中小企業や小規模事業者等にはキャッシュフローに余裕のない場合も多く、業務改善・効率化のためにAI開発を受託開発会社に依頼したいと考えていても、なかなか手を出せないケースも多いかと思います。
この記事ではそのような方に向け、AI開発を受託開発会社に依頼する際に使える補助金や申請する上での注意点について解説しています。
AIを活用し、事業の拡大や生産性の向上を目指す方は、ぜひ最後までご覧ください。
AI開発に使える補助金5選と補助金対象となる企業・組織
事業の拡大・効率化・生産性の向上を進めたい企業にとって、AIは非常に有効なツールとなります。しかし、導入コストが高い場合も多いのが実情です。
そのような状況の中、中小企業や小規模事業者等向けの補助金がいくつも用意されています。
AIツール導入のハードルを少しでも下げるため、ぜひ参考にしてください。
補助金①:IT導入補助金
中小企業や小規模事業者等は、業務効率化や売上アップを図るためにIT導入補助金を活用することができます。この補助金は、中小機構から提供されており、ITツールの導入にかかる経費の一部を補助することを目的としています。
IT導入補助金の対象となるのは、資本金・常勤の従業員数が規定以下の中小企業等で、最大で450万円までの補助金を受けられる場合があります。ただし、一部補助金の対象外となる企業・組織があったり、事業目的や経費によって補助金額は異なるため、詳しくはIT導入支援事業のページをご確認ください。
補助金②:小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃金引上げ、インボイス導入等)に対応するため、経営計画を作成し、それらに基づいて行う販路開拓の取組み等の経費の一部を補助するものです。
この補助金は、商工会議所や商工会の会員・非会員を問わず申請することができたり、スモールビジネス事業者であっても支援を受けやすく、幅広い経費を対象としている点が大きな特徴として挙げられます。
補助金の上限は用途や申請条件によって異なるものの、50万円から200万円となっており、初めて事業を行う方や初めて補助金を申請する方でも申請しやすい補助金であると言えます。
スモールビジネス事業者でAIを活用してみたいと考えている方など、気になる方は一度申請を検討してみるといいでしょう。
補助金③:ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者等が革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するための補助金です。
ものづくり補助金には3つの事業類型があり、それぞれ対象となる事業目的や補助金額は異なりますが、補助上限は1,000万円から3,000万円となっています。
また、ものづくり補助金の対象となるのは製造業のみならず、その他多くの業種でも活用することが可能であり、大きな出費となることが多い設備投資にかかるコストを抑えることができる点が魅力です。
中小企業や小規模事業者等を経営・運営する方で、AIツールなどをはじめ設備投資をしたいと考えている方はぜひ申請してみましょう。
補助金④:事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新型コロナの影響の長期化による需要や売り上げの低迷やそこからの回復に向け、中小企業等の事業再構築を支援するための補助金です。
事業再構築補助金申請の要件としては、大まかには売上が減っていること、事業の再構築に取り組むこと、事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けることなどが定められています。
この補助金の対象者は多く、中小企業はもちろん資本金10億円未満の中堅企業と呼ばれる企業も対象で、4つの事業類型があり、それぞれ補助上限が異なりますが、中小企業・中堅企業ともに最大1億円の補助を受けられる場合があります。
新型コロナからの回復や更なる飛躍のため、AIなどを活用して事業を再度構築・成長させたいと考えている事業主の方は、ぜひ事業再構築補助金を申請してみましょう。
補助金⑤:業務改善助成金
業務改善助成金は、生産性向上にまつわる設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する助成金です。
この助成金の要件は、中小企業・小規模事業者であること、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること、解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないことの3つで、助成上限額は事業場内最低賃金と事業場規模によって異なりますが、最大で600万円となっています。
いくつかの要件はありますが、多くの中小企業にとって難しい課題とも言える賃金の引き上げに取り組むための制度となっているため、AIなどを活用した生産性向上とセットで取り組みたいと考えている事業主の方にはおすすめの助成金となっています。
AI導入に補助金を活用するメリット
補助金を活用することで、AI導入費用の軽減と技術導入に伴うリスク軽減が可能になります。企業競争力強化と新たなビジネス機会の創出が期待できます。
ここでは、AI導入に補助金を活用するメリットをご紹介します。
AI導入補助金のメリット①:コスト削減が可能
AIの導入に補助金を活用することで、企業は高額な導入コストの一部をカバーできます。AIツールやシステムの導入にかかる費用や、専門家やコンサルタントの費用に補助金が活用され、企業の支出を軽減できます。
これにより、AIの導入によるコスト負担が軽減され、資金を節約することが可能です。また、コスト削減は利益率の向上にもつながり、企業の持続可能な成長を支援します。
例えば、小売業ではAIを利用した需要予測システムの導入により、在庫の最適化やロジスティクスの効率化が可能になります。これにより、在庫コストの削減や物流コストの最適化が図れます。
また、製造業ではAIを活用した予知保全システムに投資することで、設備の故障を未然に防ぎ、修理コストや生産停止時間を削減できます。
AI導入補助金のメリット②:新規事業立ち上げや事業転換が容易になる
AI導入に関連する補助金を利用することで、新しい事業分野への進出や既存事業の転換がスムーズになります。補助金の支援を受けることで、AI技術を活用した新たなビジネスモデルの構築や業務プロセスの変革が、経済的負担を抑えつつ推進できます。
これにより、企業は柔軟性を持って市場の変化に適応できるようになり、競争力を維持・強化が可能になるでしょう。
AIを活用した顧客の行動分析や予測モデルの構築により、新たな市場のニーズやトレンドを把握しやすくなります。これにより、新規ビジネス領域の発見や、既存事業の効率化が可能となります。
例えば、フードデリバリーサービスはAIを利用して配達ルートを最適化し、配達時間を短縮することでサービスの改善を図れます。
AI導入補助金のメリット③:AI導入が容易になり、生産性向上につながる
補助金を活用することで、AIの導入がより手軽になります。AIテクノロジーを活用したソフトウェアやシステムを導入するための費用が助成されるため、企業は技術的な障壁を乗り越えやすくなります。
AIの導入によって生産性が向上し、作業の効率化や自動化が実現され、企業の競争力が強化されます。これにより、従業員の生産性向上やリソースの効率的な活用がもたらされ、企業が持続的な成長を達成する手助けとなります。
例えば、製造業でAIを活用して生産ラインのデータ解析や品質管理を行い、生産プロセスの改善を促進できるでしょう。自動車産業ではAIを用いた品質管理システムを導入し、不良品の削減や生産効率の向上を図れます。
AI開発補助金の採択事例は?
東京都の品川区にある企業が働き方改革推進補助金を申請しました。この補助金は、企業が働き方改革や業務改善にAIを活用することを支援します。この企業は、AIを導入することで業務プロセスの効率化や生産性向上を目指していました。
申請に際しては、AIを活用した業務改善プロジェクトの計画書を提出し、補助金を得るための申請手続きを行いました。この計画書では、AIを導入することで業務プロセスを改善し、効率化を図り、従業員の働きやすさや生産性を向上させる方針が示されていました。
その結果、東京都の採択委員会によって、この企業のプロジェクトが採択されました。採択されたことで、企業はAI開発補助金を受け取ることができ、AIを活用した業務改善に向けた費用の一部を助成されることになりました。
また、この企業は別途、ものづくり補助金も活用して製造プロセスの改善に取り組んでいます。これにより、AI技術を活用した業務改善が推進され、企業の競争力強化や働き方の改革が進むことが期待されています。
AI開発補助金の採択率を上げるためのコツとは?
採択率を上げるためには、詳細な申請書、専門家の支援、成功事例の活用がカギとなります。
以下、詳しく解説します。
補助金の採択率を上げるコツ①:補助金の申請書類を不備なく準備する
AI開発補助金を申請する際、採択率を高めるためのコツは、申請書類を不備なく準備することが何よりも重要です。
まず、申請書類は補助金申請の肝となるものです。提出する書類は提出期限に間に合うように十分な時間を確保し、急ぎの場合でも内容や表現を丁寧に整理して記入しましょう。
内容はAI開発の計画や目的、予算、実施スケジュールなどを明確かつ具体的に記載することが重要です。また、書類の記載事項は漏れや不足がないように確認し、詳細かつ正確に記入することが求められます。
申請書類の表現も重要です。分かりやすく、専門用語を適切に使いながらも一般の方でも理解しやすいように記述することが必要になります。
この際、採択担当者が要求する情報を的確に伝えることで、審査の効率を高め、申請の採択率を向上させることができます。これにより、審査者に対してプロジェクトの魅力や必要性を的確に伝え、採択率を高めることができます。
補助金の採択率を上げるコツ②:同業他社での採択成功・失敗例を調べておく
AI開発補助金の採択率を高めるため2つ目のコツは、「同業他社での採択成功・失敗事例を調べておくこと」です。
同業他社の採択成功や失敗の事例を調査することは、有益な情報を収集する手段です。成功した事例では、どのようなプロジェクトが採択されたか、どのようなポイントが評価されたかを把握できます。これにより、成功の鍵や採択のポイントを把握し、自社の申請書の質を向上させることができます。
また、失敗した事例も貴重な教訓となります。失敗例からは、審査基準の不足や落とされた理由、申請書の不備などを学ぶことができます。自社の申請書を見直し、同じ失敗を避けるための改善点を見つけることができるでしょう。
ポイントとして、同業他社の事例を調査する際は、具体的な情報や審査基準、申請書の内容などを重点的に把握することが重要です。成功した事例からは良い点を、失敗した事例からは反省点を学び、自社の申請書のクオリティを向上させるための示唆を得ることができます。
補助金の採択率を上げるコツ③:専門家やサポートサービスを利用する
AI開発補助金の採択率を上げるための最後のコツは、「専門家やサポートサービスを利用すること」です。
知識や経験を持つ専門家やコンサルタントは、補助金申請において有益なアドバイスやガイダンスを提供してくれます。彼らは申請プロセスや申請書の作成におけるベストプラクティスを知っており、過去の成功事例やノウハウを有しています。
また、サポートサービスを利用することで、申請書の作成やプロジェクト計画の構築において助けを受けることが可能です。これらのサービスは、補助金申請に関するアドバイスや提案、申請書の内容を検証し改善する支援を提供してくれます。
専門家やサポートサービスの利用は、申請者が正しい情報を手に入れ、適切なアドバイスを受けることができるため、採択率を上げる一助となります。彼らの専門知識と経験を活用することで、申請書の質や内容を向上させ、補助金の採択を確実に近づけることができるでしょう。
補助金・助成金制度を正しく理解し、必要に応じて適切に利用しよう
制度を正しく理解し、必要に応じて適切に利用することが重要です。補助金や支援制度は多岐にわたり、企業の成長やイノベーションを支援するための貴重な資源となり得ます。
自社の事業計画や目標に合った補助金を探し、利用することで、持続可能な成長や新たな展開を促進するチャンスとなるかもしれません。
是非、補助金についてよく知っていただき、AIをはじめとするツールの導入を契機としてビジネスをより効率的に進められることをお祈りしております。