RPAとOCRの違いとは?連携のメリットや活用事例まで詳しく解説!

AI活用

RPAとOCRは近年のビジネスシーンで注目される技術となっています。

特に、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を目指す企業にとって、これらの技術は欠かせないものとなっています。

この記事では、RPAとOCRの違い、連携するメリット、活用事例を分かりやすく解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

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RPAとOCRとは?それぞれの主な機能と役割

RPAとはホワイトカラー業務の自動化ツール

RPA(Robotic Process Automation)は、繰り返しの業務を自動化する技術で、ソフトウェアロボットが人間の代わりに繰り返しの単純作業を実行します

専門的なプログラミングスキルは不要で、既存のコンピュータシステムと連携して動作するため、新しいシステムの導入は不要です。

RPAを使用することで自動化できる業務には、例として次のようなものがあります。

  • 業務の効率化
  • ミスの削減
  • データの自動入力や転送
  • レポートの自動生成

これらの業務を自動化することにより、人はもっと重要な仕事に集中できるようになり、コストの削減人的ミスの削減にもつながります。

おすすめのRPAツールを紹介した記事も公開していますので、こちらも是非ご覧ください。

OCRとは画像データのテキストデータ化ツール

OCR(Optical Character Recognition)は、画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能です。

紙の書類をスキャナーで読み込み、読み込んだデータの文字を認識してデジタルテキスト化することができます。

OCRを活用することにより、文字起こしに要する時間を削減できることから、幅広く活用されている技術となっています。

RPAとOCRの違いとは

RPAとOCRは、それぞれ業務の効率化を図る技術として注目を集めていますが、その機能と目的には大きな違いがあります。

RPAは、人間の代わりに定型的な業務を自動化するソフトウェアロボットのことを指します。これにより、人手をかけずにデータ入力やファイルの移動などの単純作業を効率的に行うことができます。

一方でOCRは、紙や画像上の文字を読み取り、編集可能なテキストデータに変換する技術です。これにより、紙の文書をデジタル化し、検索や編集が容易になります。

このように、RPAとOCRは使用する場面が明確に異なります。

しかし、RPAとOCRを組み合わせることにより、紙の文書をデジタル化し、そのデータの入力作業を自動化するなど、大きく業務改善・効率化を進めることができます。

OCRの進化系「AI-OCR」とは

AI-OCRは、OCRにAI技術を組み合わせたものです。

AI-OCRは従来のOCRの弱点であった識字率を、AIの深層学習(ディープラーニング)により文字の補正結果の学習をすることで向上させました。

結果、AI-OCRは元のOCRよりもさらに高精度な文字認識が可能となっています。

以前は手書きの文字を中心に文字認識の精度が低い場合もありましたが、現在は人間が文字を読み取るのと遜色ない程度まで精度が向上しています

また、AI-OCRには他にも

  • フォーマットが異なる帳票にも対応可能
  • RPAとの連携が可能であり、より作業を効率化できる

などのメリットがあります。

OCRと比較してコストはかかりますが、その分活用できる場面や精度が高いため、OCRよりもAI-OCRの導入をおすすめします。

AI-OCRの種類・タイプ

では、AI-OCRにはどのようなタイプがあるのでしょうか。

ここでは、AI-OCRが対応できるフォーマットの違いや、主に読み取る書類の違いという2点で分けてご紹介します。

AI-OCRが対応できるフォーマットの違い

AI-OCRが対応するフォーマットには、定型フォーマット非定型フォーマットという2つの種類があります。

定型フォーマットは、事前に読み取る書類のフォーマットの定義がされているため、書類の読み取り精度が高いのが特徴です。反面、ユーザー側でフォーマットを定義する必要があり、定義に時間がかかるというデメリットもあります。

一方、非定型フォーマットは、フォーマットが事前に指定されておらず、新しいフォーマットでも読み取り可能なタイプです。ユーザー側でのフォーマット定義が必要なく、事前準備に時間がかからない反面、読み取りたい部分とは異なる部分を読み取ってしまうなど、読み取り精度が定型フォーマットに比べ劣るケースもあります。

メリットデメリット
定型フォーマット・書類の読み取り精度が高い・事前にユーザー側でのフォーマットの定義が必要
・フォーマットの定義に時間がかかる場合がある
非定型フォーマット・ユーザー側でのフォーマットの定義は不要・定型フォーマットと比べ読み取り精度が劣るケースあり

AI-OCRが読み取る書類の種類の違い

AI-OCRが読み取る書類には、汎用型業務特化型の2つの種類があります。

汎用型の場合、特定の書類や帳票に関わらず、あらゆる書類に対応が可能です。業務特化型と比較して対応している範囲が広い反面、AIの学習やフォーマット指定に時間を要するケースもあります。

一方、業務特化型の場合、特定の業務に関してベンダーから事前にフォーマットを学習させていて、該当する業務で使用する書類の場合は高精度で読み取れるのが特徴です。反面、対応していない業務や書類の読み取りはできないというデメリットもあります。

メリットデメリット
汎用型・あらゆる書類に対応可能・AIの学習やフォーマット指定に時間がかかるケースもある
業務特化型・特定のフォーマットであれば高精度な読み取りができる・特定のフォーマット以外には対応できない

RPAとAI-OCRを組み合わせるとできること5選

では、RPAとAI-OCRを連携させると何ができるでしょうか。

ここでは、RPAとAI-OCRを連携すると実現できる業務効率化の例をいくつかご紹介します。

RPAとAI-OCRを連携した業務改善例①:経理処理の自動化

月初や月末、年度末といった時期になると経理部門には多くの請求書や経費処理などのタスクが発生し、これらの書類を目視で確認して表計算ソフトに入力する必要があります。

そのため、経理担当の社員が連日残業して対応するというケースが見られます。

ここで、AI-OCRを使ってあらゆる帳票や請求書を読み取ってテキストデータ化し、RPAを使ってデータ化した情報を表計算ソフトに入力していくことで、大幅な業務効率の改善や残業時間の削減といった効果が見込めます。

RPAとAI-OCRを連携した業務改善例②:勤怠登録の自動化

勤怠情報は複数のフォーマット上に記録された情報を読み取り、入力することが求められることから、非常に多くの人手や時間を必要とします。

しかし、ここでAI-OCRを用いて勤怠情報をテキストデータ化し、RPAで給与管理システムへの入力を行うことで、大幅な業務効率化が見込めます。

勤怠情報は手書きというケースも見られますが、AI-OCRであれば手書きの文字の識別精度も高いため、問題なく業務をこなすことができるでしょう。

RPAとAI-OCRを連携した業務改善例③:在庫管理業務の自動化

主に小売業界で重要な在庫管理ですが、納品書の商品名や数量などの情報をAI-OCRでテキストデータ化し、RPAで在庫管理システムへの入力を行うことで、大幅な業務効率化が可能です。

特に在庫管理においてはリアルタイムな数値が求められますが、これらのツールを駆使して自動化することで、人が手動で管理するよりも効率的に数値を管理することができます。

また、在庫管理を効率化することにより、営業やマーケティングにも力を入れやすくなるでしょう。

RPAとAI-OCRを連携した業務改善例④:発注書や契約書の処理の自動化

日々大量の発注書や契約書の処理に追われる企業や現場も多くあります。

このようなケースでも、発注書や契約書をAI-OCRでテキストデータ化し、RPAで管理システムに自動で登録することにより、業務時間の削減や受注から納品までのスピードを早めることができます。

その結果、手が空くことで人は他のコア業務に集中することができるようになり、業務効率の改善が進められます。

RPAとAI-OCRを連携した業務改善例⑤:ダイレクトメール用のデータの入力作業の自動化

営業活動の一環としてダイレクトメールを配信するという企業は多いですが、ダイレクトメール送付のための情報を人の手で入力する場合、膨大な時間がかかります。

そこで、ダイレクトメール送信に必要な情報が載った書類をOCRでテキストデータ化し、RPAでシステムへの自動入力を行うことで、必要な情報を自動でデータベース化することができます。

これにより、手動でデータの入力作業をする場合と比べて大幅な業務改善が進められます。

RPAとAI-OCRを連携した業務改善例⑥:名刺や手書き資料のデジタル化

主に営業部門の社員にとって、名刺の管理も時間を要する作業であり、手作業でデータベース化すると多くの時間を必要とする場合があります。

そこで、AI-OCRで名刺に記載された情報をテキストデータ化し、RPAでデータベース化することにより、作業時間を短縮することができます。

AI-OCRの場合、手書きの文字の読み取り精度も高いため、手書き資料のデータベース化も短時間で行うことができます。

RPAとAI-OCRの活用・導入事例

では、実際にRPAとAI-OCRを組み合わせて導入した事例をいくつか見ていきましょう。

RPAとAI-OCRの導入事例①:自治体における申請書類の処理の効率化

神奈川県横浜市では、NTTデータ社が提供するRPAツールとAI-OCRツールを組み合わせて導入することにより、年間30,000件以上の申請書類の処理を効率化させることに成功しました。

ピーク時には100人もの動員が必要であった申請書の処理業務でしたが、この効率化により、月あたりのべ500時間の残業の削減を達成しています。

出典:横浜市 | 保育園・幼稚園の給付認定・利用申請書処理にWinActorとAI-OCR「AI inside Cube」を導入「自治体業務システム標準化」に向けた意識変革進む

RPAとAI-OCRの導入事例②:不動産会社における書類転記・投入業務の効率化

不動産業を手がける株式会社ジェイエーアメニティハウスでは、NTT東日本社が提供するAI-OCRツールとRPAツールを導入することにより、1件あたり1分30秒以上かかっていた申込書投入業務時間が半減するといった効果がありました。

また、このAI-OCRツールにおける識字率は94.73%であり、高い精度でテキストデータ化ができていたことが伺えます。

出典:賃貸管理書類の転記・投入業務の効率化|AIよみと〜る

まとめ:RPAとOCRを組み合わせて業務改善を進めよう!

いかがでしたでしょうか。

RPAとOCR(AI-OCR)はともに業務効率化に有効なツールですが、使用する場面は明確に異なります。

そこで、本記事で両者を連携した活用事例も含めて解説したとおり、組み合わせることにより、それぞれを単体で使用するよりも大きく業務効率化を進められます。

この記事がRPAやOCRを活用した業務効率化の一助となれば幸いです。

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