人間らしい会話ができることで話題のAI、「ChatGPT」(チャットGPT、以下ChatGPTと表記)ですが、翻訳精度はどのくらいなのでしょうか?
この記事では、DeepLやGoogle翻訳と比較しつつ、ChatGPTの翻訳術など便利な使い方を模索していきます。
PDFを一瞬で翻訳する方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
※2024年5月13日に、ChatGPTの新しいLLM「GPT-4o(オムニ)」が登場しました!以下の記事で詳しい概要や使い方について解説していますので、合わせてチェックしてみてください。
【使い方】ChatGPTに翻訳をして貰う方法
まずChatGPTを使って翻訳をする方法ですが、至ってシンプルです。
ChatGPTに「翻訳機能」はないので、シンプルに「~を日本語に訳して。」とお願いするだけです。文章に強いAIなので、言い方は何でも大丈夫です。
試しに、スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学で行ったスピーチの冒頭を翻訳してもらうとこうなりました。
訳を見るとわかりますが意訳はほとんどなく、直訳をしていますね。
ChatGPTの翻訳精度はどのくらい?DeepLやGoogle翻訳と比較
ChatGPTの翻訳精度を検証してみましょう。
先程のスティーブ・ジョブズのスピーチを、DeepLやGoogle翻訳にも翻訳させてみました。
本日は、世界で最も優れた大学の 1 つである皆さんの卒業式に出席できることを光栄に思います。 私は大学を卒業したことがありません。 実を言うと、これが私がこれまで大学卒業に最も近づいた日です。 今日は私の人生から3つの話をしたいと思います。 それでおしまい。 大きな問題ではない。 たった3話。
最初のストーリーは点と点を結ぶことについてです。
今日、世界でも有数の大学の卒業式で皆さんとご一緒できることを光栄に思っています。私は大学を卒業したことがありません。実を言うと、これが大学の卒業式に最も近いものなのです。今日は私の人生から3つの物語をお話ししたいと思います。それだけです。大したことはありません。ただ、3つの物語を。
最初の話は、点と点を結ぶという話です。
細かく見ていくと、「Close to~」という表現を、Google翻訳やChatGPTでは「最も近づいた」と直訳しているのに対し、DeepLでは「最も近いもの」と本文に合うような形で意訳していますね。
また、「No big deal」という表現をGoogle翻訳では「大きな問題ではない」と訳していますが、ChatGPTやDeepLは「大したことはない」とより文章に合う形で翻訳しています。
もっと他の文章で試すとことなるかもしれませんが、大凡の翻訳精度の目安としては、
DeepL > ChatGPT > Google翻訳
ぐらいなイメージかと思います。今後もっと良くなっていく可能性が高そうですね!
ちなみに、日本経済新聞による翻訳も掲載しておきます。
世界でもっとも優秀な大学の卒業式に同席できて光栄です。私は大学を卒業したことがありません。実のところ、きょうが人生でもっとも大学卒業に近づいた日です。本日は自分が生きてきた経験から、3つの話をさせてください。たいしたことではない。たった3つです。
まずは、点と点をつなげる、ということです。
ChatGPTによる翻訳の本領は「要約」や文体の変更にある
翻訳精度が低いからといって、ChatGPTが使えないかというとそんな事はありません。
ChatGPTはそもそも翻訳を目的として作られていないので、要約や文体の変更などと組み合わせることでとてつもないパフォーマンスを発揮します。
以下でChatGPTを有効活用できる翻訳術を紹介していきます。
ChatGPTで要約させてから翻訳する
ひとつ目の翻訳術は、一度翻訳させたあと、要約してもらう方法です。
要約というよりは感想文になってしまってます。
無料版のChatGPT-3.5より更に賢い、新しいLLMのGPT-4oにお願いしてみました。
素晴らしい要約が出てきましたね。
ChatGPTはいわば、能力値が高いがコミュニケーションが少し苦手な秘書のようなものです。
対話をしながら望みのアウトプットを作っていくことができます。
ChatGPTを使っていろいろな文体に変えてみる
ChatGPTのもう一つの翻訳術は、文体の変更です。
TPOや言い方を教えることで、いろいろな言い方をすることができます。
今回は、先程の要約を
- 小学生でもわかるような言葉
- 関西弁
の2種類で書き換えてもらいました。
まずは小学生でもわかるような言葉です。
「愚か」など、少し難しい言葉も残っていますが、基本的にはわかりやすい表現に変えてくれていますね。
ただ、あまりにも内容を変えているので原文の要約かと言われると怪しいかもしれません。
次は関西弁です。
少し違和感はありますが、「関西風」にはなっていますね。
【プラグイン】ChatGPTにPDF文章の翻訳をさせる方法
ChatGPTのAdvanced Data Analysis(旧Code Interpreter)を使うとPDFを読み込んでその文章を翻訳させることができます。
実際にニュース記事の英語訳をPDFにしてChatGPTに読み込ませて翻訳させましたが、元の日本語とかなり近い回答が返ってきました。
元の記事の文章は以下になります。
モロッコ中部で8日に起きた地震を巡り、上川外相は記者会見で、日本政府として総額300万ドル規模の緊急人道支援の実施を決定したことを明らかにした。 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じて、200万ドル(約3億円)の資金を提供し一時的避難施設や食料等の支援活動を行う。 また、NPO法人「ジャパン・プラットフォーム」を通じ日本のNGOによる100万ドル(約1億4000万円)の支援を行う。 会見で上川外相は、「日本政府として引き続き、モロッコの人々に寄り添い、現地のニーズを踏まえた必要な支援を検討していく」と強調した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b730ed093b2acd510c3d556967f18f7470f68acd
【拡張機能】ChatGPTでYouTube動画の翻訳・要約をする方法
YouTube動画には英語のものも多く、また、日本語訳がされていないものもあります。ですが、Chrome拡張機能のChatGPT – ウェブサイトとYouTube動画の要約を使うと、YouTube動画の翻訳要約と英語のスクリプトが表示されます。
このように日本語の字幕がない動画は大まかな内容が理解できるのと、詳しく知りたいときはスクリプトをChatGPTやDeepLの翻訳にかけることがおすすめです。
ChatGPTの登場で翻訳家の仕事は変わるか
ChatGPTの登場で翻訳家の仕事が奪われてしまうのでは?と考える方もいるかもしれません。
しかし、翻訳業界にはChatGPTの登場の前から「DeepL」という高性能な翻訳ツールが存在します。
ChatGPTが登場する前から業界はかなり変わってきているのです。
日本経済新聞の記事によると、翻訳家の仕事は
- ポストエディター(DeepLなどの機械翻訳による文を、人の言葉に近づける仕事)
- 第一線で活躍する翻訳家
の2つが残るようになるそうです。
参考:AIで翻訳家の仕事はなくなるか、「ポストエディター」という新たな職種も
※他にChatGPTによってどのような仕事が奪われるのか気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください!
まとめ
ChatGPTの翻訳精度を検証してきましたが、記事をまとめると、
- ChatGPTの翻訳精度は悪くないが、単純な翻訳だけであればDeepLのほうが上
- ただし、要約や文体の変更など、他の翻訳ツールにはできない事ができるため、ChatGPTの翻訳術を活用すれば翻訳の幅が広がる
- ChatGPTのプラグインを使えばPDFの翻訳が可能
- ChatGPTの拡張機能を使えばYouTube動画の翻訳や要約に活用できる
- 翻訳家の仕事は、ChatGPTの登場の前から変革が起きているため、ChatGPTの登場による影響はあまりない
でした。
ChatGPTをうまく利用して行きましょう。
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