参入可能な」AI市場の可能性です。今まで、大規模言語モデルを開発するには、高機能チップが大量に必要だとされてきましたが、DeepSeekのような開発手法を取ることで、誰でもこの市場に参入できるというわけです。

DeepSeekの出現は、AI業界だけでなく市場全体のシステムをも変える可能性を秘めています。この事件が示しているのは、AI市場の競争が「高性能」から「普遍性」へとシフトする必要性です。

これは始まりに過ぎません。今後、DeepSeekがさらなる影響を及ぼす中で、NVIDIAや他の大手企業がどのように対応するのか注目が集まります。