Slackは、「仕事用オペレーティングシステム」としての進化を加速させています。先日開催された年次会議Dreamforceにおいて、Slackは一連のAI機能をプラットフォームに追加すると発表しました。これにより、ユーザーの生産性向上と業務効率化が期待されています。
主な新機能
- ハドルサマリー: 会議の要約を自動生成
- 新しいワークフロービルダー: カスタマイズ可能な業務プロセスの自動化
- 情報検索の効率化: AIを活用した高速な情報検索
- Agentforce: Slack AIの新しいユーザーインターフェース
特に注目すべきは、Agentforce(旧Einstein Copilot)の導入です。この機能により、ユーザーは簡単な質問への回答取得や、スケジュール管理などの日常的なタスクを自動化することが可能になります。
導入スケジュール
Slackは、これらの新機能のほとんどを2024年後半から2025年初頭にかけて一般公開する予定です。有料プランのユーザーは、追加料金を支払うことでSlack AI機能にアクセスできるようになります。
AIの精度と信頼性への取り組み
Slackのエンタープライズ製品担当SVPであるRob Seaman氏は、AIの精度向上に向けた取り組みについて次のように述べています。
「AIの精度は業界全体の継続的な課題です。Slackでは、生成された回答に引用を追加し、簡単に検証できるようにすることで透明性を高めています。また、ユーザーからのフィードバックを直接受け付け、回答の品質向上に活用しています。さらに、回答の根拠となるファイルや画像も検索対象に含めるよう拡張しています。」
業界動向との関連性
Slackの今回のAI機能追加は、テクノロジー業界全体でのAI導入の加速を反映しています。多くの企業がAI導入に多面的なアプローチを取っており、一部の機能を社内で構築しつつ、既存アプリケーションのアドオンも活用しています。
しかし、KPMGの調査によると、AIの導入にはデータのプライバシーとセキュリティに関する懸念も存在します。経営幹部の4分の3が、サードパーティとの提携による影響を懸念しているとのことです。
他社の動向
- Salesforce: AIが取引を促進し、新規受注が前四半期比で2倍以上に増加
- Microsoft: Dynamics 365プラットフォームにCopilotを追加し、前年比19%の収益増
- SAP: ERPおよび基幹業務取引におけるAI戦略の重要性を強調
今後の展望
Slackの新CEOであるデニス・ドレッサー氏は、「私たちはコラボレーションの域を超え、毎日何百万ものチームが顧客データ、自動化、そして今ではエージェントが業務フローにシームレスに統合された専用AIを活用しています」と述べています。
この動きは、従来のコラボレーションツールの概念を超え、AIを中心とした新しいワークフロー管理プラットフォームへの進化を示唆しています。今後、AIの精度向上とユーザーの信頼獲得が、Slackの成功を左右する重要な要素となるでしょう。