OpenAI、カリフォルニア州のAI安全法案に懸念を表明

カリフォルニア州で議論を呼んでいるAI安全法案（SB 1047）に対し、OpenAIが公式に反対を表明しました。同社は、この法案がイノベーションを阻害し、規制は連邦レベルで対処されるべきだと主張しています。

OpenAIの主張

OpenAIの最高戦略責任者ジェイソン・クォン氏は、カリフォルニア州上院議員スコット・ウィーナー氏とギャビン・ニューサム知事に宛てた書簡の中で、以下のような懸念を表明しました。

1. SB1047は、カリフォルニア州のAI産業の成長を脅かす
2. イノベーションのペースを鈍らせる
3. 世界クラスのエンジニアや起業家が州外に流出する可能性がある
4. 米国の競争力と国家安全保障に「広範かつ重大な」影響を及ぼす可能性がある

クォン氏は、「AI革命はまだ始まったばかりで、AIの世界的リーダーとしてのカリフォルニアの独自の地位が、州の経済的活力を高めている」と述べ、州レベルの規制ではなく、明確な連邦の枠組みが必要だと主張しています。

SB1047法案の内容

SB1047は、特定の規模とコストの閾値を超える大規模なAIモデルを開発している企業に対して「常識的な安全基準」を制定することを目指しています。

主な要点は以下の通りです。

• シャットダウンメカニズムの導入
• 壊滅的な結果を防ぐための「合理的な注意」の義務付け
• カリフォルニア州司法長官へのコンプライアンスステートメントの提出

遵守しない場合は、訴訟や民事罰につながる可能性があります。

支持派の主張

法案の提案者であるウィーナー上院議員は、OpenAIの反対を「意味不明」と一蹴し、以下のように反論しています。

1. OpenAIは「法案のいかなる条項も批判していない」
2. 法案は物理的な所在地に関係なく、カリフォルニアで事業を行っているすべての企業に適用される
3. 大規模なAI研究所がモデルに壊滅的な安全リスクがないかテストするという要件は「極めて合理的」

また、元国防次官補（核・化学・生物防衛プログラム担当）のアンドリュー・C・ウェーバー議員は、国家安全保障の観点から法案を支持しています。

業界の反応

OpenAIの懸念は、業界内で広く共有されています。Google、Meta、投資会社Andreessen Horowitz、そして著名なAI研究者たちも、同様の立場を表明しています。

主な懸念点は以下の通りです。

1. イノベーションの阻害
2. カリフォルニア州からの企業流出
3. 州レベルの規制の限界

今後の展開

カリフォルニア州議会は今月、SB1047の採決を行う予定です。可決されれば、この法案はギャビン・ニューサム知事の承認を待つことになります。

一方で、連邦レベルでのAI規制の動きも進んでいます。OpenAIは、米国AI安全研究所をAIモデルの標準とガイドラインを設定する連邦機関として認可する法案など、いくつかの連邦法案を支持しています。

結論

AI技術の急速な発展に伴い、適切な規制の在り方について議論が続いています。カリフォルニア州のAI安全法案をめぐる論争は、イノベーションの促進と公共の安全確保のバランスをどう取るべきか、という難しい課題を浮き彫りにしています。

今後、州レベルと連邦レベルの両方で、AI規制に関する議論がさらに活発化することが予想されます。技術の進歩に合わせた柔軟で効果的な規制の枠組みを構築することが、政策立案者たちの重要な課題となるでしょう。