「行政書士はオワコン」「行政書士は時代遅れの職業」……。
そんな言葉を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。確かにAI技術の発展によって、行政書士のニーズや仕事の形は変化しつつあります。しかし、本当に行政書士は「オワコン」なのでしょうか?
今回は、AI時代における行政書士の現状や、未来の働き方についてご紹介します。AI技術が行政書士に与える影響は少なくありません。だからこそ、AIと協働する働き方を模索することで、行政書士の新しい未来を開拓することもできるのです。
「行政書士はオワコン」といわれる3つの理由
ここでは、行政書士が「オワコン」といわれる理由を3つご紹介します。官公署に提出する書類の作成や相談業務など、複数の仕事を受け持つ行政書士。しかしAI技術の台頭によって、行政書士の仕事の一部は大きく変化しつつあります。
①AIによる業務自動化への懸念
「行政書士がオワコン」といわれる理由の一つに、AIによる業務自動化への懸念が挙げられます。行政書士の仕事である「書類作成」の一部は、AIでも代用可能です。AIが申請書作成をはじめとする定型業務を請け負うことで、業務全体が効率化され、行政書士の仕事の減少が懸念されています。
とはいえAIは、あくまでツールでしかありません。コンサル業や最終的な判断は、従来通り人間がおこなっています。つまり「定型業務はAI」「非定型業務は人間」のような、AIと人間の住み分けが始まっているという認識が適切です。
②業界内の競争激化と仕事量の減少
業界内の競争が激化していることも、行政書士が「オワコン」といわれる理由です。昨今では行政書士の資格所有者が増え、市場の発注を奪い合ってしまっている状態です。競争が激化することで価格競争も始まり、サービスの単価が減少するリスクは、行政書士にも同様に存在しています。
つまり現在、行政書士の収益性は低下傾向にあるということ。競争を乗り越えるためには、より高い専門性や独自性が必要になっています。普遍的な働き方では生き残りにくくなっており、向上意欲に乏しい行政書士は淘汰されやすい状況と言えるでしょう。
③時代遅れのイメージが定着していること
行政書士が「オワコン」といわれる理由には、職業自体へのイメージも関連しています。AI化・IT化の現代において、行政書士という仕事に「古臭い」「時代遅れ」というイメージを抱かれつつあるのです。
行政書士のサジェストで「オワコン」という言葉で検索されるように、実際の重要性とは関係なく「不人気な仕事」というイメージが定着しつつあります。その背景には、行政書士の具体的な仕事内容が一般に浸透しきっていないことも挙げられるでしょう。業務の重要性が見過ごされやすくなった結果、本来以上にネガティブな印象を抱かれてしまいます。
AIが行政書士業務に与える4つの影響

ここでは、AIが行政書士に与える影響を4つご紹介します。AI時代である現代において、人間とAIとの協働は避けられません。AIとの新しい働き方を模索するためにも、行政書士とAIの関連性について学んでいきましょう。
①申請書類作成業務の効率化と変化
AIが行政書士に与える影響として、申請書類作成業務の効率化が挙げられます。AIが申請書の自動作成や入力サポートをおこなうことで、行政書士の定型業務が大幅に効率化されます。業務プロセスが効率化・合理化されることで、行政書士はより多くの案件に着手できるようになるでしょう。
AIによる作業はヒューマンエラーもないため、事業自体の信頼性の確保にもつながります。新しく生まれたリソースは顧客とのコミュニケーションにも使えるため、今まで以上に付加価値の高い業務を創造できます。
②相談業務の質的向上と顧客対応の変化
相談業務の質的向上と顧客対応の変化も、AIが行政書士に与える影響の一つです。AIは、膨大な情報を即座に分析できる性能を持っています。高い情報分析力を行政書士が活用できれば、顧客へのデータに基づいた的確な助言が実現します。
顧客の疑問や懸念に回答するためには、感情や状況に基づいた「定性的な要素」と、データや事例に基づいた「定量的な要素」の両方が必要です。人間はAIが苦手な定性性、AIは得意分野の定量性を担当することで、より理想的な回答の提示につながるでしょう。
③情報収集・分析業務の高度化
AIの情報収集能力・情報分析能力は、人間の行政書士では到底敵いません。AIは大量の法規・判例・行政手続きなどの情報を、高速で収集・分析してくれます。しかし、これは「行政書士の仕事が奪われる」とは限りません。
むしろ従来の行政書士の負担が軽減され、人間ならではの視点から高度な分析が可能になることにもつながるのです。AIに定型業務としての収集・分析を任せられれば、人間は(AIが苦手な)分野横断的な思考や、専門性を特化させるための学習に励めます。応用に時間を省けるようになるため、個人レベルの力が増加も期待できるでしょう。
④新たな法的サービスの創出の可能性
AI技術の進化は、新たな法的サービス創出の可能性も秘めています。今まで行政書士が提供できなかった、新しいタイプのリーガルサービスやコンサルティングサービスの誕生が期待できます。現在「オワコン」といわれるような行政書士が、新しい収益源を確保できると考えると、夢がありますよね。
また現在の行政書士は「手続き代行型」の働き方が主流です。しかしAIが進化すると手続きの自動化が進み、人間の行政書士の仕事は「コンサル型」に移行していくかもしれません。AIは、今はまだない「新しい仕事のかたち」を生み出す可能性のある技術なのです。
AI時代に生き残る行政書士に求められる3つの能力
ここでは、AI時代に行政書士が生き残るために高めたい能力を3つご紹介します。技術が変われば社会が変わり、ニーズが変わり、市場も変わります。変化し続けるAI社会で行政書士に求められる能力を学んでいきましょう。
高度なコンサルティング能力
行政書士がAI時代を生き抜くためには、高度なコンサルティング能力が求められます。なぜなら必要な情報さえ揃えられれば、AIのほうが人間よりも速く情報を分析してくれるから。人間の行政書士には、表面的な問題だけではなく、顧客が抱える根本的な課題を特定する能力が必要です。
また複雑な情報を顧客にわかりやすく伝える説得力、顧客に納得感を与える提案力、言葉の裏にあるニーズを察知する傾聴力や共感力なども必要。これらを総合的に集約した「コンサル力」は、人間ならではの力として強みになります。
AIツールを使いこなすデジタルリテラシー
複数のAIツールを使いこなすためのデジタルリテラシーも、AI時代で行政書士が求められる能力です。AI時代で生き残るためには、AIと同じ土俵で戦うのではなく、AIを「道具として使う力」が必要です。
高いデジタルリテラシーは、AIを活用した業務効率化や、新しいサービスの創出などに役立ちます。たとえば自身の業務に最適なAIツールを見極め、効果的に導入する知識と判断力があれば、行政書士の業務効率は飛躍的に向上するでしょう。もちろん、データの取り扱いにおけるセキュリティ意識も重要です。
倫理観とリーガルマインド
AI時代の行政書士には、今まで以上の倫理観とリーガルマインドが求められるでしょう。なぜならどれほどAIが優秀になろうとも、最終的な判断をするのは人間である行政書士だからです。AIの活躍の幅が広がるほど、「AIの判断を鵜呑みにしない働き方」が重要になります。
AIの回答に法的な妥当性や公平性があるかどうかは、人間にしか判断できない要素なのです。AIは偏見を持つリスクもあれば、グレーな判断を見誤る可能性もあります。行政書士はつねに自分の経験と専門知識を磨き続け、AIの回答を精査・改善し続ける姿勢が必要です。
AIと共存し、行政書士として成長するための3つの戦略

ここでは、行政書士がAIと共存し、成長していくための戦略を3つご紹介します。AI時代では、従来とは異なるキャリアパスを想定することが大切です。目まぐるしく変化する社会に合わせ、これからの行政書士の働き方について考えていきましょう。
①特定分野に特化した専門性の確立
AI時代における行政書士は、特定分野に特化した専門性を確立させることが推奨されます。現在も進化を続けるAIですが、実は専門性の高い領域の回答はまだ未熟です。とくに専門用語が多い資料の理解には不安が残ります。
これからの時代の行政書士は、ニッチな分野で「この人しかいない」という人物になるのを目指すとよいでしょう。たとえば「外国人雇用」「M&A支援」「スタートアップ支援」などは、まだニーズに対して行政書士が追いついていないことも。競争相手がいない領域でこそ、特定の顧客から選ばれ続ける人材としての地位を確立できます。
②AIを活用した新たなビジネスモデルの構築
行政書士がAI時代で戦うための戦略として、AIを活用した新しいビジネスモデルの構築も挙げられます。AIを行政書士の「脅威」と捉えるのではなく、「機会」として捉えることが大切です。たとえばAI活用のオンライン相談サービスのように、今の時代に沿ったサービスを考案してみましょう。
またAIと人間の協働とは、「お互いの強みを理解し役割分担する」だけではありません。AIによる自動化や効率化を活用し、「より多くの顧客に、より手頃な価格でサービスを提供できる」のも、協働の形の一つなのです。
③継続的な学習とスキルアップ
AI時代の行政書士は、継続的な学習とスキルアップが求められます。従来の学習習慣にくわえ、今後はデジタル分野・AI分野を含む「最新情報のキャッチアップ」がさらに重要になります。
AI技術は日々進化中です。AIと協働する行政書士は、技術の変化に追いつくために自分のスキルや知識を磨くことが大切です。法改正やAI技術の進化に関する情報を常に収集し、自身の知識をアップデートしていきましょう。
セミナー参加や資格取得など、自身の専門性と市場価値を高めるための投資を惜しまない姿勢が求められます。とくにプログラミング・自然言語処理・データ分析など、AI時代に求められるスキルの重要性はさらに上がっていくでしょう。
行政書士はオワコンではない!AI時代をチャンスに変えよう
今回は、行政書士が「オワコン」といわれる理由や、AI時代における行政書士の働き方についてご紹介しました。行政書士の仕事の一部は、AIに代用されつつあります。しかし行政書士の仕事は、AIの得意領域である資料作成や情報分析だけではありません。
AIの活躍の幅が広がるほど、行政書士のコンサル領域の仕事や、顧客への理解に省く時間は増えていくもの。AIを毛嫌いするのではなく、便利なツールとして活用できる行政書士こそが、これからの時代でさらなる活躍が見込まれるでしょう。
romptn aiが提携する「SHIFT AI」では、AIの勉強法に不安を感じている方に向けて無料オンラインセミナーを開催しています。
AIを使った副業の始め方や、収入を得るまでのロードマップについて解説しているほか、受講者の方には、ここでしか手に入らないおすすめのプロンプト集などの特典もプレゼント中です。
AIについて効率的に学ぶ方法や、業務での活用に関心がある方は、ぜひご参加ください。
\累計受講者10万人突破/