AI・ChatGPTで業務効率化しよう!効率化に成功したAI活用事例と併せて解説 | romptn Magazine

AI・ChatGPTで業務効率化しよう!効率化に成功したAI活用事例と併せて解説

AI×業界

AI技術、特にChatGPTの進化は、業務効率化に革命をもたらしています。時間を要するタスクの自動化から意思決定のサポートまで、AIは多岐にわたる業務領域でその価値を発揮しています。

この記事では、ChatGPTを中心としたAI技術がどのように業務効率化を実現しているのか、実際の活用事例を交えながら解説します。

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AI(人工知能)とは:

AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣するように設計されたソフトウエアのことです。つまり、あらかじめ指定した動作だけではなく、過去のデータや状況から学習して自ら新しいことができるようになります。

AIによってタスクを自動化したり、複雑な問題を解決したり、大量のデータの分析ができます。近年AIは凄まじいスピードで進展しており、「シンギュラリティ」つまり“AIが人間の知能を超えるとき”も近いと言われています。

AIと機械学習との関係

AIは、機械学習という技術を用いて、自ら学習して知能を向上させることができます。機械学習とは、コンピューターに与えられた大量のデータやルールをそのまま使うだけではなく、データから法則を見つけ出させることです。機械学習によって、未来予測や判断ができるようになります。

AIとRPAとの違い

AIとあわせてよく使われる言葉に「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」があります。RPAは、人間が行う単純な繰り返し作業を自動化するソフトウエアロボットのことで、事前に設定された操作手順に従って業務を再現できます。RPAがAIと異なる点は、AIがデータから学習して柔軟に対応できるのに対し、RPAは自ら学習する能力が無いため登録されたパターンの対応しかできないことです。

RPAはAIを組み合わせることで、より高度な業務の自動化が可能になります。例えば、AIを用いて画像や音声を認識することで、RPAが扱えるデータの範囲を広げることができます。

AI活用が進む理由・背景

AIは近年、分野や業界を問わず活用が進んでいます。その背景には、以下のような理由があります。

AI活用が進む理由・背景①:労働力不足の深刻化

AI活用が進む理由のひとつは、AIが人間の代わりに業務をすることで、人手不足の解消や人材の有効活用が期待されているからです。

特に日本は、少子高齢化により労働力不足が進んでいます。内閣府のデータによると、生産年齢人口は1995年をピークに減少を続けており、2020年から2040年までの間に約2割減ると予測されています。労働力不足は、生産性低下に直結します。AIを活用して、これまで人間が行っていた業務を代替・サポートすることで、より効果的な人材配置が可能になります。

参照:総務省HP

AI活用が進む理由・背景②:働き方改革の推進

AIの活用は、「働き方改革」を推進します。

日本では、長時間労働や過重労働が社会問題となっています。政府は、「働き方改革」を推進しており、労働時間の上限規制や残業代の支払い義務などの法改正をしながら、生産性を高める取り組みを推奨しています。業務効率化や品質向上により労働時間が圧縮可能になるため、AIの導入が進んでいます。

AI活用が進む理由・背景③:生産性の向上につながる点

AIの活用により、生産性を上げることができます。

日本は、先進国の中でも生産性が低い国とされています。経済協力開発機構(OECD)によると、2022年の日本の一人当たりのGDPは約47,000ドルで、米国の約76,000ドルに比べて大きく劣っており、OECD平均の55,000ドルも下回っています。

AIによる業務の高速化や最適化・精度向上により、労働者は付加価値の高い業務に集中することで、生産性の向上が期待できます。

参照:OECDのHP

ビジネスでAIを導入・活用するメリット

AIをビジネスに導入・活用すると、以下のようなメリットがあります。

AIの導入・活用メリット①:業務の効率化

AIは人間を上回る処理能力をもち、業務効率化に役立ちます。AIは大量のデータを高速に処理したり、複雑な計算を正確に行うことが可能で、単純な繰り返し作業やルーティンワークを自動化することで、業務の効率化ができます。

例えば、書類作成、データ入力、在庫管理などの業務をAIにまかせることができます。他にも画像認識や音声認識などの技術で問い合わせ対応や検査・診断、翻訳などさまざまな業務が可能です。業務効率化により、事業の売上拡大やコスト削減にもつながるでしょう。

AIの導入・活用メリット②:顧客満足度の向上

AIは、顧客満足度の向上にも寄与します。顧客のニーズや嗜好を分析し、パーソナライズされたサービスや商品を提供できるからです。AIは顧客の行動履歴をトラッキングし、最適なタイミング・チャネルでコミュニケーションをとることができます。

さらにAIは顧客の声や感情を把握し、フィードバックや改善策の提案もできます。他にも、レコメンドシステムやターゲティングにより顧客へ最適な商品・サービスを提案することが可能です。

AIの導入・活用メリット③:業務の属人化の解消

AIは、業務の属人化の解消にも貢献します。業務の属人化とは、業務のノウハウや経験が個人に依存している状態のことです。業務の属人化は、人材の流動性や教育コストの増加、業務の標準化や共有化を困難にするなど、さまざまな問題を引き起こします。AIは業務のノウハウや経験をデータ化し知識や最適解を蓄積することで、業務の属人化を解消します。

なお業務の属人化を解消するためにつくられたシステムとして、エキスパートシステムやナレッジマネジメントシステムといったものがあげられます。

AIの導入・活用メリット④:社員がコア業務に集中しやすくなる点

AIによって社員がコア業務に集中しやすくなる点もメリットです。AIがルーティンワークやサポート業務を代替することで、社員が創造的な業務や経営戦略などコアな業務に注力が可能です。

また社員の業務負荷を軽減し、業務の質やスピードを向上させることで、モチベーションやエンゲージメントが高まり、コア業務に集中できるようになります。

AIの導入・活用メリット⑤:通訳・翻訳ツールによるコミュニケーションの円滑化

AIによる通訳・翻訳ツールは、コミュニケーションを円滑にします

AIは音声認識や言語解析などの技術を用いて、さまざまな言語間の通訳や翻訳ができます。リアルタイムでの音声通訳やテキスト通訳、文書やウェブサイトの翻訳などができます。AIは、国際的なビジネスや異文化交流において、言語の壁を取り除き、コミュニケーションの効率や品質を向上させるのです。

AIの導入・活用メリット⑥:危険箇所での作業の代替が可能

危険箇所での作業はAIで代替できます。人間にとって危険な場所や環境でも、AIを活用すれば人的被害のリスクなく作業が可能です。

たとえばAIを利用したロボットやドローンは、災害現場や高所・汚染地域などでの救助や調査・点検といった作業があげられます。AIは人間の安全や健康を守るとともに、安心して作業ができるために作業の速度・効率や精度も向上させます。

AIの導入・活用メリット⑦:アノテーション次第でAIを柔軟にカスタマイズできる点

アノテーション次第で柔軟にカスタマイズできる点もAIの特徴です。アノテーションとは、データに対してラベルやタグなどの情報を付与することです。AIの学習に必要なデータの品質や量を向上させることで、AIの精度を高めます。

例えば、AIは、画像や動画に対して物体や人物の位置や形状、属性などの情報を付与することで、画像認識や画像解析の能力を向上させます。また、テキストや音声に対して意味や感情などの情報を付与することで、言語解析や音声認識の能力を向上させます。このようにして、AIは自社のビジネス・業務に合わせてカスタマイズができるのです。

AIの導入・活用によって業務効率化を図る際のポイント・注意点

AIの導入・活用によって業務効率化を図る際には、以下のような点に注意を払うとよいでしょう。

AI導入・活用上のポイント①:課題・目的を明確にする

AIを導入・活用する前に、まずは自社の課題や目的を明確にすることが重要です。AIは、万能なツールではなく、特定の課題や目的に対して最適な解決策を提供するツールです。AIによって期待する効果、指標や評価方法、実施の期間や予算を明確にすることで、導入の方向性や範囲を定めることが可能です。また、導入によるリスクや課題、その対処方法を事前に検討することで、AI活用の成功率を高めることができます。

AI導入・活用上のポイント②:自社のデータの量や質を正しく把握する

AIを導入・活用するには、自社のデータの量や質を正しく把握することが必要です。AIは、既にあるデータから学習します。しかし、データの量や質が不十分だと、AIの学習がうまくいかなかったり、AIの性能や精度が低下したりすることがあります。

データの量や質を正しく把握することで、AIに必要なデータの種類や形式、範囲を決めたり、クリーニングや整理の方法などを決めることができます。また、データの量や質を正しく把握することで、AIの導入・活用にかかる時間やコスト、ツール、人材の選択などを最適化できます。

AI導入・活用上のポイント③:自社にマッチしたツールを選ぶ

AIを導入・活用するには、自社にマッチしたツールを選ぶことがポイントです。AIのツールには、さまざまな種類やレベル、機能、特徴があります。ツールを選ぶ際には、自社の課題や目的、データの量や質、業務の内容や規模、予算や期間などを考慮することが必要です。

他にも、カスタマイズ性が高いかという観点で比較・検討することも有効です。ビジネスや業務に合わせてカスタマイズができれば、自社にマッチしたツールにアレンジできます。事業のフェーズに応じて柔軟にアレンジもできるでしょう。ただし、カスタマイズには時間やコスト、人材やスキルが必要だということも含めて検討をおすすめします。

AI導入・活用上のポイント④:AI活用の担当者を採用・育成する

AIを導入・活用するには、担当者を採用・育成することが重要です。AIの担当者とは、AIツールを選択・導入・運用・管理・改善ができる人材のことです。AI活用の担当者には、以下のように多様なスキル・知識が求められます。

  • AIの基礎知識:AIの概念や種類、機能や特徴、メリットやデメリットなどを理解していること。
  • データを扱う知識:データの収集・整理・分析・可視化・活用をができること。
  • プログラミングスキル:AIのツールを操作・カスタマイズ・開発できるスキル。AIや機械学習を扱うプログラミング言語として「Python」などがあげられる。
  • ビジネススキル:AIツールをビジネス目標に合わせて活用方法を検討し、運用開始後には評価・改善すができること。
  • コミュニケーションスキル:AIツールの導入・活用に関する情報や意見を共有・説明・説得ができること。導入には、多くの部門やチームと連携が必要となるため、コミュニケーション能力が求められる。

AI導入・活用上のポイント⑤:全ての業務をAIに丸投げしない

AIを活用する際、全業務をAIに任せることは避けるべきです。現段階でAIは特定のタスクに特化しており、人間の判断力や柔軟性がない場合もあります。したがって、以下の点への留意が重要です。

  • 適切なタスクの選定:AIを導入する際には、どの業務にAIを活用するかを慎重に選定しましょう。ルーティンや繰り返しの業務、データ処理など、AIが得意とする領域に適用することが効果的です。
  • 人間とAIの連携:AIはあくまでツールであり、人間との連携が重要です。AIが処理できない複雑な判断やクリエイティブな業務は人間が担当し、AIはサポート役として活用しましょう。
  • トレーニングと監視:AIモデルは適切にトレーニングされていることを確認し、定期的にモデルの性能を監視しましょう。必要に応じて再トレーニングや修正をして、最適な結果を得ることが大切です。
  • エラーへの対応:AIは完璧ではありません。エラーが発生した場合、人間が適切に対応できる体制を整えましょう。

AIを導入・活用することで効率化できる分野

AIを導入・活用することで、さまざまな分野で業務効率化が実現できます。以下にAIが得意とする主要な分野を紹介します。

AIが活用される分野①:画像認識・画像解析

AIの画像認識技術は、写真やビデオから対象物を自動的に識別するために使用されます。製造業での不良品検出や監視カメラの映像解析などに活用されます。また、AIは画像解析にも利用されており、医療分野でX線画像やMRIスキャンから病変を検出できます。

なお、OCR(光学文字認識)技術にAIを組み合わせることで、精度向上や手書き文字の認識といった複雑な解析も実現されています。

AIが活用される分野②:音声認識

AIによる音声認識技術は、音声データをテキストに変換するために使用されます。コールセンターの自動応答や音声アシスタント(SiriやAlexa)などで利用されています。

AIが活用される分野③:言語解析

AIの自然言語処理(NLP)技術を用いると、テキストデータの解析まで可能です。データを理解して言葉の意味まで把握できるため、チャットボットや自動翻訳、感情分析などに活用されます。

AIが活用される分野④:機械制御

AIはロボットや自動車などの機械制御に応用されます。センサーデータ解析などの方法で、自律走行車や産業用ロボットの動作制御に活用されています。

AIが活用される分野⑤:推論・分析・予測

AIは大量のデータから傾向やパターンを抽出し、予測や意思決定をサポートします。金融業界での株価・信用スコア予測マーケティングでの顧客の購買傾向の分析、製造業の在庫管理などに活用されています。

AIを導入・活用することで効率化できる業務

AIを導入・活用することで、さまざまな業務が効率化できます。以下にAIが活用される主な業務分野を紹介します。

AIが活用できる業務①:問い合わせ対応業務

AIを導入することで、カスタマーセンターやヘルプデスクなどでの問い合わせ対応が効率化されます。例えば、チャットボット活用による自動応答で、無理のない24時間対応や人的コスト削減ができます。音声認識技術を活用した電話応答も可能で、質問に迅速に対応することで顧客満足度の向上にもつながります。

AIが活用できる業務②:営業業務

セールス活動において、リードスコアリングという潜在顧客の評価にAIが活用され、営業担当者が効率よくアプローチできるようになります。顧客の購買履歴や行動データを分析し、適切なタイミングでのアプローチを営業担当者に促し、営業効率が向上して成果を最大化できるでしょう。

AIが活用できる業務③:人事業務

人事業務においてもAIは重要な役割を果たしています。採用では、履歴書のスクリーニングや面接スケジュールの調整などをAIで効率化できます。従業員の離職リスクを予測するモデルもAIで作成可能です。AIが人事業務をサポートすることで、人事担当者は戦略的な人材管理に集中できます。

AIが活用できる業務④:物流業務

物流業界では、AIを活用して在庫管理やルート最適化、配送スケジュールの最適化を行っています。センサーデータを解析してトラックの故障を予測する技術もあります。AIの導入により、物流のプロセスが効率化され、コスト削減とサービス品質の向上が期待されています。

AIが活用できる業務⑤:製造業務

製造業でもAIは欠かせません。品質管理や生産工程の最適化にAIを活用しています。品質管理では、画像認識技術を用いた不良品検出や音声認識技術を用いた異音検知があります。生産ラインの最適な設定もAIがサポートしてくれるため、製造プロセスが効率化され、生産性が向上します。

AIが活用できる業務⑥:設備保守業務

AIの画像解析を活用して設備の老朽化点検や外観劣化の点検が可能です。専門家の目視チェックが必要な点検業務を自動化し、保守作業を効率的に実施できます。設備のトラブルを未然に防ぐためにもAIの活用は有効です。

ビジネスにおけるAIの導入・活用事例とその効果

AIを導入した具体的な事例を紹介します。

活用事例①:お客様とのマッチングAIシステム(東急リバブル株式会社)

導入企業名東急リバブル株式会社
事業内容不動産仲介業(売買仲介および賃貸仲介)
不動産販売業(新築マンションの分譲・リノベーション事業等)
不動産販売受託業(新築マンション・建売等の販売代理)
従業員数3,863名(連結3,977名)(2023年9月末)現在
AI導入前の課題・オフィス・店舗賃貸仲介事業の売上拡大に伴い、営業社員数が1~2年の間で二倍に増加しており、新しく配属された営業社員の早期立ち上げが急務だった。
AI導入成果・ウェルヴィル株式会社と共同で、新築マンションの販売現場で営業担当者に代わり顧客と会話しながら物件説明できるAIアバターを開発。このAIアバターは、物件情報(交通、周辺環境、構造・設備仕様、間取り等)の説明を、対話をしながら進めると同時に、お客様の質問や要望にも回答し、初期段階の接客を行う。
・2022年からマンションの取引価格の査定業務に人工知能(AI)を導入。過去の成約事例から査定したい物件と条件が似たものを選び、査定額を算出する作業を自動化。これにより、営業担当者が査定業務にあてる年間約1万5000時間の削減を見込み、業務の効率化や営業活動の強化につながった。
参照:https://www.livable.co.jp/corp/release/2021/20210331.html

東急リバブルは投資用マンションの提案において、お客様とのマッチングAIシステムを利用しています。同社が保有するデータから予測モデルを作成し、事前検証した結果、営業経験5年以上の担当者が行う物件選定と遜色ないレベルを実現しています。これによって、物件紹介の工程は自動化し、購入前のコンサルティングに注力できるようになりました。

活用事例②:販売数予測にAIを活用(グッデイ)

導入企業名株式会社グッデイ
事業内容ホームセンターグッデイの経営
ファブラボ太宰府の運営
従業員数1,500名(うち正社員600名)
AI導入前の課題発注業務の問題:商品取扱数が8万点にのぼる中、発注業務では在庫数と過去の販売データを照らし合わせていたが、在庫に過不足が発生し、商機を逃してしまう場面もあった。
仕入れ業務の問題:園芸商品となる様々な植物の仕入れ業務では、バイイングを担当する3名の社員がそれぞれ仕入先に出向き、肉眼での評価(S, A, B,C)をもとに花の選定、買い付けを行っていた。しかし、この方法では、社員がその都度仕入先を訪れる必要があり非効率であること、また、園芸に精通したものでなければ担当できない業務でかつ、ベテラン社員の3人の評価にもバラつきがあることが課題とされていた。
AI導入成果発注業務の最適化:「MAGELLAN BLOCKS」を使い、商品の売上数を予測する学習モデルを作成。実際に「園芸用殺虫剤の過去3年分の販売実績データや気象データを学習させたところ、402個の予測結果に対して、413の実売と、およそ98%の精度が得られた」という結果。
仕入れ業務の効率化:「MAGELLAN BLOCKS」で、仕入先から送られてくる画像をAIで自動的にランク付けする仕組みを実現。これにより、統一した基準を設け、園芸に関する専門知識を持たない社員も仕入れ業務を担うことが可能となり、現地訪問の必要性がなくなり、業務効率も向上
参照:https://www.magellanic-clouds.com/blocks/customers/gooday/

九州北部を中心に65店舗のホームセンターを展開するグッデイは、販売数予測にAIを活用しています。過去の販売実績や在庫数データ、気象などの条件を学習して販売数を予測し、98%の精度を出した例もあります。

活用事例③:

導入企業名アステラス製薬株式会社(Astellas Pharma Inc.)
事業内容医薬品の製造・販売および輸出入
従業員数14,484名 (2023年3月期末時点、連結ベース)
AI導入前の課題・医薬品の研究開発にかかる期間は10年から20年、その成功確率は3万分の1と言われている。
・病気の原因となる標的分子に結合しやすい化合物(ヒット化合物)を、医薬品としての適性を高めた化合物(医薬品候補化合物)とするまでには、多大な時間とコストを要していた。
・iPS細胞は非常に扱いが難しく、細胞を培養・分化させるためには熟練した研究者の手技や、経験に基づく判断力が必要だった。
AI導入成果「人×AI×ロボットを統合した“Human-in-the-Loop”型の医薬品創製プラットフォーム」を構築し、ヒット化合物から医薬品候補化合物取得までの期間を、従来に比べて最短で約 70% 短縮
・従来は最短で1年かかっていた業務がAIを活用し1週間程度に短縮できる可能性がある。
基礎研究部分を従来の2~3年から1年に短縮
参照:https://www.astellas.com/jp/stories/aia-japan

アステラス製薬は、新薬開発の臨床試験データ解析や化合物特性予測ににAIを利用しています。自動合成・自動生物学実験にもAIを活用し、検証サイクルで精度を上げています。このようなプロセスの自動化により、一部の作業で最大9割の時間を削減できました。

日本におけるAIの導入状況

日本企業では生産性アップや労働人口の減少に備えて、ここ数年でAIの導入が急速に進んでいます。しかし、国際的にみれば日本のAI導入率はまだまだ低いので、AIの発展とともに今後さらに導入が加速していくでしょう。以下で日本企業におけるAI導入について具体的に解説します。

日本企業におけるAIの導入率

日本企業のAI導入率は大手企業を中心に年々増加しており、AI技術の発展とコストの低減が導入を後押ししています。

しかし、日本のAI導入率は、中国やアメリカ、欧州の主要国に比べて低いとされています。ある調査では、米国のAI導入企業が70%以上であるのに対し、日本は半数程度となっています。日本では企業内外のさまざまなデータを収集・分析できている企業が少ないことがAIの導入遅れの原因のひとつのようです。

参照:PVC

日本企業でAIを導入する目的

日本は2025年に人口比のボリュームゾーンである団塊の世代すべてが後期高齢者(75歳以上)となり、国民の5人に1人が後期高齢者となります。また、2040年には第二のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代が65歳以上に突入し、労働人口が急減する可能性があります。

このようなフェーズを迎えても事業を存続・躍進させるには、AIの導入は欠かせないといっていいでしょう。代替可能な業務はAIやロボットにまかせ、人間はコアな業務に集中する必要があります。

参照:M&Aマガジン

日本企業でのAI導入による業務改善効果

AIやIoTシステムの導入で効果を実感した企業は8割にのぼるという結果もあります。導入で見込める効果や運用方法がわからずAI未導入の企業はまだあるようですが、一度導入したら少なからず改善効果は現れているようです。

日本企業では、まずは既存の事業や業務の効率化・改善という点でAIが利用されることが多いようですが、今後は顧客サービスの向上などさらに事業を成長させるためにAIが活用されそうです。

参照:総務省

生成AIの登場

生成AIは「ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、学習したデータから新たなデータを生み出すことができるAIです。AIが自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」を用いてつくられています。生成AIには、以下のような特徴があります。

生成AIのメリット

生成AIは、多くの分野で効果を発揮しています。例えば、文章生成やデザイン、音楽作成などがあります。これにより、生産性が向上し、クリエイティブなタスクに新たな可能性をもたらします。

また、生成AIは大量のデータからパターンを抽出し、予測モデルを構築する際にも活用されています。ビジネスや科学の分野でより的確な意思決定が可能となり、新たな知見を得ることもできます。

生成AIのデメリット

一方で、生成AIはデメリットも持ち合わせています。学習データに依存するため、品質のバラつきがあり、監視と適切な調整が必要です。

また、生成AIは情報の真偽を判断する精度が高くありません。そのため、偽情報を元にコンテンツを生成してしまうことや、差別的なコンテンツを生成してしまう可能性もあります。倫理的な観点からも注意が必要です。

生成AIは本物のようなテキストや画像を生成できるため、詐欺やなりすましといった悪用のリスクがあります。これは生成AI自体というより、AIを利用する側のモラルの問題ですが、注意する必要があります。

生成AIのビジネスでの活用事例

生成AIは、ビジネス分野で革新的な活用が進んでいます。以下に、具体的な生成AIのビジネス事例をいくつか紹介します。

活用事例①:AIによるカスタマーサポート(JR西日本)

導入企業名西日本旅客鉄道株式会社
West Japan Railway Company
事業内容運輸業/流通業/不動産業/その他
従業員数44,897人(連結)、21,727人(単体)
AI導入前の課題・効率的な連絡手段や外国からのお客さまへの案内強化が求められていた。
・紙製マニュアル・規定類の簡素化が必要だった。
・テレワーク拡大やDX(デジタルトランスフォーメーション)進展に伴う脆弱性の拡大と、攻撃の巧妙化、脅威の増大に対し、情報セキュリティ対策が経営課題。
AI導入成果・「Work Smile Project」という働き方改革プロジェクトを推進し、生成AIを活用した働き方改革に取り組んだ。
・各種業務を遂行する際のパートナーとして社内向けチャットボットを使い、社員の業務効率化にとどまらず、業務品質の向上により新たな価値創出を図った。
・社内の累計コスト削減 : 約2.5億円/年
・ソリューションの外部販売 : 受注件数15件
・生成AIによる働き方改革への挑戦により、SDGs の17のゴールのうち、特に 4番、8番、9番に貢献。
・「画像解析AI技術」を応用し、「AI検品ソリューション」を開発。その結果、「目視検査数の90%削減」「作業時間の年間約1,000時間削減」という成果を見込める。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000047565.html

JR西日本は、生成AIを利用して顧客対応業務を半自動化しています。1日あたり6,000件もの問い合わせ対応は課題でしたが、回答草案をAIが生成することで、迅速かつ熟練度に関わらず質の高い対応が可能となりました。また、担当者の割当て・関連部署への報告など一連の作業もAIがサポートしており、業務効率化が実現しています。

活用事例②:文書の自動生成(トムソン・ロイター社)

導入企業名トムソン・ロイター株式会社
事業内容法律、税務・会計、コンプライアンス、政府およびメディア市場におけるプロの皆様が重要な意思決定を行うサポート
従業員数25,800名
AI導入前の課題・「予算確保」
・「導入後の運用検討」
・「社内調整」
・精度を落とさずにAIモデルのパラメーター数を大幅に減らす
AI導入成果・AIを活用して膨大な量のクリーンデータを集約し、これまで以上に迅速にインサイトを生成することで、戦略的な意思決定とイノベーションを推進。
・業界が直面する主な課題だけでなく、実際のAIのロードマップ、実験、戦略、そしてそれらがビジネスやクライアントサービスにどのような影響を与えたかを紹介。
参照:https://blogs.nvidia.com/blog/thomson-reuters/?ref=generatived.com

トムソン・ロイター社は、生成AIを活用した法的文書や税務・会計にかかる書類作成の自動化による、法律実務の効率化を発表しています。本事例のように、AIはより専門的で正確さを求められる文書も手掛けていくようになるでしょう。

文書の自動作成としては、他にもマーケティング分野でコピーライティング生成などに活用されています。生成AIにより、商品特徴やターゲットを分析して最適なキャッチコピーを生成することが可能です。

活用事例③:画像の自動生成(サイバーエージェント)

導入企業名株式会社サイバーエージェント
CyberAgent, Inc.
事業内容メディア事業
インターネット広告事業
ゲーム事業
投資育成事業
従業員数7,251名
AI導入前の課題・「予算確保」
・「導入後の運用検討」
・「社内調整」
・「AI人材不足」
AI導入成果・生成AIを活用した広告制作で効果を出し、高い増収率を継続。
・AIを活用した広告制作や各プロダクト、サービスにおいて、顧客やユーザーの満足度向上、サービス向上へ役立てている。
・生成AIを活用したプロダクトの開発、独自の日本語LLM(大規模言語モデル)の公開など積極的な生成AIの導入を進める一方、培ってきた生成AIの技術を全社的に展開し、新たなビジネスモデルの構築や、社員の生産性向上にも注力。
参照:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29572

画像の自動生成もAIがが解決します。インターネット広告が主流の時代になり、広告効果を最大化するために多くのABテスト用クリエイティブ画像の用意が必須となり、セットやロケーションのコストがかさむことが課題でした。

しかし、生成AIを利用すると、ガラス容器などの難しい素材でも透けて見える風景や光の具合も自然に表現することができるようになり、多くの高品質なクリエイティブを素早く安価に準備することが可能となりました。

活用事例④:AIによる製品・インフラの設計、研究開発(現代自動車)

導入企業名Hyundai Mobility Japan 株式会社
(Hyundai Mobility Japan Co.,Ltd.)
事業内容自動車輸入販売
従業員数104,731名
AI導入前の課題・自動車業界全体として、人手不足や生産効率の低下などの問題。
・自動運転技術の開発には、法改正や交通インフラの整備、AIの発展、シミュレーション環境の充実など、多くの課題があった。
AI導入成果・NVIDIA DRIVE® の高性能コンピューティングを使用して、新しいヒュンダイ、起亜、ジェネシスの全モデルにインテリジェント オペレーティング システムを導入。
生産効率の予測誤差を約20%から3%に改善
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05DRU0V00C23A4000000/

製品やインフラの設計や研究開発にも生成AIは利用されています。韓国・現代自動車は新しい車の部品を効率的に作成するために、AIによる自動生成が可能なCAD(コンピューターによる設計)を利用しています。

この分野は他にもさまざまな事例があり、事業によっては設計時間を最大90%短縮、原材料の使用量を95%以上削減できるといった効果が実現できています。

まとめ:ビジネスでAIを活用し、業務の効率化を進めよう!

AIの導入と業務効率化についてさまざまな観点で見てきました。多くの企業で少なくとも部分的には導入が進んでいるのが現状で、未導入でも現在計画を進めているところが多いでしょう。

AIは中心事業のみだけではなく、バックオフィス業務、人事・IRなどさまざまな業務で活用が可能です。自社での課題や今後さらに伸ばしたいポイントを洗い出し、AIを取り入れることで業務の効率化ができないかを振り返ってみてはいかがでしょうか。