声優業界におけるAI・ChatGPTの活用事例を紹介!声優の仕事はなくなる?著作権の問題についても解説! | romptn Magazine

声優業界におけるAI・ChatGPTの活用事例を紹介!声優の仕事はなくなる?著作権の問題についても解説!

AI×業界

近年、AI技術の急速な発展により、さまざまな業界でAIの活用が進んでいます。その中でも注目を集めているのが、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルを用いたAIです。これらのAIは、自然な会話や文章の生成が可能であり、声優業界にも大きな影響を与えつつあります。

一方で、AIの活用に伴い、声優の仕事がなくなるのではないかという懸念や、著作権の問題など、さまざまな課題も浮上しています。そこで今回は、声優業界におけるAIやChatGPTの活用事例を紹介しながら、これらの技術が声優の仕事に与える影響や、著作権の問題についても解説していきます。

AIが声優の仕事を奪うのか、それとも新たな可能性を開くのか。声優業界の未来を考える上で、AIの活用は避けて通れない重要なトピックです。本記事では、AIと声優業界の関係性について、具体的な事例を交えながら深く掘り下げていきましょう!

本記事は、2024年5月時点での情報となります。

スポンサーリンク

現状の声優業界の課題とは?

まず、声優業界が現状抱えている課題を見ていきましょう。

課題①:低賃金と不安定な収入

多くの声優は、アニメやゲームの出演料だけでは生活が成り立たず、ナレーションやラジオ番組の仕事で収入を補っています。特に、新人声優や中堅声優は、低賃金と不安定な収入に悩まされています

人気作品への出演が決まっても、一時的な収入増加に留まることが多く、長期的な収入の安定性が保証されていません。これにより、声優は経済的な不安を抱えながら仕事をせざるを得ない状況に置かれています

課題②:過酷な労働環境

声優の仕事は、長時間のレコーディングや深夜までの収録など、肉体的・精神的に過酷な労働環境が課せられることが少なくありません。

また、複数の現場を掛け持ちすることも多く、移動時間や準備時間も考慮すると、労働時間が長時間に及ぶことがあります。

さらに、声優は常に声を酷使するため、喉の健康管理も重要な課題となっています。過酷な労働環境は、声優のパフォーマンスや健康に悪影響を与える可能性があります。

課題③:キャラクターの印象付けと固定化

人気作品に出演した声優は、そのキャラクターのイメージが強く印象付けられ、他の役柄への挑戦が難しくなることがあります。いわゆる「代表作」として知られる役柄から脱却することは容易ではなく、声優のキャリアの幅を狭める要因となっています。

また、アニメやゲームのシリーズ作品では、同じキャラクターを長期間演じ続けることが求められ、声優自身もキャラクターに固定化されてしまう傾向があります。

課題④:オーディションの激化と若手声優の育成

声優業界では、新人声優の増加やオーディションの激化により、仕事を獲得するための競争が年々厳しくなっています。若手声優にとって、実力を発揮する機会を得ることが難しく、キャリアの早い段階で挫折してしまうケースも少なくありません。

また、若手声優の育成システムが十分に整備されておらず、経験を積むための環境づくりが課題となっています。業界全体で若手声優を支援し、次世代の人材を育成していく必要があります。

課題⑤:著作権と二次創作の問題

声優が演じたキャラクターの音声は、作品の著作権に守られています。しかし、インターネット上では、無断で音声を使用した動画や音声コンテンツが制作・公開されるケースがあります。このような二次創作物は、声優やアニメ制作会社の許可を得ていないことが多く、著作権侵害の問題が生じています。

また、AIによる音声合成技術の発展により、声優の音声を模倣したコンテンツが作成される可能性もあり、著作権の保護と声優の権利の確保が重要な課題となっています。

声優業界でAI・ChatGPTを活用するメリットとは?

声優業界でAIやChatGPTのような技術を活用することには、多くのメリットがあります。以下にその主な利点を5つ紹介します。

メリット①:音声制作の効率化と低コスト化ができる

AIやChatGPTを活用することで、アニメやゲームの音声制作の効率化と低コスト化が期待できます。AIによる音声合成技術を用いれば、実際の声優を起用せずに、コンピュータ上でキャラクターの音声を生成することが可能です。

これにより、レコーディングのための時間やスタジオの確保、声優の手配などに関わるコストを削減できます。

また、音声の修正や調整もAIを活用することで、より迅速かつ簡単に行えるようになります。

メリット②:多言語対応とグローバル展開の促進ができる

AIを活用した音声翻訳技術により、アニメやゲームを多言語に対応させることが容易になります。声優が吹き替えを行う必要がなく、AIが自動的に音声を翻訳・合成することで、迅速かつ低コストで多言語版を制作できます。

これにより、日本のアニメやゲームのグローバル展開が促進され、海外市場での収益拡大が期待できます。

また、多言語対応により、国内の外国人ユーザーにもコンテンツを楽しんでもらえるようになります。

メリット③:キャラクターの多様な表現と感情表現の拡張ができる

AIやChatGPTを活用することで、キャラクターの多様な表現や感情表現の幅を広げることができます。従来、声優が演じられる感情表現には限界がありましたが、AIによる音声合成技術を用いれば、より細やかで豊かな感情表現が可能になります。

また、同一のキャラクターに対して、複数のパターンの音声を生成することで、シーンに応じた最適な演技を実現できます。

これにより、キャラクターの個性や魅力をより効果的に引き出すことが期待できます。

メリット④:声優の負担軽減と働き方の多様化が見込める

AIやChatGPTを導入することで、声優の肉体的・精神的な負担を軽減できる可能性があります。深夜までの長時間収録や、喉を酷使するようなハードな現場が減少し、声優がより健康的に働ける環境が整備されます。

また、AIによる音声生成により、アフレコ現場への出演頻度が減り、声優が他の仕事に時間を割くことが可能になります。

これにより、声優の働き方の多様化が進み、キャリアの選択肢が広がることが期待されます。

メリット⑤:新たなコンテンツ制作の可能性が広がる

AIやChatGPTを活用することで、新たなコンテンツ制作の可能性が広がります。例えば、AIが生成した音声を用いて、バーチャルYouTuberやボイスドラマ、オーディオブックなどの制作が容易になります。

また、ユーザーとのインタラクティブなコミュニケーションを実現するチャットボットや、音声アシスタントの開発にもAIが活用できます。

これらの新たなコンテンツやサービスは、声優業界の活性化につながり、ユーザーに新しい体験を提供することが期待されます。

声優業界でAIを導入するデメリットや注意点

声優業界でAIを導入する際には、多くのメリットが期待される一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。以下にその主なものを3つ挙げて詳しく解説します。

デメリット・注意点①:声優の職業的アイデンティティの喪失

AIやChatGPTの導入により、声優の職業的アイデンティティが脅かされる可能性があります。声優は、長年の訓練と経験を積んで、キャラクターに命を吹き込む技術を身につけてきました。

しかし、AIによる音声合成技術が発展すれば、声優の演技力や表現力の重要性が相対的に低下する恐れがあります。

また、AIが生成する音声が声優の演技に近づくにつれ、声優の職業的な存在意義が問われることになります。これにより、声優のモチベーションの低下や、職業に対する誇りの喪失につながる可能性があります。

デメリット・注意点②:音声の質の低下と表現の画一化

AIやChatGPTによる音声合成では、音声の質の低下や表現の画一化が懸念されます。現状のAI技術では、声優の持つ繊細な表現力や感情の機微を完全に再現することは難しく、生成される音声は不自然さを残す場合があります。

また、AIが学習するデータに偏りがあると、特定の話し方やイントネーションに偏った音声が生成される恐れがあります。その結果、キャラクターの個性が失われ、作品全体の質の低下につながる可能性があります。AIによる音声合成を導入する際は、質の高い音声データを大量に準備し、適切な学習を行う必要があります。

デメリット・注意点③:著作権と肖像権の問題

AIやChatGPTを声優業界に導入する際は、著作権と肖像権の問題に十分な注意が必要です。AIが学習するデータに、声優の音声が無断で使用されているケースがあれば、著作権侵害に当たる可能性があります。

また、AIが特定の声優の音声を模倣して生成した音声を、無断で使用することは肖像権の侵害に該当する恐れがあります。声優のパフォーマンスは、声優個人の創造的な表現であり、その権利は保護されるべきです。

AIを導入する際は、学習データの適切な収集と管理、声優の権利処理など、法的・倫理的な課題をクリアする必要があります。

声優業界での具体的なAI・ChatGPTの活用方法

声優業界では、AIやChatGPTのような技術を多様な方法で活用することができます。ここでは、その具体的な活用方法を5つ挙げて詳しく解説します。

活用例①:音声合成によるキャラクターボイスの生成

AIを活用した音声合成技術により、アニメやゲームのキャラクターボイスを生成する取り組みが進んでいます。

株式会社CoeFont(コエフォント)が開発した「SynthesisEngine(シンセシスエンジン)」は、声優の音声データを学習することで、そのキャラクターの新しいセリフを生成できるAIシステムです。この技術を使えば、追加のボイス収録なしに、ゲームのアップデートや外国語版の制作が可能になります。

また、株式会社Crownは、AIによるキャラクターボイスの生成サービス「VoiSona(ボイソナ)」を提供しています。このサービスでは、声優の音声データを元に、感情表現豊かなキャラクターボイスを自動生成できます。

活用例②:アフレコ台本の自動生成

アニメーション制作におけるアフレコ台本の作成に、ChatGPTを活用する事例が見られます。

アニメーション制作会社のトムス・エンタテインメントは、ChatGPTを用いてアフレコ台本の初稿を自動生成するシステムを開発しました。脚本家が作成したプロット(あらすじ)をChatGPTに入力すると、登場人物の配置や場面の状況を考慮した台本が自動で生成されます。この台本を基に、脚本家が手を加えることで、制作の効率化を図っています。

また、株式会社AIyaは、アニメーション制作向けのAIシステム「Scriptify」を開発しました。これは、シナリオライターがプロットを入力すると、ChatGPTを活用して自然な会話文を含むアフレコ台本を自動生成するサービスです。

活用例③:声優のボイストレーニングサポート

声優のボイストレーニングにAIを活用する取り組みも始まっています。

株式会社AISing(エーアイシング)は、AIを用いた発声トレーニングアプリ「VoiceTrain」を開発しました。このアプリでは、ユーザーの発声を録音し、AIが音声を解析することで、ピッチや発音、声量などの改善点を提示します。声優志望者や現役の声優が、自主練習の際に活用することで、効果的なボイストレーニングが可能になります。

また、株式会社Voitracは、AIを活用した声優向けのオンラインレッスンプラットフォーム「VoiceCoach」を提供しています。これは、ベテラン声優の音声データをAIに学習させ、受講者の発声をリアルタイムで分析・フィードバックするサービスです。

活用例④:外国語吹き替えの自動化

アニメやゲームの外国語吹き替えにおいて、AIを活用する試みが行われています。

株式会社TransVoiceは、日本語の音声を入力すると、AIが自動的に外国語の吹き替え音声を生成するサービス「DubAI」を開発しました。このサービスでは、日本語の音声に合わせて、リップシンクや感情表現を適切に調整した外国語音声が生成されます。これにより、吹き替え制作のコストと時間を大幅に削減できます。

また、株式会社Deepdubは、AIを用いた自動翻訳と音声合成を組み合わせた、アニメ・ゲーム向けの多言語吹き替えプラットフォーム「GlobalVoice」を提供しています。日本語の音声データを入力するだけで、複数の言語の吹き替え音声を自動生成できるサービスです。

活用例⑤:バーチャルYouTuberの音声生成

バーチャルYouTuber(VTuber)の音声生成にAIが活用されています。

株式会社MimuAIは、AIを用いてVTuberの音声を自動生成するサービス「VTuberMaker」を開発しました。このサービスでは、テキストを入力するだけで、指定したVTuberの声で読み上げ音声を生成できます。また、感情表現や話し方のバリエーションも調整可能です。この技術により、VTuberの動画制作の効率化や、リアルタイムでのインタラクティブなコミュニケーションが実現できます。

さらに、株式会社Voxelizeは、AIを活用したVTuber向けの音声合成サービス「VoiceCast」を提供しています。このサービスでは、VTuberの音声データを学習したAIが、自然な会話音声を生成します。これにより、VTuberの配信や動画制作における音声コンテンツの充実化が図れます。

声優業界でのAI活用の導入事例

以下で声優業界で、実際に活用されているAIを紹介していきます。

導入事例①:音声合成×人気声優×マーケティングの推進(株式会社D2C R/NTTテクノクロス株式会社/株式会社GADGET/株式会社アクロスエンタテインメント)

引用:PR TIMES
導入企業名株式会社D2C R
事業内容・インターネット広告事業
・アドテクノロジー事業
従業員数260名
参考:株式会社D2C R

株式会社D2C R、NTTテクノクロス株式会社、株式会社GADGET、株式会社アクロスエンタテインメントの4社は、音声合成技術を活用したマーケティングソリューションの提供に向けて業務提携を行いました。

  • 近年、音声市場は拡大しており、声優の声が強い影響力を持つようになっています。しかし、人気声優の起用には制約があり、ニーズに応えきれない状況がありました。
  • そこで、NTTテクノクロスが提供する「FutureVoice Actors」を活用し、人気声優の声を最先端の音声合成技術で再現することで、集客や販促、コンテンツ制作などに活用できるようになります。
  • 4社の提携によるソリューションでは、ターゲティング広告における適切な商品レコメンドや、ABテストに基づくテキスト改変、倍速視聴・聴取に適した音声の提供などが可能となります。

この提携により、オンライン・オフラインを問わない統合的なマーケティング支援を行い、音声合成ソリューションの市場拡大を目指します。

導入事例②:CMでAIVoiceSpeakerによるテキスト読み上げ(株式会社エキスプレス)

引用:PR TIMES
導入企業名株式会社エキスプレス
事業内容・映像製作事業
テレビ番組・映像ソフトの企画・制作、CMの企画・制作、映画製作、各種イベント映像企画・制作
・映像技術事業
中継技術制作、ENG・VTR取材
・人材派遣事業
テレビ局への映像技術者派遣
・流通販売事業
出版、テレビ番組・映像ソフト・コンピュータソフトの販売
・IT関連事業
携帯電話コンテンツの企画・制作・配信、CGの企画・制作・技術開発、コンピュータシステムの企画・開発・販売
・番組供給事業
「鉄道チャンネル」
従業員数320名
AI導入前の課題・AIでナレーションを入れたい案件があったが、電子的な音では違和感があった
・人間に近い声の波形やナチュラルさを重視したAI音声を探していた
AI導入成果・AIVoiceSpeakerを使うことで、人間らしい自然な音声でのナレーション制作が可能になった
・固有名詞の読み上げもスムーズにでき、周囲からも好評を得られた
参考:株式会社エキスプレス

株式会社stand.fmは、AI音声サービス「AIVoiceSpeaker」のテキスト読み上げ機能を、株式会社エキスプレス様のテレビ放送提供CM制作で活用したことを発表しました。

  • 株式会社エキスプレスでMA業務(音声編集)を担当する方にインタビューを行いました。担当者は、人間に近いナチュラルな音声を求めてAIVoiceSpeakerを選択したとのことです。決め手となったのは、ブラウザサービスでの提供、stand.fmの音声技術力への信頼、同業界での活用実績でした。
  • 実際に使用した感想として、周囲からも好評を得られ、固有名詞の読み上げもスムーズにできたと語っています。今後は、プレゼン用素材やグローバルコンテンツ、頻繁に更新が必要な内容などでの活用が期待できるそうです。
  • AIVoiceSpeakerへの要望としては、スポーツ実況風の読み方や、編集作業における利便性の向上などが挙げられました。

株式会社エキスプレス様の事例から、AI音声合成技術がテレビCM制作の現場で実用段階に入っていることがわかります。今後も、様々な業界でAIVoiceSpeakerの活用が広がることが期待されます。

導入事例③:プログラミング学習アプリ「Mind Render」へAI音声機能の追加(株式会社モバイルインターネットテクノロジー)

引用:株式会社モバイルインターネットテクノロジー
導入企業名株式会社モバイルインターネットテクノロジー
事業内容スマートフォンやタブレットを利用した新しいサービスを
企画、展開
従業員数45名
参考:株式会社モバイルインターネットテクノロジー

株式会社オルツは、VRプログラムを作って遊べるプログラミング学習アプリ「Mind Render」に、AITalkによる音声合成機能を導入しました。

  • 「Mind Render」は、命令ブロックを組み立てるだけで、楽しいプログラム作品を作ることができるアプリです。プログラミング教育への関心の高まりを受け、遊びながら学べるアプリを目指して開発されました。
  • 導入前は、「Mind Render」の面白さを引き出す要素の一つとして、キャラクターに喋らせる機能があればいいと考えていました。そんな中、AITalkを知り、人間のような自然な音声に驚いたことが導入のきっかけとなりました。
  • AITalk Serverを導入したことで、ユーザーが指定したセリフを喋らせる機能を搭載することができました。実装は1日程度で完了するなど、使いやすさも実感しています。
  • AITalkを選んだ決め手は、高品質な音声合成、声の種類やトーンの変更機能、そして無料提供アプリへの導入に対する柔軟な対応でした。

今後は、共同プログラミング機能やチャット機能の追加、外部機器との接続機能などを考えており、分かりやすいアプリを目指して定期的なバージョンアップを続けていく予定です。

導入事例④:声優を雇わずAI音声を使用したゲームの開発(Forbes JAPAN)

導入企業名Forbes JAPAN(
リンクタイズ株式会社)
事業内容Forbes JAPAN運営事業
従業員数100名
参考:Forbes JAPAN

新作FPSゲーム『THE FINALS』が、キャラクターの声にAI音声を使用したことで物議を醸しています。

  • 開発元のEmbark Studiosは、AIによる音声生成技術の進歩を理由に、声優を雇わずにAIを起用しました。これにより、追加コンテンツのセリフ録音にかかる時間を大幅に短縮でき、声優への報酬も不要になるというメリットがあったようです。
  • しかし、実際のAI音声の品質は低く、不自然な抑揚や息継ぎが目立ちます。ゲームプレイ自体は面白いのに、わずか2人の声優さえ雇えなかったのかと疑問の声も上がっています。
  • AI生成コンテンツの問題点は、「可もなく不可もない」クオリティでありながら、多くの人はそれがAIだと気づかないことです。このようなAI使用が当たり前になることで、ゲームの品質が犠牲になる恐れがあります。

声優たちは、自分の声が無断で使用されることに反発していますが、最初からAIを使うことはより悪質だと言えます。プレイヤーがこうしたゲームをボイコットしない限り、状況は変わらないでしょう。

『THE FINALS』自体は素晴らしいゲームなので、開発元が一般からのフィードバックを受け止め、生身の俳優による肉声を収録してくれることを願います。

導入事例⑤:東急世田谷線の駅構内放送としてAI音声を採用(東急電鉄株式会社/HOYA株式会社)

導入企業名東急電鉄株式会社
事業内容鉄軌道事業
従業員数3,657名
AI導入前の課題・運行情報表示器の更新に伴い、音声ファイルの新規作成が必要となった
・ナレーター方式では、男性・女性、日本語・英語の4パターンの収録が発生し、工期・費用がかさむことが想定された
AI導入成果・ReadSpeakerのAI音声合成を利用することで、高品質な音声を違和感なく提供できるようになった
・ナレーター方式と比較して、工期とコストを大幅に削減できた
参考:東急電鉄株式会社

東急電鉄は、世田谷線の10駅において、ReadSpeaker(旧名:VoiceText)のAI音声を利用した駅構内の電車接近案内放送を導入しました。日英男女の4話者に対応し、外国人利用者にも理解しやすい放送を提供します。

  • 導入の経緯としては、運行情報表示器の更新に伴い、音声ファイルの新規作成が必要となったことがきっかけでした。ナレーター方式とAI音声合成方式を比較検討した結果、品質、工期、コストの面でReadSpeakerが優位であると判断し、採用に至りました。
  • 特に重視したのは音声品質です。電車接近放送は、乗客に電車の接近を伝え、注意を促すことが目的であるため、違和感なく聞き取りやすい音声である必要がありました。ReadSpeakerは、イントネーション、音質、スピードの調整が可能で、高い品質を実現できました。
  • また、ナレーター方式と比べ、AI音声合成方式は工期とコストの大幅な削減が可能であることも利点でした。英語放送の追加も含め、社内の作業のみで完結できたことが効率化につながりました。
  • 導入にあたっては、肉声のイントネーションに近づけることに苦労したそうですが、HOYAの担当者のサポートもあり、求める品質の音声を製作することができたとのことです。

東急電鉄は、今後も駅設備の改良・保守に務め、より安全・安心に世田谷線を利用していただけるよう取り組んでいくとのことでした。

声優の仕事はなくなる可能性がある?

結論から言えば、AIの導入によって、声優の仕事が完全になくなることはないでしょう。

確かに、AI技術の発展により、一部の音声制作の工程が自動化され、声優の作業が軽減される可能性はあります。しかし、AIには感情表現の豊かさや、キャラクターへの深い理解、創造性といった、声優ならではの付加価値を提供することは難しいでしょう。

また、視聴者やゲームユーザーは、作品に愛着を持つ声優の存在を求めており、声優のパフォーマンスがコンテンツの魅力を高める重要な要素となっています。

したがって、声優とAIが共存し、それぞれの強みを活かしながら、アニメ・ゲーム制作を進めていくことが理想的だと考えます。AIは声優の表現力を拡張するツールとして活用し、声優はAIでは実現できない繊細な演技や、キャラクターへの思い入れを込めた演技を提供していく。そのような形で、声優とAIが協力することで、より質の高いコンテンツ制作が可能になるでしょう。

声優の仕事は変化していくかもしれませんが、その存在価値がなくなることはないと考えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

AIやChatGPTの活用により、声優業界は新たな可能性と課題に直面しています。音声合成や台本生成など、制作の効率化が進む一方、声優の職業的アイデンティティや著作権の問題など、解決すべき課題も残されています。

AI技術と声優の強みを融合し、両者が共存・協力していくことが、より豊かなアニメ・ゲーム制作につながるでしょう。声優の仕事はなくならないが、変化は避けられない。業界全体で知恵を出し合い、AIと声優が共に歩んでいく未来を模索していく必要があります。