最新の画像生成AI「FLUX.1」を使いこなすために欠かせないのが「LoRA」です。FLUX.1の高品質な画像生成能力をさらに利用するために、自分好みのスタイルやキャラクターを作り出すことができるツールとして注目されています。
この記事では、FLUX.1 LoRAの基本から作成方法、使い方、おすすめのLoRAまで、あらゆる角度から詳しく解説します。初心者の方でも理解しやすいよう、分かりやすく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください!
- FLUX.1 LoRAの学習方法
- FLUX.1 LoRAの使い方
- FLUX.1 LoRAを使用する際の注意点
- おすすめのFLUX.1 LoRA10選!
FLUX.1とは?

FLUX.1は、Stable Diffusionの開発者たちが設立したBlack Forest Labsが発表した最新の画像生成AIモデルです。優れた画質と高いプロンプトの再現性を持っており、手や指といった細部の表現が非常に正確であることが特徴です。
FLUX.1には以下の3種類のモデルがあります。
- FLUX.1 [pro]: APIから利用可能な最高品質のモデル
- FLUX.1 [dev]: 非商用アプリ向けのオープンなモデル(20 steps)
- FLUX.1 [schnell]: 最速の高速生成モデル(4 steps)
FLUX.1は従来のStable Diffusionなどと比較して、高品質な画像生成が可能ですが、より多くのリソースを必要とします。
※FLUX.1の使い方については、下記記事で詳しく解説しています!
LoRAとは?

LoRA(Low-Rank Adaptation)は、大規模なAIモデルを効率的に微調整するための技術です。FLUX.1のようなベースモデルに対して、特定のスタイル、キャラクター、特徴などを学習させることで、オリジナルのモデルに新しい要素を追加できます。
簡単に言えば、「AIにちょっとした個性を付け加える」ための道具と考えてください。
※LoRAに関する詳しい情報については、下記記事で解説しています!
FLUX.1 LoRAの主なメリット
- 高画質のキャラクター生成: Midjourneyレベルの画質で細部までこだわったキャラクターを出力
- 少ないデータで学習可能: 10~20枚程度の画像があれば、特定の顔の特徴を学習可能
- 軽量で扱いやすい: 元のAIモデルに比べて非常に小さいサイズ
- 柔軟なカスタマイズ: 元のモデルを変更せずに新しい特徴を追加可能
- 高速な学習: 通常のファインチューニングより短時間で学習完了
初心者の方でも安心して作れますので、続いては早速学習方法を見てみましょう!
- Stable Diffusionのプロンプトの見本が知りたい
- 画像生成が思ったようにできない
- 色々なプロンプトを探したい

FLUX.1 LoRAの学習方法
FLUX.1用のLoRAを学習するには複数の方法があります。ここでは主な3つの方法を紹介します。
①クラウド環境でのLoRA学習方法(Replicate)
最も手軽にLoRAを作成できる方法です。クラウド上で処理するため、高性能なPCがなくても作成可能です。
- STEP1Replicateに登録する
こちらから、GitHubアカウントでサインインしましょう。
サイト:https://replicate.com/home - STEP2LoRA作成の準備
①参照元となる画像を用意(PNG/JPG形式)
②画像に適切な名前を付ける(例:
a_photo_of_***().png
)③画像をZIPファイルにまとめる
- STEP3ReplicateでのLoRA作成
①https://replicate.com/ostris/flux-dev-lora-trainer/train にアクセス
②モデル名を設定(例:
kenta-flux-lora
)③STEP2のZIPファイルをアップロード
④トリガーワードを設定
⑤「Create training」をクリック
⑥約20分、コスト約300円程度で作成完了です。
生成例
Replicateを使うメリットは、簡単な操作で短時間・低コストでLoRAを作成できることです。しかし、詳しい設定ができず、学習ステップ数などに制限があります。
②ローカル環境でのLoRA学習方法(Flux Gym)
自分のPCでLoRA学習を行う方法です。より細かい設定が可能で、何度も作成する場合はコストを抑えられます。
その際、下記の環境が必要ですので確認してください。
- VRAM 12GB以上のグラフィックボード(RTX 3060以上推奨)
- メモリ32GB以上推奨
- Windows OS
- STEP1Flux Gymのインストール
- STEP2LoRA Info設定
①LoRAの名前とトリガーワードを設定
②ベースモデルの選択(
bdsqlsz/flux1-dev2pro-single
がおすすめ)③使用するVRAMを設定
- STEP3データセット準備
①学習する画像をアップロード(6~10枚程度)
②「Add AI captions with Florence-2」でキャプションを自動生成
- STEP4学習開始
①「Start training」をクリック
②ステップ数は「Repeat trains per image × Max Train Epochs × 学習画像枚数」で計算
③RTX 3060の場合、7枚の画像で約3時間程度かかります
コチラが参考になります。
Flux Gymを使うメリットは、無料で何度でもLoRA学習ができること、細かい設定が可能なことです。デメリットは、高性能なPCが必要なことと、学習時間が長いことです。
③AI-Toolkitを使ったLoRA学習方法
WebUIがついているため視覚的に分かりやすく学習できる方法です。
- STEP1AI-Toolkitをセットアップ
- STEP2トレーニング設定
①LoRA名とトリガーワードを設定
②画像をドラッグ&ドロップでアップロード
③キャプションの自動生成:自動リサイズや正方形の切り抜き、キャプション生成機能が組み込まれています。
- STEP3学習開始
GoogleコラボのA100GPUでも約40分で学習完了します。
AI-Toolkitのメリットは、直感的なWebUIで操作できること、画像の前処理を自動で行ってくれることです。
FLUX.1 LoRAの使い方
FLUX.1 LoRAを実際に使うには、以下の方法があります。
- ComfyUI
- Stable Diffusion WebUI Forge
- Google Colaboratory
①ComfyUIでの使用方法
ComfyUIはFLUX.1に対応した画像生成環境の一つです。
- STEP1必要なファイルの準備
以下の2つを用意しましょう。
- FLUX.1のモデルファイル
- LoRAファイル(
.safetensors
形式)
- STEP2ワークフローの拡張
ComfyUIを開きましょう。
①LoraLoaderModelOnlyノードを追加
②Load CheckPointとKSamplerの間につなげる
※ComfyUIの使い方については、下記記事で解説しています!
- STEP3生成設定
①プロンプトにトリガーワードを含める
②LoRAの適用強度を調整(通常は0.8~1.0)
設定が出来たら通常通り画像を生成すればOKです!
※下記記事も参考にすると良いでしょう。
②ForgeでのLoRA使用方法
Stable Diffusion WebUI ForgeはFLUX.1に対応した便利なUIツールです。
- STEP1Forgeのセットアップ
最新バージョンにアップデートしないと利用できないので注意してください。
※Forgeのインストール方法は、下記記事で解説しています!
【完全版】Stable Diffusion WebUI Forgeのインストール方法!エラーの解決策も解説Stable Diffusion WebUI Forgeのインストール方法を、Windows、Macの環境別に詳しく解説しています。少ないVRAMでも高速に画像生成できる特徴や、よくあるエラーの解決法、おすすめの拡張機能まで網羅した完全ガイドです! - STEP2モデルとLoRAの準備
以下の2つのモデルを用意してください。
- FLUX.1のモデル(FP8版推奨)
- LoRAファイル:LoRAフォルダに配置
- STEP3LoRAの適用
①LoRAタブから目的のLoRAを選択
②プロンプトにトリガーワードを含める
③Diffusion in Low Bitsタブを「Automatic (fp16 LoRA)」に設定
③Google Colaboratoryでの使用方法
高性能PCを持っていない場合はGoogle Colaboratoryを利用することも可能です。
- STEP1コラボノートブックの準備
FLUX.1対応のノートブックを利用するようにしてください!
※Google Colabの使い方については、下記記事で解説しています。
- STEP2LoRAの設定
Google Colab立ち上げの際に、LoRAファイルをアップロードします。
- STEP3生成設定
使うLoRAを選択して、通常通り画像を生成しましょう。
詳しくは、こちらも参考にしてください!
FLUX.1 LoRAを使用する際の注意点
FLUX.1 LoRAを使用する上で、以下の点に注意が必要です。
- モデルとLoRAの互換性:LoRAを使用する場合はFP8モデルを使用(NF4では効果が出ないことがある)する必要があり、Dev用のLoRAはSchnellでも使用可能な場合があります。
- VRAM要件:FLUX.1はVRAM消費が大きい(最低24GB推奨)です。Google ColaboratoryではL4以上のGPUが必要なことに注意してください。
- 学習データの選択:学習データの質が出力結果に大きく影響します。特定の特徴を学習させるには、その特徴が明確な画像を使用しましょう。
- 著作権への配慮:著作権で保護されたコンテンツを無許可で学習データとして使用しないようにてください。
- パラメータ調整:学習率や次元数などのパラメータは結果に大きく影響しますので、過学習にならないよう適切なステップ数を設定しましょう。
特に、著作権の問題は非常に重要ですので学習させる際は気をつけてください!
おすすめのFLUX.1 LoRA10選!
FLUX.1用に多くのLoRAが公開されています。ここでは、特におすすめのものをいくつか紹介します。
①スタイル系LoRA
Aki Anime: アニメ調の高品質な画像生成が可能

Artify’s Fantasy and Sci-Fi Art: ファンタジーやSF系の表現に優れる

Flat Colour Anime: フラットな色彩のアニメスタイル

Midjourney Whisper: Midjourneyに似た雰囲気を表現

②人物特化LoRA
KoreanDollLikeness-FLUX: 韓国人女性の特徴を再現するLoRAで、自然な肌の質感と特徴的な顔立ちを表現できます。

Male model man jxx: 男性モデルの特徴を学習したLoRAで、筋肉質で洗練された顔立ちの男性キャラクターを生成できます。

QTCanimatedFeeling-FLUX-PAseer: アニメーションスタイルを強化し、細かい目の表現や複雑なドレスの表現が可能

③テーマ特化LoRA
Cyberpunk Anime Style: サイバーパンク世界観の表現

Neon Cyberpunk FLUX: ネオンが輝く未来的な世界観

Fantasy Armor: アーマーの細部表現に優れる

LoRAの組み合わせ方
実は複数のLoRAを組み合わせることで、さらに独自性の高い画像を生成できるんです!最後に、上記で紹介したおすすめLoRAの中からいくつかの効果的な組み合わせを紹介します。
- Artify’s Fantasy (0.8) + Flat Color Anime (0.5)
- よりアニメ調に寄せた表現が可能
- DistantFuture (0.8) + Neon Cyberpunk (0.5)
- 未来的なテクノロジーと鮮やかなネオンの組み合わせが可能
- Aki Anime (0.8) + Mythic Fantasy (0.6)
- ファンタジー要素を含んだアニメ表現が可能
LoRAの重み(数値)を調整することで、それぞれの効果のバランスを取ることができます。


※詳しくは、下記記事を参考にしてください!
まとめ
いかがでしたでしょうか? FLUX.1 LoRAの基本から作成方法、使い方、おすすめのLoRAまで詳しくご紹介しました。
この記事で紹介したことをまとめると次のようになります。
- LoRA作成はReplicate(クラウド・約300円)、Flux Gym(ローカル・無料)、AI-Toolkit(ローカル・無料)などで可能
- LoRA学習には6〜20枚程度の画像があれば十分
- 作成したLoRAはComfyUI、Forge、Google Colabなどで使用可能
- LoRAを使用する際はFP8モデルを使うとより効果的
- 複数のLoRAを組み合わせることでより個性的な画像生成も可能
FLUX.1の高品質な表現力とLoRAの柔軟なカスタマイズ性を組み合わせることで、これまでにないクオリティーの画像生成が可能になります。
初心者の方も経験者の方も、ぜひFLUX.1 LoRAを試してみてください!