ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、生成AI(人工知能)を活用した独自の商品レビューパトロールツールを開発・導入し、レビュー監視業務の大幅な効率化に成功したことを発表した。
同社が2024年4月から7月までの4カ月間運用した結果によると、担当者のガイドライン違反チェックに要する業務時間を67.7%削減。また、チェックが必要なレビュー件数も68.5%削減することに成功した。
AIによる効率的な違反検出
ZOZOの技術本部データサイエンス部の西山翔大氏は、「従来のルールベースやAIによるレビューチェックも検討しましたが、生成AIが違反レビューの検出に最も効果を発揮しました」と、生成AI採用の理由を説明する。
開発されたパトロールツールは、Google Cloud上で動作し、大規模言語モデルを活用して投稿内容を分析。ガイドラインに違反する可能性が高いレビューを自動で検出する。生成AI特有の不確実性に対応するため、検出されたレビューについては担当者による最終確認を行う二段階の体制を採用している。
レビュー品質の向上へ
ZOZOTOWNでは2023年11月から「アイテムレビュー機能」を提供しており、購入者が商品のサイズ感や着用感などの感想を投稿できる。これらのレビューは商品ページで公開され、購入を検討する他のユーザーの参考情報として活用されている。
ガイドライン違反となる投稿には、以下のようなものが含まれる。
- 商品不良に関する報告
- 配送に関する内容
- 販売を助長するやらせ広告的な内容
同社は今回のパトロールツール導入により、違反コンテンツの効率的な排除が可能となり、レビューの質的向上につながることを期待している。
今後の展開
ZOZOは経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」に基づき、今後も生成AIを含むAI技術の業務活用を積極的に推進していく方針だ。今回の成功事例は、生成AIの実務応用における有効性を示す具体例として、小売業界での活用拡大にも影響を与えそうだ。