近年、さまざまな業界でAIの導入が進んでいます。
AI技術は、業務効率化による人手不足解消や、人為的ミスの予防、迅速なデータ処理による業績アップなど、さまざまなメリットが期待できるため、導入したいと考えている会社も多いのではないでしょうか。
この記事では、さまざまな業界におけるAIの活用事例を紹介し、AI導入で得られるメリット、デメリットについて詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
AI(人工知能)とは
AIとは、「Artificial Intelligence」の略語で、日本語に訳すと「人工知能」という意味になります。人間の知的活動をコンピューターが分析をおこない、学習して模倣する技術です。
近年のAIは目覚ましい発展を遂げており、簡単な指示で複雑な模倣をおこなうことができます。
AIを導入・活用するメリット7選
では、AIを導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは7つご紹介します。
AI導入・活用のメリット①:業務効率化により労働力不足を解消
AIの導入により業務効率化が実現し、人手不足が解消できるとされています。少子高齢化社会が進む日本において、ビジネスの現場での人手不足は決して珍しい問題ではなくなりました。
しかし、AIを導入すれば最小限の人手で業務を回せるようになるため、人手不足の解消に加え労働環境の改善も可能となるのです。
AI導入・活用のメリット②:人件費をはじめとするコストの削減
AIは事務作業の自動化、RPA化も可能です。事務作業を自動化することで業務の効率化ができ、人件費の削減も狙えます。
チャットボットとRPAは混同されがちですが、会話を自動化できるチャットボットとは違い、RPAは定型になっている作業を自動化するという点で、さまざまな事務作業に活用が可能です。
AI導入・活用のメリット③:生産性向上
AI導入により、生産性の向上も期待できます。AIは人間と違い、経験がない業務でも高い正確性で処理できます。
また、AIには人間のように体調やモチベーションの変化による影響が出ないため、常に一定のクオリティで作業が可能です。
AI導入・活用のメリット④:ミスや事故の防止・減少や安全性の向上
AIを活用すれば、人為的ミスを回避できます。常に高い正確性でミスのない作業ができるので、ヒューマンエラーが起こる心配はありません。
また、AIは立ち入ることができない危険な現場であっても、自動運転により業務が可能です。異常が発生すれば自動的に検知できるので、事故の防止や安全性の向上が期待できます。
AI導入・活用のメリット⑤:高精度なデータ分析や予測
AIは人間が処理できない高精度のデータ分析や予測も可能です。暴対なデータの中から分析や予測をおこない、効率的な経営戦略を打ち立てられます。
AIにより効果的なマーケティングの提案をしてもらえれば、業績アップも期待できるでしょう。
AI導入・活用のメリット⑥:市場のニーズ把握・顧客満足度向上につながる
AIは膨大なデータを瞬時に分析して処理できるので、市場のニーズ把握や高精度の予測もできます。
時代の変化とともに顧客のニーズは細分化しており、人間の手による分析は困難となっています。AIにニーズを把握してもらえば、業務効率化と顧客満足度の向上の二つが同時に実現できるのです。
AI導入・活用のメリット⑦:遠隔地とのコミュニケーションが可能
AIはIoT技術の実現と普及にも貢献しています。IoT技術とはインターネットとモノを繋ぐ技術のことで、遠隔地とのコミュニケーションを容易にしてくれます。
リモート接客やリモート会議もIoT技術に該当し、新しい働き方や労働環境の改善、業務の効率化など、さまざまなメリットが期待できるのです。
AIを導入・活用する上での課題・デメリット6選
AIを導入することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは6つご紹介します。
AI導入・活用のデメリット①:雇用の減少につながる
AIの導入は業務効率化が狙えますが、同時に雇用の大幅な減少につながる恐れもあります。人間の仕事をAIが奪ってしまう形になると、仕事がなくなり失業率が向上する可能性があるのです。
AIが得意な技術職や事務作業などは、将来的に人の手が不要となると言われています。逆に、AIは創造力がないため、クリエイティブな仕事はAIに取って代わられる可能性は低いでしょう。
AI導入・活用のデメリット②:責任の所在が曖昧になりやすい
業務をおこなう中でAIが原因による不法行為責任や製造物責任が発生した場合、責任の所在が曖昧になりがちです。
例えば、ロボットが自動車やドローンを組み立てた後にミスが発覚した場合、AIに責任を追及することはできません。
もし損害が起こった際、所有者か製造者か、もしくは別の人が責任を取るのか、AI導入前にきちんと決めておく必要があるでしょう。
AI導入・活用のデメリット③:情報漏洩のリスクが存在
AIがネットワークに接続して顧客情報を扱う業務をおこなっている場合、セキュリティシステムのサイバー攻撃による情報漏洩リスクは、常にあると思っておいた方がいいでしょう。
機密情報をハッキングして悪用されないよう、事前のセキュリティ対策や多重防御などの対策を講じておく必要があります。
また、社員に対してはセキュリティ教育や専門知識の習得など、自社教育を進めておきましょう。
AI導入・活用のデメリット④:リスクマネジメントが困難
AIに問題が発生した場合、そのAIが関わっているものがすべて業務停止してしまう可能性があります。場合によっては会社に多大な損害をもたらすでしょう。
リスク管理はAIの苦手な範囲なので、事前に影響範囲や起こりうる問題の原因把握、具体的な対処法を打ち立てておく必要があります。
AI導入・活用のデメリット⑤:思考プロセスがブラックボックス化する可能性
AIがどうしてそのような結論に至ったのかが分からないことを、思考プロセスのブラックボックス化と言います。これはAI導入に際して問題視されているデメリットの一つです。
判断の根拠がわからないAIのブラックボックス問題は、さまざまな不具合に繋がりかねません。AIのアイデアや判断は鵜呑みにせず、AIに任せても問題のない業務範囲を事前に把握しておきましょう。
AI導入・活用のデメリット⑥:導入・運用コストによる支出の増加
AIはコスト削減につながる画期的な技術ですが、導入により支出が増えてしまうケースも考えられます。
AI導入や維持はある程度のコストが必要です。それに加えて、従来の業務をAIに入れ替えるための必要経費や、AI導入のためのシステム開発、対応できる人材の採用など、様々な場面で費用がかかります。
コストの増大が一時的なものなのか永続的なものなのか、正確に判断しなければなりません。
【業界別】AI導入・活用のメリットの具体例10選
AIを導入、活用した業界はどのようなメリットを得られたのでしょうか。
以下で解説していきます。
【医療】AIを用いた自動分析により医師不足を解消
A大学とB社の共同研究グループは、統合型AI分析システムを構築し、AIによる血液疾患鑑別を実現しました。AIによる深層学習の技術を用いることで、高精度かつ迅速な解析ができます。
医師や検査技師の人手不足が懸念されている医療業界ですが、AIの導入により効果的な診断支援と人手不足の解消が期待できると話題になりました。
【製造業】AIによる検品の負担軽減・作業効率の向上・業務の属人化の解消
C社が提供しているAIモデル作成フラットフォームは、目視検査や検品といった人の手による作業をAIが代替することで、作業効率の向上が実現できる技術です。
作業員の負担軽減や業務の属人化の解消につながり、現場作業員の人手不足や人為的ミスなどの幅広い問題に対処できます。
【製造業】AIを活用した在庫管理によるミスの防止や効率化
製造業では、生産ラインでAIを活用することにより、在庫管理が容易になりました。AIが需要を把握してくれるので、過剰在庫や在庫切れといったトラブルを予防できるのです。
煩雑な作業をAIに任せて他の部分を人がカバーすることで、大幅な作業の効率化が実現できます。
【コールセンター】AIチャットボット・ボイスボット活用によるオペレーター負担の軽減
コールセンターでは、AIチャットボットやボイスボットの活用により、オペレーターの負担軽減や業務支援を実現しています。
AIの自然言語処理は、入力された文字や音声認識で文字起こしされた内容を要約し、自然に近い形で意味を把握できます。
回答の自動化ができるAIの導入により、コールセンターは人手不足のソリューションに成功したのです。
【経理】AI-OCRとRPAを活用し、定型業務を自動化
経理の定型業務を、AI-OCRとRPAの活用により自動化している企業もあります。
AIとOCRを組み合わせた技術がAI-OCRです。手書きの文章をOCRでスキャンし、AIが分析することで正確にデータ化できます。
帳簿を電子化できればRPAにより業務を自動化できるので、24時間365日いつでも経理処理が可能です。
人為的ミスがないの一定の品質クオリティを保てるのも、AIならではの強みと言えるでしょう。
【マーケティング】AIを活用した精度の高い売上予測
経営におけるマーケティングは、目標達成のために膨大なデータを正確に処理しなければなりませんが、AIを活用することにより迅速かつ精度の高い売上予測が可能ととなりました。
AIがデータを処理するので誤差は少ないですし、業務の属人化も防げます。
【広告】AI活用による広告効果の推定・予測・向上
マーケティングに欠かせない広告の現場では、AIを活用することでデータ分析や予測が高精度に上昇しました。
D社が提供している屋外広告のデータ解析サービスは、カメラで視聴者の数値化が可能です。人の目では処理しきれないデータをAIが分析することで、より効果的な広告効果が狙えるようになりました。
屋外広告以外にも、SNS掲載広告やWeb広告でAIの活用が広がっています。
【福祉】増え続ける介護需要に応えるAIを活用した介護ロボット
少子高齢化に伴い、介護の需要は急激に増大しています。常に人手不足の介護の現場において、AIの導入は画期的と言えるでしょう。
AIを活用した介護ロボットは、人間ができないことも実現できます。例えば、要介護者の発作や転倒といった異常事態をすぐに検知し、適切な対応ができるのです。
介護ロボットは今後、福祉の現場に必要不可欠な存在となるかもしれません。
【スポーツ】AIを活用した試合の勝敗予想
スポーツの場にもAIは広まっています。AIを活用すれば、過去の参考情報をもとに試合の勝敗を高精度で予想できるのです。
スポーツ観戦のサポートをするだけでなく、競馬や競輪などの勝敗予想にもAIは活用できます。
今後はAIにより、新しいスポーツ観戦の形が生まれるかもしれません。
【交通】AIの画像認識技術を活用した通行人のカウント
交通量の調査は人間が目視でおこなうイメージがありますが、AIの画像認識技術を使えば、正確に交通量のカウントができます。
人間による調査はどうしても人為的ミスが起こりがちですが、AIに任せればがミスを防ぎ、人の負担を軽減できます。
交通調査の現場でAI活用は広まっており、今後はAIが担うのが当たり前の仕事にシフトしていくかもしれません。
AIのメリット・デメリットを理解し、適切にAIを導入・活用しよう!
いかがでしたでしょうか。
当記事では、AI導入にまつわるメリット・デメリットについて解説しました。
AIを導入すれば様々なメリットを享受できますが、決してAIは万能ではありません。
AIが苦手なこと、導入した場合に起こりうるデメリットもあるため、まずはメリットとデメリットを理解し、大きなメリットを享受できるシーンでの活用を検討してみてください。
AIを適切に導入・活用できれば、問題解決や業務の大幅な改善も期待できます。当記事がAIの適切な活用への手解きとなれば幸いです。