Adobe Fireflyは、AIを活用した画像生成ツールの中でも、商用利用が認められている数少ないサービスの一つです。しかし、その学習元となったデータの著作権と、生成された画像の権利関係については、まだ十分に理解されていない部分が多いのが実情です。
Fireflyが生成する画像は、膨大な量の既存の画像データを学習することで作り出されます。では、その学習元の画像の著作権は、生成された画像にどのように影響するのでしょうか?また、Fireflyを使って作成した画像を商用利用する際に、どのような点に注意が必要なのでしょうか?
本記事では、Adobe Fireflyの画像生成プロセスと、それに関わる著作権の問題について、わかりやすく解説します。Fireflyを活用して、ビジネスの可能性を広げたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください!
Adobe Fireflyとは?
Adobe Fireflyは、グラフィック処理に強みを持つソフトメーカー、Adobeによって開発されたAIを利用した画像編集ツールです。
著作権に配慮されたツールであり、クリエイターが安心して使えるシステムを持つことが最大の特徴です。また、日本語を含む100以上の言語でのプロンプト入力に対応しています。
Adobe Fireflyの魅力
先ほども少しお話ししましたが、Adobe Fireflyの最大の特徴は、生成された画像の商用利用が許諾されていることです。多くのAIイメージ生成ツールでは、生成された画像をビジネスに活用することが制限されていますが、Adobe Fireflyではそのような制約がありません。つまり、Adobe Fireflyで作成した画像を、自社の広告やWebサイト、製品パッケージなどに自由に使用できるのです。
また、Adobe FireflyはAdobe Creative Cloudと連携しているため、PhotoshopやIllustratorなどの他のAdobe製品とシームレスに統合できます。これにより、Adobe Fireflyで生成した画像を、従来のグラフィックデザインワークフローに簡単に組み込むことも可能です!
これらの特徴から、Adobe Fireflyは、マーケティングや広告、デザインなどの分野で、大きな注目を集めています。特に、コストを抑えつつ、オリジナリティの高い視覚コンテンツを大量に制作する必要のある中小企業や個人事業主にとって、Fireflyは画期的なソリューションとなる可能性を秘めているのです。
※Adobe Fireflyの基本的な使い方については、以下の記事で解説しています!
Adobe Fireflyの学習元は?
従来の画像生成AIは、無数の画像を学習元としています。そのため、学習元画像との著作権関係が曖昧であり、たとえそのツールが商用利用を許可していたとしても、実際に企業が使用するには不安が残る状態でした。
Adobe Fireflyはその懸念点を、Adobeのストックフォトサービスである「Adobe Stock」を学習元とすることで解消しています。具体的には、
- オープンライセンスコンテンツ
- 著作権が失効したパブリックドメインコンテンツ
- Adobe Stockのうち、作者が利用を許諾した画像
これらの画像のみを学習元としているので、利用者は著作権を気にせず利用することができます。
Beta版では画像の商用利用が不可能でしたが、正規版では可能になっています。
Beta版と正規版では画像生成した後のロゴが変わっています。
実際に画像ダウンロードの際には「コンテンツ認証情報が適用されました」と表示されますので、ご安心ください!
Adobe Fireflyの商用利用・著作権について
Adobe Fireflyで生成された画像は、一定の条件の下で商用利用が認められています。ここでは、その利用規約の詳細について解説します。
商用利用が認められている範囲と条件
Adobe Fireflyの利用規約を見てみると、ユーザーは生成された画像を、以下の用途に使用することができると言えます。
- デジタル広告や印刷広告
- ソーシャルメディアやブログ記事のイメージ
- ウェブサイトやアプリのUI/UXデザイン
- 製品パッケージやラベルのデザイン
- Tシャツや雑貨などの商品デザイン
ただし、これらの商用利用には、以下の注意点を考慮する必要があります。
- 生成された画像を、そのままの形で再販売することはできません。
- 画像に含まれる人物の肖像権や、知的財産権を侵害しないよう注意が必要です。
- 一部の業種(成人向けコンテンツ、賭博、武器など)での使用は禁止されています。
また、Adobe Fireflyで生成された画像を使用する際は、「Made with Adobe Firefly」などのクレジット表記を行うとさらに良いでしょう。
他の画像生成AIツールとの比較
Adobe Fireflyの商用利用規約の特徴を理解するには、他の主要なAIイメージ生成ツールとの比較が有効です。
ここでは、Midjourney、Stable Diffusion、DALL-Eを取り上げ、それぞれの商用利用規約とAdobe Fireflyとの違いを見ていきましょう!
Midjourney、Stable Diffusion、DALL-Eなどの商用利用規約との違い
①Midjourney
Midjourneyは、有料版であれば生成された画像の商用利用を許可していますが、いくつかの制限があります。例えば、年間100万米ドル以上の収入のある企業がMidjourneyの画像を商用利用する場合は、プロプラン・メガプランに入っていなければならないなどです。
※詳しくは、以下の記事で解説しています!
②Stable Diffusion
Stable Diffusionは、オープンソースのAIイメージ生成モデルであり、生成された画像はパブリックドメインに属するとされています。つまり、商用利用を含め、ほぼ無制限に利用することができます。ただし、画像に含まれる可能性のある著作権や商標(=モデル・LoRAなど)、プライバシーの侵害については、ユーザーが責任を負う必要があります。
※詳しくは、以下の記事で解説しています!
③DALL-E
ChatGPTとDALL-E 3の開発元であるOpenAIは、サービスを利用することによって生成された全てのコンテンツに対して、著作権を主張していません。そのため、権利はユーザー側にあります。販売も可能なようです。
しかし、「DALL-E 3」が生成する画像はAIによって作成されるため、現在の著作権法上、これらの画像が「プロンプトを入力したユーザーのもの」として、著作権が保証されるかは不明瞭です。
また、OpenAIは「あなたの作品を共有するときは、あなたの作品へのAIの関与を積極的に開示することをお勧めします。」とコンテンツポリシーに記載しています。
※詳しくは、以下の記事で解説しています!
これらと比較すると、Adobe Fireflyの商用利用規約は比較的柔軟であると言えそうですね!
【結論】商用利用する場合はAdobe Fireflyがおすすめ!
Adobeは長年にわたり、高品質な画像や映像のデータを蓄積してきました。例えば、Adobe Stockは高品質な写真や映像を提供するサービスであり、これらのデータはAdobe Fireflyの学習に活用されている可能性が高いです。
また、Adobeは独自の画像解析技術を持っており、これを用いて学習データの品質を高めていると考えられます。例えば、学習データから著作権や商標、プライバシーに関わる画像を除外したり、画像の内容を適切にタグ付けしたりすることで、より安全で高品質な画像生成が可能になります。
これらの点から、Adobe Fireflyは商用利用規約と学習データの取り扱いの両面で、他のAI画像生成ツールと比較して優位性を持っていると言えるでしょう!
ただし、他のツールよりもクオリティが高いとは現在のところ言えないので、クオリティ重視の方はStable DiffusionやMidjourneyが良いとも言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
商用利用可能な画像生成AIツール、『Adobe Firefly』の学習元と著作権について詳しく解説してきました!
今回のポイントをまとめると、
- Adobe Fireflyの最大の特徴は、生成された画像の商用利用が許諾されていること!
- Adobe Fireflyの学習元は、Adobeのストックフォトサービスである「Adobe Stock」なので利用者も安心!
となります。
ただし、技術の進歩とともに、利用規約や法的解釈は変化していく可能性があります。Adobe Fireflyを活用するビジネスは、常に最新の情報を追跡し、適切な判断を下していく必要があると言えるでしょう。