ソーシャルメディアのX(旧Twitter)が11月15日に発表した利用規約の改定予告が、クリエイターコミュニティに大きな波紋を投げかけています。この改定により、ユーザーが投稿したコンテンツを機械学習やAIモデルのトレーニングに使用できる権限が、Xにより広く与えられることになりました。
改定の主な内容
新たな利用規約では、以下の点が明確化されました。
- ユーザーがプラットフォームに投稿したコンテンツに対し、「世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)を当社に付与する」こと。
- 生成AIを含む機械学習モデルのトレーニングデータとしての使用権も対象に含まれること。
- 「サービス改善」の名目で、関連会社との間で情報を共有する可能性があること。
特に注目すべきは、Xの関連会社である生成AI企業xAIが提供するAIチャットや画像ツール「Grok」への利用可能性が明確になった点です。
クリエイターの反応
この改定に対し、特にオリジナルのイラストや写真を多く投稿するクリエイターから強い反発の声が上がっています。主な懸念点は以下の通りです。
- 自身の作品がAIモデルの学習に無断で使用される可能性
- オプトアウト機能の実質的な喪失
- 著作権や知的財産権の侵害への不安
これらの懸念から、一部のクリエイターは他のプラットフォームへの「移住」を検討し始めています。
他のプラットフォームの状況
しかし、Xと同様の規約内容を持つネットサービスは多く存在します。例えば、
- Googleも自社AI「Gemini」へのコンテンツ利用の可能性を規約中に示しています。
- 他のソーシャルメディアでも、表立った明文化はされていないものの、一部分での利用を想定しているケースがあります。
このため、専門家は安易な移住に対して再考を促しています。
今後の展望
AIと著作権の問題は、日本新聞協会が生成AIによる報道コンテンツの無断利用に懸念を表明するなど、様々な業界で議論が活発化しています。今回のXの規約改定は、こうした議論をさらに加速させる可能性があります。
クリエイターやユーザーは、各プラットフォームの利用規約を注意深く確認し、自身の作品や投稿の扱いについて理解を深めることが重要です。同時に、AIモデル学習の透明性向上や、クリエイターの権利を適切に保護する法的枠組みの整備が求められています。
この問題は、デジタル時代における創作活動と技術革新のバランスをどう取るかという大きな課題を提示しており、今後も注目が必要です。