SNSプラットフォーム大手のBlueskyは11月15日(現地時間)、ユーザーデータの取り扱いに関する新たな方針を発表しました。同社は、ユーザーが投稿したコンテンツを生成AIのトレーニングに一切使用しないことを明言し、クリエイターの権利保護を重視する姿勢を示しています。
他プラットフォームとの差別化
この発表は、競合他社との明確な差別化を図るものとなっています。現在、XやMeta(Threads)、LinkedInなど主要なSNSプラットフォームの多くは、ユーザーの公開データをAIトレーニングに使用することをプライバシーポリシーで明記しています。これらのプラットフォームではオプトアウト(利用停止)の選択肢を提供していますが、デフォルトではデータの使用を許可する形となっています。
AIの限定的な活用
Blueskyは、AIの使用を完全に否定しているわけではありません。同社は現在、以下の2つの領域でAIを活用しています。
- コンテンツモデレーションのサポート
- Discoverフィードのポスト表示アルゴリズム
これらの用途に限定することで、ユーザーの創作物の権利を守りながら、プラットフォームの品質維持を図る方針です。
急成長に伴う課題への対応
Blueskyは最近、特にXからのユーザー流入が顕著で、総ユーザー数が1700万人を突破しました。この急激な成長に伴い、スパムや詐欺、荒らし行為なども増加しており、1時間あたり約3000件の報告が寄せられている状況です。
これに対し同社は、モデレーションチームの大幅な増強を行い、プラットフォームの健全性維持に注力することを表明しています。
今後の展望
Blueskyの今回の決定は、SNS業界におけるユーザーデータの取り扱いに関する重要な先例となる可能性があります。特に、アーティストやクリエイターの権利保護に対する意識が高まる中、他のプラットフォームも同様の方針を検討する可能性があります。
また、この動きは、生成AI時代における個人データの保護とプラットフォームの責任のあり方について、新たな議論を呼び起こすものと考えられます。