カスタマーサポートにAI・ChatGPTを導入するメリット・デメリットとは?活用事例とともに解説 | romptn Magazine

カスタマーサポートにAI・ChatGPTを導入するメリット・デメリットとは?活用事例とともに解説

AI活用

カスタマーサポートにおけるAI化が進んできているのをご存知でしょうか?昔のSF映画のようにロボットと会話できるサービスが今目の前に実現されつつあります。

経済産業省のDX推進計画によれば、2018年におけるチャットボットの市場規模は12億7,400万ドルに対し、2024年の市場規模は75億ドルに登るであろうと予測されています。(参照:NEWSCAST)

カスタマーサービスにおいてのAI化が顕著になりつつありますが、AI化することによってどのようなメリットがあるのでしょうか

この記事では、活用事例と共に、メリットやデメリットもお伝えできればと思っております。ぜひ、お読みください。

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カスタマーサポートをAI化できるボットとは?

カスタマーサポートのAI化

カスタマーサポートをAI化できるボット、すなわちAIチャットボットは、人工知能に基づいたプログラムです。顧客からの質問に自動で回答することができ、ウェブサイトやメッセンジャーアプリ上で動作します。

ChatGPTのような高度なAIチャットボットは、自然言語処理(NLP)技術を利用して、人間の言葉を理解し、適切な回答を生成することができます。

AIとChatGPTのカスタマーサポートへの導入の背景

AIチャットボットは、顧客が常に求める即時性と精度を提供することで、カスタマーサポートの効率を大きく向上させます。

特に、よくある質問への迅速な対応や、基本的な問題解決において能力を発揮します。これにより、人間のサポートスタッフは、より複雑で専門的な問い合わせに集中することが可能となります。 AIとChatGPTのカスタマーサポートへの導入は、顧客満足度の向上だけでなく、企業のコスト削減にも寄与します。

企業がAIチャットボットを活用する目的

企業がAIチャットボットをカスタマーサポートに活用する主な目的は、効率性と顧客満足度の向上にあります。顧客の単純な問い合わせから複雑な問題解決に至るまで、幅広い対応が可能です。顧客は待ち時間なしで解決策を得ることができ、企業はサポート関連のコストを削減しながら、サービス品質を維持することが可能となっています。

また、AIチャットボットを導入することで、顧客からのフィードバックや問い合わせのパターンをデータ化し、分析することが容易になります。このデータは、顧客のニーズをより深く理解し、製品やサービスの改善、さらには新たなビジネス機会の発見に繋がります。つまり、AIチャットボットは顧客サポートの効率化だけでなく、ビジネスの成長戦略にも貢献するのです。

さらに、AIチャットボットは24時間365日稼働するため、地域や時間帯に関わらず、世界中の顧客をサポートすることが可能です。チャットボットはグローバル市場において企業が顧客サービスを提供する上で大きな利点となります。

カスタマーサポートにAIを導入するメリット

カスタマーサポートにAIを導入するメリット

結論としてカスタマーサポートにAIを導入することは、企業に多大な利益をもたらします。24時間365日のサポート提供が可能となり、顧客の待ち時間を削減しながらサポートの質を向上させることができます。

また、チャットボットの活用により、コスト削減と効率化を実現し、長期的なビジネス価値を高めることが可能です。以下に5つのメリットを挙げたので見てみましょう。

メリット①:24/7のサポート提供

AIチャットボットの最大の利点の一つは、年中無休でサービスを提供できることです。顧客は、日中はもちろん、夜間や休日でも即座にサポートを受けることが可能になります。

メリット②:チケットのバックログ削減

AIによる自動化は、サポートチケットの処理速度を高め、バックログ(未処理の作業や案件)の蓄積を防ぎます。顧客からの問い合わせが増加しても、AIチャットボットは同時に多数の問い合わせに対応できるため、待ち時間の削減に貢献します。

メリット③:同時に多くのお客様をサポート可能

AIチャットボットは複数の顧客に同時に対応する能力を持っています。忙しいピークタイムでも顧客サービスの質を維持しながら、大量の問い合わせに迅速に対応することができます。

メリット④:コスト削減・長期的なROIの向上

AIチャットボットの導入による自動化は、人的資源に依存するコストを大幅に削減できることにあり、初期投資の後、長期的には運用コストの削減とROI(投資収益率)の向上が期待できます。

メリット⑤:顧客インサイトの抽出が簡単に

AIチャットボットは顧客とのやり取りから得られるデータを分析することで、顧客の行動やニーズに関する貴重なインサイト(洞察・観察)を提供し、製品やサービスの改善、顧客体験のカスタマイズに役立ちます。

カスタマーサポートにAIを導入するデメリット

カスタマーサポートにAIを導入するデメリット

しかし、AIをカスタマーサポートに導入する際には、いくつかのデメリットも考えられます。

以下に4つのデメリットを挙げました。

デメリット①:人間らしさがなくなる

AIチャットボットは、与えられた形式に基づいて対話を行うため、人間特有の温かみや共感を提供することが難しくなります。顧客が個人的なご案内を求めている場合、AIのレスポンスは冷たく感じられることがあると思います。

このギャップを埋めるためには、AIと人間のオペレーターが連携して対応するハイブリッドな体制を整えることが有効でしょう。

デメリット②:精度と理解度の問題デメリット④:AIに対する信頼性の問題

AIチャットボットは、複雑な問い合わせや特定の方言、スラングを理解することに限界があります。誤解を招く回答や、問い合わせの意図を正確に把握できないケースが発生する可能性があります。

こういったケースを克服するためには、AIモデルの継続的なトレーニングと改善が必要です。

デメリット③:法規制とコンプライアンスの課題

特に個人情報を扱う場合、AIチャットボットの運用はデータ保護規制やプライバシーに関する法律に準拠する必要があります。人間の場合は遵守できても、個人情報はAIには一切関係ないので、適切な指示がなければ守ってくれません。

プライバシーなど大事な要件を遵守するためには、高度なセキュリティ対策と厳格なデータ管理プロセスが求められます。

デメリット④:AIに対する信頼性の問題

AIチャットボットの決定や行動に対する透明性と説明責任は、依然として挑戦的な問題です。ユーザーがAIの回答や提案に疑問を持った場合、その根拠を明確にすることが難しいことがあります。上述したプライバシーや、個人情報など適切に処理ができない場合があり、万が一漏洩すると、企業損失の大問題になりかねません。

この信頼性の問題を解決するには、AIの意思決定プロセスをより透明にし、ユーザーが理解しやすい形で情報を提供することが重要です。

AI×カスタマーサポートを導入した活用事例

AI×カスタマーサポートを導入した活用事例

実際にAIとChatGPTをカスタマーサポートに導入している企業は、この技術の潜在力を明確に示しています。アンカー・ジャパンやセブン銀行などの企業は、顧客満足度の向上と運用コストの削減を実現しています。

以下の企業事例はAIチャットボットの成功したモデルとして、他の企業にとって貴重な学びとなることでしょう。

①ChatGPTを活用したシステム「Anker AI Assistant」を開始(アンカー・ジャパン)

アンカー・ジャパンは、顧客サポートの質を向上させるためにChatGPTを活用した「Anker AI Assistant」を導入しました。

このシステムは、製品に関する問い合わせトラブルシューティングのサポートを自動化し、顧客からの高い評価を得ています。

AI Assistantの導入により、顧客の問い合わせに対するレスポンス時間が大幅に短縮され、サポートスタッフの負担も軽減されました。

ChatGPTを活⽤した カスタマーサポートの新システムを導⼊ 「Anker AI Assistant」を本⽇より開始 – Anker Japan

②口座関連の問い合わせにAI「KARAKURI」導入(セブン銀行)

セブン銀行では、口座開設や利用方法などの問い合わせに対応するためにAIチャットボット「KARAKURI」を導入しました。

お客さまにご負担をかけず、あたたかみを持った有人チャット対応の実現
チャットボットの開始画面からできるだけクリックを少なく、迷わずご利用いただけます。

9 ヶ国語に対応、ユーザーの利用端末環境で自動選択
有人チャット利用時に、エンドユーザーの利用端末環境に合わせた言語を自動で選択できます。ユーザー側の操作は一切不要です。

CRM(クレームなどの管理)連携におけるオペレーターの業務負荷軽減
「KARAKURI talk」の応対データは自動でCRMに登録されます。そのため対応後の入力など、オペレーターの業務負荷を軽減し、空いた時間をきめ細やかな顧客対応に割り振ることが可能となります。

このことからKARAKURIの活用は、人的リソースにかかる負担が軽減され、より複雑な顧客のニーズに集中することが可能となりました。

セブン銀行が、コンタクトセンターの「ノンボイス」強化に KARAKURI シリーズを導入

③AIチャットボット「Einstein AI」の運用を開始(アルテリアグループ)

アルテリアグループは、顧客サポートを強化するためにAIチャットボット「Einstein AI」を導入しました。

  • 質問への正確な即時回答
    AIによる精度の高いチャットボットを活用し、正確な回答をタイムリーに返答し、迅速なご対応が可能にします。
  • お客様特有の質問への回答が可能
    契約内容などにより、最適な対応が異なります。そのため、マンションごとの情報をチャットボットのシステムと連携させることで、マンションごとに最適な回答が可能となります。
  • パフォーマンス分析を活用した回答精度の向上
    「Einstein AI」の強みであるパフォーマンス分析を活かして、解決率や離脱率等を定量的に確認し、常に回答精度を向上できる体制を構築していきます。

このAIチャットボットの活用により、アルテリアグループは顧客サポートのスピードと効率を大幅に改善することに成功しました。

カスタマーサービスアプリケーションSalesforceの「Einstein AI」チャットボットによるサポートサービスのトライアル運用を開始

④AIによる24時間カスタマーサポートサービスの運用開始(WOWOW)

WOWOWは、コンセプトとして「24時間いつでもどこでも困ったときに最短解決!」と掲げ、視聴者サポートを24時間体制で提供するためにAIチャットボットを導入しました。

このシステムは、視聴方法やアカウントに関する問い合わせに対して24時間いつでも即時対応が可能となり、顧客満足度が向上しました。

カスタマーサポートでも最高の「顧客体験」を! AIによるチャットと有人チャットサービスを組み合わせた「WOWOWサポートコンシェルジュ」はどのように生まれたのか?

⑤AIチャットボット”導入でカスタマーサービスを強化(ZAC)

ZACは、顧客サービスの効率化と質の向上を目指してAIチャットボットを導入しました。

このチャットボットは、製品に関する一般的な問い合わせから、より専門的なサポートが必要なケースまで幅広く対応しています。

特徴としては以下の4つになります。

  • 登録しているFAQ記事の中から、AIが最適な記事を提示
  • 複雑な分岐条件のある質問にも自動応答可能
  • 異なるチャンネルからの問合せデータを統合管理することで、シームレスな顧客対応を実装
  • ユーザー様の自己解決率と満足度を大幅に向上

AIの活用により、ZACは顧客の問い合わせに対するレスポンスの速度と精度を大幅に改善しました。

クラウドERP「ZAC」、“AIチャットボット”導入でカスタマーサービスを強化

企業の事例から見ることができるように、AIチャットボットの導入は、様々な業界におけるカスタマーサポートの構造を大きく変革しています。

アンカー・ジャパンの「Anker AI Assistant」やセブン銀行「KARAKURI」など、各企業はAIを活用することで、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ正確に対応できるようになり、顧客満足度を向上させています。

また、AIチャットボットの導入によるコスト削減と効率化は、企業の運用においても大きな利点となっています。

重要なのは、上述した企業がただAI技術を導入しただけではなく、顧客サポートの質を向上させるために、技術を継続的に改善し、適応させている点です。

AIチャットボットは、企業と顧客の間のコミュニケーションを効果的に橋渡しするツールとして機能しており、その可能性は今後も拡大していくことが期待されます。

このように、AIとChatGPTを活用したカスタマーサポートの事例は、技術がビジネスプロセスをどのように変革し、顧客体験を向上させるかの具体的な証拠を提供しています。

こちらの企業様の成功事例は、他の企業にとっても、AI技術を活用する際の貴重な学びとなるでしょう。

まとめ

  • カスタマーサポートの現状
  • AI・ChatGPTを活用するメリット・デメリット
  • AIを導入した活用事例

いかがでしたでしょうか。

今回の記事では、カスタマーサポートにAIを導入することは、顧客サービスの質を向上させ、企業の運用効率を高める大きなメリットをつかめることがわかりました。

しかし、これらのメリットを享受するためには、人間らしさの欠如、精度と理解度の問題、法規制とコンプライアンスの課題、そしてAIに対する信頼性の問題など、いくつかのデメリットにも対処する必要があり、技術の継続的な改善と、人間のオペレーターとの共同作業が大事になってきます。

以上から、AIとChatGPTのカスタマーサポートへの導入は、適切な戦略と継続的な改善を伴うことで、企業にとって大きな価値を生み出すことができるのではないでしょうか。

まだまだ、精度の改善が期待できそうなAIチャットボットですが、適切に導入すれば企業の負担もだいぶ減らし、業務効率をアップさせてくれる魔法のような存在となり得るでしょう。

この記事が皆さんのAIカスタマーサポートを利用する方々の一助となれば幸いです。