イーロン・マスク氏が率いるソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)が、Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどと競合する新しいビデオ会議機能の開発を進めていることが明らかになりました。この動きは、Xを「あらゆるものに対応するアプリ」に変革しようとするマスク氏の広範なビジョンの一環と見られています。
新機能の概要
Xの開発者プラットフォーム共同責任者であるクリス・パーク氏が、自身のXアカウントで新機能のスクリーンショットを公開し、社内でのテスト状況を報告しました。
「X Conference」と呼ばれるこの新ツールは、以下の特徴を持つとされています。
- Xアプリ内に統合され、Zoomのような機能を提供
- インターフェースの右側に「会議」として表示
- 参加者向けの完全なビデオストリーミング機能を搭載
- iOSアプリから直接、即時または予約で新規会議を作成可能
- 各会議に固有のコードを設定し、セキュリティを強化
パーク氏によれば、初期のフィードバックは非常に好評だったとのことです。
開発中の機能
現在開発中または検討中の機能には以下が含まれます。
- スピーカーのピン留め機能
- 参加者の入退室通知の改善
- メインパネルでの表示切替の最適化
- 既存のSpaces機能(ライブストリーミング)との統合の可能性
市場での位置づけ
この新機能は、Xを単なるソーシャルメディアプラットフォームから、ビジネスコミュニケーションも含む多目的プラットフォームへと進化させる重要な一歩となります。Xはすでに、求人情報でLinkedIn、決済でPayPalと競合することを目指していますが、今回のビデオ会議機能の追加により、その野心はさらに拡大しています。
ハイブリッドワークやリモートワークの普及が続く中、オンラインコラボレーションツール市場にはまだ成長の余地があると見られています。しかし、Xのプラットフォームとマスク氏の所有権をめぐる論争を考えると、X主導のビデオ会議プラットフォームがどの程度の需要を獲得できるかは不透明です。
懸念事項
新機能の発表に伴い、いくつかの懸念も浮上しています。
- プライバシーとセキュリティ:過去の機能追加時に適切なIPマスキングが欠如していたことへの懸念
- ユーザー設定:以前の通話機能がデフォルトでオンになっていたことへの批判
- 競合との差別化:既存の主要ビデオ会議ツールに対する優位性の不明確さ
今後の展開
Xの新しいビデオ会議機能のリリース日や具体的な展開計画はまだ明らかにされていません。しかし、イーロン・マスク氏が火の絵文字でパーク氏の投稿に反応したことから、近い将来のリリースが示唆されています。
この機能が成功すれば、Xはコミュニケーション、職業、金融サービスを統合した真の「スーパーアプリ」に一歩近づくことになります。しかし、既存のビデオ会議ツールとの競争や、プライバシーとセキュリティの課題への対応が、Xの成功の鍵を握ることになるでしょう。