Meta社(旧Facebook)が、OpenAIの非営利団体から営利企業への移行を阻止するよう、カリフォルニア州政府に要請しました。これにより、AI業界に大きな波紋が広がっています。
OpenAIの営利化とは?
OpenAIは、2015年に非営利団体として設立され、AI技術の安全な発展と人類全体への利益を掲げて活動を開始しました。しかし、AIモデル「ChatGPT」の商業的成功により、投資家の資金調達を優先するため、営利企業への転換を図っています。
この方針について、Metaは「OpenAIが非営利団体として集めた資産や技術を、営利目的で利用するのは法律違反の可能性がある」と主張しています。
Metaが政府に要請した内容
Metaはカリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官に宛てた書簡で、以下の点を指摘しました。
- 非営利団体の資産利用の問題
OpenAIが非営利団体時代に得た資産を、営利企業の利益に流用している点を問題視しています。 - シリコンバレーへの悪影響
非営利を装い資金を集め、後から営利企業化する事例が増えれば、健全なスタートアップの文化が崩壊しかねないと警告しています。 - 市場のゆがみ
非営利団体として得た税制優遇を利用しながら営利化すれば、不公平な競争が生まれる可能性があります。
さらにMetaは、OpenAIの初期メンバーであるイーロン・マスク氏がカリフォルニア州民の利益を代表する立場にあると認め、同氏の提訴に支持を表明しています。
OpenAIの反論
一方、OpenAI側は「非営利の使命を守りつつ、組織の発展を続ける必要がある」と反論しています。
OpenAIの取締役会議長であるブレット・テイラー氏は「将来の構造変更が行われるとしても、非営利団体としてのミッションを維持しつつ、AI技術の進展を加速させるためのものだ」と述べました。
背後にある競争
MetaがOpenAIの営利化に反対する背景には、AI市場での競争激化があるとされています。
Metaも「Meta AI」を通じてAIアシスタント市場でのシェア拡大を目指しており、OpenAIの商業的成功が自社の脅威となることを警戒しているのです。
今後の展開とまとめ
このニュースをまとめると
- Meta社はOpenAIの営利化を阻止するようカリフォルニア州に要請
- 非営利として資金を集め、後に営利企業化する事例が広がれば市場がゆがむ可能性があると指摘
- OpenAIは、非営利の使命を維持しつつ、AI技術の発展を続ける方針を強調。
- Meta社は自社の「Meta AI」を推進しており、OpenAIの商業的成功が競争の脅威と見ている。
でした。
この問題は、AI業界全体の倫理とビジネスモデルに関する議論を加速させるでしょう。
政府の対応次第では、OpenAIの営利化がストップし、業界全体に新たな規制が生まれる可能性もあります。