国民民主党の玉木雄一郎代表が7月8日に公開した対話型AI「AIゆういちろう」が、大反響を呼んでいます。
このAIサービスは、玉木氏の政策や考えを学習し、ユーザーからの質問に答える形で運用されており、RAGをつかって彼の回答データを入れ、ChatGPTに回答させていると予想されます。
驚異的な利用状況と利用状況
公開からわずか8日間で、「AIゆういちろう」の利用件数は約9万件に達したとのこと。
これは1日あたり平均で約11,250件の利用があったことになります。
玉木氏は7月18日、Xで「AIゆういちろう」の運用状況について報告しました。
玉木氏によると、OpenAIのAPIを使用しているため、利用のたびに課金が発生する仕組みになっていることです。8日間で発生した課金額は驚くべきことに12万円と報告しています。
玉木氏は、予想外の費用負担に対して、ユーザーにXでのサブスクリプション登録を呼びかけています。月額1ドルの支援を募ることで、サービスの継続と改善を目指しています。
ざっくりした利用状況の推測
せっかくなので、OpenAIのAPI使用料金を基に、ユーザーの利用状況を推測してみることにしましょう。
- 入力:5ドル/100万トークン
- 出力:15ドル/100万トークン
こちらが、最新版の ChatGPT-oのAPIの使用料金です。
12万円(約800ドル)の課金額、そして出力のほうが長くなりやすい事を考慮しつつ、簡単のため入力と出力のトークンの比が1:3として推定すると、おおよそ以下のような利用状況が考えられます。
- 入力:1600万トークン
- 出力:4800万トークン
LLM(大規模言語モデル)にもよりますが、GPTの場合、日本語はおおよそ1トークン1文字くらいなので、1文を20~40文字程度と仮定すると、40~80万回程度会話が行われているかもしれませんね。
玉木氏は「10万件を超える利用」と発言されていますので、これをユーザー数だとすると、
- 10万ユーザー、一人当たりおよそ4~8回程度質問している
となりそうです。ちなみに、10万が会話の数だとすると、160文字程度の入力が10万回されている計算になります。1ユーザーが数回質問するとすると、2万ユーザー程度でしょうか?
いずれにせよかなり大盛況と言えそうです。
「AIゆりこ」との比較
小池百合子都知事が発表した「AIゆりこ」は、聴衆に向けた一方的な発言でしたが、今回の「AIゆういちろう」は、ユーザーが玉木氏と対話のような体験をできるのが特徴です。
「AIゆりこ」については、別の記事で詳しく解説していますので、そちらもぜひご覧ください。
今後の政治とAI
政治家による、AIの活用事例は今後も増えていくかもしれません。
ただ、悪意のあるユーザーによって攻撃され、悪意のある回答を出力させられたり(プロンプトインジェクション)、トークン数を消費させることによって、資金的に攻撃をすることも考えられます。
そのような注意点を気にしつつ利用することで、遠く感じがちな政治家との距離が縮まり、近年叫ばれている投票率向上や市民意見の吸い上げにつながっていきそうですね。
romptnでは、引き続き時事AIニュースを取り上げていきますので、ぜひご覧ください。