ChatGPTについて調べていると、
「これって聞いても大丈夫?」「なんかやばいこと聞いたらBANされるのかな……?」
SNSやまとめ記事でも、「ChatGPTに変なことを聞くとヤバい」という噂や都市伝説的な内容を目にすることがあります。実際のところ、ChatGPTには「答えられないこと」や「聞いてはいけないとされていること」が存在します。
しかし、それはただのタブーというより、AIの性質・規約・社会的責任に基づく明確なルールです。この記事では、その全体像を以下の観点から解説していきます。
ChatGPTに「聞いてはいけないこと」は本当にある?
ChatGPTに聞いてはいけないことはもちろんあります。ただしそれは冒頭にも述べたように、都市伝説や陰謀論のようなものではなく、明確にChatGPTが回答生成を制限されている明確なルールです。
AIを安心・安全に使いこなすために、まずは「ChatGPTが答えられない質問」の正体を見ていきましょう。
ChatGPTはどんな質問でも答えるわけではない
ChatGPTは非常に高性能なAIですが、どんな質問にも無制限に答えるわけではありません。それは、単に技術的な限界だけでなく、「AIが引き起こす社会的リスク」を回避するために設計されているからです。
たとえば、以下のような内容は原則として回答が拒否されるか、一般的な表現にとどまります。
- 違法行為や危険行為に関する具体的な指示
- 暴力的・差別的・性的に不適切な表現
- 他者の名誉を毀損するような内容
- 医療・法律・金融など専門性が高い領域での断定的アドバイス
これは、OpenAIが設けているガイドラインや利用規約に基づいて、ChatGPTに「フィルター」が組み込まれているためです。
規約やフィルターの概要(OpenAIのポリシー)
OpenAIの公式サイトには、ChatGPTを含むAI製品に関する利用規約(Terms of Use)と使用ポリシー(Usage Policies)が明示されています。そこでは、AIを利用する際に「してはいけないこと」が具体的に列挙されています。
例:使用禁止とされている行為(2025年6月時点)
- 暴力や自傷行為を助長する目的での使用
- ヘイトスピーチや差別的なコンテンツの生成
- フェイクニュースや誤情報の拡散
- 不正アクセスやハッキング関連の支援
- 医療診断や法律判断の代替として使うこと
また、OpenAIのモデルには「安全性システム(Safety Systems)」が内蔵されており、これらのポリシーに違反するようなリクエストが入力された場合、自動的に検出・ブロックされる仕組みが存在します。
公式が明示している「禁止トピック」
実際にChatGPTを使ってみると、次のようなトピックに関しては回答を断られることが多いです。
- 自殺や精神疾患に関する具体的助言
- 違法薬物の使用方法
- 政治家・有名人への攻撃的な発言
- 銃の作り方・爆発物の製造など
- 他人の個人情報を収集・悪用する行為
たとえ質問が「ただの興味本位」だったとしても、AI側は判断できません。その質問の意図や背景がわからない以上、AIとしては“回答しない”ことが最も安全な選択肢となります。
ChatGPTに聞いてはいけない質問がある理由
ではなぜ、ChatGPTには「聞いてはいけない質問」が存在するのでしょうか?
一言で言えば、それはAIがまだ人間のような判断基準や価値観を“本質的には”持っていない存在だからです。ここでは、その理由を3つの観点から見ていきます。
理由①AIが倫理を内在化していないという事実
ChatGPTは、大量のテキストデータをもとに学習した言語モデルです。しかし、それは「人間的な倫理観」や「道徳的な判断力」を持っているわけではありません。
たとえば人間であれば、「これを言ったら傷つくかも」「これは法律的にアウトかも」といった空気を読むことができます。でもAIにはそれができません。
AIはあくまで「言語的なパターンを予測している」だけであり、その言葉が誰をどう傷つけるか・何を引き起こすかまでを自律的に判断する能力はまだありません。
だからこそ、「この質問には答えてはいけない」といったガイドラインが、人間の手によって組み込まれているのです。
理由②「答える=肯定」になるリスク
もう一つの理由は、「ChatGPTが何かに答えること」が、そのままその行為を支持していると誤解される危険があるからです。
たとえば、「違法薬物の使い方を教えて」と聞かれて、AIが詳細に説明してしまったとしたらそれを見たユーザーは「AIが教えてくれたからやってもいいんだ」と思ってしまうかもしれません。
AIの発言は、時に人間よりも客観的で信頼できるように見えるため、間違った情報や倫理的にグレーな発言ほど深刻な影響を与えてしまう可能性があります。
OpenAIをはじめとするAI開発者たちは、そうした「受け取り方の誤解」まで含めて責任を負わねばならないため、あらかじめ制限や拒否が設けられているのです。
理由③社会におけるAIの役割と責任
最後の理由は、AIが「単なるツール」以上の影響力を持ち始めているという社会的な背景です。
今やAIは、学習・仕事・創作・会話など、私たちの暮らしのあらゆる場面に入り込んでいます。その中でAIが発する情報は、ただの参考意見では済まされない重みを持つようになりました。
だからこそAIには、技術としての正確さだけでなく、社会的責任と倫理的制御が求められるのです。
無制限に答えさせることは、AIを「暴走させる自由」を与えてしまうのと同じであり、それは社会全体にとって危険です。
「聞いてはいけないこと」が存在するのは、AIをより良く、安全に使うためのフェアなルールでもあるのです。
実際に聞くとどうなるか検証【事例とリスク】
ここまでの説明で「ChatGPTには聞いてはいけないことがある」理由は理解できたかと思います。
では、実際にNGとされる内容をChatGPTに聞いたらどうなるのか?
また、最悪の場合アカウント停止やペナルティのようなことが起きるのでしょうか?
このセクションでは、実際の挙動やリスクについて解説します。
回答拒否される場合のパターン
ChatGPTは、不適切またはリスクのある質問に対して、以下のような対応を取ります。
- 「その内容にはお答えできません」という文言で拒否
- 話題を逸らす、または一般的な表現にとどめる
- 誤解を防ぐために、内容とは無関係な助言を返す(例:「精神的に不安なときは専門家に相談してください」など)
たとえば、「違法薬物の作り方」や「自殺の具体的方法」などを聞くと、高確率で拒否されます。
また、歴史的にセンシティブな話題(例:戦争責任、宗教の対立など)では、中立的な立場に徹するか、情報提供そのものを避ける傾向にあります。
アカウント停止や利用制限はある?
結論から言えば、通常の使い方でいきなりBANされることはほとんどありません。
ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 繰り返し明確に規約違反となるリクエストを行う
- セキュリティを脅かすような使い方(例:フィルターの回避を試みる、APIを悪用する)
- 他人への嫌がらせ目的で悪用する行為
OpenAIの規約では「悪意ある使用」「技術的制限の回避」などに対して、アカウント停止・制限措置があり得ると明記されています。
一方で、ちょっとした失敗や無意識の質問で即BANされることはありません。むしろ、ChatGPTが丁寧に拒否したり警告することで、ユーザーに学びの機会を与える設計になっています。
実際に起きた炎上・問題の例
過去にはChatGPTに限らず、AIによる出力が原因で炎上や騒動が起きたケースもあります。
例1:AIが差別的な発言を生成し炎上
→ 一部のAIチャットボットが、ユーザーの誘導によって差別的・暴力的な発言を行い、SNSで拡散され問題に。
例2:センシティブなテーマで誤情報を回答
→ ChatGPTが歴史的な出来事に対して誤った記述をし、それが「偏向している」と批判された。
例3:企業利用でのトラブル
→ 社内でChatGPTを業務利用した際、顧客データを含む質問を誤って入力し、情報管理の問題として社内監査対象になった。
グレーゾーンな質問とその扱い
ChatGPTには明確に「答えられない」とされる質問もありますが、その一方で、完全にアウトではないけれど際どい質問も存在します。
この章では、「どこまでがセーフなのか」「どういう質問が注意を要するのか」を、具体例を交えながら解説していきます。
倫理的・社会的にセンシティブなテーマ
ChatGPTは、センシティブな社会問題に対しても中立的に応じるよう設計されていますが、その中立性は完璧ではありません。
グレーになりがちなテーマの例
- 戦争責任や歴史解釈に関する質問
- 宗教や民族に関する話題
- 犯罪被害者・加害者の実名に関する質問
- 医療・メンタルヘルスの個別相談
- 性的マイノリティやジェンダー論
たとえば、「第二次世界大戦で日本は正しかったのか?」といった質問は、一歩間違えば偏向的な印象を与える可能性があるため、慎重な表現での回答になります。
AIがどう答えたかによって、「左寄り」「右寄り」などとSNS上で批判されることもあり、ユーザー側も注意が必要です。
子どもに使わせる場合の注意点
ChatGPTは便利な学習ツールとして注目されていますが、その内容は完全に安全とは限りません。
- 一見無害に見える質問でも、表現やニュアンスが大人向けになっていることがある
- 性的・暴力的な話題を含むフィクションへの質問は制限されているが、すり抜けるケースもゼロではない
- 誤情報や偏った見解をうのみにするリスクもある
特に小学生〜中学生の段階では、保護者が使い方をガイドすることが大切です。
OpenAIは13歳以上を利用対象としていますが、年齢制限を超えていても、AIの出力内容を自力で判断するのは難しい場合もあります。
「裏技」「禁断ワード」に対する誤解
ネット上ではよく、「ChatGPTにこの単語を入れるとヤバい!」といった裏技や禁断ワードが話題になりますが、これらの多くは誤解や過剰な演出です。
たとえば:
- 「ChatGPTに〇〇って打つとBANされる」→ 基本的に事実ではない
- 「この命令文を使えばどんな質問でも答えさせられる」→ フィルターの突破を試みる行為であり、規約違反の可能性あり
- 「裏設定」「人格乗っ取り」的なネタ → あくまでフィクションであり、OpenAI公式とは無関係
こうした情報に惑わされず、正しい使い方・リスク認識を持つことがAIリテラシーの一歩です。
【参考】ChatGPTにNGな質問の記録をされる?
プライバシーとログ保存のしくみ
まず、基本的な仕組みとして下記の2点があります。
- 入力したテキストは一時的にサーバーに送信されることで、応答が生成される
- 初期設定では、ユーザーの会話内容は「モデルの改善」のために保存・分析される
ただし、OpenAIではプライバシーに配慮した設計がなされており、保存されたデータは匿名化・統計的に扱われる形式が原則です。
OpenAIの方針と設定
OpenAIは2023年以降、ユーザー自身が「チャット履歴の保存をオフにできる」設定を提供しています。
- 履歴をオフにすれば、OpenAIのサーバー側でその会話は保存・学習に使用されないと明記されています。
- また、有料プラン(ChatGPT Plusなど)では、商用利用時のデータ保護がさらに強化されており、OpenAIは入力内容を学習に使わないという方針が採用されています。
このように、「監視されるかどうか」は設定と使い方次第。履歴をオフにすれば、少なくとも学習には使われませんし、個人が特定されるような保存は行われない設計になっています。
情報漏洩・監視リスクについて
ただし、100%安心できるとは言い切れません。
- 過去には一部のAIサービスで、ユーザーの履歴が外部に誤って表示されたバグ事例も存在します。
- 企業利用の場合、社外秘情報をうっかり入力してしまったことで、社内規則違反になるケースも報告されています。
また、法的な観点から見ると、裁判所命令などによってサーバー上の記録が開示される可能性は理論上ゼロではありません(※極めて限定的な事例)。
したがって、重要な個人情報や機密情報を入力するのは避けるのが鉄則です。
「ChatGPTはLINEやメールとは違う」という意識を持ち、ログが残る前提で使うのが安全です。
まとめ:ChatGPTに聞く前に知っておきたいこと
ChatGPTには「聞いてはいけないこと」が確かに存在します。違法行為や差別的内容、個人情報などは回答が制限され、場合によってはリスクも伴います。安心して使うには、AIの限界と倫理を理解し、正しく使う意識が大切です。
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