米国の新聞大手ガネットが、同社の商品レビューサイト「Reviewed」を11月1日付けで閉鎖することが明らかになりました。この決定は、AIを使用して生成されたコンテンツを適切な開示なしに公開したとの疑惑が持ち上がる中で下されました。
閉鎖する背景
Reviewedは、靴から家電製品まで幅広い商品の推奨情報を提供するサイトで、ジャーナリストを雇用して商品のテストとレビューを行っていました。しかし、最近になって同サイトの記事が本当に人間によって作成されたものなのかという疑問が浮上しました。
AI生成コンテンツの疑惑
2023年10月、Reviewedのスタッフが、ガネットがAI生成の製品レビューをサイトに掲載していると公に非難しました。問題の記事は以下の特徴を持っていたとされています。
- 奇妙で堅苦しい文体
- 記事の著者とされる人物がLinkedInなどのプラットフォームに存在しない
- 記事の信憑性に疑問を抱かせる内容
これらの指摘に対し、ガネットは記事がアドボン・コマースというサードパーティのマーケティング会社によって制作されたと説明しました。しかし、元のレビューには適切な開示が含まれていなかったことを認めつつ、AIの関与は否定しています。
アドボン・コマースの関与
The Vergeの調査によると、Reviewedのコンテンツ制作に関わっていたアドボン・コマースは、以前にもスポーツ・イラストレイテッド誌で同様の騒動を引き起こした会社でした。スポーツ・イラストレイテッド誌の事例では、AIの関与を示す明確な証拠(AI生成の顔写真の使用など)が見つかっています。
アドボン・コマースのCEO兼共同創業者であるベン・ファウ氏は、メディア業界での人脈を利用して報道機関と契約を結び、マーケティングコンテンツを様々な媒体に掲載していたことが明らかになりました。同社は「人間のみ、AI強化、ハイブリッドのソリューション」を提供していると主張しています。
閉鎖の理由
ガネットの広報担当者ラーク・マリー・アントン氏は、Reviewedの閉鎖について次のように述べています。
Reviewed事業を慎重に検討し評価した結果、事業を終了することを決定しました。消費者に信頼できる製品レビューを提供してくれた従業員に心から感謝します。
しかし、具体的な閉鎖理由は明らかにされていません。一方で、アントン氏は後のフォローアップで、GoogleのアルゴリズムMM変更による検索トラフィックへの影響を示唆しています。
閉鎖は、Reviewedが検索トラフィックに大きく依存しており、Googleの絶え間ないアルゴリズムの変更により現在のビジネスモデルが劣化しているという事実に大きく影響されたビジネス上の決定です。
影響と今後の展開
- 閉鎖により73人の従業員が影響を受けるとされています。
- ケンブリッジにある同社のオフィスと研究所も閉鎖される予定です。
- ガネットは、Reviewedのスタッフが同社内で新たな職務を提供されるかどうか、あるいは解雇されるかについてはコメントを控えています。
この一件は、AIの急速な発展がジャーナリズムや製品レビュー業界にもたらす課題を浮き彫りにしています。適切な開示と透明性の確保、AIと人間の役割の明確化など、今後も議論が続くことが予想されます。