生成AIプロンプトエンジニア検定とは？難易度・勉強法・他資格との違いまで解説

生成AIの急速な普及により、ChatGPTなどのAIツールを効果的に活用できる人材への需要が高まっています。そんな中、注目を集めているのが「生成AIプロンプトエンジニア検定」です。

この検定は、AIから質の高い回答を引き出すためのプロンプト作成スキルを証明する資格として、ビジネスパーソンやエンジニアから注目されています。

本記事では、生成AIプロンプトエンジニア検定の試験概要から出題範囲、効率的な学習方法、合格のコツまでを徹底解説します。さらに、PEP検定やG検定など他のAI関連資格との違いも比較しているので、自分に合った資格選びの参考にしてください。

監修者プロフィール

森下浩志

日本最大級のAI情報プラットフォーム「romptn ai」編集長。著書に「0からはじめるStable Diffusion」「0からはじめるStable Diffusion モデル・拡張機能集編」など、AmazonベストセラーのAI関連書籍を多数執筆。AIにおける情報の非対称性を解消するための社内研修や出張講義も行う。

生成AIプロンプトエンジニア検定とは

AIプロンプトエンジニア検定とは、生成AIプロンプト研究所チャプロが運営する生成AIとプロンプト作成の知識を証明する検定試験です。

この検定は、生成AIに関する知識と、適切な回答を導き出すためのプロンプト作成スキルを測る資格として、生成AIを効果的に活用したいビジネスパーソンやエンジニアに注目されています。

プロンプトの基礎理論、生成AIの仕組み、リスク・倫理、業務活用の実践力などを総合的に問う構成になっています。

生成AI関連の資格は増えていますが、プロンプトエンジニア検定には次のような独自性があります。

生成AIプロンプトエンジニア検定の試験概要

ここでは生成AIプロンプトエンジニア検定の試験の概要についてを解説します。

受験〜合格までの流れ

生成AIプロンプトエンジニア検定を受験するには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、テキストの入手から試験本番までの流れをわかりやすく解説します。

＜STEP1.公式テキスト問題集の購入＞

まず最初に行うべきことは、検定の学習教材となる公式テキスト＆問題集の購入です。この書籍には試験対策に必要な知識がすべて網羅されているほか、受験に不可欠な「検定コード」が記載されています。

※学科試験に関しては、書籍「公式テキスト＆問題集」の購入が必須の条件となっています。

＜STEP2.検定を受ける＞

公式テキストでしっかりと学習を進めたら検定試験を受験します。

専用ページで会員登録を行い、購入した書籍に記載された検定コードを入力してアクセスし、実際にオンラインで受験することができます。

＜STEP3.認定書を受け取る＞

試験で95問以上を正解すると、合格コードを取得することができます。合格コードを確認したら、専用フォームから合格コードを送信して認定書の申請を行います。

すると、会社からメールで認定書を受信することができ、正式な合格が認められることになります。

出題範囲

検定の出題範囲は、市販されている公式テキストに準拠しています。したがって、合格を目指すには公式テキストの内容をしっかりと理解することが最も重要です。

公式テキストの目次は以下のようになっていました。

プロンプトエンジニアリングの基本的な概念から、具体的なプロンプトの作成技術、そして関連する法律や倫理まで、幅広い知識が問われます。

試験内容はすべて公式テキストから出題されるため、テキストの内容をしっかりと理解することが合格への最短ルートとなります。

特に「プロンプト8+1の公式」は重要なテーマで、「命令」「前提条件」「出力形式」といった構成要素を理解し、ケースに応じて調整できる柔軟性が求められます。

※プロンプト8+1の公式については、下の記事でも解説されていました。

1-1　プロンプト8＋1の全体像を解説 | 生成AIプロンプト研究所「チャプロAI」

chapro.jp

受験料

この検定は、受験料が公式テキストの価格に含まれているという少し特殊な形式となっています。

2026年度版の公式テキスト『生成AIプロンプトエンジニア学科検定　2026年度版』は2,750円で販売されており、公式テキスト内に記載されている専用コードを入力することで学科試験が受験できます。

つまり、受験料は実質無料で、テキスト代のみで学習から受験まで完結できます。

※本屋さんなどで立ち読みしてコードだけを取得されることを防ぐ目的からか、公式テキストは書店にはまず置いておらず、オンラインで購入する必要があります。

試験形式

100問60分で試験が実施されます。合格には、100問中95問以上正解が必要です。試験はオンラインで実施されるため、インターネット環境があれば自宅など場所を選ばずに受験できます。

試験の合否結果は、受験後すぐに確認することができます。

以下のページに記載がありました。

受験の流れ｜生成AIプロンプトエンジニア検定

生成AIプロンプトエンジニア検定の受験の流れページです。

saipon.jp

生成AIプロンプトエンジニア検定の実技試験も受ける必要がある？

公式ページより、学科試験と実技試験の両方に合格することで「認定プロンプトエンジニア」の資格を取得できます。

学科試験は上述の通り公式テキストに付属する専用コードを使用してオンラインで受験する形式となっています。学科試験に合格すると、「生成AIプロンプトエンジニア検定」の学科試験合格証書が授与されます。

一方、「認定プロンプトエンジニア」の資格取得には実技試験の合格が必要です。そして実技試験を受講するためにはスクールへの入会が必要です。

対象のスクールは、オンラインで学べる「生成AIの学校飛翔」や、対面指導が受けられる実店舗型AI教室「raimo」が挙げられます。これらのスクールでより実践的なスキルを磨き実技試験に合格することで、プロンプトエンジニアとして認定される仕組みです。

学科試験のみの合格でも基礎知識の習得には十分ですが、正式な「認定プロンプトエンジニア」の称号を得るためには両方の試験をクリアする必要があります。自身のキャリア目標や学習目的に合わせて、挑戦範囲を決めるとよいでしょう。

生成AIプロンプトエンジニア検定の学習の進め方

生成AIプロンプトエンジニア検定の合格を目指すなら、以下のタイムラインに沿って学習を進めると効率的です。試験範囲はすべて公式テキストから出題されるため、テキストを軸にした計画的な学習がカギとなります。

生成AIプロンプトエンジニア検定の学習にかかる時間は？

生成AIプロンプトエンジニア検定の学習時間は、受験者のバックグラウンドによって異なりますが、目安としては10時間〜数週間程度と言われています。

全ての問題に正解できるようになるまで 3 周ほど繰り返し解きました。勉強に費やした時間は、トータルでおおよそ 10 時間ほどだったかと思います。

生成aiプロンプトエンジニア検定受験体験記

普段から生成AIを使い慣れている方であれば短期間での合格も可能ですが、初めてプロンプトエンジニアリングを学ぶ方は、余裕を持って1ヶ月程度の学習期間を確保しておくと安心です。

生成AIプロンプトエンジニア検定に合格するためのコツ3選

ここでは、生成AIプロンプトエンジニア検定に合格するためのコツを3つ紹介します。

①曖昧な理解を残さない

生成AIプロンプトエンジニア検定では、95%と高い正答率が求められるため、曖昧な理解のまま本番に臨むのは危険です。「なんとなくわかる」レベルではなく、確実に正解できる状態まで知識を仕上げることが合格への近道となります。

試験範囲はすべて公式テキストから出題されるため、テキストの内容を隅々まで理解しておけば対応できます。苦手分野を放置せず、一つひとつ確実に潰していく姿勢が合格につながります。

②「プロンプト8+1の公式」を重点的にマスター

試験対策において最も力を入れるべきテーマが「プロンプト8+1の公式」です。これは生成AIから質の高い回答を引き出すためのフレームワークで、本検定の核心部分とも言える内容です。

合格者の多くが「この公式は実務でも使える」と評価しており、単なる試験対策にとどまらない実践的な価値があります。テキストで概念を理解したら、実際にChatGPTなどで公式に沿ったプロンプトを作成し、AIの応答がどう変わるかを体感してみてください。

今詳細に知りたい方はこちらを参考にしてみてください。

1-1　プロンプト8＋1の全体像を解説 | 生成AIプロンプト研究所「チャプロAI」

chapro.jp

③試験本番は時間勝負

生成AIプロンプトエンジニア検定の学科試験は100問出題され、限られた時間内にすべてを解答する必要があります。1問あたりにかけられる時間は非常に短いため、本番は時間との戦いになることを意識しておきましょう。

試験はオンラインで自宅受験が可能であり、手元にテキストを置いて参照することも物理的には可能です。しかし、受験者の体験談では「一問ずつテキストを確認していると時間が足りなくなる」との声があります。テキストを見ながら解くスタイルでは、すべての問題に対応しきれないリスクがあるのです。

そのため、事前学習の段階で「調べなくても即答できる」レベルまで知識を定着させておくことが重要です。問題集を繰り返し解き、出題パターンや選択肢の傾向に慣れておくことで、本番でも迷わずスムーズに解答を進められます。

他のプロンプトエンジニアの資格でおすすめは？

生成AIプロンプトエンジニア検定の他にも、AIスキルを証明するための資格は複数存在します。それぞれ特徴や難易度、目的が異なるため自分のキャリアプランや学習目標に合った検定を選びましょう。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

PEP検定（Prompt Engineering Professional）

PEP検定は、ChatGPTなどの生成AIを業務で効果的に活用するための「プロンプト設計力」を証明する資格です。2025年4月に開始された比較的新しい検定で、LLM（大規模言語モデル）を活用した業務効率化やDX推進に必要なスキルを評価します。

プロンプト設計の基礎から応用まで体系的に学びたい方、企業でAI活用を推進するリーダー候補、生成AIを使いこなすスキルを客観的に証明したいビジネスパーソンに最適です。試験範囲は生成AIの仕組み、プロンプトエンジニアリング技術、リスク管理、業務応用など多岐にわたります。公式の学習資料が無料で提供されているため、独学でも対策可能です。

生成AIパスポート

生成AIパスポートは、生成AIの基礎知識とリテラシーを証明する入門資格です。AI初心者でも取り組みやすい内容で、著作権や個人情報保護などの法的リスク、プロンプト作成の基礎まで幅広く学べます。

生成AIを初めて学ぶ方、業務でChatGPTなどを使い始めた方、AIリテラシーを身につけたい全てのビジネスパーソンにおすすめです。合格率は約75〜77%と高く、10〜20時間程度の学習で合格を目指せます。公式テキストと問題集が販売されており、効率的に対策できます。取得した資格は無期限で有効で、オープンバッジも発行されます。

Generative AI Test

Generative AI Testは、生成AIの知識やリテラシーを確認する「ミニテスト」形式の検定です。G検定・E資格で知られるJDLAが主催しており、わずか2,200円という低価格で手軽に受験できるのが特徴です。

生成AIの基礎知識を短時間で確認したい方、G検定やE資格を既に取得していて生成AI分野の知識を補完したい方に最適です。20分で20問というコンパクトな試験で、合格率は60〜71%程度です。出題範囲はLLMの技術的特徴、生成AIの利活用方法、リスク管理（著作権・プライバシー等）など。公式サイトで学習参考動画が公開されています。

G検定（ジェネラリスト検定）

G検定は、ディープラーニングを事業に活かすための知識を検定する資格で、AI関連資格の中でも高い知名度と信頼性を誇ります。累計受験者数は14万人を超え、多くの企業がDX人材育成の指標として採用しています。

AI・ディープラーニングを体系的に学びたいビジネスパーソン、AI導入プロジェクトに関わる管理職、就職・転職でAI知識をアピールしたい方におすすめです。合格率は65〜76%で、30〜50時間程度の学習が目安です。出題範囲はAIの歴史から最新技術、法律・倫理まで幅広く、公式テキストでの対策が効果的です。ITパスポート・DS検定との組み合わせで「DX推進パスポート」も取得可能です。

E資格（エンジニア資格）

E資格は、ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定する上級資格です。受験には過去2年以内にJDLA認定プログラムの修了が必須で、数式レベルでの理論理解とPythonによる実装力が求められます。

AIエンジニアやデータサイエンティストを目指す方、機械学習・深層学習の実装スキルを証明したい技術者に最適です。合格率は66〜73%ですが、受験者は認定プログラム修了者のみで既に高いスキルを持つため、実質的な難易度は非常に高いです。勉強時間は認定プログラム受講を含めて100〜300時間が目安。応用数学、機械学習、深層学習、開発環境の4分野から出題されます。

AI実装検定 B級

AI実装検定は、B級・A級・S級の3段階で構成され、初心者からプロフェッショナルまで段階的にスキルアップできる資格体系です。

AI実装検定B級は、AIに興味はあるが知識がない入門者向けの資格です。AIの概要を「学習と推論」「データとタスク」「パターン認識」「歴史」など7つの側面から問います。G検定の前段階として位置づけられています。

AIを初めて学ぶ方、G検定に挑戦する前の腕試しをしたい方におすすめです。公式の学習動画がYouTubeで無料公開されており、約1時間で基礎を学べます。合格率は約70%で、5〜15時間程度の学習で合格を目指せます。合格すると「ディープラーニング実装師B級」の称号が付与されます。

AI実装検定 A級

AI実装検定A級は、ディープラーニングの実装について数学・プログラミングの基本知識を認定する中級資格です。E資格の認定プログラムに挑戦できるレベルを想定しており、理系大学卒業程度の知識が目安です。

プログラミング経験があり、ディープラーニングの実装基礎を学びたい方、E資格取得の準備として活用したい方に最適です。出題はディープラーニング・機械学習の基礎各20問、数学（行列・微分）20問で構成されます。公式テキスト「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書」での学習が推奨されています。

AI実装検定 S級

AI実装検定S級は、AIの実装力と画像処理・自然言語処理などの応用的な実装力を認定する最上位資格です。E資格と同等以上の実装スキルが求められ、PyTorchやKerasを用いた実践的なコーディング問題が出題されます。

現役AIエンジニアで高度な実装スキルを証明したい方、E資格取得者でさらなるスキルアップを目指す方に最適です。出題は全てコードを読み解く形式で、NLP（20問）、有名モデルの実装（30問）から構成されます。論文著者の実装例やフレームワーク公式ドキュメントでの学習が推奨されています。

AI関連資格は、自身のキャリア目標や現在のスキルレベルに合わせて選択することが重要です。資格選びのポイントは以下の表を参考にしてみてください。

プロンプトエンジニアの資格をとるメリット3選

プロンプトエンジニアリングのスキルを証明する資格の取得は、実務能力の向上からキャリアアップまで多くのメリットがあります。

それぞれ解説します。

1.知識が体系化されプロンプト精度があがる

資格取得に向けた学習はこれまで断片的だったプロンプトに関する知識を整理し、体系的な理解ができるようになります。

何となく感覚で作成していたプロンプトから、一貫性のある質の高いプロンプトを安定して作れるようになります。

生成AIから得られるアウトプットの精度が格段に向上し、より的確で創造的な回答を引き出す実践力が身につくでしょう。

2.作業効率があがり社内評価につながる

プロンプトエンジニアリングのスキルを習得すると文章作成や情報収集、アイデア出しといった日常業務でAIを効率よく使いこなせるようになります。

AIを活用した業務改善や自動化のアイデアを具体的に提案できるようになるため、組織全体の生産性向上に貢献できます。

資格という客観的なスキルの証明はあなたの能力を周囲に示せるだけでなく、社内での評価や信頼、さらにはキャリアアップにも繋がる強力な武器となるでしょう。

3.履歴書でアピールできる

プロンプトエンジニアの資格は、あなたのAIスキルを客観的に証明する公的な証となります。そのため、履歴書や職務経歴書の資格欄に明記することで、採用担当者に対してスキルレベルを効果的にアピール可能です。

特に近年、多くの企業がAI活用の専門知識を持つ人材を求めており、資格は転職やキャリアアップにおいて大きなアドバンテージとなります。

同じような経歴を持つ候補者がいる中で、AI関連資格の有無が採用の決め手になることも少なくないと言えますので、他者との差別化としてあなたの市場価値を高めましょう。

生成AIプロンプトエンジニア検定についてのFAQ

まとめ

いかがでしたでしょうか？本記事をまとめると以下のようになります。

生成AIプロンプトエンジニア検定は、AI時代に求められるプロンプト作成スキルを体系的に学び、証明できる資格です。

95%以上の正答率という高い合格基準は一見ハードルが高く感じられますが、出題範囲はすべて公式テキストから出題されるため、しっかりと準備すれば十分に合格を目指せます。

まずは公式テキストを手に取り、「プロンプト8+1の公式」をマスターすることから始めてみてください。この検定で身につけたスキルは、試験対策にとどまらず、日々の業務効率化やキャリアアップにも必ず役立つでしょう。