ChatGPTの教育現場への活用事例は?各教育機関の対応と今後の展望 | romptn Magazine

ChatGPTの教育現場への活用事例は?各教育機関の対応と今後の展望

ChatGPT

AIツールとして注目を集めているChatGPTは、近年、教育現場にも大きな影響をもたらしています。

「ChatGPTを教育でどのように活用すればよい?」「ChatGPTが教育にもたらす影響は?」など、ChatGPTの登場により、教育現場は新たなアプローチや学習方法を考える必要が出てきています。

この記事では、ChatGPTの教育における活用事例や各教育機関の対応、そして今後の展望に焦点を当てていきます。

※2024年5月13日に、ChatGPTの新しいLLM「GPT-4o(オムニ)」が登場しました!以下の記事で詳しい概要や使い方について解説していますので、合わせてチェックしてみてください。

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教育現場でのChatGPT活用事例

ChatGPTはすでに教育現場において幅広く活用されています。以下では、その具体的な事例をご紹介します。

アイデア着想の際の検索に活用

ChatGPTはその高度な自然言語処理能力と幅広い知識により、さまざまな分野で注目を浴びています。

特に、アイデアの着想や創造的なプロセスにおいて、ChatGPTは新たな可能性を切り拓く役割を果たしています。

活用事例1:北海道函館市立万年橋小学校「学芸会の劇の台本づくり」

・劇や音楽の構成をクラスの話し合いで決めるのは時間がかかりすぎるため、AIの力を借りて台本を作成

・クラスでの出来事やオリジナルの要素を組み合わせ、独自性のある台本にする

活用事例2:徳島県私立・神山まるごと高専「体育の授業での活用」

・テーマ【2週間で健康になるための食事や栄養に関する行動】

・AIと対話をしながら、手軽に取り組める食事について考える

活用事例3:埼玉大学教育学部「指導手順や展開方法の検討」

・「日本におけるこれからの発電方法」について、ChatGPTによる検索を用いて考える

・「身の回りの技術にはどんなものがあるか」を自分で考えたのち、ChatGPTを用いて比較する

このように、ChatGPTなどのAIツールの教育利用が、学習の幅を広げています。

ChatGPT活用ガイドラインの配布

教育現場おいて、ChatGPTを効果的に活用するためのガイドラインが配布されています。

教員のためのChatGPT活用ガイドライン

株式会社 教育ネットでは、「学校でAIを活用するためのChatGPTガイド」という活用ガイドラインを配布しています。学校の校務や授業準備、授業で活用可能な10個以上のプロンプトが掲載されています。

また、ChatGPTを教育現場で使うコツや、検索からの発想転換、AI活用に必要な力などが詳しく記載されています。

このガイドラインは教育現場における業務の効率化や授業の質向上を促進する目的で、教職員向けに無料でダウンロード提供されています。

こちらのダウンロードサイトより、申し込みをしてダウンロードが可能となります。

教育関係者への無償提供となります。企業関係者の方はお申し込みできません。

文部科学省のChatGPT活用ガイドライン

7月4日、文部科学省はChatGPTなどの文章生成AIを教育現場(小中学校)で活用する際の考え方をまとめたガイドラインを公開しました。

ChatGPTを教育で使う際に禁止した方がいいこととしては、情報活用能力が十分育成されていないなどの理由が挙げられています。

活用が考えられる例としては

・足りない視点を見つけ、議論を深める目的で使用
・英会話の相手としての活用
・プログラミングの学習

などが挙げられています。

ChatGPTの使用を禁止しない大学も

一部の教育現場では、ChatGPTの使用を禁止しない方針を採用しています。教育機関は技術の進化に柔軟に対応し、新たな教育手法や学習ツールを取り入れることで、学生の学びを豊かにする環境を構築しています。

以下は、東京大学の見解(一部抜粋)です。ChatGPTなどのAIツールの教育的利用を一律に禁止はしないと記載されています。

他には、「機密情報や個人情報を安易に入力しない」ことや、「生成系AIによる社会の変化を先取りし、積極的に良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済システムなどを見出していくべき」であるとしています。

教育現場でのChatGPT禁止事例

一方で、一部の教育現場ではChatGPTの使用が禁止されています。

主な懸念事項としては、生徒が過度に依存し、自身の思考や研究能力を十分に発展させない可能性が挙げられます。また、情報の信頼性やプライバシーの問題も懸念されており、これらの側面を十分に管理できるかが焦点となっています。

上智大学

以下は、上智大学の教職員と学生に向けた対応方針(一部抜粋)です。

教員の許可なく、ChatGPTをレポートや論文などに使用することを禁止しています。また、違反した場合は厳格な対応を行うとしています。

京都大学

京都大学もChatGPT等のAIツール使用には否定的です。入学式の式辞において、湊長博学長が自分自身の言葉で表現することの重要性を強調しています。

ChatGPTなどのAIツールで作成された論文に関して問題があることを指摘し、「文章を書くということは、非常にエネルギーを必要とする仕事だが、皆さんの精神力と思考力を鍛えてくれる」と述べています。

このように、ChatGPTを使用した論文執筆などの対応は教育機関ごとに異なっています。

ChatGPTが教育に与える影響を懸念

ChatGPTの教育に与える影響は、肯定的な面だけでなく懸念も存在します。

ChatGPTの登場により、情報へのアクセスが簡単になり、瞬時に回答やコンテンツを生成できるようになりました。しかし、これにより、一部の専門家は学生たちの「考えるプロセス」が変わると指摘しています。

AIを利用して情報を得ることが一般的になると、情報の生成プロセスを自分で構築する能力が低下する可能性が懸念されています。その結果、情報を自ら分析し統合するスキルが減退するおそれがあります。

また、自動生成されたコンテンツがオリジナリティに欠けていまうことから、学生の創造性や表現力の育成が制約される可能性も考えられます。

これまでは、自分で0からものごとを創り上げる力必要がありましたが、今後はChatGPTが生成したものに対して、変なところはないかなど、検証するスキルが必要とされるかもしれません。

ChatGPTは教育で活用される?今後の展望

今後もChatGPTは教育現場での活用が続いていくと考えられます。ChatGPTの使用を教育現場で禁止するよりも、上手な活用方法を考えていくべきであるという見方が強いです。

進化を続けるAIに対応する必要がある

今後、ChatGPTなどのAIツールが教育への影響を拡大させていくと考えられます。教育現場は、ChatGPTの教育への活用の可能性を最大限に引き出すための取り組みを進める必要があります。

また、学生たちがChatGPTを効果的に活用し、知識とスキルを向上させるために、教育現場では適切なChatGPTの使い方を指導することが求められます。

AIが得意な領域と人間が得意な領域を組み合わせた学習環境を整えることが大切です。

まとめ

ChatGPTはすでに教育現場において幅広く活用されています。

  • ChatGPTの教育利用が学習の幅を広げる
  • 教育現場おいて、ChatGPTを効果的に活用するためのガイドラインが配布されている
  • ChatGPTを使用した論文執筆などの対応は各教育機関ごとに異なる
  • ChatGPTは教育での活用事例が増えつつあるが、その効果と懸念点は両方存在する
  • ChatGPTを教育で使うことを禁止するよりも、上手な活用方法を考えていくべきである
  • 今後、ChatGPTの教育への影響は拡大していく

教育現場は、ChatGPTなどのAIの進化に柔軟に対応し、より質の高い教育環境を築くための取り組みを模索し続けていくしかありません。

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