ChatGPTとAIの活用で変わる銀行業界!AI活用事例とリストラの危機について解説 | romptn Magazine

ChatGPTとAIの活用で変わる銀行業界!AI活用事例とリストラの危機について解説

AI×業界

金融・銀行業界はAIの進化で変革の波に乗っています。

AIは業務効率と顧客サービスを向上させ、コストを削減する一方で、銀行員の仕事の減少とリストラの問題も引き起こしています。

この記事では、AIの銀行業界での活用事例と、それが銀行員の仕事とリストラ・失業にどのように影響を与えているか、銀行員の仕事はなくなってしまうのか?を解説していきます。

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なぜAIを銀行に導入するのか?

銀行はなぜAIを導入するのかを銀行の現状と併せて解説していきます。

なぜAIを銀行に導入するのか①:運営コストが大きい

銀行業界は、運営コストの削減が急務となっています。長引く低金利時代と厳しい規制に直面しているため、効率的な運営が求められています。

AIの導入は、以下のように運営コストを削減する手段として有効です。

  1. 業務自動化 – AIは、繰り返しの業務や単純作業を自動化する能力を持っています。これにより、人手を必要とする業務が減少し、労働コストが削減されます。
  2. 効率的なデータ分析 – AIは大量のデータを迅速に分析し、意味のある情報を抽出する能力があります。これにより、データ分析にかかる時間とコストが大幅に削減されます。
  3. 顧客サービスの最適化 – AIを用いたチャットボットや自動応答システムは、顧客からの問い合わせに24/7で対応することができ、人件費の削減に貢献します。

なぜAIを銀行に導入するのか②:ビジネスモデルの弱さ

銀行業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り遅れ、古典的なビジネスモデルに囚われている場合が多いです。

AIの導入は、以下のようにビジネスモデルを革新し、競争力を向上させる手段として注目されています。

  1. パーソナライズされたサービス – AIは、個々の顧客データを分析してパーソナライズされたサービスを提供する能力を持っています。これにより、顧客満足度が向上し、ビジネスモデルの強化に寄与します。
  2. 新しい収益源の創出 – AIは、データ分析と予測分析の能力を活用して、新しいビジネスオポチュニティを発見する手助けをします。これにより、既存のビジネスモデルの限界を超え、新しい収益源を創出することが可能です。
  3. リスク管理の強化 – AIは、リアルタイムでリスクを分析し、予測する能力を持っています。これにより、リスク管理が強化され、ビジネスモデルの安定性が向上します。

銀行界でAIを導入するメリット

では、以上のような問題を抱える銀行業において、AIを導入するメリットとはどのようなものでしょうか?

メリット①:運用効率の向上

AI技術を活用することで、銀行は手作業による細かい過程を自動化し、業務の時間とコストを大幅に削減することができます。

例えば、ローンの申請処理顧客情報の更新などの作業が自動化され、より迅速かつ効率的に行われるようになります。また、24時間365日稼働するチャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせに対する即時対応が可能になり、人的リソースの負担を軽減しつつ、顧客サービスの質を維持、あるいは向上させることが可能です。

メリット②:顧客サービスの向上

AIによるチャットボットは、顧客からの問い合わせに対して瞬時に反応することができるため、顧客満足度の向上に貢献します。

さらに、AIを活用したパーソナライズされた金融アドバイス製品推薦は、各顧客のニーズに合わせたカスタマイズされたサービス提供を可能にし、顧客の満足度を大きく向上させます。

メリット③:リスク管理の強化

AI技術は、詐欺検出システムの効率を飛躍的に向上させます。大量のトランザクションデータをリアルタイムで分析し、異常なパターンを即座に識別することで、不正行為を迅速に検出し、防止策を講じることができます。

また、AIは膨大な量の顧客データを分析してクレジットリスクを正確に評価し、より確実な貸出決定を支援します。

メリット④:市場分析と予測の改善

銀行はAIを利用して大量の市場データをリアルタイムで分析し、投資判断のための重要なインサイトを得ることができます。

機械学習技術を用いたトレンド予測は、市場の変動を先読みし、新たなビジネスチャンスを発見するための強力なツールとなります。

メリット⑤:コンプライアンスと報告の効率化

法規制の変更への迅速な対応と、複雑なレポーティング要件の効率的な管理は、AI技術を利用することで大幅に改善されます。

AIは、コンプライアンスプロセスを自動化し、法規制に関する最新の要件を常に把握することを可能にします。これにより、誤りのリスクを減少させ、コンプライアンスコストを削減することができます。

銀行界でAIを導入するデメリット

では反対に、銀行業においてAIを導入するデメリットについてご説明していきます。

デメリット①:初期コストが高い

AI技術の導入と統合には、しばしば高額な初期投資が必要になります。このコストには、高度なAIシステムの開発、運用環境の構築、必要なハードウェアとソフトウェアの購入が含まれます。

また、これらのシステムを維持し、最新の状態に保つためには、専門的なリソースが継続的に必要とされます。これらのコストは、特に中小規模の銀行にとって大きな負担となる可能性があります。

デメリット②:技術的複雑さと専門知識が必要

AIシステムの設計、運用、更新には、高度な技術知識が必要とされます。これには、データサイエンス、機械学習、ソフトウェアエンジニアリングなどの分野が含まれます。

適切なスキルを持った人材の確保と育成は、多くの場合、時間とコストを要する課題となります。また、これらのスキルを持つ専門家は高い需要があるため、採用が困難であることもあります。

デメリット③:データプライバシーとセキュリティの懸念

銀行は顧客の財務情報を含むデリケートなデータを扱います。AI技術を用いることで、データプライバシーとセキュリティに関するリスクが高まる可能性があります。不正アクセスやデータ漏洩のリスクを適切に管理し、顧客の信頼を維持することが極めて重要です。

デメリット④:技術依存のリスク

AIシステムに依存することで、システムの障害やエラーがビジネス運営に直接影響を及ぼすリスクが生じます。また、技術の急速な進化により、導入したばかりのシステムが早期に陳腐化する可能性もあります。これにより、継続的な投資とアップデートが必要となります。

AIの活用で銀行員はリストラされる?

AIの技術が進化し、多くの業界で活用されるようになっています。

特に銀行業界では、業務の効率化やコスト削減のためにAIの導入が進められています。しかし、その一方で銀行員の仕事が奪われ、リストラ・失業の危機が迫っているのも現状です。

AIに仕事を奪われた銀行員の声
都内在住の吉野武彦さん(仮名・38歳):
首都圏を中心に数店舗を渡り歩き、営業成績は良かったほうです。7年前から融資審査部署に配属され、中小企業さんを相手にやっていたのですが……。3月のある日、本社の重役クラスが来て『融資審査にAIを導入する』と告げられました。審査は過去のデータを基に、対象企業の資産などの数字を打ちこめば、誰でもできるように。程なく、私の所属部署は解散になりました……

引用:AIに仕事を奪われ、リストラされた銀行員「絶望しかない」

AIの導入は、効率化とコスト削減をもたらしますが、それと同時に人間の仕事を奪う結果となっています。

銀行員は、この波に飲まれないために、AIと共存する方法や新しいスキルを学ぶ必要があるでしょう。

AIを実際に活用している事例

以下では実際にAIを活用している事例について具体的に紹介していきます。

AIを実際に活用している事例①:三井住友銀行-サイバー攻撃の検知

引用:https://www.smbc.co.jp/
導入企業名株式会社三井住友銀行
(英語表記:Sumitomo Mitsui Banking Corporation)
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、社債受託および登録業務、金融先物取引等の受託業務、証券投資信託の窓口販売業務等
従業員数27,945人(2024年2月時点)
AI導入前の課題・長く続く低金利時代により、ビジネスモデルの転換が求められていた。
・ITとの融合による大きな期待がありましたが、その実現には多大なコストがかかった。
・サイバー攻撃や不正送金などから防ぐためのセキュリティ対策にも多大なコストがかかった。
AI導入成果・AI技術とデータの活用を中期経営計画の実現手段の1つとして掲げた。
・AIを活用した業務効率化が進み、文章要約機能による資料作成や、プログラミングに不慣れな従業員に向けたコード生成などが行われている。
参考:三井住友銀行

三井住友銀行は、AIの自然言語処理技術を活用して、サイバー攻撃の検知能力を向上させています。

これにより、不正なアクセスや異常なトラフィックのパターンをリアルタイムで識別し、迅速な対応を可能にしています。

これは、銀行のセキュリティを強化し、顧客の資産と情報を保護する重要なステップです。

AIを実際に活用している事例②:三菱UFJ銀行-帳票読み取りの効率化

引用:https://www.bk.mufg.jp/index.html
導入企業名株式会社三菱UFJ銀行
英語表記:MUFG Bank, Ltd.
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など
従業員数32,786人(2023年3月末現在、単体)
AI導入前の課題・住宅ローン事前審査のプロセス効率化と時間短縮により、お客様の利便性向上や多様化・高度化するニーズに対応したい。
・ネット専業銀行やFinTech企業の参入などにより、住宅ローン市場を取り巻く環境の競争激化。
・銀行の審査担当者の判断ロジックをAIで可視化。審査の質と精度を維持・向上したい。
AI導入成果・生成AIを110を超える業務で導入し、年内に全行員に利用を開放して法律相談やメールの案文作成、リポートの要約などを含め順次対応する業務を増やす。
・回答の精度を向上させるため、生成AIが参照する行内情報の基盤を2024年度にも整備する。
労働時間の削減効果が月22万時間以上に相当するとの試算をまとめた。
参考:三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、AI技術を用いて、帳票の読み取りとデータ入力の効率を向上させています。

これにより、人間のエラーを減少させ、業務のスピードアップとコスト削減を実現しています。

AIの精度の高いデータ処理能力により、従業員はより複雑で価値のある業務に注力できるようになりました。

AIを実際に活用している事例③:みずほ銀行-オンライン完結のレンディング

引用:https://www.mizuhobank.co.jp/retail/takarakuji/index.html
導入企業名株式会社みずほ銀行 (Mizuho Bank, Ltd.)
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など
従業員数24,652人(2023年3月31日現在)
AI導入前の課題業務効率化の必要性:特に「事務手続照会」と「与信稟議作成」などの業務に多大な時間とリソースが必要だった。
情報検索の困難さ:事務手続書などの社内情報が分散しており、必要な情報を探すのが困難だった。
AI導入成果業務効率化:生成AIを活用して、事務手続照会や与信稟議作成などの業務を効率化した。例えば、「Wizシリーズ」の開発により、ワンクリックで稟議資料のドラフトを自動作成できるようになった。
顧客対応の改善:AIチャットボットを導入することで、顧客からの照会時間を短縮し、柔軟な対応が可能になった。
新たなサービスの提供:AIブランド「ATHEUS」を通じて、画像解析や自然言語処理など、お客さまの課題や実現したいことに合わせた様々なAIサービスを提供している。
参考:みずほ銀行

みずほ銀行は、AIを活用して、オンラインで完結するレンディングサービスを提供しています。

AIが顧客の信用評価を迅速に行い、スピーディな融資を可能にしています。

これにより、顧客は手間をかけずに資金を調達でき、銀行も効率的なサービス提供が可能になっています。

AIを実際に活用している事例④:東京スター銀行-VRラウンジ接客

引用:https://www.tokyostarbank.co.jp/feature/education/trend/20220929_3.html
導入企業名株式会社東京スター銀行 (The Tokyo Star Bank, Limited)
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など
従業員数1,258人
AI導入前の課題情報検索の困難さ:ホームページ内で目的のページを探すには、サイト内検索のキーワード検索機能で抽出された複数のページ候補から探していくか、ホームページの各メニューから各階層のページを自ら探していく必要があり、目的のページにたどり着くまでに時間がかかるという課題があった。
FAQの利用難易度:ホームページ上で疑問を解消する際、FAQの検索窓にピンポイントで言葉を入力するか、カテゴリから絞り込むことが必要だったが、金融用語は難しく、適切な言葉で検索ができないために、なかなか欲しい情報にたどり着けないという課題があった。
AI導入成果情報検索の効率化:AIを活用していることで、正確に素早く社内に眠った知 (=ナレッジ)へのアクセスを可能とし、顧客満足度の向上・業務効率化に貢献している。
FAQの利用改善:「sAI Search」というAI搭載のFAQ検索システムを導入したことで、お客さまは頭に浮かんだ言葉をタグ (単語)として選択していくだけで、それに関連するタグが次々と表示され、直感的に目的の回答にたどり着けるようになった。
VRラウンジの開設:2022年4月27日にVR(バーチャルリアリティ)を活用した仮想ラウンジ「東京スター銀行 VRラウンジ」を開設。 来店の事前予約や会員登録などの手続きが不要なので、今すぐVRラウンジ内のサービスを全て利用できる。
参考:東京スター銀行

VRラウンジでは、AIロボットが顧客の疑問に対してリアルタイムでアドバイスを提供します。

これにより、顧客は自分のペースで必要な情報を収集することができ、個々のニーズに合わせたパーソナライズされたサービスを受けることが可能です。

AIロボットは、データ分析とパターン認識の能力を活用して、顧客の質問に対して迅速かつ正確な回答を提供します。

AIを実際に活用している事例⑤:七十七銀行-業況変化検知システムの与信管理

導入企業名株式会社七十七(しちじゅうしち)銀行
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など
従業員数2,601人
AI導入前の課題働き手不足:生産年齢人口の減少に伴い、働き手不足の問題が深刻化していた。
業務効率化の必要性:経営環境や競合状況など金融機関を取り巻く環境が厳しくなる中、リテールローン商品の融資審査業務には、「回答スピード」「効率性」「客観性」のさらなる向上を目指し、DX推進が求められていた。
AI導入成果業務効率化・高度化:「生成AI」×「データ分析」の組み合わせによる業務効率化・高度化が実現。 これにより、生産性の向上だけでなく、業務効率化により創出された人の時間を、新規事業創出をはじめとした付加価値の高い高度業務に移行するバリューシフトを推進し、七十七銀行が経営計画「Vision 2030」で掲げる生産性倍増戦略および企業文化改革戦略に貢献した。
審査AIの導入:これまで人間が行っていた審査判断をAIが行うことで、七十七銀行の住宅ローン審査の効率化・迅速化を図り、お客さまへのスピーディーな回答の実現を目指した。
参考:七十七銀行

七十七銀行が導入した「業況変化検知システム」はAIを活用して取引先企業の口座の入出金情報などを分析し、業況の変化を迅速に把握することができます。

これにより、顧客に対して事業支援や改善提案を早期に行うことが可能となり、さらには行員の与信管理業務の効率化も期待されています。

AIを実際に活用している事例⑥:横浜銀行-不正検知の効率化

導入企業名株式会社 横浜銀行
(英語表記:The Bank of Yokohama,Ltd.)
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など
従業員数4,003人(2023年3月31日現在)
AI導入前の課題ネットワークの老朽化: 横浜銀行とそのグループ会社である東日本銀行は、それぞれ別々のネットワークを構築・運用していましたが、両者ともにネットワークのリプレース時期が近づいていた。
耐障害性の向上: 既存ネットワークで採用していた拠点におけるアクティブ/スタンバイ構成では、障害時の切り替え時間が課題。
ネットワークの性能向上: クラウド利用の拡大やMicrosoft 365の導入を見据え、ネットワークの柔軟なサイジングや、さらなる性能強化が必要だった。
AI導入成果企業の経営課題の推計: 横浜銀行は、人工知能(AI)を使って企業の経営課題を推計するモデルを開発。企業の業績や口座の取引履歴などのミクロデータと経済指標などマクロデータを分析し、企業の経営課題を推定できるようになった。
新規顧客開拓の効率化: これまで行員の経験則に頼っていた新規顧客開拓をデータを使って効率化。
AML(アンチマネーロンダリング)の高度化: 横浜銀行はNECとともにAIによってDXを実践し、AML(アンチマネーロンダリング)の高度化を進めている。
参考:横浜銀行

横浜銀行向けにマネーロンダリングや特殊詐欺などの疑わしい取引を高度にモニタリングする「AI不正・リスク検知サービス for Banking」をNECから提供されました。

このサービスは金融犯罪の複雑化に対応するため、AIを用いて取引のリスク度合いをスコアリングし、効率的かつ精緻に検知・審査します。2019年5月から2020年1月にかけて実施された実証実験では、詳細調査が必要な口座数を30~40%削減し、未然に金融犯罪を防ぐ効果が確認されました。

NECの先進技術「NEC the WISE」の異種混合学習技術を活用しており、このホワイトボックス型AIは高い予測精度とその根拠の可視化を実現します。このサービスは、金融機関が安心・安全に金融商品を取り扱えるよう、金融犯罪撲滅に貢献することを目指しています。

AIを実際に活用している事例⑦:十六銀行-ローン専用チャットボット対策の強化

導入企業名株式会社 十六銀行
(英語表記: The Juroku Bank, Ltd.)
事業内容預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など
従業員数2,386人
AI導入前の課題・デジタル化が進む中で、デジタル人材の不足を含め、将来必要なスキルのポートフォリオと現状の乖離は従来から金融機関の課題だった。
・顧客の利便性向上のため、2021年10月に顧客向けWebサイトを一新すべくプロジェクトを進めており、デジタル戦略の一環として金融機関で活用が進むチャットボットの導入を検討していた。
・チャットボット製品の選定にあたり十六銀行が特に重視していたのは、LINEなど顧客が日々利用するインタフェースとの連携が可能な拡張性、金融機関独自の用語や表現を理解し正しい回答に導く精度、金融機関での定着化、導入成功に向けたノウハウ・導入実績の3点であった。
AI導入成果24時間365日質問できる窓口を実現。これにより、電話対応では不可能だった営業時間外の迅速な対応を実現させ、顧客満足度を大幅に向上させた。当初懸念されていた金融関連のサービスや商品に関する複雑な問合せも、「BEDORE Conversation」の対話エンジンが情報を理解して適切な回答をするため、時間を問わず顧客が求めている情報へと導くことが可能となった。
参考:十六銀行

株式会社十六銀行は、PKSHA Workplaceが提供する深層学習と自然言語処理技術を活用した対話エンジン「BEDORE Conversation」を、2021年10月から顧客対応のチャットボットとして導入し、特にローン関連の問い合わせに対応するために、2022年6月10日からは各種ローン専用ページにこのチャットシステムを追加設置しました。この導入により、十六銀行は月間約12,000件の問い合わせを分析し、利用者のニーズに基づいたマーケティングデータを収集・分析することで、顧客体験の向上とビジネス効果の拡大を実現しました。

さらに、十六銀行は「地域金融機関FAQプラットフォーム」への参加にも関心を示しており、顧客の声を活用したサービス改善を目指しています。PKSHA Workplaceは、金融領域におけるデジタルトランスフォーメーションを支援し、AI対話エンジンの導入だけでなく、その活用を通じて企業の成長を促進することを目的としています。

AIを実際に活用している事例⑧:ゆうちょ銀行-社内向け問い合わせ業務に富士通のAIを搭載

導入企業名株式会社ゆうちょ銀行
事業内容銀行業
従業員数11,742名(2023年3月31日現在)
AI導入前の課題支店の運用コスト増加:支店の運用コストにおいて大半を占めるのが、人件費や店舗の賃料であった。
サイバーセキュリティ対策の強化:近年では、世界的にサイバー攻撃が激化しており、企業はサイバーセキュリティへの対策を迫られていた。
問い合わせ対応業務の効率化:各都道府県に設置された全50拠点のゆうちょ銀行のパートナーセンターでは、オペレーターが1日に約1万8,000件におよぶ貯金窓口担当社員からの電話問い合わせに対応していた。
AI導入成果業務効率化:ゆうちょ銀行は、AIを活用し、貯金窓口担当社員とオペレーターの会話を含む検索文をデータとして蓄積し、検索作業を効率化する富士通の「FUJITSU Software Contact Center Knowledge Assistant」を2021年8月より順次、パートナーセンターへ導入し、オペレーターの負荷軽減と応対スキルの平準化に取り組んでいる。
エクイティ案件の発掘:全国ネットワークを通じて収集した事業者情報をAIが分析し、資金調達ニーズなどを担当者にフィードバックする。
生成AIの活用:ゆうちょ銀行とneoAIは、ゆうちょ銀行の生成AI活用に向けて実証実験を開始した。
参考:ゆうちょ銀行

株式会社ゆうちょ銀行は、社内の問い合わせ対応業務の効率化を目的として、富士通のAI技術を活用したナレッジサービス「FUJITSU Cloud Service Know-Flow DX」を2022年1月に導入しました。当初は233店舗のゆうちょ銀行および一部の郵便局でチャットボット機能が利用されていましたが、この度、全国約24,000の郵便局での利用が5月30日より開始されました。

このサービス導入により、ゆうちょ銀行と郵便局の店舗社員は、パートナーセンターに蓄積された広範囲にわたる商品サービスに関するFAQをチャットボットを通じて直接検索できるようになります。これによって、パートナーセンターへの問い合わせ件数が削減され、オペレーターの負担軽減と共に、貯金窓口担当社員の業務スキルの平準化と顧客対応の迅速化が実現し、顧客満足度のさらなる向上が期待されます。

AIを実際に活用している事例⑨:GMOあおぞらネット銀行-インターネットバンキングの監視にAIを搭載

導入企業名GMOあおぞらネット銀行株式会社 (英文名: GMO Aozora Net Bank, Ltd.)
事業内容銀行業
従業員数157名
AI導入前の課題・特に、ATMでお金を引き出したり、インターネットバンキングで振込するなど、銀行機能の使い方が限定されているという固まった認識が持たれていること。
・BaaSを提供する際、提供側視点のものになりがちであること
AI導入成果ITシステム管理の効率化: 日本IBMのアプリケーション・パフォーマンス監視ソリューションであるIBM Observability by Instana APMを導入。これにより、顧客情報を扱う銀行業務のシステムやアプリケーションの機密性や信頼性を担保しながら、パフォーマンス確保が可能となり、IT運用効率が向上した。
口座不正利用モニタリングツールの開発: GMOあおぞらネット銀行とAI研究開発室は共同で、AI技術を活用した口座不正利用モニタリングツール「AML AIスコアリングモデル」を開発。このツールは、不正な入出金の疑いがある取引事例等を学習したAIモデルで、不正取引に係る判断の効率化・迅速化・精緻化を実現する。
参考:GMOあおぞらネット銀行

GMOあおぞらネット銀行は、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の防止に向けた対策を積極的に実施しています。安全な銀行取引を支援するため、キャッシュカードや口座開設後のなりすまし防止などのセキュリティ対策を進めてきました。

この一環として、GMOインターネットグループのAI研究開発室と共同で、Google CloudのVertex AIを使用した「AML AIスコアリングモデル」を開発しました。このシステムは2021年6月から12月にテスト導入され、疑わしい取引の検知において成果を上げたため、2022年10月3日からは本格導入されています。

AIを実際に活用している事例⑩:Bank of America-AIアシスタント搭載のアプリの導入

導入企業名バンク・オブ・アメリカ
BofA証券株式会社
事業内容銀行業
従業員数Global : 208,000人 Japan: 620人 (2021年12月現在)
AI導入前の課題デジタル化と人材不足:デジタル化が進む中で、デジタル人材の不足を含め、将来必要なスキルのポートフォリオと現状の乖離は従来から金融機関の課題だった。
顧客サービスの改善:AIは企業にとって「顧客サービスを行う上でなくてはならない存在」になりつつあり、銀行業界でそれを真っ先に導入していた。
AI導入成果エリカの導入:Bank of Americaはパーソナル・ボイス・チャット・アシスタント、「エリカ」を導入。エリカは同社のモバイル・アプリケーションに組み込まれ、顧客は音声ガイドによって望むサービスにスマホ経由でアクセスできるようになった。
ITシステム管理の効率化:Bank of Americaは、AIの使用により、顧客情報を扱う銀行業務のシステムやアプリケーションの機密性や信頼性を担保しながら、パフォーマンス確保が可能となり、IT運用効率が向上した。
参考:Bank of America

Bank of Americaは、AI搭載の仮想アシスタント「Erica」を25百万人のモバイル顧客に向けて正式に導入しました。このサービスは、2017年下旬に従業員向けの試験を開始し、2022年3月から顧客への展開が開始されました。Ericaは、Bank of Americaのアプリを通じて音声コマンド、テキスト、ジェスチャによる操作で、過去の取引検索、支店コードや最寄りのATMへのアクセス、請求の確認や支払いの予約など、幅広い銀行処理を支援します。

Aditya Bhasin氏によると、Ericaは顧客とのやり取りを重ねるごとにその知識を増やし、将来的にはユーザーの財政関連の判断をサポートするための洞察を提供するようになるとのことです。また、デジタルサービスの利用増加に伴い、銀行支店への来店やATMでの取引が減少しているという業界の傾向も報告されており、銀行部門ではAIを活用した音声対話サービスの重要性が高まっています。

まとめ

AIの導入は金融業界に革命をもたらしていますが、その影響は光と影の両面を持っています。

業務の効率化と顧客サービスの向上は明らかなメリットですが、銀行員の仕事の減少とリストラの問題も無視できません。

これからの金融業界は、AIと人間が共存し、新しい価値を創造する方向へと進化していく必要があります。