私たちの生活に欠かせないスマートフォンが、AI（人工知能）の力を借りて、さらに賢く、便利に進化しようとしています。
この記事では、AIがどのようにスマートフォンの可能性を広げ、日常生活を革新するかを紹介します。AI搭載スマホがもたらす新しい機能から、生活を豊かにするAI活用アプリまで、最先端の技術がいかにして私たちの手のひらに収まるデバイスを変えていくのかを探りましょう。
AI×スマートフォンの歴史
現在は当たり前のように存在しているAI搭載スマートフォンですが、その技術は長い道のりの中で発展してきました。
最初のステップは、音声認識と自然言語処理の分野でした。これにより、スマートフォンはユーザーの声を理解し、テキストメッセージを生成できるようになりました。しかし、これはまだAIの初歩的な段階であり、限られた用途にしか使用できませんでした。
次に、機械学習とディープラーニングの台頭がありました。これにより、スマートフォンは画像認識、自動翻訳、およびパーソナライズされた結果を出すことができるようになりました。AIは、ユーザーの行動パターンを学習し、それに基づいてアプリケーションを最適化する能力を持つようになりました。
そして、AIチップの登場がスマートフォンの進化を加速させました。これにより、AIタスクを効率的に実行できるようになり、バッテリー寿命を向上させました。AI搭載スマートフォンは、写真の撮影、音声アシスタント、セキュリティ機能など、さまざまな領域で優れたパフォーマンスを発揮しています。
今後は、膨大な情報を処理できる量子コンピューティングや端末サイドで即座に処理ができるエッジコンピューティングなど、さらなる技術がAI搭載スマートフォンの未来を変革することでしょう。
AI機能が搭載された最新の携帯電話
AI機能が搭載された携帯電話は、主に３つのAI技術を備えています。カメラ、音声アシスタント、顔認証システムです。以下でそれぞれ解説します。
①最先端のAIカメラ技術
「AI搭載カメラ」はディープラーニングなどの技術を活用して映像の分析をおこなうカメラです。従来のカメラではできなかった画像・映像の認識や、その中から対象物を認識して情報を取り出すといったことが可能です。写真撮影を効率的におこない、成果物としての写真を高品質に仕上げることが可能となりました。また、画像を認識して読み取ることによって、写真を撮る目的以外にも活用されるようになりました。
前者の例としては、暗い環境で夜景モードに自動で切り替えたり、人物を認識して自動で広角にしたりピントを合わせたりといったことが可能です。動いている被写体を認識してピンボケを防止したり、手ブレを補正して滑らかな映像の撮影もできます。また、撮影した写真の色調やコントラストの調整も自動でおこない、プロが手掛けたようなような写真に仕上げてくれます。
後者は、料理の写真から栄養素を算出したり、動植物の画像から図鑑を呼び出したりと、検索としての機能や新たなサービスを創出するのに役立ちます。
②音声アシスタントの進化
スマートフォンの「音声アシスタント」もAI技術によって進化しています。単に音声認識をするだけではなく、過去の会話や行動履歴から文脈まで読み取り、言葉の意味を解釈することが可能です。
例えば、会議の議事録にAI音声アシスタントを利用できます。発言者の声を認識しながら、前後の文脈を通じて言葉を補足しつつ議事録をとることが可能です。
また、「音声認証」にもAIは使用されます。声紋を用いて本人確認を行い、高い精度で認証できるためセキュリティを強化させます。一方でプライバシー保護の観点から、必要なデータを適切に使うことが求められるでしょう。
③顔認証システム
AIカメラは、顔認識技術により映像の中から人物の顔を認識できます。この「顔認証システム」により、スマートフォンのロックを解除したりユーザーに合わせた情報を表示することが可能です。以前は顔写真を使った認証でしたが、現在では複数の3D深度センサーと赤外線カメラを使用することでより安全性が高く素早い認証が実現できています。
なお、セキュリティ用途のみならず、近年はバーチャルメイクアップや眼鏡のバーチャル試着などにも活用されています。
AIを活用した携帯電話アプリケーション
AIはスマホ本体に搭載されるとともに、その機能を活用したアプリケーションも多く開発されています。以下が代表的な３つの例です。
①チャットボットと音声認識
「AI搭載のチャットボット」は、ユーザーとの対話を自動化します。これはカスタマーサポートはじめ情報提供アプリなどさまざまな用途で活用されています。
例えば、NECが開発する音声チャットボットは自然な表現で高精度かつ素早く回答をしてくれます。多言語に対応もしており、スマホに搭載されていることで、国・地域を問わずコミュニケーションをとることが可能です。
また、音声認識はアプリにも応用されています。例えば、英会話アプリなどに応用が可能で、AIが発音や文法を分析し、ユーザーの英語レベルに合わせたカリキュラムを提案してくれるといったサービスがあります。
②画像認識技術
AIカメラによる「画像認識アプリケーション」は大きく分けて２つあります。
ひとつは、Googleレンズに代表されるような検索アプリケーションです。特定の種類のもの、例えば魚や花などの種類を判別する図鑑アプリも多く存在しています。
もうひとつは、美容系アプリケーションです。自撮り写真の環境で最適化しつつ、写真の補正や加工を自動で認識しておこなってくれます。他にも、顔認証を利用したメイクアップシミュレーションなどのサービスも提供されています。
③健康管理アプリ
AIを活用できるアプリケーションのひとつとして、「健康管理アプリ」もあります。
ユーザーの健康状態をモニタリングし、適切なアドバイスを提供してくれます。ひとりひとりの状態や悩みにあわせて運動やダイエット方法を提案してくれるので、専属のパーソナルトレーナーのように使うことが可能です。
画像認識技術と組み合わせて、食事の写真から自動でカロリー計算をおこなってくれるアプリもあります。健康になるための方法を手軽にためすことが可能です。
まとめ：携帯電話におけるAIの未来
昨年はGoogleがスマホ「Google Pixel 8 Pro」に生成AI「Gemini Nano」を実装したことが話題になりました。2024年はサムスン電子のスマホ「Galaxy」への搭載も予定されており、AppleもiOSのアップデートで生成AI機能を搭載する計画です。昨今ハイスピードで進化をしているAIは、多くの驚くべき機能を提供しています。次は生成AI搭載がスマートフォンのデフォルトになっていくことでしょう。
携帯電話におけるAIの未来は、技術の進化が自動化・効率化・パーソナライズされた体験をもたらす一方で、セキュリティとプライバシーの向上にも寄与します。ユーザーと社会にとって、便益と経済成長をもたらすでしょう。今後はAIチップの高速化や省電力化も期待されており、AI技術はさらに携帯電話を使う私たちの生活をより便利で豊かにするでしょう。
