AI運行バスについて解説!リアルタイム予約ができるオンデマンドバスとは?

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AI運行バスはAI技術を活用して、利用者のニーズに応じた柔軟な運行計画を実現します。

従来の公共交通機関とは異なり、定時にバスが到着するスタイルではなく、利用者のリアルタイムな予約に基づいて動くことが特徴です。

この記事では、この先進的なAIバス・オンデマンドバスサービスの仕組み、メリットについて解説していきます。

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AI運行バス仕組みとは?オンデマンド型交通についても徹底解説!

以下ではAI運行バスの仕組みについて解説していきます。その中でもオンデマンド交通とは何なのかを順を追って解説していきます。

AI運行バスの仕組み:オンデマンドでの配車・リアルタイムでの予約

オンデマンド配車とリアルタイム予約システムは利用者が必要な時に、必要な場所への移動を可能にする新しい公共交通の形態です。

オンデマンドでの配車システムでは、利用者からの乗降リクエストがリアルタイムで受信され、AIによる分析を通じて最適な車両が配車されます。

さらに、業務を行う上で収集された移動データは利用パターンやピーク時間の特定に役立ち、サービスの効率化や利便性の向上に貢献します。

こうして、AIによるデータ分析を駆使することで、利用者にとってより柔軟で効率的な移動手段を提供し、地域の交通アクセスの活性化に大きく貢献することが期待されます。

AI運行バスの仕組み:ダイナミックルート(走行ルートの最適化)

ダイナミックルート機能は、リアルタイムでの乗降リクエストに基づき、AI(人工知能)を用いて最適な走行ルートを計算し、複数の乗客が共有可能な効率的な経路を提案し運行します。

ダイナミックルート機能は、交通状況や道路の混雑度を考慮し、運行中も継続的にルートを調整することで、予期せぬ障害に迅速に対応し、乗客を迅速かつ効率的に目的地に運びます。

つまりAさん、Bさん、Cさんのそれぞれの行き先を考慮した上で最も早く辿り着けるルートをAIが即時に判断して運行を行うので、混雑に巻き込まれることなく目的地に辿り着けます。

このダイナミックルート機能により乗客の乗り合い可能となっています。

AI運行バスの仕組み:シェアリング(乗り合い)

シェアリング(乗り合い)システムは、異なる目的地の複数の乗客が同一の車両を共有することにより、個別輸送に比べて移動コストを削減し、効率的な公共交通の形態を実現します。

シェアリング(乗り合い)システムは、乗客の乗降リクエストに基づいて最適な乗り合わせをAIが計算し、必要な乗降ポイント間を効率的に結び、乗客をより早く安全に目的地に運ぶことができます。

AI運行バスの仕組み:地域ビジネス連携

AI運行バスを活用することで、運行地域内の店舗や施設との連携を通じて、地域の観光や商業活動を促進し、送客効果を高めることで地域経済を活性化することができます。

AI運行バスの仕組みは、地域内のサービスとの統合を促進し、利用者にとって便利なサービスを提供するとともに、地域全体の利便性と魅力を向上させる効果を持っています。

AI運行バスの仕組み:MaaS(Mobility as a Service)とは?

AI運行バスを語る上で欠かせない「MaaS(Mobility as a Service)」とは、多様な交通手段をデジタルプラットフォーム上で統合し、ユーザーに対して便利で効率的な移動体験を提供する革新的なモデルです。

MaaSでは、公共交通、レンタカー、自転車シェアリング、タクシーなどの様々な移動手段が一つのアプリケーションやサービスを通じてアクセス可能になります。

その中でもAI運行バスは、このMaaSプラットフォームの一部として、AIによるルート最適化と乗り合いシステムを活用し、都市や地域の交通問題に対する柔軟かつ効率的な解決策となっています。

MaaSにより、AI運行バスは利用者の目的地に合わせたサービスを提供することができます。

また交通の混雑緩和、環境負荷の軽減、地域経済の活性化といった広範な社会的利益も提供することができます。

AI運行バスの事例を紹介!

以下では実証実験段階のものも含めAI運行バスの導入事例を紹介していきます。

AI運行バス導入事例:NTTドコモ 由布市-オンデマンド型 AI運行バス

引用:株式会社NTTドコモ

株式会社NTTドコモが提供する「オンデマンド型 AI運行バス」は、大分県由布市でのグリーンスローモビリティ「nolc」(ノルク)の予約システムとして2020年2月5日から3月15日まで運用されました。

このAI運行バスは、乗りたい時に行きたい場所まで自由に移動できるオンデマンド交通システムで、リアルタイムに発生する乗降リクエストに対して、AIを使って効率的な車両・ルートを算出します。

スマートフォンのアプリや電話からの予約に基づき、AIが車両配車を行い、効率的な移動を実現します。

NTTドコモが提供したオンデマンド型のAI運行バスは2019年4月のサービス開始以来、24万人を超える輸送に貢献しています。

AI運行バス導入事例:AIオンデマンドバス「のるーと」

引用:のるーと

「のるーと」2020年4月25日に福岡市東区アイランドシティで開始されたAI技術を活用したAI搭載のオンデマンドバスです。

このバスは、利用者の予約に応じて走る新しいタイプの公共交通機関で、スマートフォンのアプリや電話を通じて配車をリクエストできます。

乗客の目的地に合わせてAIが最適なルートを割り出し、運転手に適切なルートを提供することで、利用者の出発地や目的地に応じた効率的なサービスを提供します。

このAIオンデマンドバスは、公共交通機関の利用者減少や運転士不足といった全国的な問題に対応するために始まりました。

AIオンデマンドバスは、時刻表や決まった路線を必要としないため、需要に応じた丁寧なサービスを提供することが可能です。

AI運行バス導入事例:大阪市 AIオンデマンド交通の社会実験

引用:大阪市

大阪市では、人口減少や高齢化の進展などの人口動態の変化や、大阪・関西万博の開催などを背景に、AIオンデマンド交通の検討を進めており、AIオンデマンド交通の社会実験を実施しました。

社会実験は、大阪市が募集した「AIオンデマンド交通の社会実験に関する民間事業提案」に対し、Osaka Metro Groupが提案したことで開始され、2023年春で3年目に入りました。

社会実験の運行エリアは、平野区全域、北区など、運行時間帯は7時から22時までとなっています。

AI運行バス導入事例:岩沼市 AI運行バスの実証運行

引用:岩沼市

岩沼市では、公共交通環境の利便性向上と街の魅力の発信を目的に、AIを活用したデマンド型の新しい交通機関である「岩沼AI運行バス」の実証実験を行いました。

この実験は、2023年1月7日から3月17日までの期間に実施され、ルートや時刻表のない2台の小型バスが市内中心部を走行し、目的地のバス停まで運行しました。

このサービスは、商業施設へのアクセス、通院、食べ歩き、街の散策など、様々なシーンで活用されました。

利用者はスマートフォンアプリまたは電話でバスの予約を行い、乗車希望時間と乗降りするバス停を指定します。

運賃は大人200円、小中学生100円で、支払いは現金のみ、運行時間は午前8時30分から午後5時30分までで、日曜日は運休です。

岩沼駅を中心に市内に77箇所のバス停が設置されています。

AI運行バス導入事例:堺市・泉北ニュータウン地域 AIデマンドバス

引用:堺市

堺市、南海電気鉄道株式会社、および南海バス株式会社は、泉北ニュータウン地域の住民の移動手段の課題解決と利便性向上を目指して、AIオンデマンドバスの実証事業を実施しました。

この事業は、SENBOKUスマートシティコンソーシアムの「モビリティWG」の活動の一環として行われ、大阪府AIオンデマンド交通モデル事業の補助金を活用しています。

事業の概要として、泉北ニュータウン地域の起伏のある地形と高齢化に対応し、住民の移動課題を解決することを目的としています。

このために、ワンボックス車両(客席8人)を使用し、特に高齢者の外出を促進することを目指しています。

AI運行バス導入事例:横須賀 AI運行バス(実証実験)

引用:横須賀市

横須賀市では、株式会社NTTドコモおよび京浜急行電鉄株式会社と協力して、逸見地区を中心に「AI運行バス」の実証実験を実施しました。

この実験は、令和元年12月9日から令和2年2月24日まで行われ、吉倉町、西逸見町、東逸見町、逸見が丘、池上7丁目の住民を対象にしました。

AI運行バスは、スマートフォンのアプリまたは電話での事前予約により利用できる乗り合いバスで、運行時間は8時から19時までです。

運賃は大人1乗車あたり300円、小学生は150円、未就学児は無料です。

この実証実験は、地域サービスのシステムと連携して行われ、横須賀市の公共交通の利便性向上と地域住民の移動サポートを目的としています。

実験終了後の詳細な結果やデータは公表される予定となっています。

AI運行バスを導入する上での課題・問題点とは?

AI運行バスはとても便利ですが、導入にあたって課題や問題点も存在します。

以下では実際にどういった課題や問題点があるのかを解説していきます。

AI運行バスを導入する上での課題・問題点:事故発生時の責任が曖昧

AI運行バスを導入する際の課題の一つは、事故発生時の責任が曖昧になることです。

AI運行バスでは、車両の運行がAIによって制御されているため、万が一事故が発生した場合、その責任を運転手、AIシステムの開発者、または運行管理者のいずれに帰するかが不明確になりがちです。

この問題は、法的な枠組みや責任の所在を明確にするためのガイドラインがまだ十分に確立されていないことが原因です。

これらの課題を解決するには安全性の確保とともに、事故時の責任所在や責任分担に関する明確な規定の策定が必要となります。

AI運行バスを導入する上での課題・問題点:システムトラブルやハッキング

AI運行バスは高度な技術に依存しており、ソフトウェアの不具合や外部からのサイバー攻撃によって、運行の安全性や信頼性が脅かされる可能性があります。

これらの問題を対処するためには、高度なセキュリティ対策と継続的なシステムメンテナンスが不可欠です。

またAI運行バスの安全かつ効率的な運用を確保するためには、これらのリスクを最小限に抑えるための厳格な対策とガイドラインの策定が求められるでしょう。

AI運行バスを導入する上での課題・問題点:導入コストが高い

AI運行バスは先進的なAI技術、センサー、通信インフラなどの高度な機器を必要とし、これらの設備投資に加えて、システムの開発、維持、更新にも相当な費用がかかります。

また、運行開始に向けたスタッフのトレーニングや法規制への適応も追加コストを要するため、自治体や運行事業者は、長期的な投資とその回収計画を慎重に検討する必要があります。

この高い初期投資は、AI運行バスの普及と展開において重要な障壁となるものでありどの自治体も導入できるほど安価なものではないのが現実です。

AI運行バス・オンデマンドバスのまとめ

いかがでしたか?

解説した通りAI運行バス・オンデマンドバスは、都市の交通システムにおいて重要な役割を果たす可能性を秘めています。

特にリアルタイムでの予約システムにより、利用者は自分のスケジュールに合わせてバスを利用でき、都市の交通効率を大幅に向上させることができます。

また、AIによる動的なルート最適化により、交通渋滞の軽減も可能になります。

AI運行バス・オンデマンドバスの導入が進めば交通だけでなく観光などにおける課題も解決できるようになるでしょう。