近年急速に進化する人工知能(AI)の技術に対し、日本政府はその活用促進とリスク管理を両立させるための新たな取り組みを進めています。
12月26日、石破総理大臣は第12回AI戦略会議・第6回AI制度研究会合同会議に出席し、AI法規制に向けた中間取りまとめ案をもとに、新法案の国会提出を指示しました。
中間取りまとめ案の主な内容
AI制度研究会が公表した中間取りまとめ案では、以下のような重要な提言がなされています。
- 政府の司令塔機能の強化
省庁横断でAI政策を統括するため、全閣僚が参加する「AI戦略本部」を新設。これにより、研究開発や活用促進に向けた戦略の一元化を図ります。 - リスク対応とイノベーションの両立
AIがもたらすリスクと国民生活向上の可能性を両立させるため、国際的な基準に基づくガイドラインを整備。事業者には自主的な対応を促しつつ、電子透かし技術や発信者情報明示の重要性を指摘しています。 - 重大事案への対応
国民の権利侵害が懸念される事案に備え、国が事業者と連携して原因究明や対策を実施できるような法制度の必要性を強調。
石破総理のビジョン
石破総理は会議で、「我が国が世界で最もAIの研究開発・実装がしやすい国になることを目指し、世界のモデルとなるAI制度を構築する」と強調しました。
さらに、広島AIプロセスの指針を整備し、国際的なAIルール形成の先駆者となる意向を示しています。
今後の展望
政府は関連法案を早期に国会に提出し、AIの活用を促進する環境整備に取り組むとともに、偽情報対策やAI安全性の評価基準策定など、技術的課題への対応も進めていく方針です。