幅広い分野で活用が進んでいるAI・ChatGPT(人工知能)ですが、製造業でも活用されるシーンが増えています。
しかし、
- なぜAIを導入するべきなのか
- AIを導入するメリットは何なのか
- AI導入にまつわる注意点や失敗例はあるのか
などといった点について、疑問をお持ちの方は多いかと思います。
そこで本記事では、これら3つの疑問点にAI・ChatGPTの実際の導入事例も交えてお答えします。実際のAI・ChatGPT導入事例は記事の後半で紹介しています。
製造業において、AI・ChatGPT導入をお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
- 製造業が抱える課題
- 製造業でAIを導入するメリット4選
- 製造業におけるAIの導入事例・活用事例20選
- 活用事例①:製品開発における材料選定の自動化(リュウグウ株式会社)
- 活用事例②:チャットサポート導入による入電数の削減と顧客利便性の向上(株式会社バッファロー)
- 活用事例③:AI-OCRを用いた業務効率化(株式会社神戸製鋼所)
- 活用事例④:社内問い合わせの一部自動化による業務効率化(キンコーズ・ジャパン株式会社)
- 活用事例⑤:高精度AI翻訳ツールによる会社全体での生産性向上(NITTOKU株式会社)
- 活用事例⑥:機械・設備の異常検知プラットフォーム導入(ヤンマー株式会社)
- 活用事例⑦:音声認識技術を活用した「開かれた議会」の実現(株式会社JVCケンウッド・公共産業システム)
- 活用事例⑧:AI活用による梱包の最小化・配送費削減(オルビス株式会社)
- 活用事例⑨:磁気探傷検査の自動化(トヨタ自動車株式会社)
- 活用事例⑩:最新鋭タイヤ成型AIシステムの導入(EXAMATION/ブリヂストン)
- 活用事例⑪世界初のAIによる自立制御を導入(横河電機 / JSR)
- 活用事例⑫:不具合の要因を特定するAIを開発(TOSHIBA)
- 活用事例⑬:製造工程の異常検知(日立システムエンジニアリングサービス)
- 活用事例⑭:知能ロボシステムの開発(アセントロボティクス)
- 活用事例⑮:製造業のスマートファクトリー化を支援(平田機工 / インターネットイニシアティブ)
- 活用事例⑯:自立型生産システムの開発(ダイセル)
- 活用事例⑰:AIカメラによる計器・ランプの読み取り(IntegrAI)
- 活用事例⑱:スマートファクトリー(サントリー)
- 活用事例⑲:生産計画の自動立案(ニチレイフーズ)
- 活用事例⑳:ダイカストの鋳造波形から鋳造条件をAIがスコアリング(SKYDISC)
- 製造業におけるAI導入の失敗例
- 製造業においてChatGPTの導入は可能?
- AIの今後の流れ:製造業におけるAIの未来とは
- まとめ
製造業が抱える課題
まず、現在の製造業が抱える課題について整理しておきましょう。
簡単にまとめると、以下の4つが挙げられます。
①人手不足
②技術の継承問題
③競争の激化
④従業員の高齢化
それでは、1つずつ簡単に紹介していきます。
①人手不足
日本では少子高齢化が進行し、製造業における労働者の不足が深刻化しています。限られた人員で効率的な生産を維持することは、重要な課題となっています。
②技術の継承問題
製造業において重要なのは技術ですが、少子高齢化により若手労働者の数が減少し、熟練した技術者からの知識継承が難しくなっています。これは、事業の持続性に関わる深刻なリスクとなっています。
③競争の激化
日本の人口減少とグローバル化により、製造業界の競争はますます激しくなっています。競争力を維持し続けるためには、効率化とコスト削減が不可欠となっています。
④従業員の高齢化
少子高齢化の影響で、製造業の従業員も高齢化しています。高齢者の離脱や、最新の設備への適応が難しいというリスクが、業界に潜在的な問題として浮上しています。
製造業でAIを導入するメリット4選
製造業で実際にAI・ChatGPTを導入すると得られるメリットを8つほどご紹介します。
メリット①:在庫管理や需要予測をはじめとする業務の効率化
AIを導入することで、製造業の業務が効率化されます。例えば、在庫管理や需要予測を自動化することで、適切な量の材料を適切なタイミングで用意することができます。
また、外観検査もAIを活用することで、人の目では見逃しがちな不良品も見つけ出すことができます。
メリット②:安全性の向上・事故防止
AIを導入することで、製造業の現場での安全性が向上します。例えば、重機の近くに作業員がいないかどうかを確認したり、危険区域周辺に人が立ち入っていないかを監視することができます。
また、人的事故のリスクが伴う作業をAIが代わりに行うなど、事故のリスクを減らすことができるため、作業員の安全を守ることができます。
メリット③:品質の均一化
AIを導入することで、製造業の製品の品質を均一化することができます。
従業員ごとの作業の質の差や疲労によるパフォーマンスの低下など、人の手作業では避けられないバラツキを減らし、常に一定の品質を保つことができます。
メリット④:技術の継承
製造業の現場では、経験豊富な技術者が引退することで、その技術が失われるリスクがあります。
AIを導入することで、その技術を解析した上でデータとして蓄積し、後世に継承することができます。
メリット⑤:生産計画の最適化
AIは需要予測や在庫管理などのデータ解析を行い、適切な生産計画を立てるのに役立ちます。これにより、在庫の過剰や不足を回避し、生産プロセスを効率化させることができます。
メリット⑥:ニーズに合わせたカスタマイズ製品の製造
AIを活用することで、顧客のニーズに合わせたカスタマイズ製品の製造が簡単にできるようになります。個々の顧客に適した製品を提供することで、顧客満足度を向上させることができます。
メリット⑦:リアルタイムの生産データ分析
AIは生産ラインから得られるデータをリアルタイムで解析し、問題の早期発見や改善を支援してくれます。これにより、迅速な意思決定が可能となり、生産プロセスの効率化が図ることができるでしょう。
メリット⑧:競争力の向上
AIを活用することで、生産過程の効率化や品質の向上などが実現され、競争力を向上させることができます。これにより、市場での競争において優位性を確保することが可能となります。
製造業におけるAIの導入事例・活用事例20選
では、実際に製造業におけるAI・ChatGPTの導入事例を見ていきましょう。
活用事例①:製品開発における材料選定の自動化(リュウグウ株式会社)
導入企業名 | リュウグウ株式会社 |
事業内容 | 紙加工品及びポリエチレン製品の製造販売 ポリ袋・レジ袋・ポリシート類、表紙・荷札・紙テープ等の包装資材全般の販売 |
従業員数 | 72名 |
AI導入前の課題 | 商品の品質を担う品質検査工程が、熟練の作業員の経験に依存していた。 |
AI導入成果 | 熟練作業員への属人性依存からの脱却、業務効率化 |
リュウグウ株式会社では、強靭なポリエチレン袋「超ポリ」や環境負荷低減製品など、リュウグウ独自の配合技術により実現する研究開発に多くの時間が割かれていましたが、その商品の品質を担保するための検査工程は、熟練の作業員の経験に依存していました。
そこで、株式会社SUPWATが提供するソフトウェアであるWALLを導入し、今まで経験を元に行っていた従来の過程を、過去の開発履歴などを照らし合わせて機械学習し、商品開発工程を効率化しました。
その結果、導入以前より業界未経験者等への技術の継承が素早くできるようになり、一部の従業員への負担の集中を避けられるようになりました。
活用事例②:チャットサポート導入による入電数の削減と顧客利便性の向上(株式会社バッファロー)
導入企業名 | 株式会社バッファロー |
事業内容 | デジタル家電およびパソコン周辺機器の開発・製造・販売及びデータ復旧サービス |
従業員数 | 655名(2023年9月末現在) |
AI導入前の課題 | ・電話対応の削減(ノンボイスシフト)のためのLINE利用率向上 ・顧客満足度の向上 |
AI導入成果 | ・LINE利用率の向上(0%→48%) ・入電数80%減少 ・顧客満足度向上(65%→91%) |
株式会社バッファローでは、顧客からの問い合わせの大部分を電話が占めていましたが、電話での問い合わせの集中による顧客満足度の低下が課題となっていました。
そこで、顧客サポートの質の向上と運用コストの削減を目的として2017年にLINEチャットサポートの導入を決定しました。
同ツールの導入後、2023年9月時点でのLINE利用率が48%に向上し、入電数が80%減少、顧客満足度が1.4倍となるなど、ツール導入によって大幅な改善が見られました。
また、同ツールの導入によって土日や時間外の問い合わせにも対応できたり、待ち時間が短縮されるなどの効果があり、顧客満足度の改善にもつなげています。
活用事例③:AI-OCRを用いた業務効率化(株式会社神戸製鋼所)
導入企業名 | 株式会社神戸製鋼所 |
事業内容 | 鉄鋼アルミ、素形材、溶接、機械、エンジニアリング、建設機械、電力などの領域での各種技術・製品・サービスの開発・提供 |
従業員数 | 連結 38,488人(2023年3月31日現在) 単体 11,368人(2023年3月31日現在) |
AI導入前の課題 | 納品書や作業証明書、アンケート内容のデータ化を手作業で行なっており、負担が大きかった。 |
AI導入成果 | 業務時間の削減、従業員の精神的負担の軽減 |
株式会社神戸製鋼所では、取引先や仕入先から送られてくる伝票や社内アンケートの多くが紙であり、集計・入力作業に多くの時間をかける必要があるなど、大きな負担となっていました。
特に社内アンケートの入力業務には年間1,200時間を費やしており、従業員が本来やるべき業務にかけられる時間が少なくなったり、入力ミスが発生するなどの問題がありました。
そこで、AI inside株式会社が提供するAI-OCRであるDX Suiteを導入し、同社で日々発生していた取引先や仕入れ先からの伝票、協力会社からの納品書、作業証明書等を素早くデータ化することで、業務の効率化が図られました。
活用事例④:社内問い合わせの一部自動化による業務効率化(キンコーズ・ジャパン株式会社)
導入企業名 | キンコーズ・ジャパン株式会社 |
事業内容 | ・キンコーズ(店舗・法人営業・オンライン)の運営 ・顧客の課題解決および業務効率の最大化のための各種デジタルソリューションの企画・開発・サポートサービス ・大型インクジェット出力による店舗や展示会のサイン・装飾、イベントの販促物などデザイン・出力・加工・施工 |
従業員数 | 767名(2023年8月1日現在) |
AI導入前の課題 | 社内問い合わせへの対応の負担が大きかった点。 |
AI導入成果 | ・ITヘルプデスクへの社内問い合わせを50%削減 ・問い合わせ先の一本化 |
キンコーズ・ジャパン株式会社は、約800名の従業員から寄せられる多数の問い合わせへの対応に多くの負担がかかっており、問い合わせ対応の一部自動化、問い合わせ先の一本化、FAQの有効活用が求められる状態でした。
そこで、ITヘルプデスクへの問い合わせ対応の負担を軽減する目的でOfficeBotの導入を決定しました。
ツール導入後、ITヘルプデスクへの社内問い合わせを50%削減し、問い合わせ先を一本化して対応効率を向上させることに成功しました。
活用事例⑤:高精度AI翻訳ツールによる会社全体での生産性向上(NITTOKU株式会社)
導入企業名 | NITTOKU株式会社 |
事業内容 | 巻線機、巻取り・繰出し機器及びその周辺機器の開発、製造、販売、サービス |
従業員数 | 468名(連結:945名)※2023年3月時点 |
AI導入前の課題 | 従来利用していた有料AI翻訳ツールではアカウントごとに課金され、ユーザーが限定されてしまい、質問が集中していた。 |
AI導入成果 | 必要な人が自力で翻訳できるようになり、会社全体の生産性が向上した。 |
NITTOKU株式会社は、以前は別の有料AI翻訳ツールを利用していましたが、アカウントごとに課金されるシステムであったため、ユーザーが限られてしまい、翻訳に関する質問が集中してしまうという課題がありました。
この課題を解決するため、ユーザー数を無制限で利用できるT-tact AN-ZIN®を導入しました。
その結果、必要な人が自分で簡単な翻訳を行うことができるようになり、グローバル人材が本来の業務に専念できるようになったため、会社全体の生産性が向上しました。
活用事例⑥:機械・設備の異常検知プラットフォーム導入(ヤンマー株式会社)
導入企業名 | ヤンマー株式会社 |
事業内容 | 農業機械の製造販売、船舶用エンジン・推進システムの開発、地誌開発に最適な小型建機の開発・提供など |
従業員数 | 20,958名(2023年3月31日現在) |
AI導入前の課題 | 内燃機関や農業機械の予知保全をのための開発の迅速化やスケーラビリティの確保が課題であり、これに応えられるクラウド基盤の整備。 |
AI導入成果 | 機械学習アルゴリズムの導入により「健康状態のリアルタイムな可視化」が可能となった。 |
ヤンマー株式会社中央研究所では、内燃機関と農業機械の予知保全技術の開発に取り組んでいましたが、機械学習アルゴリズムを迅速に実装すること、開発環境から本番環境へのスムーズな移行、そしてスケーラビリティを確保することが課題となっていました。
この課題に対応するため、リアルタイム異常検知プラットフォームであるImpulseが導入され、機械学習アルゴリズムを活用して内燃機関の健康状態をリアルタイムで可視化することが可能になりました。
また、AWSのクラウドサービスを駆使して構築されたこのシステムは、数十の内燃機関に対する試行を通じて、そのスケーラビリティと実用性を証明しています。
Impulseの導入は、予知保全の実現に向けた先進的なクラウド基盤の開発を加速させ、研究所の技術革新を大きく前進させる結果となりました。
活用事例⑦:音声認識技術を活用した「開かれた議会」の実現(株式会社JVCケンウッド・公共産業システム)
導入企業名 | 株式会社JVCケンウッド・公共産業システム |
事業内容 | 映像・音響・通信関連機器、およびシステムソリューションの開発・製造・販売・施工・保守 |
従業員数 | 699名(2023年7月1日現在) |
AI導入前の課題 | 「開かれた議会」への取り組みや、情報保障の観点での付加価値提供を模索していた。 |
AI導入成果 | 導入自治体では音声がリアルタイムで文字確認でき、いつでも誰でも議会の傍聴が可能となった。 |
株式会社JVCケンウッド・公共産業システムは、昨今求められている「開かれた議会」への取り組みと情報保障の観点から、音声認識技術を用いて声を文字として見せることを目指しました。
この技術導入により、議会の発言をリアルタイムで可視化し、ユニバーサルデザインに対応することが可能となりました。
導入後は、文字変換の正確性とローカル運用型による速い表示速度、通信障害の心配のなさが評価され、「音声がリアルタイムで文字確認でき、いつでもどなたにでも傍聴参加を頂けるようになった」というフィードバックも得られています。
活用事例⑧:AI活用による梱包の最小化・配送費削減(オルビス株式会社)
導入企業名 | オルビス株式会社 |
事業内容 | 化粧品、栄養補助食品、ボディウェアの企画・開発および通信販売・店舗販売 |
従業員数 | 1,055名(2023年12月末現在) |
AI導入前の課題 | 梱包材のサイズの最適化 |
AI導入成果 | 約15%の梱包材のサイズダウンおよび年間約2,000万円の配送費削減 |
オルビス株式会社では、配送箱のサイズの最適化が課題でした。既存のシステムでは必要以上のサイズの梱包材が選ばれるケースも多く、この結果として配送費が膨らむ事態となっていました。
そこで、株式会社DATAFLUCTが提供するPerswellを導入することで、梱包材のサイズの最適化と年間約2,000万円の配送費削減を見込むほどの効果を実現しています。
活用事例⑨:磁気探傷検査の自動化(トヨタ自動車株式会社)
導入企業名 | トヨタ自動車株式会社 |
事業内容 | 自動車の生産・販売 |
従業員数 | 70,056人(連結 375,235人) |
AI導入前の課題 | 省人化による生産性の向上、リソースの再編 |
AI導入成果 | 磁気探傷検査の自動化による省人化に成功 |
トヨタ自動車株式会社では、生産性の向上と労働人口の減少に対応するため、従来の検査工程におけるリソースとコストの削減を目指していました。
このため、作業者の負担を軽減し、単純作業から価値ある業務へのリソース再編を図ることが求められていましたが、従来のマシンビジョンによる検査では不良品の見逃し率が32%、過検出率が35%に達していたため、より高度な技術の導入が不可欠でした。
このような状況を受けて、トヨタ自動車はWiseImagingの導入を決定し、その結果、検査精度は大幅に向上し、見逃し率は0%に、過検出率も8%に抑えられました。
その結果、フロントハブの検査工程に従事する従業員数を二交代勤務で4名から2名へと削減することが可能となりました。
さらに、WiseImagingは複雑なプログラム設定を必要とせず、従業員が簡単な操作で検査を行えるようになり、大幅な作業の効率化につながっています。
活用事例⑩:最新鋭タイヤ成型AIシステムの導入(EXAMATION/ブリヂストン)
導入企業名 | 株式会社ブリヂストン |
事業内容 | タイヤ事業をはじめ各種ソリューション事業を展開 |
従業員数 | 13,903名(連結 129,260名) (2022年12月31日現在) |
AI導入前の課題 | 1人の従業員が数多くの工程をこなす必要あり、工程の効率化が困難であった。 |
AI導入成果 | タイヤ成型工程を完全に自動化でき、大幅な業務の効率化や品質の向上につながった。 |
従来のタイヤ生産工程では、1人の従業員が数多くの工程をこなす必要がある上、全ての部材が成型工程に集まっており、工程の効率化が困難という課題がありました。
そこで、ブリヂストンはタイヤ製造の品質と生産性の更なる向上を目指し、長年にわたるICTの研究と開発を経て、人工知能(AI)を組み込んだ最新鋭のタイヤ成型システム「EXAMATION」を導入しました。
このシステムは、同社のフラッグシップ工場である彦根工場に最初に導入され、グローバルな生産競争力の強化と高品質な商品の提供を目的としています。
EXAMATIONの導入により、タイヤ製造における真円性が15%以上向上し、品質データのリアルタイム自動制御を通じて、これまでにない高精度な製品を生産することが実現しました。
また、同システムの特徴の一つであるマルチドラム製法を採用することで、生産性は従来の成型システムと比較して約2倍に増加しています。
自動化により、従業員間での技能伝承の必要性を低減し、従業員は生産現場の状況をリアルタイムに把握し、迅速な対応が可能になるなど、生産効率の大幅な改善を達成しました。
活用事例⑪世界初のAIによる自立制御を導入(横河電機 / JSR)
導入企業名 | 横河ソリューションサービス株式会社(Yokogawa Solution Service Corporation) |
事業内容 | 制御・計測機器等の販売、保守サービス、電気計装工事、トータルソリューション展開及びエンジニアリング事業 |
従業員数 | 2,572名 (2023年4月1日現在) |
AI導入前の課題 | ・プラントでは、現場でも中央計器室の制御システムの情報を閲覧しながら、迅速かつ適切な対応で保守品質を維持向上したいという要求があった。 ・人財不足により、現場作業の省人化の実現や属人化の解消、業務ノウハウの継承が課題となっていた。 ・複数の外乱がある場合はPID制御自体が使えない、あるいは目標値を頻繁に変更する必要があるなどの理由から、手動制御が求められることがあるなどの課題があった。 |
AI導入成果 | ・NTTコミュニケーションズ株式会社と提携し、自動制御が困難なため手動オペレーションが不可欠なプラント運転をAIにより支援する「AIプラント運転支援ソリューション」を、JNC石油化学株式会社市原製造所に導入し、実証実験に成功。 ・運転員は、AIが提示する推奨値が実際の運転員の操作と高い精度で一致したと評価した。 |
横河電機とJSRはAIを使用して35日間化学プラントを自律制御する実証実験を成功させました。
AIは複雑な条件下で安定した品質と高収量を確保し、省エネ制御も実現し、実プラントでの物理的・化学的影響による制御の難しさに対応し、従来の制御手法では困難だった箇所でもAIが制御可能となりました。
また、FKDPPアルゴリズムを使用し、過去のトレーニングで自律制御の可能性の確認も進め、今回の成果は、産業における自律化の課題に対する解決策を示し、安全性を確保しつつ、手間を減らして自律制御に移行できる可能性が浮かびある結果となりました。
活用事例⑫:不具合の要因を特定するAIを開発(TOSHIBA)
導入企業名 | 株式会社東芝 |
事業内容 | 東芝はかつてテレビや家電製品、携帯電話、パソコンなど消費者向け製品でも事業展開していたが、現在はコンスーマ商品から撤退し電子部品(HDDなど)・原子炉・重電機・軍事機器・鉄道車両など、企業間取引による重工業分野へ重点的に事業展開 |
従業員数 | 116,224名 (2023年4月1日現在) |
AI導入前の課題 | ・AI人材が不足している ・AIの導入事例が不足している ・AI導入効果が得られるか未知数 ・AIの法的責任 ・AIがもたらすバイアス ・データ分析のためのIT環境整備状況 |
AI導入成果 | ・AIの学習サイクルを自動化する「MLOps」の導入 ・画像認識AIを用いた社員食堂の利用者検知と混雑度計測 ・半導体の設計を支援するAIの開発 ・AI人材を2000人体制にするための東京大学との共同育成プログラム |
東芝と統数研は、製造データに多くの欠損値が含まれている場合でも、高速かつ高精度に品質低下や歩留悪化などの要因を特定する機械学習アルゴリズム「HMLasso」を開発しました。この技術は、「CoCoLasso」と比べて推定誤差を約41%削減する成果を達成しました。これにより、欠損値を多く含むデータでも高速・高精度な要因解析が可能となり、製造現場の生産性や品質向上が期待されます。
具体的には、従来の手法では欠損値の多いデータからの要因解析が困難でしたが、「HMLasso」は欠損率の高低に応じて柔軟に計算し、全体の精度を維持しつつ高精度な回帰モデルを構築します。さらに、欠損値の補完プロセスを省略し、重要なデータ項目の自動絞り込みも行います。
この技術は理論と実験の両面で検証され、欠損率を活用することで誤差限界が最適化されることが理論解析で示されました。数値実験では、平均欠損率50%でベンチマークを行い、「CoCoLasso」と比較して約41%の推定誤差削減を達成しました。
活用事例⑬:製造工程の異常検知(日立システムエンジニアリングサービス)
導入企業名 | 株式会社 日立システムズエンジニアリングサービス 英語表記:Hitachi Systems Engineering Services, Ltd. |
事業内容 | システム構築 システム運用・監視・保守 情報関連機器・ソフトウェアの販売と開発 |
従業員数 | 2,115名(2023年4月1日現在) |
AI導入前の課題 | ・数GBに及ぶ大容量データの転送に時間がかかっていた ・AIの活用が進んでいない理由として、「経営層がAIを学ぶ場がない/AI開発を行う投資の余力がない/データが不足している/データの活用方法が分からない/AI人材が不足している」が挙げられていた |
AI導入成果 | ・AIによる画像認識、画像チェックを導入し、優れた解析システムで、作業者の負担軽減/業務効率化を実現しました ・「DataRobot Data Prep」を活用し、効率的なデータ準備が可能となりました |
化学工場の原料製造工程では、製造過程の映像を常時監視する必要があり、これまでは人手だけで確認していました。しかし、この方法では負荷が高く、また、人間の限界により製造工程の異常を見逃すこともありました。
そこで、映像監視AIを導入し、常時監視を行い、必要に応じてアラートを発信することで、監視員の負荷を軽減し、さらに、AIと人間が連携することで、異常の見逃しを低減し、早期にトラブルを検知することが可能となりました。
活用事例⑭:知能ロボシステムの開発(アセントロボティクス)
導入企業名 | アセントロボティクス株式会社 |
事業内容 | 製造・物流業向けにAIを活用した知能ロボットや自律移動ロボット用のインテリジェントソリューションを開発。 |
従業員数 | 24名(2022年1月時点) |
AI導入前の課題 | ・従来のロボットでは、環境に応じて自律的に動作することが困難だった ・ロボットシステムの導入前のティーチング(教示)プロセスに多大な時間とコストが必要で、中小の製造業が自動化ソリューションの導入に二の足を踏んでいた |
AI導入成果 | ・AI技術を活用した知能ロボットシステムの開発に成功し、人間に近い動作が可能な柔軟かつ自律的に動作する知能ロボットを実現した ・最先端のビジョンシステムを開発し、対象物体のマテリアル情報やテクスチュア、付帯している様々な文字・図形情報などを高精度に読み込むことが可能になった |
アセントロボティクスのシミュレーション技術は、幅広いユーザー固有の様々な環境に適応し、高速かつ効率的に認識AIのトレーニングデータを生成することができます。
これにより顧客のニーズに合わせた正確で効果的な物体検出ソリューションを提供することができます。また、当社の認識・把持技術はアセントロボティクスのシミュレーション技術でトレーニングされたAIモデルがワークスペース内の物体を検出した後、候補となる複数の把持位置/姿勢を推定します。これらの位置/姿勢は干渉検出アルゴリズムによって評価され、高度なモーションプランニング技術によって到達可能性を分析できるようになっています。
その結果、特定の物体とワークスペース環境に最適な把持位置/姿勢が選択されることにより効果的かつ効率的な把持が可能となり、最新鋭の物体検出および把持技術が従来よりも効率的、正確、そして低コストで自動化を達成することができました。
活用事例⑮:製造業のスマートファクトリー化を支援(平田機工 / インターネットイニシアティブ)
導入企業名 | 株式会社インターネットイニシアティブ Internet Initiative Japan Inc. |
事業内容 | ・インターネット接続サービス、WANサービス及びネットワーク関連サービスの提供、 ・ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発及び販売 |
従業員数 | 連結4,750名 単体2,666名(2024年2月時点) |
AI導入前の課題 | ・突発的な問い合わせ増加で放棄呼が多発するという課題を抱えていた ・メールのやり取りはどうしても長くなりがちで、問題解決までに時間がかかってしまうという問題もあった |
AI導入成果 | ・AI導入後、有人対応比率が大幅に減少した ・チャットボットで効果が出たので、FAQシステムもSalesforceからカラクリさんのツール「KARAKURI smartFAQ」に変えたところ、さらに有人対応比率が減少した |
2018年7月3日、インターネットイニシアティブ(IIJ)と平田機工は、製造業のスマートファクトリー化やプロセス改革を促進するソリューション「Cognitive Factory」を共同開発し、同年9月1日から提供を開始しました。
このソリューションは、情報通信技術(ICT)を駆使して製造現場のデジタルトランスフォーメーションを推進し、IoTやAI技術を活用して生産管理を自動化・最適化し、販売力や供給力、人材育成などの付加価値を生み出します。
Cognitive Factoryの導入に際しては、ものづくり改革コンサルティングが提供され、PDCAサイクルをサポートします。さらに、このソリューションは、デジタル化から自動最適化までをサポートする4段階のラインアップを用意しています。
Step1では、コミュニケーションツールや監視カメラ、IoTセンサーなどを導入して設備異常の自動検知や遠隔での対応指示を可能にします。Step2では、情報管理を自動化し、データの取得から可視化までを自動化します。Step3では、AI解析技術を用いて生産ラインから取得したデータを分析し、設備の故障や部品交換の予測を行い、生産良品率や設備稼働率を向上させます。Step4では、PDCAサイクルの自動化により、特注品を標準品と同様の納期やコストで生産できるようになります。
活用事例⑯:自立型生産システムの開発(ダイセル)
導入企業名 | 株式会社ダイセル |
事業内容 | セルロース製品、有機合成製品、火工品製品、その他製品の製造・販売 |
従業員数 | 連結 11,207名 単体 2,524名(2023年3月31日) |
AI導入前の課題 | ・ダイセルは2000年に「ダイセル式生産革新手法」を開発したが、この手法では熟練作業員からのヒアリングによるノウハウ抽出や運用開始後のメンテナンス・アップデート(ノウハウの追加)に多大な労力を要しており、これらがシステム導入の大きな壁となっていた |
AI導入成果 | ・ダイセルは「自律型生産システム」を開発し、AIを用いて「ダイセル式生産革新手法」を進化させた ・AIは過去の運転を分析し、ノウハウを抽出してシステム設計を行う。また、システムの運用開始後も、日々の運転からノウハウを学習していく |
株式会社ダイセルは、「自律型生産システム」を新たに開発しました。このシステムは、化学などのプロセス型のモノづくり現場で利用され、東京大学との共同開発により人工知能(AI)を搭載しています。
このAIは、現場で収集されたデータから日々学習を行い、作業者を支援します。これにより、過去のノウハウだけでなく、新たなノウハウも自動的に抽出されます。このシステムによって生産の最適解が得られ、製造コストの大幅な削減が見込まれます。
ダイセルでは年間約100億円のコストダウンが可能と試算されており、さらに、AIの活用により、従来の手法で必要だったノウハウの顕在化にかかる労力が大幅に削減され、導入の難易度も改善されます。
活用事例⑰:AIカメラによる計器・ランプの読み取り(IntegrAI)
導入企業名 | 株式会社IntegrAI(インテグライ) |
事業内容 | AI技術、生成AIを駆使し製造業のデジタルトランスフォーメーションへ推進を行うソフトウェアの開発・導入支援 |
従業員数 | ~10名(2024年2月時点) |
AI導入前の課題 | ・工場の制御盤のデータを外部に出力することが難しく、現場での確認が必要だった。 ・機械を改造してデータを出力することは技術的に可能だが、改造して故障してしまったらメーカーのサポートを受けられなくなる、生産ラインを止めることができない工場もあった。 |
AI導入成果 | ・IntegrAIのソリューションは、カメラでメーターを撮影し、その画像をリアルタイムにディープラーニングで解析して、メーターの数値を読み取る。 ・その画像やメーターの数字を遠隔から見ることができますし、あらかじめ設定した温度以上になった場合にアラートを出す、といったことが可能になった。 |
「IntegrAI Camera」は、AIを搭載したカメラシステムで、製造機器のメータの数値やランプ点灯を自動データ化し、高頻度で即時データ化およびグラフによる可視化を行います。
異常時にはアラート通知も可能であり、迅速な現場でのAIシステム設置導入が可能です。これにより、移動時間の削減や設備の傾向把握が容易になり、従来の見回り・点検業務や紙の保管をDX化します。
結果として、品質管理や業務時間の削減、稼働傾向の把握による省電力/稼働コスト削減が実現できるようになりました。
活用事例⑱:スマートファクトリー(サントリー)
導入企業名 | サントリー食品インターナショナル株式会社 |
事業内容 | 国内・海外の食品事業 |
従業員数 | 23,485名(2022年12月31日時点) |
AI導入前の課題 | ・サントリーでは、これまで担当者の経験に基づいて生産計画を立案してきたが、複雑な制約条件を考慮して計画を立案するためには高度な能力と膨大な時間を要していた ・エリア単位で生産計画を立案していることから、エリアごとの個別最適となっており、生産リソース全体を有効活用した最適案を策定するまでには至っていなかった |
AI導入成果 | ・サントリーと日立は、協創を通じて、AIを活用し最適な生産計画を自動立案するシステムを開発し、2019年1月から実運用を開始した ・このシステムでは、実行可能かつ最適な生産計画を約1時間で自動立案できる |
2021年5月末に稼働を開始した「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」は、長野県や新潟県、北陸、東海地域に「サントリー天然水」を供給しています。
この工場は国内4番目の自然豊かな施設であり、最新のデジタル技術を駆使しています。工場内のデータを統合し、次世代ファクトリーモデルの実現に向けてデジタル技術を活用しています。これにより、厳格な生産・品質管理が可能となり、商品の安心・安全を確保しています。
また、AIを活用したIoT基盤の構築に取り組んでおり、工場全体の生産設備や機器からさまざまなデータを高速に収集し、統合しています。これにより、工場経営や業務オペレーションの変革を実現し、従業員の安全性向上や新しい働き方の実現に貢献しています。
活用事例⑲:生産計画の自動立案(ニチレイフーズ)
導入企業名 | 株式会社ニチレイフーズ (英語表記:Nichirei Foods Inc.) |
事業内容 | 冷凍食品・レトルト食品・缶詰・包装氷等の製造・加工並びにこれらの製品の販売 |
従業員数 | 11,341人(2023年3月期ニチレイフーズグループ連結) |
AI導入前の課題 | ・生産計画と要員計画の立案業務が熟練者に依存していた ・これらの計画は、各工場別・ライン別・生産品目別に、熟練者が複雑な制約条件を考慮して立案していた |
AI導入成果 | ・AIを活用して最適な生産計画および要員計画を自動立案するシステムを日立製作所と協創し、2020年度から国内の2工場で運用を開始. ・これにより計画立案にかかる時間を従来の10分の1程度に短縮することができ、熟練者以外の従業員も計画を作成できることから、労働時間の低減や休暇取得の向上など「働き方改革」に貢献した |
ニチレイフーズと日立は、食品メーカーの需要変動に対応し、熟練者不足による生産体制の効率化を図るために協力しています。ニチレイフーズは、品質管理やセキュリティの強化を進め、従業員のノウハウを活用したシステムを構築してきましたが、熟練者の限界と課題がありました。そこで、日立のデジタル技術を組み込んだ新しい生産計画システムを開発しました。
このシステムは、日立のAI技術を活用して熟練者の経験を数値化し、生産計画と要員配置の最適化を行います。日立の特許取得済みのAI技術は、数理最適化と機械学習を組み合わせ、膨大な制約条件の中から最適解を迅速に導き出します。また、熟練者がシステムの結果を評価し、継続的に学習することで、計画内容の品質向上を図ります。
このシステムの導入により、ニチレイフーズは生産性の向上や生産リードタイムの短縮、在庫の圧縮などを実現し、働き方改革を推進しています。
活用事例⑳:ダイカストの鋳造波形から鋳造条件をAIがスコアリング(SKYDISC)
導入企業名 | 株式会社スカイディスク(英文社名:Skydisc, Inc.) |
事業内容 | AIを活用したDX支援 |
従業員数 | 40名(2024年2月時点) |
AI導入前の課題 | ・工場の制御盤のデータを外部に出力することが難しく、現場での確認が必要だった ・機械を改造してデータを出力することは技術的に可能だが、改造して故障してしまったらメーカーのサポートを受けられなくなる、生産ラインを止めることができない工場もあった |
AI導入成果 | ・スカイディスクはAIを搭載したサブスクリプション型の生産スケジューラ「最適ワークス」の普及を通して、生産計画を起点とした「生産計画DX」を推進している ・AIによりルーティンワークの効率化を図ることで、従業員に、新たなスキルを学ぶ機会を提供するなど、人的資本経営の実現も支援している |
SKYDISCは、ダイカスト工程の鋳造波形を分析し、鋳造条件をスコアリングするAIを開発しました。自動算出されたスコアを元に、人が鋳造条件の正常・異常を判断するワークフローを構築することに成功しました。
従来の手法では、熟練の検査員が射出ごとに測定される変位、圧力、速度などの大量の波形データを目視で採点し、鋳造条件の正常・異常を判断していました。しかし、異常パターンの把握や波形データの読み取りに必要な熟練者の数が減少しており、技術の継承が課題となっていました。
さらに、鋳造条件の確認は製造後の工程で行われていましたが、AIにより射出時に鋳造条件が即座に点数化されるようになりました。これにより、異常が発生した場合のフィードバックが早まり、欠陥品の製造をより効果的に防止することが期待されます。
製造業におけるAI導入の失敗例
では、製造業におけるAI導入の失敗事例についても少し解説していきます。
失敗事例①:ロボット投資への失敗(フォルクスワーゲン)
ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、2015年に巨額の投資を行い、自動化されたロボットを導入しました。しかし、これらのロボットは複雑な自動車組み立てラインで期待されたように機能せず、効率が低下し、また、ロボットによる死亡事故も発生したことにより、ロボット導入の可否が問われました。
問題の原因は、ロボットが予期せぬ変化に適応できなかったことや、柔軟性の欠如でした。フォルクスワーゲンはこの失敗を経験し、後に従来の労働者中心のアプローチに回帰しています。
失敗事例②:人間の置き換え計画の失敗(Amazon)
Amazonは、自動化技術の導入により倉庫内の効率を向上させようとしましたが、その過程で数多くの課題に直面しました。
例えば、AmazonはKiva Systemsと呼ばれる自動化ロボットを導入しましたが、このシステムは予想以上に高価であり、運用にも多額の費用がかかりました。また、人間の労働者とロボットの連携に関する問題も生じ、結果として効率が低下しました。
この結果、Amazonはロボットを導入する計画を一部見直し、人間とロボットの協調作業に焦点を当てる方針に変更しました。
製造業においてChatGPTの導入は可能?
AIの中でも特に注目されている「ChatGPT」ですが、製造業においてどのように導入することができるのでしょうか?
①製品設計と開発
ChatGPTは、製品設計や開発段階でのアイデアのブレストやコンセプトの検討に役立つでしょう。エンジニアやデザイナーがChatGPTと対話し、新しい製品のコンセプトを探求したり、問題の解決策を見つけたりすることができます。
②生産プロセスの最適化
ChatGPTは、生産ラインの効率化や品質向上のためのアドバイスや提案を行うのに役立つでしょう。生産マネージャーやエンジニアがChatGPTを活用して、生産プロセスの改善方法を探ったり、トラブルシューティングを行ったりすることができます。
③品質管理と保証
ChatGPTは、製品の品質管理や品質保証のプロセスを支援するのに役立つでしょう。品質管理者や技術者がChatGPTを使用して、製品の品質に関する質問に回答したり、品質問題の原因を特定したりすることができます。
④カスタマーサポートと技術サービスの提供
ChatGPTは、製品に関するカスタマーサポートや技術サービスを提供するために活用することができます。顧客や技術者がChatGPTと対話し、製品の使い方やトラブルシューティングの方法に関する情報を入手したり、サポートを受けたりすることができるでしょう。
⑤研究開発とイノベーション
ChatGPTは、製造業の研究開発部門やイノベーションチームにおいて、新しい技術や製品の開発に活用することができます。研究者やイノベーターがChatGPTを使用して、最新の技術トレンドや市場動向について調査したり、アイデアをブレストしたりすることができるでしょう。
ChatGPTは、生産性向上や効率化、品質管理の向上、顧客サポートの強化など、さまざまな側面で製造業に良い影響もたらしてくれるものですので、導入を検討する価値があるといえそうです。
AIの今後の流れ:製造業におけるAIの未来とは
多くの場面で活用されるようになったAIですが、将来的にAIはどのように変化していくのでしょうか。
製造業におけるAIの未来について考えていきます。
スマートファクトリーへの移行
スマートファクトリーとは、情報技術(IT)、運用技術(OT)、インターネット技術(IoT)などを統合して、製造プロセスを高度に自動化し、柔軟で効率的な生産体制を実現する工場のことです。
AI(人工知能)は、スマートファクトリーの中核をなす技術の一つであり、以下のようなメリットを提供します。
- 生産性の向上
- コスト削減
- 品質の向上
- 柔軟な生産体制
- エコフレンドリーな運営
- データ駆動型の意思決定
これらのメリットを享受するためには、適切なAI技術の選定、システムの統合、そして継続的なプロセスの改善が必要です。
スマートファクトリーへの移行は、製造業において競争力を維持し、未来に向けて成長を続けるための重要なステップとなります。
AIによるサプライチェーン最適化の展望
AIによるサプライチェーン最適化は、製造業において非常に重要な役割を果たしています。サプライチェーンは、原材料の調達から製品の配送に至るまでの一連のプロセスを指し、このプロセスを効率化することで、コスト削減、生産性向上、顧客満足度の向上が期待されます。
AIを活用することで、以下のような最適化が可能になります。
- 需要予測の精度向上
- 自動再注文システム
- サプライヤー選定の最適化
- ロジスティクスの効率化
- リスク管理
- サプライチェーンの透明性向上
これらの最適化を実現するためには、AI技術の適切な導入と、データの質と量の確保が必要となります。
また、サプライチェーンに関わるすべてのステークホルダーとの連携を密にすることで、AIによる最適化の効果を最大限に引き出すことができます。
AIによるサプライチェーン最適化は、製造業が直面する多くの課題を解決し、持続可能なビジネスモデルへの移行を加速する鍵となります。
人工知能とロボティクスの統合による新たな可能性
人工知能(AI)とロボティクスの統合は、製造業をはじめとする多くの産業において、効率化、自動化、そしてイノベーションの新たな波を生み出しています。
この統合により、ロボットは単なるプログラムされた命令を実行する機械から、環境を認識し、学習し、適応するインテリジェントなシステムへと進化しています。
AIとロボティクスの統合がもたらす新たな可能性として、以下のものが考えられます。
- AIによる自律的な意思決定
- AIによる柔軟な作業能力
- 高度なセンサーとビジョンシステム
- AIと人間との協働
- プロセスの最適化
- AIが生み出す新たなサービスとビジネスモデル
AIとロボティクスの統合は、これらの可能性を実現するために、高度な技術開発と、それを支える人材の育成が必要です。
この統合が進むことで、産業はよりスマートで、持続可能で、人間中心の未来へと進化していくでしょう。
AIスキルを持つ人材の需要増と教育の重要性
AIスキルを持つ人材の需要が増加しているのは、AI技術がビジネスのあらゆる面で重要な役割を果たすようになっているためです。
特に製造業においては、AIを活用したスマートファクトリーの構築、生産プロセスの最適化、品質管理、在庫管理、需要予測など、多岐にわたる領域でAIの導入が進んでいます。
これに伴い、以下のようなAI関連のスキルが特に求められています。
- データ分析と処理
- 機械学習とモデリング
- ソフトウェア開発
- インターフェース設計
- AI倫理と法規制
これらのスキルを持つ人材を育成するため、大学や専門学校はもちろんのこと、オンラインコースや企業内トレーニングプログラムを通じて、従業員が必要なスキルを習得できる機会を提供することが求められています。
また、技術の進化に合わせてスキルアップを図ることも重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
製造業におけるAIの導入は、多くのメリットをもたらしますが、成功させるためには慎重な計画と実行が必要です。
AIの導入によって業務の効率化をはじめ多くのメリットもある一方、さまざまな要素に注意を払う必要もあります。
AIの導入は、未来の製造業における競争力を保つための重要なステップです。しかし、導入にあたっては、失敗事例から学び、企業の具体的な状況に合わせた適切な戦略を立てることが不可欠です。
最終的には、AIを導入することで、製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、持続可能な成長を目指すことができます。
自社にとって最適なAI技術を見極め、賢く活用していくことが今後の成功への鍵となるでしょう。