香川県善通寺市は、固定資産税の課税基準となる土地の用途判別に革新的なアプローチを導入しました。税務課職員らが対話型生成AI「ChatGPT」を活用し、衛星画像から土地利用状況の変化を自動検出するシステムを独自開発することに成功。従来の外部委託による開発と比較して、費用を約30分の1に抑制することができました。
システムの概要と特徴
このシステムは、人工衛星が捉えた2時点の画像をAIに学習させ、土地利用状況の変化を自動的に検出します。例えば、農地から駐車場への転換といった変更を把握し、それを基に市職員が現地調査を行い、固定資産税の評価額に反映させます。
開発の背景
固定資産税は全ての土地・建物に課税される重要な市町村税ですが、従来の調査方法では以下のような課題がありました。
- 建築確認申請や登記申請による把握が基本だが、届け出がないケースも存在
- 毎年100万円以上の費用をかけて外部業者による全域調査が必要
- 目視による確認作業の負担が大きい
画期的なコスト削減と効率化
本システムの開発において特筆すべき点は、開発コストの大幅な削減です。
- 税務課職員が約1か月かけてプログラムのソースコードを作成
- チャットGPTを活用して効率的に開発を推進
- 従来の外注開発費3000万円以上に対し、約120万円で実現
今後の展望
市は今秋から試験運用を開始し、2024年度の固定資産税評価から本格的な運用を予定しています。システムの使いやすさを向上させながら、将来的には他の自治体での活用も視野に入れています。
善通寺市税務課の榊朋之課長補佐は、「中小の自治体ではシステム導入費用が高額で導入が難しい現状がありますが、ＡＩを活用した新しい形でのＤＸを実施していきたい」と意欲を示しています。
このシステムは、自治体のデジタルトランスフォーメーション推進における新たなモデルケースとなる可能性を秘めており、特に予算制約のある中小自治体にとって、大きな参考事例となることが期待されます。
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