日本新聞協会が、生成AIによる報道コンテンツの無断利用をタダ乗り(フリーライド)と断じ、強い懸念を表明しています。
特に、検索連動型の生成AIサービス(RAG:Retrieval-Augmented Generation)における報道コンテンツの利用方法に焦点を当て、著作権侵害の可能性や誤情報拡散のリスクを指摘しています。
該当のリリースはこちら:生成AIにおける報道コンテンツの無断利用等に関する声明
新聞協会が指摘する懸念事項
日本新聞協会が指摘する懸念事項を簡単にまとめるとこちらです。
- 著作権侵害の可能性
- 検索連動型生成AIサービスによる報道コンテンツの無断利用
- 著作権法の「軽微利用」規定を超える利用
- 利用者が参照元サイトを利用しない「ゼロクリックサーチ」が増加し、報道機関の収益モデルへ大きな影響
- 誤情報の生成と拡散
- AIによる不適切な要約や文脈の誤解
- 誤情報の訂正機能の欠如
- 報道機関の信頼性への悪影響
- 公正競争上の問題
- 検索サービス市場の独占状態による優越的地位の乱用の可能性
- 報道機関のコンテンツ管理の困難さ
- 法制度の不備
- 現行の著作権法等の不十分さ
- 「生成AI時代」に適した法整備の必要性
AIと著作権法については、すでにかなり議論が進められており、文化庁による見解なども発表されています。
現時点でのAI利用に関する文化庁の見解を、以下に簡単にまとめていますので参考までにご覧ください。
国際的な動向
現在、米国でもOpenAIを始めとする生成AI事業者と新聞社との間で裁判が行われたり、提携を結ぶなどの動きが起きています。
今後の展望
生成AIの急速な発展に対し、法整備が追いついていないという話は以前からかなり指摘されている点です。今回の日本新聞協会による指摘をきっかけに、日本でも生成AIと著作権に関する議論がより進むかもしれません。
とはいえ、生成AIは急速に進化しているため、新しい技術ができるたびに議論していては、法律が一向に追いつかないという事になってしまいます。
そのため、生成AIの特徴も踏まえ、今後の技術発展についても想定した法整備が必要になってくるでしょう。
引き続き生成AIと法律の関係についてはウォッチしていく必要がありそうです。