薬剤師業界におけるAI・ChatGPTの活用事例を紹介!AI導入により仕事がなくなる?薬剤師の将来性についても解説

AI×業界

近年、AI技術の急速な発展により、様々な業界でAIの活用が進んでいます。医療業界も例外ではなく、特に薬剤師業界においてもAIやChatGPTの導入が注目を集めています。

一方で、AIの導入により薬剤師の仕事がなくなるのではないかという懸念も持ち上がっています。しかし、AIは薬剤師の仕事を奪うのではなく、むしろ薬剤師の業務を補助し、効率化することで、薬剤師がより専門性の高い業務に注力できる環境を作り出すことができるのです。

本記事では、薬剤師業界におけるAIやChatGPTの活用事例を紹介しながら、AIがどのように薬剤師の業務を支援し、薬剤師の将来性にどのような影響を与えるのかについて解説していきます。AIと薬剤師が協働することで、より質の高い医療サービスの提供が可能になることでしょう!

本記事は、2024年5月時点での情報となります。

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現状の薬剤師業界の課題とは?

まず、薬剤師業界が現状抱えている課題を見ていきましょう。

課題①:業務の効率化と働き方改革の必要性

薬剤師の業務は、調剤、服薬指導、在庫管理、医薬品情報の収集と提供など多岐にわたります。しかし、これらの業務の多くは手作業で行われており、非効率的であるとの指摘があります。

また、長時間労働や休憩時間の確保が難しいなど、働き方の問題もあります。業務の効率化と働き方改革が必要とされています。

課題②:医療安全の確保と医療過誤の防止

薬剤師は医療安全の確保において重要な役割を担っています。しかし、調剤ミスや薬物相互作用の見落としなど、医療過誤のリスクが常に存在しています。人的エラーを防ぎ、医療安全を確保するための対策が求められています。

課題③:専門性の向上と生涯学習の必要性

医療技術の進歩や新薬の開発に伴い、薬剤師に求められる専門知識は年々高度化しています。しかし、日常業務に追われ、十分な学習時間を確保できない薬剤師も少なくありません。専門性の向上と生涯学習の必要性が指摘されています。

課題④:地域医療における薬剤師の役割拡大

地域医療の重要性が高まる中、薬局薬剤師には、かかりつけ薬剤師としての役割が期待されています。服薬指導や残薬管理、在宅医療への参画など、薬剤師の職能を生かした地域医療への貢献が求められています。しかし、現状では十分な体制整備が進んでいないのが実情です。

課題⑤:薬剤師の偏在と労働環境の格差

市部と地方、病院と薬局など、薬剤師の偏在が指摘されています。

また、勤務先によって労働環境や待遇に格差があるのも事実です。薬剤師の偏在を解消し、どこで働いても一定の労働環境を確保することが課題となっています。

薬剤師業界でAI・ChatGPTを活用するメリットとは?

薬剤師業界でAIやChatGPTのような技術を活用することには、多くのメリットがあります。以下にその主な利点を5つ紹介します。

メリット①:調剤業務の効率化と正確性の向上につながる

AIを活用することで、処方箋の読み取りや薬歴管理、調剤量の計算など、調剤業務の自動化が可能になります。OCRやNLPを用いて処方箋の内容を瞬時に解析し、薬剤の選択や計数、監査までを自動で行うことで、業務の効率化と正確性の向上が期待できます。人的エラーによる調剤ミスのリスクを軽減し、薬剤師の負担を大幅に削減することができます。

メリット②:薬物相互作用のチェックと医療安全の確保につながる

AIを用いることで、膨大な医薬品情報をリアルタイムで解析し、処方薬の相互作用や禁忌、副作用のリスクを自動でチェックすることが可能になります。複数の疾患を持つ患者や多剤併用の場合でも、AIが瞬時に薬物相互作用を検出し、警告を発することで、医療過誤のリスクを大幅に減らすことができます。これにより、薬剤師は医療安全の確保により注力できるようになります。

メリット③:服薬指導の質の向上と患者満足度の向上につながる

AIを活用することで、患者の薬歴や検査値、アレルギー歴などの情報を分析し、より個別化された服薬指導を提供することが可能になります。ChatGPTのような対話型AIを用いれば、患者の理解度に合わせた平易な説明や、疑問に対する即時の回答も可能です。服薬アドヒアランスの向上や副作用の早期発見にもつながり、患者満足度の向上が期待できます。

メリット④:薬剤師の専門性向上と生涯学習の支援ができる

AIを活用することで、薬剤師は専門性の高い業務により注力できるようになります。AIが調剤業務や事務作業を代行することで、薬剤師は薬物治療の最適化や症例検討、研究活動など、より高度な業務に時間を割くことができます。

また、AIを用いた e-learningシステムを導入することで、薬剤師の生涯学習を支援し、専門性の向上にもつなげることができます。

メリット⑤:薬剤師業務のリモート化と働き方改革の推進につながる

AIを活用することで、薬剤師業務のリモート化が可能になります。処方箋の電子化や遠隔服薬指導の普及に伴い、薬剤師は必ずしも薬局に常駐する必要がなくなります。在宅勤務やテレワークを導入することで、薬剤師の働き方の選択肢が広がり、ワークライフバランスの改善が期待できます。

また、AIが業務の一部を代行することで、長時間労働の解消や休暇取得の促進にもつながります

薬剤師業界でAIを導入するデメリットや注意点

薬剤師業界でAIを導入する際には、多くのメリットが期待される一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。以下にその主なものを3つ挙げて詳しく解説します。

デメリット・注意点①:導入コストと教育コストの増大

AIシステムの導入には、ハードウェアやソフトウェアの購入、インフラの整備など、多額の初期投資が必要です。

また、AIシステムを運用・保守するための専門人材の確保や、既存の薬剤師のAI教育にもコストがかかります。特に中小規模の薬局にとっては、AIの導入が財務的な負担となる可能性があります。導入コストに見合った効果が得られるかどうか、慎重な検討が必要です。

デメリット・注意点②:責任の所在と法的問題の発生

AIが調剤ミスや不適切な服薬指導をした場合、責任の所在が問題になります。現行法では、医療行為の最終的な責任は薬剤師にあるとされています。AIの判断を盲目的に信頼し、確認を怠った場合、薬剤師が法的責任を問われる可能性があります。

また、AIによる個人情報の取り扱いや、AIの不具合による健康被害など、新たな法的問題が発生する可能性もあります。AIの活用に当たっては、責任の所在を明確にし、適切な監督体制を整備することが重要です。

デメリット・注意点③:薬剤師の職能とAIの役割の線引きの難しさ

AIの導入により、薬剤師の職能とAIの役割の線引きが曖昧になる可能性があります。単純作業はAIに任せ、薬剤師は専門性の高い業務に特化すべきという意見がある一方で、過度なAI依存は薬剤師の専門性を低下させるという指摘もあります。

また、患者とのコミュニケーションや共感といった、AIでは代替できない薬剤師の役割もあります。AIと薬剤師の適切な役割分担を定め、AIを薬剤師の補助ツールとして位置づけることが重要です。

薬剤師業界での具体的なAI・ChatGPTの活用方法

薬剤師業界では、AIやChatGPTのような技術を多様な方法で活用することができます。ここでは、その具体的な活用方法を5つ挙げて詳しく解説します。

活用例①:電子処方箋の自動読み取りと調剤のサポート

OCR(光学文字認識)とNLP(自然言語処理)を用いて、紙の処方箋を自動で読み取り、電子化することができます。AIがデータを解析し、処方薬の種類や量、用法・用量を自動で判別します。その情報を基に、調剤支援システムが最適な薬剤の選択や計数、鑑査をサポートします。

処方箋の電子化により、保管スペースの削減や検索の効率化も図れます。

また、AIによる自動チェックにより、処方箋の不備や疑義の発見も容易になります。

活用例②:薬物相互作用のチェックと処方の提案

AIを用いて、患者の服用中の薬剤や併存疾患、アレルギー歴などの情報を分析し、処方薬の相互作用や禁忌、副作用のリスクを自動でチェックすることができます。大規模な医薬品データベースとAIアルゴリズムを組み合わせることで、複雑な薬物相互作用も見落とすことなく検出できます。

さらに、AIが患者の状態に応じた最適な処方を提案することで、薬物療法の質の向上と医療過誤の防止につなげることができます。

活用例③:服薬指導における多言語対応と個別化

AIを活用することで、服薬指導の多言語化が可能になります。音声認識と機械翻訳を用いることで、患者の母語で服薬指導を行うことができます。

また、ChatGPTのような対話型AIを用いれば、患者の理解度に合わせた平易な説明や、疑問に対する即時の回答も可能です。

さらに、患者の薬歴や検査値、ライフスタイルなどの情報をAIが分析することで、より個別化された服薬指導を提供することができます。

活用例④:在庫管理の最適化と薬剤の有効活用

AIを用いて、薬局の在庫状況や患者の処方動向、季節変動などのデータを分析することで、最適な在庫管理が可能になります。需要予測に基づいて適正な発注量を算出することで、在庫切れや過剰在庫を防ぎ、無駄を削減することができます。

また、処方変更や残薬の情報をAIが分析することで、余剰在庫の有効活用や返品の最小化にもつなげることができます。

活用例⑤:薬剤疫学研究と副作用モニタリングへの活用

AIを活用することで、大規模な処方データや副作用報告データを効率的に分析することができます。機械学習を用いて、特定の薬剤と副作用の関連性を探索したり、リスク因子を特定したりすることが可能です。

また、リアルワールドデータを用いることで、臨床試験では検出されにくい稀な副作用やリスク集団を見出すこともできます。これらの知見は、医薬品の適正使用や安全対策の改善に役立てることができます。

薬剤師業界でのAI活用の導入事例

以下で薬剤師業界で、実際に活用されているAIを紹介していきます。

導入事例①:薬局向け「AI薬師」(MG-DX)

引用:TECH+
導入企業名株式会社MG-DX
事業内容薬局・医薬品販売業のデジタルシフト支援事業
従業員数126名
AI導入前の課題・薬剤師の対人業務(服薬指導、患者フォローアップ、問い合わせ対応など)の負担が大きかった
・患者満足度を高めるためのコミュニケーションの充実が求められていた
AI導入成果・ChatGPTのAPIを活用した服薬フォローアップ実施支援サービスにより、薬剤師の対人業務の負担が軽減される
・患者ごとに寄り添ったメッセージ文の自動生成により、患者満足度の向上が期待される
参考:株式会社MG-DX

サイバーエージェントの連結子会社であるMG-DXは、薬剤師の対人業務をサポートする薬局ソリューション「AI薬師」において、LLM(大規模言語モデル)の活用を開始しました。第一弾として、ChatGPTのAPIを活用した服薬フォローアップ実施支援サービスのベータ版を提供します。

  • 「AI薬師」は、服薬指導や患者フォローアップ、問い合わせ対応など、薬剤師の対人業務を支援し、患者満足度を高めるためのコミュニケーションを目指すソリューションです。厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」や医療従事者間のタスクシフトの推進により、薬剤師の対人業務のデジタル化が急務となっています。
  • MG-DXは、調剤および製薬領域に特化したAIサービスの開発を目指し、ChatGPTやサイバーエージェントが開発した日本語LLMなどの活用を進めています。

服薬フォローアップ実施支援サービスのベータ版では、年齢区分、来店頻度、症状、調剤内容などの項目を選択するだけで、患者ごとに寄り添ったメッセージ文を自動生成できます。この機能はオンライン調剤サービス「薬急便」のデータベースと連携しており、個人情報を一切使用せずにメッセージ文を生成し、患者名や薬局名、薬剤師名などは自動で挿入されます。

導入事例②:医薬品情報管理共有プラットフォーム『AI-PHARMA』(木村情報技術株式会社)

引用:PR TIMES
導入企業名木村情報技術株式会社
事業内容・人工知能(AI)活用事業及び人工知能サービスの研究・開発
・Web講演会運営・配信サービス「3eLive」及び収録・オンデマンド配信サービス
・オンライン学会運用プラットフォーム「KIT-ON」の運営・管理
・医薬品情報プラットフォーム「AI-PHARMA」の運営・管理
・医薬品業界向け出版及び研修コンサルティング事業
・サガン鳥栖スマホの販売とエックスモバイルの代理店販売
・「Zoom」及び「Remo」会議システムの代理店販売
従業員数425名
参考:木村情報技術株式会社

木村情報技術株式会社は、医薬品情報管理共有プラットフォーム「AI-PHARMA」において、広島佐伯薬剤師会が運営する薬剤師向け医薬品情報(DI)データベース「薬剤師ノート」のサービス終了に伴い、約1,000件のQ&Aデータおよび会員アカウントを引き継ぐことを発表しました。

  • 「薬剤師ノート」は2008年から長年にわたり薬剤師に支持されてきたサービスですが、2023年10月6日にサービスを終了する予定です。それに伴い、「AI-PHARMA」が「薬剤師ノート」のQ&Aデータと会員アカウントを引き継ぎます。
  • 「薬剤師ノート」の会員は「AI-PHARMA」に移行され、これまでと同様に約1,000件のQ&Aデータを閲覧・新規投稿できるだけでなく、「AI-PHARMA」で共有されている約28,000件のQ&Aデータや約18,000件の注射薬配合変化データ等も利用できるようになります。これにより、薬剤師ノート会員はより充実したサービスを受けられるようになります。

木村情報技術は、「AI-PHARMA」を通じて薬剤師の皆さまにより充実した医薬品情報データを提供することで、日々の業務に貢献することを目指しています。

導入事例③:調剤薬局向けAI-OCRサービス「薬師丸賢太」(NeoX株式会社)

引用:TECHABLE
導入企業名NeoX株式会社
事業内容実世界における視覚情報に対する理解・分析を目的とする人工知能技術の研究開発
従業員数不明
AI導入前の課題・処方箋の様式が統一されておらず、記載方法も様々であるため、医療事務が判断して手入力する必要があり、時間がかかっていた
・処方箋入力作業は調剤の起点であると同時にミスの起点にもなるため、慎重に行う必要があった
AI導入成果・OCR技術を活用した「薬師丸賢太」により、紙の処方箋をスマホカメラやスキャナで読み取り、約10秒でデータ化できるようになった
・処方箋内容を高速かつ正確に自動でレセプトコンピューターに出力することで、薬局事務の処方箋入力作業の効率化とミス削減を実現
参考:NeoX株式会社

NeoX株式会社は、調剤薬局向けの処方箋入力支援AI-OCRサービス「薬師丸賢太」を2021年1月に提供開始しました。このサービスは、紙の処方箋をスマホカメラやスキャナで読み取り、約10秒でデータ化することができます。

  • 調剤薬局での処方箋入力作業は、調剤の起点でありミスの起点にもなるため、慎重に行う必要がありますが、処方箋様式が統一されていないことや記載方法の多様性から、医療事務の判断が求められ、時間がかかって大変だという現場の声があります。
  • 「薬師丸賢太」は、OCR技術を活用して処方箋内容を高速かつ正確に自動でレセプトコンピューターに出力することで、薬局事務の処方箋入力作業を支援します。これにより、ミスの削減や効率化を目指しています。
  • サービス開始以降、全国の調剤薬局への導入が進んでおり、約1年半で単月100万枚の処方箋を読み取り、2023年7月時点で導入店舗数が1,900店舗を超えています。
  • 「薬師丸賢太」は、医療機関ごとに異なる処方箋のフォーマットを自ら理解するため、事前の設定作業は不要です。項目一致率は98%、完全一致率は93%と高精度であるため、修正作業はほぼ必要ありません

NeoX株式会社は、今後も医療・薬局業界に関わる企業との連携を強化し、新機能や精度の向上を通して、調剤薬局の業務負荷の軽減と調剤過誤防止に貢献していく方針です。

導入事例④:薬歴作成支援サービス「corte」(株式会社corte)

引用:PR TIMES
導入企業名株式会社corte
事業内容薬歴の自動作成を可能にするサービス「corte(コルテ)」の展開
従業員数不明
AI導入前の課題・薬局での薬歴作成に多くの人的リソースが必要とされていた
・薬歴作成のために対応中のメモ書きが必要で、薬剤師が患者と深く向き合う時間が限られていた
AI導入成果・音声認識AIと生成AIを活用することで、薬剤師と患者の会話を録音するだけで薬歴が自動作成されるようになり、薬歴作成にかかる時間と人的リソースが大幅に削減される
・薬歴作成の自動化により、薬剤師が患者により深く向き合える時間が増える
参考:INITIAL

株式会社corteは、音声認識AIと生成AIを活用した薬局向けの薬歴作成支援クラウドサービス「corte(コルテ)」のプロトタイプを2024年3月1日に発表しました。

現在、マイライフ株式会社と業務提携し、「オール薬局」6店舗でcorteを活用した実証実験を実施しています。corteは、薬剤師と患者の会話を録音するだけで、SOAP形式の薬歴を自動作成するサービスです。これにより、薬歴作成にかかる人的リソースを削減し、薬剤師が患者により深く向き合えるようになります。

corteの5つの特長は以下の通りです

  • 会話の録音のみで薬歴を自動作成
  • SOAP形式での要約に対応
  • 全薬歴システムおよびレセコンに対応
  • 充実した運用開始後のサポート
  • リーズナブルかつ分かりやすい料金体系

将来的には、薬局だけでなく、クリニックや病院の医療従事者向けにもcorteを展開し、患者と向き合う時間を増やすことを目指しています。

corteの料金体系は、初期費用300,000円(税別)と、利用1回あたり50円(税別)の従量課金制となっています。

導入事例⑤:薬局のDX化を推進する「my薬剤師」(株式会社Geek Guild)

引用:PR TIMES
導入企業名株式会社Geek Guild
事業内容・人工知能プログラムの開発
・コンピュータソフトウェア分野における人工知能及び各種技術の応用研究
・人工知能に関わるセミナーの企画及びコンサルティング
・人工知能に関する講演会、シンポジウム、セミナー等の企画、運営、管理及び実施
従業員数6名
AI導入前の課題・薬局経営において、利益と社会貢献のバランスを取ることが難しかった
・薬局のシステムや機器の導入費用が高く、デジタル化が進んでいなかった
AI導入成果・調剤支援システム「my薬剤師」により、薬局経営の効率化と社会貢献の両立が可能になった
・レセコン連携を必要としないシステムにより、導入費用を抑えることができた
参考:株式会社Geek Guild

株式会社Geek Guildは、持続可能な超高齢化社会の構築をミッションとして、AIの基礎研究と開発を進めてきました。その一環として、薬剤師や医療従事者、患者にとって便利なシステムを提供するブランド「my薬剤師」を立ち上げました。

  • 「my薬剤師」誕生のきっかけは、COVID-19の感染拡大下で医療従事者が尽力する姿を見て、AI企業としてできることを考えたことでした。また、共同創業者の尾藤美紀氏自身の小売業を営む家庭での経験も、薬局の経営改善と社会貢献の両立を支援したいという思いにつながりました。
  • 京都小売薬業協同組合と協力し、組合直営の「さぎの森薬局」での実証実験を通じて、薬局や薬剤師が必要とするシステムの研究開発を進めました。その成果の一つが、調剤支援システム「my薬剤師」です。
  • 「my薬剤師」の特徴は、レセコン連携を必要としないことです。これにより、導入費用を抑え、在宅医療にも適したシステムになっています。また、処方箋のQRコードと薬剤の画像を読み取り、照合するAI搭載アプリ「かんたん薬剤監査アプリ」も提供しています。

Geek Guildは、医療従事者に安心して効率よく働ける職場環境を整えるシステムを提供することを目指しています。徹底した効率の良い経営により、品質の高い商品をお手頃な価格で提供し、デジタルヘルス業界での立ち位置を築いていきます。

【結論】AI導入により薬剤師の仕事がなくなる可能性は低い!

AIの導入により、薬剤師の仕事がなくなるわけではありません。確かにAIは調剤業務の自動化や効率化に大きく貢献しますが、AIが薬剤師の職能を完全に代替することはできません。むしろ、AIの活用により、薬剤師はより専門性の高い業務に注力できるようになります。

薬剤師は、調剤だけでなく、服薬指導や薬歴管理、在宅医療への参画など、多岐にわたる職能を持っています。これらの業務には、患者とのコミュニケーションや共感、倫理的判断など、AIでは代替できない要素が含まれています。また、AIによる判断の妥当性を評価し、最終的な意思決定を行うのも薬剤師の重要な役割です。

さらに、高齢化の進展や在宅医療の拡大、セルフメディケーションの普及など、医療を取り巻く環境の変化に伴い、薬剤師の役割はますます重要になっています。地域における健康サポートや予防・健康管理の拠点としての薬局の機能が注目されており、薬剤師の活躍の場は広がっています。

ただし、AIの導入に伴い、薬剤師に求められる能力も変化していくでしょう。AIを適切に活用し、その結果を解釈・評価できる能力や、ICTスキル、コミュニケーション能力など、新たな能力の獲得が求められます。生涯学習を通じて、これらの能力を継続的に向上させていくことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

前述したとおり、AIの導入は薬剤師の仕事を奪うのではなく、むしろ専門性を高め、医療の質の向上に貢献するものです。

薬剤師はAIを適切に活用し、生涯学習を通じて新たな能力を獲得することで、変化する医療ニーズに対応し、より専門性の高い業務に注力できるようになるでしょう。

AIと薬剤師が協調し、それぞれの強みを生かすことで、より安全で質の高い医療の提供が可能になります。薬剤師の将来性は明るいと言えるでしょう!