AIは導入することで様々なメリットが得られます。しかし、開発のための費用はどうしても高くなりやすいのが問題です。
ここでは、AI開発の費用相場やコストが高くなる要因、コスト削減のポイントを分かりやすくまとめています。AI導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
AI開発の費用相場
AI開発費用相場は、40万円から100万円が一般的です。しかし、これはあくまで一般的な相場で、開発内容や依頼先の企業により費用は大きく異なってきます。
費用を左右する要因として挙げられるのが、プロジェクトの複雑さとカスタマイゼーションのレベルです。複雑なプロジェクトになるほどAIに求めるハードルも高くなり、開発にかかる費用も高くなります。会社により最適なAIは異なるので、どうしてもプロジェクトは複雑化しやすいのです。
また、顧客の要望に合わせたAI開発をおこなうことで、費用に差が出てきます。カスタマイゼーションのレベルによっては、同じようなAI開発でも費用に差が出てくるのです。
AI導入の費用対効果
AI導入を実現するには費用がかかりますが、その分、得られる効果も多々あります。AIを最大限に活かすためには、費用対効果をよく検討して、納得のいく形で導入を進めましょう。
AIを導入することの長期的なメリット
AIを導入することで、長期的に様々なメリットが得られます。AI導入による人件費の削減は代表的な例と言えるでしょう。
AIは人間とは異なり、24時間365日の業務が可能です。必要なのはAIの運用にかかる諸費用のみで、人間のように給料を払う必要はありません。AIをうまく活用すれば、人件費の大幅カットが期待できるでしょう。
AIコストは高いため、従来の人件費とのバランスをよく考えて導入する必要がありますが、人件費に悩んでいる企業はAIの導入を検討してみるのも一つの手段だと言えます。
成功事例を通じたROI(投資収益率)の実例
AIによるコスト削減をおこない、成功した事例はいくつかあります。日本を代表するさまざまな企業も、AIを導入することにより大幅な利益獲得を実現したのです。
ユニクロでは独自の買い物アシスタントAIを導入し、顧客に対応するために必要な店員を負担を軽減しました。店員の負担が減ることでその他の業務まで手が回り、結果的に人件費の削減につなげているのです。
三菱UFJ銀行では、銀行業務に生成AIを導入することで、月22時間の労働時間の削減ができるという試算を出しました。社内文章の作成をAIに任せることで、社員の負担を減らし人件費削減を狙っています。また、三菱UFJ銀行では、AIと機械学習を組み合わせた業務改革も進めています。
AI開発における主要なコスト要素
AI開発は高いコストがかかりますが、具体的にどの要素でコストが必要となるのでしょうか。
主要なコスト要素として挙げられるのが、人件費です。AI開発のために集められたチームのスキルレベルや人数に応じて、必要なコストが大きく変動します。
また、開発するシステムもコストを大きく左右する要因の一つです。ソフトウェアの場合はアプリケーションの不具合やサーバーのトラブルに対応する必要があるため、これにかかる費用が追加されますハードウェアの場合は、管理や故障の対応、データのバックアップや保存などの作業が必要となり、AI開発にかかる費用も大きくなりやすいです。
その他にもAI開発には運用コストが必要で、運用の内容によりコストに差が出てきます。どのくらいのコストが必要になるか、事前に細かく試算することが大切です。
AI開発コストが高くなる理由
AIの開発コストが高くなりがちな理由として挙げられるのが、技術的な課題と複雑性、専門知識を持つ人材の不足の2つです。
そもそも、AIを使えばどのような課題でも成功する、とは限りません。そのためにAI開発の工程には、AI化が可能か判断する「AI化可能性チェック」というものがありますが、AI開発における技術的な課題と複雑性は、コストを上げる大きな要因となってしまうのです。
また、顧客の要望に応えられる人材というのは限られています。専門知識を有し、なおかつ実現可能な技術力を持っている人材は、需要に対し供給が追い付いていない状況なのです。
今後、AIが一般的になればこれらの課題は解決する可能性もありますが、現状では短期での解決は難しい状況です。コストを抑えるためには工夫を凝らさなければなりません。
AI開発コストを削減する方法
AI開発コストを削減する方法はいくつかあります。
可能であれば、オープンソースツールとプラットフォームの活用を検討しましょう。オープンソースツールはコードの改変や再配布が自由にできるソフトウェアで、無償の利用が可能です。プラットフォームはシステムを動かすために必要な基盤で、この2つを組み合わせれば自社でツールの開発ができます。
クラウドサービスを通じてAI開発を委託するのも、一つの手段です。中には割安な費用でAI開発を請け負っているワーカーもいます。価格交渉が可能な場合もあるので、コスト削減をしたい場合はこうしたサービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
目的や完成像が明確でないと、必要以上の工程がかかりコストがアップしてしまいます。これを防ぐために、効率的なプロジェクト管理を検討しましょう。また、開発途中の仕様変更や用件変更に対応できるアジャイル開発を取り入れるのも、効果的な方法の一つです。
AI開発の委託によるコスト削減
AI開発を外部委託することで、コスト削減に成功した事例もあります。内製のAI開発は手軽なように見えますが、場合によってはコストの大幅アップにつながってしまうのです。内製でAI開発ができる環境でも、まずは外注に依頼した場合とコストの比較をしましょう。
また、外部に委託する場合、こちらの要望に応えられるかを厳しく判断する必要があります。適切な開発パートナーの選定はコスト削減に効果的です。まずは社内で明確な選定方法を決めて、適切な委託先を探しましょう。
実際のAI開発コスト削減事例
ここでは、実際のAIコスト削減事例を3つ紹介します。AI導入に迷っている方は、こちらの成功事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。
AI開発コスト削減事例①:大和証券株式会社
導入企業名 | 大和証券株式会社 |
事業内容 | 金融サービス |
従業員数 | 8954人 |
AI導入前の課題 | 資料作成の外部委託にかかる時間や費用の負担、書類作成などによる業務時間の圧迫 |
AI導入成果 | コスト削減と業務効率の向上 |
大和証券株式会社は、対話型のAI「ChatGPT」を導入し、全社員に対して利用を開始しました。AI導入により、従来かかっていたコストの削減を狙いつつ、AIに一部業務を任せることにより社員の業務効率の向上を実現しています。
AI開発コスト削減事例②:株式会社サイバーエージェント
導入企業名 | 株式会社サイバーエージェント |
事業内容 | インターネット広告事業 |
従業員数 | 5282人 |
AI導入前の課題 | デジタル広告のオペレーションにかかる作業時間の圧迫 |
AI導入成果 | 広告オペレーションの効率化、作業時間の短縮 |
株式会社サイバーエージェントでは、ChatGPTを活用し作業効率アップを目指すため、「ChatGPTオペレーション変革室」を新たに設立しました。広告オペレーションを自動化させることで、総作業時間の約30%にあたる、月間約7万時間の削減を目指しています。
AI開発コスト削減事例③:日清食品ホールディングス
導入企業名 | 日清食品ホールディングス |
事業内容 | 食品製造・販売 |
従業員数 | 15227人 |
AI導入前の課題 | コンプライアンスやプライバシー問題、フェイク情報のリスクに対する知識の不足 |
AI導入成果 | 社員のリテラシー向上、AI導入のスムーズ化によるコスト削減と業務効率向上 |
日清食品ホールディングスが導入したのは、独自開発した対話型AIです。導入後、社員のリテラシー向上が実現し、ビジネスプロセスにAIを効率的に導入することに成功しました。結果、コスト削減と業務効率の向上を実現させたのです。
AIにかかる費用の見積もりと予算計画
AI導入に際し、コスト問題は必ず出てくる課題です。AIにかかる費用は、事前にきちんと見積もりして対策を講じましょう。見積もりの際は、必要なコストを想定して正しく予算設定することがポイントです。事前に予算の上限を決めておけば、必要以上にコストが高くなるのを防げます。
開発を進めていくと、仕様変更などの発生によりいつの間にか費用が膨らむケースも多いです。事前に予算計画を立てておき、計画から外れないようにしっかり管理しましょう。
余分な工程を省くために、委託先と協力して開発を進めるのも重要なポイントです。自社の課題や目的を正確に伝えて、進捗状況をこまめに共有してもらいましょう。
まとめ
AI開発はコスト面で導入ハードルが高くなりやすいです。しかし、自社に適切なAIを導入すれば、人件費削減などさまざまなメリットが得られるでしょう。長い目で見れば費用以上の効果が得られる可能性もあるので、うまく開発コストを削減しながら、最適なAIを導入してください。